紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

第10回柴又100k レース編

(アプリのバグで、初めに公開した内容が一部消えたため、記憶を辿って書き直しました)

 

準備編に続き、レース編です。

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仲間とモチベーション

レース前々日となる金曜はことぶき先生のところへ。突き指に最後の施術をしてもらい、さらに足裏が痛む問題に対して、これを和らげる施術を「餞別」としていただきました。これがレース後半を救うことに。

また番長から差し入れとエールをいただき、気合が入ります。仲間っていいね!

「走り込みはできてないが、何が何でもサブ10の称号を掴んでやる。故障あけでも目標は1ミリも下げるものか。」

明確に目標を意識することができ、レース前の高揚感をここで感じ取ることができました。

 

今回のギア

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シューズ…NIKE Zoomfly4 25.5cm

いつものZF3より0.5大きいのはステップスポーツのアドバイザーさんが、カカトのクッション分だけ大きめを選ぶべき、と。履き慣らし5キロでZF4を投入するのはギャンブルでしたが、相性の良さを信じます。これはシンスプ対策でもあります。ホントはasicsで行きたいんですけどね。

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ソックス…5本指でアーチサポートのあるマラソンソックスでした。足裏対策でアーチサポートは必須です。

肌着…エアリズムTシャツ&ブリーフ。自分の定番です。

パンツ…ノースやアディダスそっくりのマルチポケットパンツ…。アスフォームです。ジェルを入れるためのチョイス。

ウェア…我らがteamいきもの舎Tシャツ。UNIQLOのドライメッシュです。

キャップ…asicsの安物。

ウォッチ…EPSONのみ。Garmin235は留守番。

ポーチ…ユレニクイpro。ザックでなくポーチをチョイス。

ジェル…スタート時に6つ。ドロップバッグ(49k)に5つ。スペシャルバッグ(77k)に4つ。

ユレニクイのボトルホルダーにはミニポカリにメダリストを溶かしたものを保持。予備の給水とします。

その他、ミニカイロで胃腸保護、ワセリンで足保護。焼石に水ですが、日焼け止めも。

ドロップバッグには、日除け付きの替えキャップ(暑さ対策)、HOKA Rincon 28cm(足裏が痛んで走れない場合)、クリップヘッデン(失速して完走ペースに落ちた時用)をいれます。

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その他、前日の軽食としてパンにカステラ、大福、どん兵衛、スライス餅、プロテインドリンク、エビアンなどローディング系飯を持参しました。おにぎりは現地調達。

ゼッケンにメッセージが書けるので、ホイミンがいない代わりの「ホイミ!」と「レベル19遊び人」の自己紹介を印刷。日除けと保温になるので全部持っていきます。前に1枚。後ろに3枚。午後の日差しはこのゼッケンが遮ってくれるはず。

 

土曜日

朝6時前に岡山を出ます。

道中、おにぎりとパンをかじりながら高速を走ります。エビアンでウォーターandミネラルローディング。

聴いてる曲が変わるたびに肩を回し、クルーズコントロールでアクセルから足を離して足首も回します。とにかく、固めない。

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100kmという数字にやたら反応…。

そうこうしてるうちに、宿泊地である松戸に。

ホテルにチェックインすると、友人が出迎えてくれました。

学生時代からの悪友で、私のフル初挑戦を鼻で笑い、完走したら本人が走り始めたという愉快な野郎。負けられないライバルです。

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おかやまマラソン以来の再会に話が弾みます。珍しくレース前日が外食に!マグロ漬丼に筍ごはんおかわり。

応援に来てくれるというので、後半の苦しいときに喝入れてくれと頼みます。これが命綱になろうとは。

 

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セブンで買い出し後、ホテルで最終チェック。

エイドの箇所を確認し、預かり荷物、ドロップバッグ、スペシャルバッグに割り振り。

シューズにチップ装着!これ、上がる!

餅うどんとチョコクリームパンでカーボローディング。

軽くストレッチとマッサージで疲れを取りつつ、teamの皆さんに報告。寝ます。

 

日曜の朝

4時前起床で、餅入うどんとチョコクリームパン、おにぎり2個でローディング。凝縮栄養、ポカリでビタミン&ミネラル&水分摂取。

突き指した小指にことぶき先生直伝のテーピングを施します。軽く足首周りをストレッチの後、ワセリン、日焼け止め、着替えを済ませチェックアウト。akippa駐車場からスタート地点へ。

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スタート地点は、帝釈天のすぐ近くです。

向かっているとゴリゴリのウルトラアスリート体型ランナーがゾロゾロと歩いています。いいなぁ、この大会の雰囲気!

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柴又100名物のお団子屋さん。立ち寄れずに残念…。

ここから土手を越えると会場です。天候は曇りで15,6度。このままの天気なら最高なんだけどなぁ。予報だと晴れて24度まで上がる模様。

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キター!柴又公園です。矢切の渡しで有名ですね。

まずは、検温して体調チェックシートを提出。なんですが、とくにシートを確認することなく回収。あ、そうなのね。

世界選手権の代表選考も兼ねているので陸連登録の選手が大勢います。6時間台で走る選手とのすれ違いが楽しみです。

参加賞のTシャツと草大福、ガラスの写真立てを受け取り、荷物を預けます。ドロップバッグ&スペシャルバッグも預けるのがウルトラっぽくていいですね。

トイレの大行列に並んでる時間を利用してストレッチ。スタートブロックでもストレッチ。この慌ただしさも懐かしい。

足首、アキレス腱、前腿、ハム、股関節のストレッチまでで時間切れ。会場まで1.5キロ歩いたのをアップということにしておきます。

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レースプラン〜当然のキロ6未満ラン

キロ5:30で巡航し、10キロにつき5分休憩してピッタリ10時間。

休憩を節約して貯金していき、後半のペースダウンに備える計画。

走り込み不足で自信はありません。いけるところまでいってやる、という気力頼みのプランです。シンスプ悪化で万一疲労骨折でもすれば、その時点でゲームオーバー。無理はせず、走り切れるギリギリを狙います。

 

スタート〜久々のリアル公認レースへ

トイレがとんでもない大行列でかなり時間を使いましたが、どうにか間に合いました。トイレ、足りてなくないですか?登録の部の人を優先するトイレがあってもよさそう…。

参加人数は多くないのでざっくり整列し、うまいMCの盛り上げにのってテンションをあげます。公認のリアル大会やべー!

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6:30に登録の部のアスリートたちがスタート。我々Bブロックは6:37スタート。ウルトラだけど明るい時間帯です。静かに走り始めました。

周りの選手の目標タイムが背中ゼッケンでわかるのでサブ10目標ランナーの集団につきます。向かい風が強いので、集団の中で体力温存。

足指を広げること、2軸を心がけること、骨盤前傾をキープすること、腕振りでリズムを作ること、すり足気味にして接地ダメージを減らすこと。これらを可能な限り守ります。

2.5k給水付近で、柴又フィニッシャーズTシャツ(タイムは9:51くらいでした)を着たランナーさんにつきます。ベテランでコースを知っているはず。しかもフォームが安定。こういう人に背中を借りたい。なお、体力温存のため給水はしばらくスルーしていきます。

スタート地点は土手の下の舗装路なんですが、第一給水過ぎで土手上にあがります。これがなかなかの急登にして高低差あり。百間川の土手より2倍は登る感じ。

土手上は、さらに風が強く集団内部から外れないようにコースどりをします。ときおり顔を上げると見えるのが江戸川河川敷の風景。左手には住宅地、右には河川敷とスポーツ系グラウンド、遠くにビルや煙突。関東平野の広さを体感します。さすが江戸幕府

5kmまでのラップはキロ5:24。ややオーバーペースですが集団から遅れたくないので良しとします。

8キロ過ぎでジェル。ピットインを摂ります。ピーチ風味。早め早めにジェルを入れるプラン。周りのランナーも同じようなタイミングで補給していました。

5〜10はキロ5:26。順調。

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10〜変わらない景色、変えないランへ

10キロ通過しても同じ景色です。体も温まり、スムーズに進んでいきます。この調子なら100kでも200kでも走れそう。そんな感覚。ランを意識することなく、体は勝手に進むように。

エイドはまだ取りません。ヤマザキのブッセが美味しそう。今回、エイドのほとんどがブッセでした。毎回、違う味が出ていたので、制覇したかったなぁ。噛み切りやすくクリームで食べやすいというチョイスでしょうか。でも口の水分を持ってかれそうで手を出せません。エイドが水→(スポドリ)→ブッセの順だと食べにくいよ!なお、15kまで5:27でした。

それにしても景色が変わらない…。まるでスタート地点に巨大なトレッドミルがあって、その上をみんなで走ってるかのような感覚。

それでも前の選手のゼッケンを見て、和んだり笑ったりしつつ走ります。子供からのメッセージや「今夜は飲むぞ」系、そして、やっぱり多いのがサブ10。サブ10してウルトラ引退するぞ!っていう人も。

フォームのポイントを定期的にチェックし、かつ省エネになるように無駄な動きを抑えます。これは必要だったわけですが走り込み不足からか力みが出て筋力を無駄遣いしていったようです。早めに前腿が疲れました。

気づけば20キロへ。まだまだ序盤。天候はほぼ変わらず、景色もほとんど変わりません。

唯一、20k辺りで見たことのある風景が。この空の広さは、さいたま国際マラソンの折り返しあたりで見た越谷付近の風景じゃないか!ちょっぴりテンションアップ。それでも単調に違いはありませんでした…。20kまで5:31。エイド手前でマグオン投入。ラフランス味。美味い。

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20〜フラットコースと土手ランプ

土手の道幅は、広いところと狭いところをくりかえすんですが、20kからしばらく狭いまま。すれ違う散歩のおじいちゃんや追い抜いていく自転車に気を遣います。

しかし、案内看板には「大会あるから千葉側を走ってね」のようなことが書いてあって、並走する人などは応援に来てくれてたりなんですね!

ナイスラン!いってらっしゃい!がんばれ!

そんな声かけを受けながら進んでいきます。

うれしいですねー。でも、今回はあまり声援に応えないことに。ほんとごめんなさい。余裕ないんです。

エイドはテーブルが短く、他のランナーがいると減速必至。なので、ユレニクイに入れたボトルから給水も併用します。早歩きで止まらず飲むことに慣れててよかった。

22kあたりで河川敷に降ります。ジグザグに降るのでヘアピンカーブに。序盤は大丈夫なんですけどね。下りはしっかりペースダウン。まだ余裕はありますが、着地が強いと足裏、スネ、胃腸にダメージが入るので慎重に。

なお、高低図は↓

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こんな感じです。激フラットですが土手⇆河川敷のランプが極端にキツいです。橋の下をくぐるランプ部分も気をつけないと足を使いますね。

降り切ると砂利道1.5キロ。ローラーでかためてくださってるそうですね。感謝感謝。しかし、走りにくいのは事実なので、ベテランランナーさんのコース取りをマネします。うまく端を選んでムダな体力を使わないように。ここを復路で走るときはどんな状態なんだろう、とガクブル…。

土手に戻る坂も当然なかなかキツいですね。ここもペースダウン。25kくらいから土手は広めになります。25kまで5:24。この辺りで牛舎があるのか、家畜の香りが漂っていました。苦手な人は、とくに復路で吸い込まないように。吐けます。

変わらない景色の中、フォーム修正だけは気を遣いました。とにかく怖いのは後半ですからね。ジグザグで下ったりして橋をくぐります。スポンサーが味の素なのでアミノバイタルのアミノショットが配られており、それをいただきました。ジェル買わなくていいじゃん!カロリーは足りないのでアミノサウルスのジェルを取りつつ、30kを迎えます。

30kまで5:24 。レース中の最速5キロラップでした。

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30〜序盤終了、炎天下ランへ

30kまではトイレ我慢と思っており、30過ぎのエイドでトイレへ。思い切り体重が軽くなった気がします。いつの間にか身体が重くなってましたね。これで動きが軽快に。気分転換にもなりました。ついでに確認すると腹部も冷えてなかったです。胃腸保護はミニカイロで万全でした。

直後に「龍Q館」なる特徴的な名前の施設が見えます。沖縄のなにかかな?と、あとから調べると

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首都圏外郭放水路地底探検ミュージアム」だそうです。行ってみたい〜。なお、写真は春日部市役所WEBサイトから。

そんなこんなで35k。5:38です。トイレロス45秒を考えたら予定以内です。そして、また砂利道へ。ここは短いと言っても800メートル。足を取られますね。

この辺りからたしか日差しが出てきました。気温はどんどん上がってきます。感じる感覚は脱水症状の前触れ。腕に熱がこもり、顔が火照ります。対応しないと確実に潰れそう。序盤ですが、距離はもう30超えてますから気づかない発汗もかなりのもの。

給水では確実にスポドリを取り、水を背中に。38kあたりで一度土手から離れ、「エコスポいずみ」エイド。ここから、かぶり水を毎度のように利用することに。

この39kという地点は、フルとウルトラの差を大きく感じますね。

フルだと残り3キロの最終盤。

ウルトラだと30キロ台はまだ1/3の感覚なのでまだまだ序盤。

気持ちの持っていき方が違いますね。

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すぐに土手に戻り、40kを迎えます。5:25ペースは安定。貯金も15分を超えました。レースは中盤へ。

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40〜ウルトラ名物を楽しむ

ウルトラ名物?42.195通過。この辺りで、左足裏にやや重めの痛み。足裏に来はじめました。いやな雰囲気です。やはり右を無意識にかばう左右差が出ているようです。意識しすぎると逆に悪いので、あえてフォームは気にしません。これまで通りを貫きます。

また河川敷におります。3回目の砂利道。1kmあります。足裏の痛みを気にしてペースダウンです。そろそろキツさが。

45kまで5:36。貯金はレース中最大の17分に。つまり、ここからこの貯金をつぶしはじめたんですね。

45k過ぎに左に折れます。その手前あたりで、応援の方から「えーTシャツかわいい!」と声かけていただきました。テンション爆上がりです。マスター、いきものくんが褒められましたよ!

そして、茨城県五霞町を走る街中10キロラン。1番楽しい区間かも知れません。49キロで大型エイドひばりの里へ。ドロップバッグ受け取りポイントです。ウルトラらしい!

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ここでチームメンバーに「アップ完了」と余裕なフリをするLINEを投稿。全ての余裕を使い果たしました笑

また、他のランナーさんから「背中の『ホイミ!』に癒されました。背中をお借りさせてもらいました」と声をかけていただきました。これ、うれしいですねー。後ろにつかれるのを嫌がる方もいますが、私は大歓迎。だって、何の邪魔にもならないし、そもそもフォーム汚いランナーにはつきたくないですよね。褒められてる感じがして嬉しいんです。あ、私は身長が160前半の人権なし男なので風よけにはなりません。あしからず。

ドロップバッグから帽子を取り出し交換。日除けを広げ日差しを首に当てないように。シューズは交換しないことに決めます。足裏の痛みは始まってましたが、それほど大きくもなく、それよりもカーボンプレートによる反発で楽に5分台が出せることを取りました。ジェルをポケットに詰め直し、ポカリと速攻元気、アミノバイタルを飲み干します。また岩塩粒を口に放り込みます。北海道マラソンの時にやったストレート塩分補給!エイドのおにぎりはスルー。残念ですが、胃が怖い。そのかわり、しっかりかぶり水。

シューズの紐をやや緩め、後半に向け再スタートです。

エイドを出てすぐに、9:51フィニッシャーさんを見つけ、付かず離れずのポイントへ。50kはほぼ同時に通過。ベテランの安定したランを見習います。この5キロは7:10。ドロップバッグ受け取りを除けば6分は切って走れています。

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50〜「キツい」ランのはじまり

ついに後半戦です。

足裏の痛みに加えて、左右の前腿に疲労感。ズムフラの反発に足を使っていました。日差しは強く、汗もかなりかいている気がします。

それでも55kまでは街中ラン。変化があって楽しいです。途中、沿道のお家の方が、ホースをシャワーにして水をかけてくださいました。ありがとう!めっちゃ気持ちよかったです。有無を言わさず放水されるので、濡れたくない方は逃げてね笑

55kまでは5:39。すこし貯金を戻しますが、それもここまで。

土手に戻ります。容赦ない日差しが襲ってきます。真夏のランをやってる身からすれば大したことないんですが、暑熱順化がまだ甘く、暑さ慣れしてない身体です。しかも、すでに50k以上ラン。どんどん体温の上昇がある気がします。ここで自分ルールを決めます。これ重要。

まずかぶり水は確実にする。エイドのスポドリは2杯飲む。水は1杯飲む。(水だけエイドが半数)そのために、立ち止まらざるを得ないが、かぶり水&給水を優先する。そして、ジェルは無理しない。というのも、またハンガーノックの近い時になる体の感覚になってないんです。重さも瞼の下がる感じもない。カロリーより胃を休めます。

エイド区間で30秒落ちても他で5:50をキープすれば2.5キロにつきロス15秒。復路で5分のロスにしかならない、との皮算用。とにかく、エイドの度に体を冷やしまくる作戦です。

58k。残りフルマラソン一本。なんだキロ6でフル走ったらサブ10じゃん、楽勝楽勝!と自分を鼓舞します。楽勝な感じなんて微塵もしません。計算できない時点では、この手の楽観視は効きませんでした。

徐々に1キロが長くなります。トイレに寄って軽量化しつつ足を休めます。どうにか60k。6:36に落ちましたが、これは砂利道4回目とトイレに並んだから。そう信じたい。

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(ここからルート図はランキーパーのもの。南北向きを変えてます。)

 

60〜地獄の入り口

60k台は、地獄の入り口でした。時刻は12時を過ぎ、気温も高く日差しは強くなります。土手は陰がありません。木陰ください、木陰…。

ただ、日除けつきキャップや背中にゼッケン3枚は効果的だったと思います。

前を行くベテランさんもすごい量の汗をかいておりエイドごとにザブザブとかぶり水。私も負けじと被ります。シューズがずぶ濡れでガボガボいいはじめますが、そんなことより冷却優先。ズムフラのフィット感なら濡れても走り切れるだろうと甘い判断。でも、正解でした。

62キロ地点のボランティアさんが「あと少しです!がんばって!」と。少し?「38もあるよ」とボヤいたら笑ってくれました。38キロをあと少しだなんて、きっと北田隆夫級のすごいランナーさんなんだと思います(自爆

景色は変わりません。見事に変わりません。進んでいるんだから画は拡大しているはずなのに拡大してもしても同じ画…これってフラクタルマンデルブロート集合?なんてどうでもいいことを考えながら時間をつぶそうとします。

河川敷に降る坂が厳しくなってきます。かなり慎重にならないと前腿や足裏が痛みます。そして、また砂利道。大きな石を踏むとよろけます。体幹が終わりはじめました。65kまでキロ6:05。

ジェルを取ろうとしますが、胸焼けと吐き気に襲われます。ジェルはただ重いだけの荷物になっていました。カロリーはスポドリとコーラで摂ります。

エイドでかぶり水をし、走り始める時の足が重い。攣りそうになります。66k地点は2/3。まだ70来てないのに、こんなに弱るのか?走り込み不足を痛感しました。

ただただ無心に暑さに耐えて、ウルトラの壁と言われる70kへ。フル30の壁は糖の枯渇と足の消費、乳酸の波なんだと思いますが、ウルトラの壁の意味はわかりませんでした。ただ、この時感じたのは、この疲労や痛みの中で残り30kもペース維持して走れるのかという絶望感。貯金はあるのに、希望が持てません。エイドの度に貯金は大幅に減ります。エイド残り15箇所で1分ずつ吐き出したら貯金ゼロ。そこからキロ6弱で走れるイメージがわかない。痛みは増強し、脱水も進んでいるように思われる。限界疲労蓄積曲線と限界達成曲線との交点が70k付近なのか。そんなことを考えます。

ゴールしている自分が想像できないんです。もうダメだなと感じたのは実はこの辺りでした。諦めが頭をよぎる、いやよぎるどころではなくて、この足でウルトラなんてやはり無謀だったかと変な悔しさが。

ただ、例のラン友が77kで待つという話をしていたことを思い出します。そこまでは予定ペースで行かなくては。止まるわけにはいかないぞ、とペース維持のために力を込めて蹴ります。蹴れたんです。しかし、70kまで6:29。貯金を5キロで2.5分消費したことになります。

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70〜ラン友のチカラ

はっきり覚えてないのですが、どこかでスカイツリーが見えました。東京だ!

しかし、針先のようなスカイツリー。あんな遠くまで走るのか?気が遠くなります。

気づけばベテランランナーさんの姿が見えません。どこかではぐれました。恥ずかしい限りですが、周りのランナーさんに引っ張ってもらうことを躊躇しませんでした。サロマ湖フィニッシャーズTシャツのランナーさんに背中をお借りしたのは、このころかもしれません。ベテランさんに頼りっぱなしですね。この方とはフィニッシュ後に再開することになります。この辺りから単独走が中心のランが始まりました。

70〜75kは比較的走りやすい広い土手。といっても足はさらに重くなり、ペース維持が厳しくなります。ズムフラはフォーム修正さえすれば5分台にスーッと上げてくれるんですが,そのかわり足攣りがきます。苦しい。

周りのランナーにも異変が次々。草むらにキラキラ効果を出しながら倒れ込む人、足を掴んで悶絶している人、目の前の坂で足がもつれて転倒する人。そんなランナーたちを間近で見ます。スタッフ配置はとても多く、無線で連絡が飛び、自転車で全力救護が来ていました。スタッフのみなさん、ありがとうございます。

しかし、そんな様子はやはり「次は自分ではないか」という恐怖心になります。胃のムカつき、暑さからのフラつき、足攣り、痛み、どれをとっても倒れる可能性を感じます。この恐怖心との戦いもあったんですね。

75kまで6:05。走りやすい土手で少し戻します。

しんどさがもはや限界になり、ついに悪魔と天使のバトルが本格化します。

疲労骨折スレスレだったんだぜ。故障あけなんだから、もういいじゃん。タイムより完走。怪我しないように無理せず行こう。骨折なんてしたらサブ3も消えちゃうぞ。なんなら一生タイムは狙えなくなるかもよ」

そんな論理的にして冷静な判断で悪魔が囁きます。苦しい時って毎度こんなですね。悪魔は極めて狡猾。褒められることとして、失速やリタイアを勧めてきます。これは本当に苦しみました。

しかし、スネに痛みはありません。回復とフォーム修正で万全を尽くしたんです。フォーム変更でダメージはへり、その衝撃はズムフラが吸収。何ともないはず。悪魔の囁きに対抗します。

そこに現れたのは河川敷の砂利道1.5キロ区間。暑さと痛みで全身が悲鳴を上げています。歩きたい。それでも歩いたらサブ10は絶対に不可能。まだ20キロ以上あるんです。落としてもキロ6.5まで。粘りに粘ります。

はるか前方に土手を折り返して登るランナーの姿。あれを登るの?!

その坂に差し掛かり、ついに走れなくなります。

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とにかく腕を振り、早歩きで登ります。そこで声がかかります。

「順調じゃん笑」ラン友でした。

思わず出たのが「おせーよ…」本音でしたね。

何がいる?と見せてくれたのは、エナジードリンクやいろんなジェル、袋いっぱいに買ってきてくれていました。でも、胃が受け付けません。かわりに今あるジェルなど荷物全部を渡します。もうジェル一個すら持ちたくない状態でした。あとはエイドのスポドリとコーラで走り切ってやる。ハンガーノックが先かフィニッシュが先か。大きな賭けに出られたわけです。彼には感謝の言葉もありません。

荷物を渡してるうちに足が固まっていました。草むらにうずくまるランナーたちもきっとこんな状態でしょう。一度止まって気合いを抜くとそこでリタイアなんだと痛感。可能な限り止まらずに走るしかありません。もはや激痛に近い痛みの中で足を動かします。彼の「もう一ヶ所くらい寄るわ」を背中で聞きます。

ただ、順調に見えていることは意外でした。あとから応援ナビで見る限り、たしかに順調なんですね。そして、その向こうにいるチームメンバーたちのことも思い出します。そうか、順調に見えるのか。これで投げ出したら、本気でガッカリさせるぞ。と、またペースを戻します。

気づけば5分台に戻っていました。

80kまで6:34。まだ貯金はありますが、このままではサブ10が厳しくなるのもまた確かです。

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80〜「これはもらった!」という確定感

さて、70k以降は、60キロの部のランナーたちも合流しています。我々が差し掛かる頃の時間帯はどちらかというと後半の選手たちなので、歩いている選手の方が多数でした。

それ自体は問題ないんですが、土手はギリギリすれ違える幅の所もあって、追い抜きに苦労するところも。パッと前に出る力が出ません。攣ります。

なので、思わぬところで時間を使ったり足を使ったりしました。普段から単調な練習のみではなく、メリハリのあるファルトレクやウェーブ走をすべきなのがわかりますね。

たまに日がかげる時もあり、雲に感謝してみたり、やや傾きかけた太陽をありがたく感じたりしつつ、とにかく粘ります。

どこかでエイドのブッセとコーラを摂りました。気分転換ですね。しかし、止まればすぐに足が固まり、走り出しが辛くなります。

ランナーがいれば後ろにつき、考えずに走る。とりあえず頭の中で音楽をかけて気を紛らす。ブログやツイッターのネタを考える。そんなことで時間を使おうとしますが、痛みやキツさがやはり先に。

そのうち、あまりのキツさに「天変地異が起きて大会中止にならないかな」「車が突っ込んできて、強制リタイアでいいや」などと考えはじめました。

その一方で79キロなどでは「残りハーフ。しかも、それをキロ6でいいんだぜ。」と無理やり言い聞かせます。悪魔と天使の大乱闘です。

ただ距離はなかなか減りません。

85kまで6:14。少し戻しましたが貯金は減っています。エイド減速が大きいですね。

キツさはもう限界突破していました。走るのを止める理由をどんどん考えます。

しまいには「倒れたい。よし、倒れるまで走ろう。倒れたら誰も文句言わないぞ。やめれるぞ。」と意味不明な思考になっていました。もうどうにでもなれ、というランは、かなりの距離やってた気がします。

ですが、どうしても消せないのが、長野の悔しさでした。

何のために長野を棄権したんだ?

長野のサブ3を諦める代わりに柴又で初ウルトラ初サブ10をやってのけるんじゃなかったのか?

なんのために、これまでキツイ練習してきたんだよ。ゲロ吐くまで追い込んだのはなぜだ?(尾籠な話でスミマセン)そうやって言い聞かせて気力を維持しました。メンタルは折れる寸前でしたが、どうにか筋一本が残っていたようです。

88kくらいでラン友が再度声かけしてくれました。姿が見えた時、うれしかったなぁ。差し入れを飲めなくて申し訳なかったんですが、フィニッシュ後、最大限感謝を伝えたことは言うまでもありません。

そして、1番強力に心が折れないように支えたのは、「サブ10してやる」という意志でもなく「できるかもしれない」という可能性論でもありませんでした。それは

「あ、これはもらったわ」という確定感、でした。

例えば松本マラソンの40キロ地点。初のサブ3.5がかかるランで、残り時間と足の具合やスタミナを考えて「これはサブ3.5もらったわ!」とめちゃくちゃ高揚したことがあります。その感覚です。

どういうことかというと、残りの距離を計算する中で、残り15キロを6:30でいけばいいとわかる。そして、走っている自分の体の状態を感じ取ってみて、この痛みやこの攣りくらいならこのペースでいけるぞ!となるわけです。この感覚なんです。それを感じると、不思議と元気が湧き、この体と足と痛みレベルなら問題ない、目標達成だ!と思えてくるんですね。

おれたち仲間からの応援じゃないのかよー。という声が聞こえてそうですが、計算できるそこまで連れてきてもらったのは、間違いなく仲間の存在でした。

90kまでは6:00。エイド込みでイーブンに戻していました。そして、残りを6:51ペースでサブ10達成。

「…もらった。」

77kからここまで、エイドに寄らない区間は6分を切って走っていました。

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90〜目標達成へのラン

達成できるかも、達成できそう、から、達成確実!とメンタルを切り替えることにより悪魔の囁きは払拭しました。

しかし、キツさはそのまま増大します。当たり前ですが、故障明けの走り込み不足で炎天下90k走してるんです。気力が湧いたところで痛みやキツさは消えません。膝横の攣り、両足裏の痛み、右腸脛靱帯、左右の足指の親指はマメや爪が痛みます。ふくらはぎも悲鳴を上げ、踏み込めば攣りかける繰り返し。そのために意図的にペースダウン。確実なサブ10を狙い、6:20あたりをターゲットにします。そして、ただただ無心で前に進みました。

95kまで6:18。残り7:20ペースでサブ10。もしかしたらハッチさんがそんな計算してくれてるかなと想像します。

スカイツリーはかなり大きく見えていました。太陽は徐々に傾き、空はオレンジ色に。応援の声が時折飛んでいます。応えられなかったのが本当に悔しい。申し訳ない。

この辺りでReiさんとの対決を思い出します。もしReiさんが60キロの部に出ていたら、この辺りで抜いたのかなぁ。なんてことを想像。あっさり抜き去ってやると意気込んでましたが、そんなことしたら一瞬で攣って終わりますね。

あと5キロの長いこと。橋をくぐって東京に入り、取水口の塔を過ぎると柴又公園が。残り1キロ。ラストくらいキロ6以内に上げてやろうとペースアップ。

フィニッシュをつげるMCのアナウンスが聞こえてきます。ゲートが見えてから、どう走ったか、覚えてません。ただ、名前を呼んでもらえたのは嬉しかったなぁ。

 

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サブ10達成していました。メダルをかけていただき、アミノバイタルとドリンクで補給。いいサービスですね。LINEでみんなに連絡。LINEにもTwitterにもたくさん応援メッセージが届いていました。泣けましたね。

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ありがとう、柴又

さ、荷物受け取りに行こう、と歩きはじめますがストライドが5センチくらいしか出ません。痛いし攣るし固まるし、どうにもなりません。紙一重のフィニッシュでした。もしどこかで心が折れていたら、完走も厳しかったでしょうね。その時点で、こんな足になるんですから。

ちょっとミーハーですが、ランネットチャンネル編集長でお馴染みのカズ・ボンバイエさんにお会いできサブ10をお祝いしていただけました。ありがとうございました。

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その後、ベンチに座って休んでいると、隣に腰掛けた東京のランナーさんとおしゃべりできました。途中、しばらく背中をお借りしていたサロマ湖フィニッシャーの方です。そして、サロマ湖でならサブ9できるから目指せと発破をかけていただきました。その時はウルトラなんて2度とやるもんかと思ってましたが、考えてもいいのかな…。

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夕陽が綺麗でした。

 

風呂に入り、車で帰路へ。さすがに疲れすぎていて神奈川で車中泊。翌日11時にクラブハウスに帰還しました。

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勝因分析

おこがましい限りですが勝因分析をば。

まず、シンスプ(疲労骨折)を抑え込めたこと。これはランオフの成果です。ある意味、メンタル1番きつかったところ。そして、股関節可動域、シューズ選定、ストレッチ、フォーム修正などが奏功しました。

体力低下を最低限度で済ませたこと。LSDをほぼしていない2ヶ月でしたが、何とかなりました。バイク練がよかったかな。

暑熱順化も効きました。暑かったですからね。加えて暑さ対策では日除け付きキャップへの交換、背中にゼッケン3枚、毎回エイドでかぶり水、スポドリ2杯ルールが効いたと思います。

カーボローディングは胃痛なく最大限食べられました。経験の勝利。後半のジェル取れない問題はカーボローディングで克服。

タイムマネジメント。序盤で早めに往路を終わらせておいたのは、風向きの関係でも奏功しましたね。追い風を有効利用できました。さらに、時間管理が結果的に「もらった」感を生み、メンタルを支えました。無理なペース配分もせずにすみましたね。

ズムフラ効果。ナイキの「反則」シューズのおかげで着地ダメージは少なく、カーボンプレートで楽に前に進めました。フィット感がよくビショ濡れにも関わらずマメなどが最小限で済みました。

メンタル対策。まず、応援でした。チームメンバーが普段から応援してくれていたので、声は届かなくても応援を感じ取れました。

そして、ラン友がリアルに駆けつけてくれたこと。これにつきます。あまりにもキツすぎて未だに達成が信じられないほどなんですが、応援がなければ絶対に達成できませんでした。残り30キロの苦痛は壮絶だったんです。

「もらった!」感によって、目標達成の不可能を根絶したこと。この達成確定感で完全に悪魔に勝利できました。少しでも不可能な理由を残していると、それが大きくなって増幅され、心を折られてしまう。でも、ゼロだと信じ込めば、いくらかけてもゼロはゼロ!

そして結果的に、途中歩かなかったことがサブ10達成に大きく影響しました。どこかで歩いていたら、間に合わなかったと思います。距離が長いので歩いてしまうと大幅に遅れます。その意味でも、歩かないぞ、走るぞと思わせてくれた応援の存在が大きかったです。

 

謝辞

まずは大会を開催してくださった関係者の皆様、そしてボランティアスタッフの皆様。難しい情勢の中で開催してくださったこと、長時間にわたる懸命なサポート、ありがとうございました。疲れ果てたランナーはお礼も言えません。承知とは思いますが改めて感謝したいです。第10回柴又100kは素晴らしい大会でした。

沿道で応援してくださった皆さん。暑い中、声援いただきありがとうございました。ご迷惑をおかけしているにも関わらず応援してくださったこと、感謝の言葉も見つかりません。

teamいきもの舎のみんな。名古屋でリアルタイム応援をした時のハッチさんの実況を自分で想像して走りました。番長には出発前日に差し入れまでもらって応援してもらいました。ウルトラの世界に導いてくれたReiさんには本当は一緒に走って一緒にその瞬間を共有してもらいたかったです。そして、リーダーshibaki王子。リーダーのおかげでteamができ、そのチームがメンタルを支えてくれました。胃袋借りたかったです。

ラン友のみんな。応援ナビやTwitterでメッセージありがとうございました。後から読んでも嬉しいものですね。

そして、U。姿が見えた時は痺れたぜ。

忘れていけないのがフォロワーのみなさん。普段からいいね!とリプに励ましをいただいてます。いい報告したい気持ちもモチベーションでした。

今回は、ことぶき整骨院のことぶきちゃんこと大久保先生に、施術からフォーム、ウルトラの心構えに至るまで細かなサポートをしていただきました。感謝に堪えません。

一緒に走ったランナーのみなさん。走路を邪魔したり、背中を借りたりいろいろとご迷惑をおかけしましたが、みなさんと走ったからこそ目標達成できました。とくに序盤から中盤まで引っ張っていただいた柴又フィニッシャーズTシャツの方、会場でお礼を伝えられなかったのでここに書かせてください。本当にありがとうございました。

 

次は、富士登山競走の五合目コース、そして、秋にはサブ3目指しておかやまマラソンにチャレンジします。

今後とも応援よろしくお願いします!

 

 

 

第10回柴又100k 練習&準備編

柴又100k。せっかく目標タイムで完走できたので、備忘録として残しておきたいと思います。

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市民ランナーのグランドスラム

ランナーとして、いつか達成したいグランドスラム。つまりフルサブ3、富士登山競走完走、そして、ウルトラマラソン10時間切り。初めて耳にした時は自分とは無関係な存在でした。

走力がついてくるとともにグランドスラムを意識するようになり、自分の中ではまずはスピードのフルを制覇したい。次に富士山、と。

「いつか」と思っていたウルトラは、チームいきもの舎、そしてランニングパートナーとの出会いで一気に身近なものになり、気がつけば目指せるところに来ていました。

 

オンラインウルトラでの予行と知見

はじめてまともにウルトラの距離を走ったのは赤穂線ラン。脱水症状でフラフラになりハッチさんに助けられた64キロ走ですね。

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フルを超えた時の補給の必要性や自分のメンタルの弱さを思い知りました

次にポートタワーラン。60kの次は80kにステップアップということでチャレンジ。補給に重きを置き、コンビニで食べまくる戦略でなかなかの手応えを得ました。コンビニ休憩が合計3時間くらいあるのでスローペースなんですけどね。
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そして、初めての100kはサロマ湖オンライン。

朝番長、昼ハッチ、夕Reiに引っ張ってもらい慣れたコースで100キロ。途中、気温上昇に振り回され、補給も足りず、足裏の痛みで80以降ろくに走れず、情けないゴールになりました。
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次の100チャレンジはRezzoでのしまなみ海道。クッションのいいテンポネクストを使うも、浮腫んだ脚がパンパンでやはり走れず。コンビニが少なく、補給にも課題を残しました。
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補給戦略を考慮したのが四万十川ウルトラオンライン。前半でパンなどしっかり食べて走り切ったんですが、フィニッシュ後にハンガーノックで低体温症という撃沈に。
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このステップアップと経験から

・フォーム&荷物&シューズによる足(裏)の痛みへの対応

・カロリー計算や胃腸も考慮した補給戦略

・地形や気温、天候の変動に対する機敏な反応

ウルトラマラソンには必要だとの知見を得ました。

萩往還ウルトラマラニックReiさんが苦しんでいたのもこの辺りの諸問題だと思います。

 

シンスプ、疲労骨折問題

2022年は大会も次々に開催されそうで、柴又100kにもこっそりエントリー。陸連公認大会なので、ここで完走すれば文句なしのウルトラフィニッシャー。記録を出せば文句なしのサブ10。燃えます。

しかし、シンスプからの疲労骨折なりかけ問題で、大会参加を再考するよう医療関係のみなさんから強くアドバイスを受けたのは周知の通り。

この時、長野を棄権する代わりに柴又では結果を出してやろうと決めていました。3万円という参加費が頭をよぎってたのも事実ですけどね笑

 

「走れる足」への回復と練習

4/17の長野を棄権して、5/22の柴又へ。

1ヶ月で回復とトレーニングを両立させる無謀な挑戦がスタート。

ジャンプ動作が禁忌とのことで、練習メニューは限られました。

追い込み系はスイムやバイクがメイン。心肺能力を落としすぎないために、タバタ式で追い込んだり、バイクをガチユル風にこいだり。ジャンプ動作抜きの追い込みは難しいですね。エアロバイクがほしい…。

ストレッチは、股関節の可動域を広げること。とくに片方の足だけを膝を曲げずに伸ばす可動域が極端に狭いそうで、これを克服。腿上げ動作が楽になりました。ボディワン先生からもお墨付きをいただいたほどです。

筋トレについて。シューズをズムフラ3にすることでシンスプ対応していたのですが、これを本番シューズに決めました。フルのサブ3は薄底でやりたいんですが、ウルトラはとりあえずズムフラで。そのためカーフレイズを定期的にやってふくらはぎの筋力をキープ。筋トレをタバタ式で行うメニューにも取り組みました。いうほどできてないんですけどね。不足したと思うのは体幹。これは課題ですね。

ロングの方は、ランを控える代わりにトレイルを充実。お遍路マラニックや那岐ピークス試走会で、動き続けるトレーニングは継続できました。

また、るーさんから江戸川の土手は日陰がないというアドバイスを受けていたので暑熱順化を行いました。ウインドブレーカーに長ズボンでバイク橋練。汗だくになって汗腺を刺激です。ガチユルでも厚着を実施しました。5日間こなしてます。

ラストのリアルランは想定レースペース5:30のハーフ走。サブ10するにはキロ6でいいんですが、トイレや補給、ドロップバッグ受け取り、シューズ履き替えなどなど考えると5:30が定石の様子。ジョグとしては負荷を感じないレベルののんびりペース。ただ距離が100。きつい。

この日は実際の1/5なのでなにも計算できない距離。ラン後の足の張りに不安を覚えます。

ことぶきちゃんオススメのバイクロングも実施。80キロ走でしっかり動いておきます。いい疲労感でした。

全体的に、まとまりのない練習で本番を迎えることになりました。故障明けで回復優先だったので致し方ないですが、それでも「できることはした」という感触に届くか届かないか辺りまではこれたような気がします笑

 

なお、月間走行距離でいうと

1月 388k

2月 303k

3月 303k

4月 70k(ほぼトレイルかウォーキング)

5月 120k(トレイル55k込み)

ですから、直近のロングランはほとんどなく、過去の貯金が頼りでした。走り込み不足は否めません。

 

補給戦略

必要カロリーは、体重×距離が簡単な推定式ですが、長丁場なので基礎代謝やムダなロスも考えて7000kcalと仮定しました。フラットなコースなので坂はゼロで計算。

脂質代謝はそれなりにできているつもりですしペースも5:30ならゆっくりですがそれでも糖は4000kcalは必要だろうと素人推定。

筋肉&肝臓&血中に2000kcal保持してくれていると期待し、残り2000kcalを補給すると決めました。

そのうち、前日からの食事分から供給される部分もあるでしょうが、基本的に10キロにつき200kcal。スポドリやコーラも摂りますが、ジェルを10キロ弱で1つ摂ることにしました。これならハンガーノックは避けられるはず。(エイドはパンらしく消化スピードから考えて計算はしませんでした。)

ただ、これまでのウルトラ練習で思い知ったのが

「後半は胃も口も超絶ワガママ」

ということ。胃腸が揺さぶられて固形物は受け付けません。とくに暑いと飲めるもの食べるものが限られます。文句言うな!と言いたいですが、吐き気や胸焼けになるので摂れないんですね。そのため、味変や食感チェンジを積極的にすることにしました。

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これは一部ですが、事前にジョグしつつ試食し、美味しさを確認しています。全部好きな味!

 

いざ、柴又へ

5/1にお遍路中に転がって小指を捻挫するというマヌケをやらかしたんですが、ことぶき先生にみてもらいつつ、ウルトラのノウハウも聞くことができました。文字通り、怪我の功名。

遠征計画としては、前日に車で現地入り。近場の駐車場に停めてスタート会場へ。車は無謀に思えますが、重い荷物を背負って駅からホテルから行き来するのもなかなかの負担だと考えました。

 

比較的余裕と思っていたウルトラサブ10は故障によって全く計算できない世界へ。その中でも、どうにかこうにか形だけは整えて5月下旬を迎えました。

さてさてどうなることやら。では、レース編へ。

 

 

……余談…幻のRezzo対決

実はReiさんも60kの部にエントリーしてきて、フィニッシュ目標タイムが近いので「どっちが先にフィニッシュゲート通過するか」の対決をすることになってたんです。

40キロ差で約3時間早くスタートするので、

tazzo…平均5:55ペース

Rei......平均7:00ペース

で走ると見事に同着!っていうプランでした。

チームでも盛り上がるだろうと思ってたんですが……。

またいつか機会があれば対決してみたいですね。

 

 

 

四国八十八ヶ所マラニック その4【阿波国編④】

故障あけ遍路!

疲労骨折スレスレのシンスプで、しばらくランオフしていたわけですが、圧痛が消えて短いジョグでも問題なし。5月の柴又、6月の那岐ピークスに向けてそろそろ再始動の時期。次の遍路みちはトレイル比率7割でほぼ歩きなら足へのダメージも少なかろうと、お遍路マラニックに行ってきました。

るーさんが田んぼ仕事のために惜しくも参加できず今回もRezzoで周ります。

 

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「発心の道場」阿波遍路。その難所と言われているのが「1に焼山、2にお鶴、3に太龍」。

今回は、2.3にうたわれる札所、鶴林寺太龍寺を周り、山を下って平等寺まで行くコースを作りました。500メートルの山を2つ越える、ほぼトレイルの33キロです。

累積高低差1400なので消費カロリーを基礎代謝込み3000は覚悟ですね。ダイエットダイエット。

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4回目ともなるとスタート地点が遠くなってきました。今回は吉野川最河口側にある吉野川サンライズ大橋で南下します。3月21日に開通したばかりの高速道路です。とくしまマラソンでお馴染みの吉野川大橋よりもさらに河口側。これを渡って一気に小松島へ。

 

今回のギア

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もう気温も上がってきたので、私は夏仕様のトレランスタイル。雨の予報なのでレインジャケットなどはガッツリ。シンスプ対応でズムフラで臨みます。

Reiさんは寒さ対策をしっかりしていますね。ザックごと覆えるウェアで機動性を上げた模様。ホカのトレランシューズで山に備えます。

10キロ毎に補給可能なので、荷物は軽量に。

 

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今回のスタート地点は、前回フィニッシュの立江寺から。行政区分でいうと小松島市から勝浦町、那珂町、阿南市が範囲になりますね。

 

0〜7km「真念歩きへんろ道」登場

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近くに車を停め、アップがてら立江寺に移動します。やや風が冷たいですが、予想されていた雨は上がり、悪くないコンディション。

1キロで立江寺ゴールデンウィークだけあって、お寺周辺にはお遍路さんがすでに数組見られます。

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前回食べ損ねていた「たつえ餅」の酒井軒本舗に立ち寄りますが、雨戸が閉まっていて開店前の様子。パンフやネットで情報が異なっていて、8:30開店というガイドブックに期待したんですが…。

しかし、Reiさんが突撃してお店の人に掛け合いたつえ餅を売ってもらっちゃいました。なお、開店は「9時ごろ」とのこと。こののんびり感もお遍路っぽくて楽しみたいところですね。

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軽くストレッチしたらランスタート。徳島では田植えが始まっていました。空海もこんな景色を眺めたんでしょうか。

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今回は、ただのマラニックというよりシンスプ復帰ランの意味もあるので、終始フォームには留意してのランになりました。

とくにことぶきちゃんやReiさんのお師匠さんがいう足指の使い方を意識し、アーチが落ちない走りを気にしてみました。Reiさんからも、足さばきの改善を指摘してもらえたので、気をよくして軽快に進みます。

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さて、毎回このマラニック遍路道は、複数ある遍路道の中からできる限り古いものをチョイスしています。今回も保存会ルートを実際に走破した方のブログの地形図をベースにヤマレコに入力して作成したんですが。…走ってると作ったルートと違う方向に標識が。

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「真念歩きへんろ道」って…なに?

しかし、いつもの遍路道標識なので、それを信じて曲がります。たしかにヤマレコをよく見ると先人の足跡が。後から調べたんですが、最近になって整備された古道なんですね。これ、今回のテーマの一つになりました。

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さっそくの不整地。でも、この方が遍路らしくてウキウキします。

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毎度ながら、人様のお庭っぽいところを突っ切るのも遍路道らしいですね。民家の敷地(らしい所)を通る時は、いつも感謝の気持ちと共に通り抜けます。これもお遍路の「仕掛け」なのかも。

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和ませてくれるフクロウの置物。私たちはラン遍路なので、こうしたものを見逃している気がします。その意味では、八十八ヶ所を満喫するには歩きがベストなのかもしれません。

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「真念へんろ道」もほぼ舗装路なんですが、林を抜ける箇所もあり、ランを楽しめました。途中で国道でも通してるのかなという工事現場を通るんですが、その付近で白衣の歩き遍路の男性を追い抜きます。その方、「鶴林寺はこの道であっていますか?」と話しかけてくれました。こちらも鶴林寺に向かっています、とエール交換。とても穏やかな方でした。レース中のランナー同士の励まし合いに近いものを感じます。これでスタート直後の緊張もほぐれて元気が出てきました。

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途中、巨木のある公園に目が止まります。

なんでも「フウの木」というらしい。調べると漢字で「楓」と書くんだとか。

本来はカエデの木は「槭」と書くそうで、何ともややこしいですね。

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一度、新へんろ道に出て、また真念へんろ道へ。予定より2キロほど長くなります。真念〜は、新しく整備されただけあって、とてもわかりやすく看板や標識が立ててありました。

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冷たい風も徐々に暖かくなります。

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いい雰囲気の竹林も。これが、なかなかの登りです。これは想定外。

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しかし、登った分だけ景色も楽しめますね。

 

7〜13km 快適!勝浦川遡上ランニング

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新へんろ道に合流し、休憩小屋で一休み。立江〜鶴林寺道はぜひ真念へんろ道をお勧めします。


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ローソンで小休憩。たつえ餅をいただきます。

柔らかいお餅に優しい甘さの白餡がぴったり。

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ここから勝浦川沿いを走ります。鶴林寺は勝浦川那珂川分水嶺にあるんですね。久々のロードを楽しくランニング。走れるって、ほんと気持ちいいです。

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数キロ走ると、鶴林寺山へ続く稜線が見えてきます…たぶん。

この辺りで、折り畳み自転車のお遍路さんに追い抜かれました。鶴林寺まで自転車で登るんでしょうか。

ここには道の駅もあって、車で来ていたら楽しめそうなポイントです。私たちはファミマでドリンク補給。山に備えます。

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地図上では、この辺りから急激に道が複雑になります。ほんとにこの道なのかな?というレベルでルート作ったんですね。いろんなところで「金子や」で曲がれとあって、その金子や発見。一安心。
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そして、いよいよ、鶴林寺の標識。

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複雑な道が不安でしたが、こんな感じでわかりやすい標識がたくさんありました。これなら迷いませんね。徐々に道はミカン山に。

 

13〜17km 急登、鶴林寺みち

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いわゆる「鶴林寺みち」が始まります。遍路道には、名前のついた道がいくつかありますね。ここ鶴林寺みちもそのうちの一つ。国指定の史跡です。

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ご覧通り、よく整備されていて序盤は楽に登れました。ミカン山に続く、コンクリート舗装の道です。

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とはいえ、鶴林寺までは水平方向約2.5キロで450メートルほど登りますから平均斜度は18%程度あります。かなりの急登。遍路ころがしの名に不足なし。

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南北朝時代に建立されたという丁石はこれでしょうか。109mごとに設置されていて、鶴林寺にカウントダウンしていきます。

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そのうち、コンクリート舗装が終わると、いい感じの湧水が。

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うん、美味い!

5月ともなると、坂を登れば汗もかくので、湧水のうまさがちがいますねー。

そして、見上げると…

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ここが「水呑大師」でした。空海が杖で突くと湧いた水、とのこと。いったい何ヶ所の湧水を作ったんだ、弘法大師…。

さて、ここから石畳の道が始まります。

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雰囲気は萩往還道ですね。

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傾斜も同じくらいキツく、シューズもズムフラなので足をくじきかけつつ登ります。スネへのダメージを減らす方を優先です。がんばれ、足首!

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視界が通るところに出ます。

広がるのは那珂川太龍寺山。あそこに降って、また登るのか!ワクワクしますね〜


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鬼のような急登が続きます。アドベンチャー感やファンタジー感では焼山寺が圧倒的ですが、登りやすい古道の雰囲気は抜群で、毎度ながらリフレッシュできました。

道は鶴林寺の駐車場あたりにつながり、クルマ遍路さんたちと合流。到着です。

杉の巨木が立ち並ぶ中に佇む仁王門。写真撮影の順番待ちができるほど人が多かったですね。(それでも10人くらいですけどね)

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この山門の仁王像は、運慶の作なんだとか。ほんとかな。自撮り棒を活かして撮影。


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…暗くてよくわかりませんね。

そして、なぜ前回やらなかったのか小一時間問い詰められたという札所前の決めポーズ。Reiさんがどうしてもやるというのでダウンドッグ。

 

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20番!鶴林寺

人目をかいくぐってがんばりました。

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鶴林寺はその名前にもある通り、鶴の銅像が並ぶ本堂が見どころ。空海が修行中に二羽の鶴が舞い降りたのが起源とか。

そして、境内を回っていると車遍路さんに混ざって巨大なザックを背負ってる2人組のお遍路さんを発見。思わず話しかけると、今日はここ鶴林寺までで、山を下って小学校跡地でキャンプなんだとか。ゴールデンウィークを利用して数日間通し遍路なんでしょうか。かっこいいですね!

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第20番札所 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺
(りゅうじゅざん ほうじゅいん かくりんじ)

打ちました!

ここの住職から「自転車ですか?」と聞かれ、ランであることを告げると「トレランですかー!30分くらいで登って来られました?」と…トレランって言葉を知ってるのか!

なお、1時間かかってます。

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さて、ここから太龍寺に向かいます。

古道が残るこの地域ならではの看板。「かも道」も走りたかったんですが距離が大幅に伸びるので今回は見送りました。

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引き続きトレイルで降って,登り返せば次の札所。鶴林寺太龍寺も山の上のお寺です。しかし、川まで降るので、完全に登り直しになります。尾根づたいの移動ではないんですね…。

 

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杉林の間を整備された階段が続きます。

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小川の流れるところがやはり何度かあって、グリップのないシューズだとどうしても減速方向にシフトしてしまいますね。ズムフラなのでスリップを警戒して、すり足気味に走るようにしました。圧雪路面やアイスバーンで鍛えたバランス感覚が活きてきます。しかし、このすり足走法が後から悲惨な結果を招くことになろうとは…。

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史跡指定だけあって整備されてるところが多いですね。快適に降っていけます。

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整備されているのは道だけでなく、古い丁石には解説の看板が建てられていました。昔から「指」マークって使われていたんですね。今回のルート沿いにはこんな看板が多く、歴史を学びながら、感じながら、走れました。

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なかなかの悪路もあるので、油断せずに降っていきます。

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降り切ったところの休憩所で、たつえ餅を補給。うまい!登り返しに備えます。キツい箇所にあわせて休憩所が整備されてるのはホントありがたい。

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いい感じの遍路道を抜けると、ちょっとした集落へ。
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大井休憩所です。ガイドブックにもよく出ている大型の休憩所。家のソファ持ってきました!みたいな感じが素敵。ここは素通りしました。

 

18〜21km 絶壁アドベンチャー太龍寺

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鶴林寺から降り切りました。せっかくの標高がほぼなくなります…。仕方ない。

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そして、那珂川を越えます。

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橋があるって楽ですよね。
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うわさの「かも道」看板。最古の道とのことなので、いつか行ってみたい道ではありますね。
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太龍寺への道は、焼山寺鶴林寺に比べるととっても楽。
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道幅も広く、傾斜も少しゆるやか。

4キロ歩いて500メートル登るので、平均斜度は12%くらいです。
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水場もあって癒されつつ登ります。

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倒木の直撃で傾いた橋があるのはご愛嬌。とりあえず今のところ渡れる様子。

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そろそろ太龍寺かなというところで、かも道との合流地点に。ここでなんとトレランスタイルのペアを見かけます。白衣ではないんですが、遍路かな?

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ラストの坂。なかなかハードでしたが、たつえ餅パワーで登り切りました。標高は600メートルに迫ります。

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古めかしい山門が見えてきます。ここまででも特に時代を感じさせる仁王門でした。杉の巨木が並ぶ参道を通り、太龍寺へ。

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お遍路さん、参拝客、なかなか多かったですね。これまでの札所の中でも、看板がしっかりしていて、見どころの一つ、龍天井も見逃さずにすみました。
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これ、下から撮ったところです。墨絵のような龍の姿が天井に描かれています。

そして、太龍寺でもやっぱり決めポーズ…。
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21番!太龍寺!…はい。

龍天井のある建物は本堂ではなく、奥の方に移動。そのとき、先程見かけたトレランスタイルペア…なんとなく険しい表情と雰囲気で、話しかけずにスルー。そんなこともありますね。

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第21番札所 舎心山 常住院 太龍寺
(しゃしんざん じょうしゅういん たいりゅうじ)

打ちました。

ファンタとたつえ餅補給をして、太龍寺を発ちます。

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降るとこんな立派な階段がありました。現在の順路はこっちなのかも。というのも、ここ太龍寺には…
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ロープウェイがあるんです。ちょっとアレなお土産物屋さんもあったりして、完全に観光地です。下界のロープウェイ乗り場は道の駅。参拝客が多いはずですね。

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平等寺方向の看板の通りに進むと立ち並ぶ仏像。似てる人がいたので並んでもらいました。そっくり…。

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そして、空海が修行したという舎心嶽へ。
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ハードな鎖場をよじ登ると

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修行する空海の像が!

やっほーい!

…しかし、

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周囲は思い切りガケ、なんです。

一歩でも踏み外せば真っ逆さま…

まず即死。

なので…
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さすがのReiさんもガクブルでした。

引き返すのも相当怖かったですが、超オススメのポイントでした。

 

22〜30km  いわや道にコケる…

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さて、ここから「いわや道」です。なんと、注意書きの看板が。焼山寺みちにはなかったのに!

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古い道を整備し直したとのことで、ここの道沿いの史跡にも解説があります。
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左手が常に急斜面になっている杉林で、所々狭い個所もありますがおおむね走りやすいです。


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いつものことなんですが、EPSONGarminでは山の中はEPSONの方が距離が短く出ます。悔しいので、わたしだけ先に走り、引き返しを繰り返して距離を稼いでみました。那岐ピークスに向けての練習でもあります。

そして、例によってズムフラで「すり足」気味の走法。スリップには完全に対応できたんです。しかし、見事に木の根に足を引っ掛けました。コケた直後は数分動けないほどの激しいズッコケ…。

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すっ転んだ瞬間をReiさんに見られなかったのが不幸中の幸い…。

そこからしばらく降った先で傷を洗い、ラン再開。突き指した小指が痛みます。ヨタヨタ進んでいるうちに、トレイルは平等寺みちへ。

全力でズッコケたので、スマホも握れずしばらく写真はありません。この後、逆打ち?お遍路さん2人組とすれ違い、トレランですかー?すぐ先、急坂です!と応援されました。ほんとに凄まじい急坂で、痛む体で泣きながら降る降る…。

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山から出ると、気持ちのいい田畑の風景。コケた痛みも忘れますね。ここが少し街になっていて自販機補給。その辺りで標識が見当たらず、やや右往左往したんですが、どうにか正しいルートに。そして、最後のプチ登り、大根峠に向かいます。
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その途中、お遍路さんの案内標識を付け直している男性を見かけました。

お話しすると、この辺りは道に迷うお遍路さんが多く、標識を整備しているところなんだとか。まさに、迷ってたところ!

この方、話していて、穏やかさが滲み出てるんですよね。癒される笑顔で話してくださって、大コケの痛みもすっかり良くなりました。本日のMKP(もっとも空海っぽい人)は、この方に決定!写真撮ってもらえばよかった。

それはともかく、遍路道は整備してくださる皆さんあっての遍路道。それを実感することができ、さらに感謝が深まりました。

さぁ、ラストのトレイル、大根峠(おおねとうげ)です。

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きれいなトレイル。

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これまでのトレイルからすれば、なんてことない楽しい山道。大根峠、クリアです。

 

31〜35km 今回は間に合った!フィニッシュへ

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下ってロードに出ると、太陽は徐々に傾き始めています。今日はなんとしてでも17:00までに駅に着きたい。これを逃すと、次の電車は90分後!

夕方のロードを走っていると、朝見かけた折り畳み自転車お遍路さんに抜かれました。自転車で山越えてきたんだ…すごい。

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どうにか16時半くらいに着きました。平等寺です。

ここも空海が杖で井戸を掘った伝説があります。その水が白かったので白水山。境内に入ると出店があって、ミニ縁日みたいな雰囲気。

しかし、時間がないので過去最短5分ほどで納経所へ。

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第22番札所 白水山 医王院 平等寺
(はくすいざん いおういん びょうどうじ)

打ちました。

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後は新野駅へ3キロダッシュ

打ち身が痛むけど、とにかく走る。

遍路道ではないので、Google mapsとにらめっこしつつ新野駅へ。

結構、余裕で列車に間に合いました。ほっと一息。日も陰って寒くなり寒さ対策装備が活きました。

残ったたつえ餅で補給しつつ列車を待ち、今日もワンマン列車に揺られて立江駅へ。

…おや

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乗り過ごした…。

そんなオチもついた本日のお遍路マラニックでした。

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お風呂の後、スーパーでお土産を探して帰りました。阿波晩茶は、発酵マイスターでもあるルイーダ総監督からも珍しい、美味しいと言っていただけました。やったね。

 

次回は、いよいよ徳島ラスト。23番札所薬王寺です。ここから、遍路区間最長の土佐行き遍路が待っています。ミスなきよう、綿密な計画を立てていこうと思います。

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ここまで、累計約156キロになりました。

1/10は超えたかな。

 

あとはおっさんのごたくなのでマラニックの話はありません。読まなくていいです笑

 

おっさんのごたく〜遍路するって何だろう

へんろ道を走るのは景色やランを楽しめるわけですが、時間がかかるのも事実で、いろいろと考えを巡らせる暇(いとま)があります。

今回、小松島の真念へんろ道を走って思ったのが、クルマ遍路全盛にあって歩きへんろ道の整備が進められていることへの意外さ、でした。

「道」はどんどんと舗装され、真っ直ぐひかれ、広くされていっています。しかし、へんろ道は不整地で、ぐにゃぐにゃと曲がり、狭い。当然歩きにくく時間はかかり、クツは汚れます。

一度、合理化されていった「道」が今、非合理的な古道の復元によって蘇っている。これはある意味ヴェーバーのいう「呪術からの解放の再呪術化」に通じるものがあるなと感じました。

しかし、それは不合理などというものではなく、むしろ好ましい変化という意味です。

科学の発展(呪術からの解放)により「まじない」としての聖地巡礼の意味は削ぎ落とされてきた。しかし、お遍路は途絶えることなく脈々と受け継がれている。その中で、遍路の意味はむしろ深化してきたのではないかと思うのです。

今回は遍路道の標識を整備して下さっている方に出会えました。また、毎回、お遍路さんとは言葉を交わしつつ回れています。お寺の方々にはいつも親切に対応してもらっています。そのみなさんに共通する「安心感」の正体。それはもしかしたら「目に見えないものを信じている」人たちに特有の穏やかさなのかもしれない。そう感じます。

「お遍路さんをしたら金運が上がりました」なんていうオカルトチックなご利益はもはや多数に信奉されるものではないでしょう。しかし、それでもなおお遍路に人は向かっている。そこにあるのは、遍路のもつ何かしらの魅力に惹き寄せられたから。

ただの山歩きでなく、ただの参拝でもない。歩きにくい道を延々と歩き、考え、人と出会う。

つまり遍路道の「非合理的な復元」は、エコフレンドリーとかスローライフとかそんなカウンターカルチャーでもなく、スピリチュアルなことを認める人たちに思考思索の場を提供しつつ、その間に緩やかなつながりを持たせるための仕掛けのように感じるのです。

前回、セカオワの歌詞を引用したポスターには考えさせられました。まだ某国による某国への侵攻が続く中、考えたのは、いわゆる西側諸国の旧共産圏への嫌悪の根底にあるのは、宗教弾圧を繰り返してきた過度の思想統制唯物史観の極端な解釈)への直観的な反応ではないかと

いうこと。

その中にあって、宗教側の主体たる寺からのメッセージが「僕の正義が彼を傷つけていたんだね」と、自らに向けて「正義」を問い直させたのは意義深いと感じます。

呪術からの解放の再呪術化は、往々にして政治による宗教の「悪用」と結び付けられます。しかし、遍路がもたらす非合理的な「道」は、曲がりくねりつつも、自らを問い直し、相手を認めつつ、緩やかにそしてしなやかに繋がっていく、その困難にして希望のある先を見せる、そんな道なのかもしれない。

なんてことを生意気にも考えた第4回遍路マラニックでした。

 

つづく

四国八十八ヶ所マラニック その3【阿波国編③】

いきなり余談から。

先日、出川哲朗の充電させてもらえまなんとかという番組で1-10番を打っている様子が放送されていました。我々が行った1週前だったようです。焼き芋屋のおじちゃんは映さんでくれと言ったと話してくれた通り、登場せず。なお、おじちゃんの話だと、出川哲郎もスタッフもあの番組の通りの対応なんだそうです。さて、本題。

今回のコースと準備

四国八十八ヶ所マラニックも第3回。

長野マラソンを控えていることもあり、今回は短めにコース作り。14番常楽寺から19番立江寺までの約30kmに設定してみました。」

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…コース作りをした時はまだ長野マラソンを走るつもりでしたからね。88マラニックはのんびりandトレイルなので足への負担はそれほどありません。長野のキャンセル理由となった問題は「股関節の自由度不足で、ストライドを広くするために蹴ったらシンスプを誘発すること」なので、のんびりだと問題はないんです。ややこしい…。今回は、練習としては動き続ける系トレーニングですね。

 

コースのポイントとしては、

・13-17番のいわゆる「五ヶ所参り」のうち後半14-17番を走る「街中遍路ゾーン」

眉山の南には街中ではなく「地蔵越え」ルート(トレイル)を選択

小松島市にも街中ではなく「あづり越え」ルート(トレイル)を選択

・18番から19番へは「弦巻坂〜弦張坂」ルート(トレイル)を選択

とくにあづり越えはいわゆる「世界遺産ルート」にもないので整備の状況が不安ですが、距離は短いので大丈夫だろうと判断しました。

トレイルはありますが案内を読む限り前回の焼山寺越えと違って穏やかな山道のようなのでロード装備。私はライトレーサーに短パンTシャツ、Reiさんはズムフラ3で臨みました。これはてんやわんやを招いたんですが,詳しくは後ほど。

スタート〜五ヶ所参りへ

今回は、るーさんが参加できずRezzoで周ります。5:30に岡山を出て、徳島へ。

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3回目にもなると慣れてきますね。

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駐車場は今回もakippaを利用。385円で1日停められるので大変助かってます。アップを兼ねて2キロ弱ウォークで徳島駅前へ。

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徳島はもう桜がかなり咲いていました。お花見ランの予感。

駅前でバスに乗り、前回のフィニッシュ地点、常楽寺へ。

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四国の交通機関はとにかくキャッシュレス化が進んでおらず、バスも列車も現金メイン。ランに小銭がたくさん必要なのはツラい…。

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ガラガラのバスに揺られて30分ほどで常楽寺です。路線検索はサイトがしっかりしていてわかりやすかったし、所要時間も短かったので、今後はバスも有効利用して行くことができそう。

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番所近くは標識が充実しています。迷いません。朝の常楽寺周辺は、前回の夕方の雰囲気とまた違っていて、静かで爽やか。バス停から300mで常楽寺です。

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写真でわかる通り、境内はデコボコなんです。これ、「流水岩の庭」と呼ばれる、むき出しの岩盤。その上にお寺が建っています。

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八十八ヶ所の中で弥勒菩薩を本尊としているのはここだけなんだそうですが、そのエピソードとゆかりのある巨木が本堂前のこのアララギ大師。しかし、勉強不足で見事にスルー。今回、予習が足りておらずスルーした箇所多数です…。

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第14番札所 盛寿山 延命院 常楽寺
(せいじゅざん えんめいいん じょうらくじ)

打ちました。

さて、今回のラン、スタートです。

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まずは五ヶ所参りの3番目、15番札所阿波国分寺へ。といっても600m。至近距離です。

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実は目の前の神社を抜けると常楽寺奥ノ院慈眼寺だったんですが予習不足でスルー…。

この日、日差しがあれば暖かく、日が陰れば肌寒いという微妙な気温。温まる間も無く15番札所阿波国分寺です。聖武天皇によって建立された東大寺とその仲間たちシリーズですね。備前国分寺跡は我らがいきもの舎と同じ町内ですし、備中国分寺は吉備路サイクリングコース沿い。岡山のランナーにはお馴染みの国分寺ですね。

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本堂の周りが塀で囲まれてるのは、その奥に庭園があるから。国の名勝にも指定されている庭なんだそうですが拝観料300円をケチってスルー…。

月曜日なので人が少ないと思いきや、常楽寺国分寺もお遍路さんや参拝客が数人ずついるんですね。団体のお遍路さんの姿も。ここあたりで見かけたバックパッカー白衣お遍路さんは、18番近くまでご一緒でした。

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第15番札所 薬王山 金色院 國分寺
(やくおうざん こんじきいん こくぶんじ)

打ちました。

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納経所にこんなポスターがありました。

僧侶のカッコいいモノクロ画と、なぜかセカオワDragon Nightの歌詞が。

「人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない。だけど…
僕の「正義」がきっと彼を傷付けていたんだね」
ポスター下には歌詞全文が掲示されていました。

今この時期にこの歌詞。

強いメッセージ性を感じずにはいられません。

いろいろ考えさせられながら国分寺を後にしました。

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続く観音寺もランナーには至近距離。まだまだアップです。ひんやりとした風の中、田畑の中を走り、住宅地に入るとすぐに到着。ここはコンパクトなお寺でした。

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門をくぐるとすぐに聴こえてくるお経をあげる声。篤いお遍路さんの正式な巡礼スタイルですね。観音寺には夜泣き地蔵があるんですが、それを知ってか知らでか、白衣の子どもお遍路さんも参拝していました。地蔵は…やはりスルー。まぁランのために来ているということで。

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第16番札所 光耀山 千手院 観音寺
(こうようざん せんじゅいん かんおんじ)

打ちました。

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次は井戸寺へ。体も徐々に温まり、動けるようになります。コースは街中。ごちゃごちゃとした交通量もある狭い道を進みます。これもまた遍路道

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しかし、コース沿いの寺社を中心にいろいろな桜が咲いていて気分は上がります。おかけでなかなか進まないという…

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でも距離としては短いので、あっという間に井戸寺です。立派な仁王門が出迎えてくれました。蜂須賀重喜が寄進したとか。歴史マニアにはたまらない…のかな?

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門をくぐるとすぐに僧侶のお経をあげる声が響いていました。雰囲気ありますね。

こちらも国分寺時代のお寺だそう。いろいろな伝説てんこ盛りなんですが、ここから始まるラン&トレイルに心が向いてしまい、やっぱり細かい見どころはスルー。井戸寺の名の由来である井戸すら見ていないです。まぁ覗き込んで自分の姿が見えなかったら厄災が云々とのことなのでスルーで正解…。なお、このお寺の地名も「井戸」がつきます。

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第17番札所 瑠璃山 真福院 井戸寺
(るりざん しんぷくいん いどじ)

打ちました。

ちなみに、ここで諡号(しごう)1100年記念ピンバッヂなるものが売られていました。八ヶ所の番所で一種類ずつピンバッヂを買い揃えて専用ケースに入れると「南無大師遍照金剛」のエンブレムが完成!っていうコレクター魂をくすぐる企画物グッズなんですが、ね。ええ、何も言いませんよ。

 

突発的パンマラニック

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五ヶ所参りを終え、18番恩山寺へ。ここから眉山の南に向かうことになります。眉山といえば、さだまさしの小説で聞いたことあるかも。徳島市のど真ん中にあるシンボル的な山ですね。

時刻も昼に近づき、いい感じに体がほぐれ体が動いてきてペースもあがります。

…するとお腹が空いてくる…。

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井戸寺すぐ近くの神社でパン休憩。脚ダメージを減らすために細かく補給していきます。ファミマのクリームパンなどでお花見エイド。

ここでReiさんの胃袋に火がついた模様…。

走り始めてほどなく「パン屋あるよ!行ってみよう!」

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…どこ?

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たしかに、「パン」の文字。本気か…。

ググることもせず、適当に走ってパン屋らしき建物に向かいます。今回は30km設定なので余裕ぶっこいて思い切り遠回り…さすがReiさん。

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定休日でした。

完全にムダなラン。しかし、これでパン探しに火がつきます。パン!パン!パンはどこだ!?

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いや、それはパンツ

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Googleマップでは飲食店マークの玉屋製パン…工場じゃん…。

眉山に向かって走りつつもパン屋探しムダラン

…。我慢ならん!ということで、ググって評価の高いパン屋さんを狙って走りました。そして発見。

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その名も「pan vi zan」=パン眉山

bizanじゃなくてvi zan。

下唇を前歯で押さえてヴィザン。なぜvかというと、vigorous でvoluntary なvictoryしちゃうお店なんだからだそうです。

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甘くないクロワッサンにベーコンと卵を挟んだマヨソースな惣菜パン。美味すぎでした!victory!

 

短いけれどガチトレイル〜地蔵越へ

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一服したら、旧遍路道に引き返します。

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街中ルートの場合、ここからさらに18km。我々は山越えなのでもうすこし短いです。井戸寺で一区切りして次回へ、というのがメジャーなのもわかりますね。一度、川まで戻ります。

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鮎喰川沿いも桜が咲いていました。

土手から降りてしばらく進むと大きな池に出ます。

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地蔵院池との看板。このすぐ後に立ち寄った地蔵院というお寺の関係する池でしょうか。落ち着いた公園といった風情で一息つけます。

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そして、ここがその地蔵院。初回に訪れた一番札所奥之院東林院が加わる新四国曼荼羅霊場シリーズの一つのようです。大師堂があったり納経所がわかりやすく示されていたりと、参拝しやすい工夫が。八十八ヶ所が万一、世界遺産になった時に取り残されないようにしているのかな、なんて邪推してみたりして。それくらい、「本家」八十八ヶ所は栄えて見えるんですよね。

さて、お寺を回り込んで、不整地へ。

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この立派な石造りの標識は行政が建てたオフィシャル道標なんですね。世界遺産に登録を目指すために、きっちりとしたルートを決めている様子。つまり比較的安全なルート、のはず。

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橋を渡って山に入ります。

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その橋。踏んだ足が沈み込むくらいの強度。他の人、渡ってるんだよね?番長なら怖くてハッチさんにしがみつくレベル。

こんな橋がもう一つあって、本格的にトレイルがスタートです。

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序盤は、前回の焼山寺山に比べると鼻歌混じりに登れるような楽な山道。

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こんな休憩所もあって、歩き遍路のために整備してくださってることがわかりますね。

しばらくして斜度があがってきます。

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苔むした岩に積もった落ち葉と小枝。どう見てもがっつりトレイルに…。ロード用のシューズなのでズリズリとスリップして足を取られます。「ズムフラで大丈夫って言ったの誰?」とドスのきいた声が後ろから。ほんとスンマセン…。

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罰ゲームで湧水の毒味を…。というのは冗談で、遍路道にある水場にも慣れてきて、すんなり水分補給です。夏場ならうまいんだろうなぁ。

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要所要所で、ロープが張られていました。これを掴んでいけば楽に登れます。裏を返せば、ロープが必要なくらいに急登ということ…。

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地蔵越というのは、このお地蔵さんが由来?

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いや、こっちかな。真偽はともかく、地蔵峠を越えます。距離としては短かったですね。降っていくとすぐにロードに。しばらくロードとトレイルを交互に繰り返しつつ、降っていきます。

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とにかく桜!

少し走れば桜が咲いていて目を楽しませてくれます。

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ここで地蔵越えのトレイルゾーンは終了。ロードを進むと色鮮やかなピンクが目に飛び込んできました。
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阿波雅桜です。徳島の固有種だそうで、大きな花弁と長い開花期間が特徴とのこと。ソメイヨシノよりも色が濃いですね。そのため、とても華やかなに見えました。

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他の花見客との会話も弾みます。ちょうど満開になったタイミングとのことで、ラッキーでしたね。

降り切ったら、このゾーンは完了です。

 

世界遺産ルートではない「あづり越え」へ

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次のゾーンは小松島市に抜けるルートになります。文化の森=県立図書館方面が楽なんですが例によってトレイルのある方へ進みます。まずは今回も登場の潜水橋。

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車通れるの?

欄干を見ると、擦った痕が多数ありました。チャレンジャーだな…。

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橋を越えて、高速道路と交差する方向にいくと、見慣れた赤い矢印=へんろ道保存会の標識が。保存会は条例などお構いなしに許可なくステッカーを貼るので、違反ヶ所は剥がされていってるんだとか。それでも、歩き遍路ではとても心強い。

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というのも、このあづり越えルート、歩き遍路のガイドブックや主要なお遍路ルート紹介サイトのどこにも載ってないんです。歩き遍路をした人のブログにたまたま発見したルートなので本当にあるのかないのかわからないという。

赤矢印に安心して、進みます。

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アスファルトがコンクリート舗装になり、徐々に山道へ。あづり越えというのは、義経があずりながら越えたことに由来するなんて話も聞きます。

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たしかに、ここもしっかりトレイルでした。これまたロードのシューズでは滑る道。ほんとスンマセン…。

救いはトレイルが短いこと。峠では眉山などに続く分岐点もあり、トレイルを楽しむには良さそうなところでした。

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降っていくと、少し展望が開けます。レールがあるのはみかん収穫用のものらしいですね。

写真は撮っていませんが、このあづり越えルート、ゴミの不法投棄がとても目につきました。何ヶ所もゴミの山があり、一般廃棄物やら家電やらが朽ち果てていました。この辺りが世界遺産ルートから外されている所以なのかも知りませんね。

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降る途中に地蔵院東海寺。ここも義経伝説が残るところ。立ち寄らずに進みます。

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広い道に出ると,その先にこんもりとした緑が。弁天山です。

これは日本最低の山。大阪天保山が人工の山として日本最低なら、こちらは自然の山として日本最低、6.1メートル。

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一応登ってみます。吉井川河口のボンボン岩と雰囲気似てるけど、まだあっちの方が高いかな。数秒で山頂。うん、周りの木の方が高いぞ。

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山頂からの景色を堪能…いや、景色見えないし。ほこらで御朱印無人販売があったので、欲しい方はぜひ登頂を。

その後、一度遍路道を行きすぎて、その先にあるローソンで休憩です。

 

小松島市ロード〜恩山寺

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立ち寄ったローソンで阿波晩茶なるペットボトル茶を発見。買ってみました。

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名前だけ地元風のお茶かと思いきや、飲んでみるとお茶の風味が強く、それでいて爽やかな飲み口。これうまいじゃん。

印刷されてる解説を読むと、発酵茶の一種らしく、なんとこの製法も弘法大師が伝えた、と。弘法大師伝説…多すぎ。大蛇とバトルしたかと思えば温泉を当て発酵茶を作りつつ井戸も掘る。どんだけ多才なんだよ!

お茶としては、飲んでわかるレベルで美味しいです。

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遍路道に引き返して再スタート。JR牟岐線に沿うような形で南下し、小松島市へ。今回は立ち寄っていませんが、たぬきの町ですね。ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」のモチーフになった神社もあったり、巨大たぬき像があったり。時間があれば見ておきたいポイントです。

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勝占神社(かつら)です。義経が「勝を占める」縁起を担いで参拝したとか。ここはせっかくだからと寄っていこうとReiさん。

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寄るんじゃなかった…。なかなかの石段でした。

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小松島市に入って橋を渡ります。当時は渡しがあったんでしょうか。それとも上流まで大回りしたんでしょうか。なお、この標識はオフィシャルステッカー。

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小松島市の中心部で「お杖の水」に寄ります。これも空海によって湧き出した井戸とのこと。これは飲んでみなくっちゃ!

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…やめとこ。

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この辺りでバックパッカーお遍路さんと熱いデットヒート。旧道を寄り道しつつ走る我々と広い道を黙々と進むお遍路さん。ちょっと交差を繰り返しました。挨拶程度しかできなくて残念。

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ついに恩山寺です。ラストがなかなかの急登でした。その昔、この坂より上は女人禁制だったとのこと。

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ここも桜が迎えてくれました。

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空海がここで修行中、生母が訪れたそう。空海は女人解除の祈祷をしたというエピソードが残されています。女人禁制といえば絶対不可侵の伝統ルールのように扱われますが、結構、柔軟に対応したんですね。祈祷という筋を通して実母を迎えるという実を取る。うんうん。

ここには本人が掘ったという大師堂の像、そしてすぐ前には大師御母公剃髪所という石碑かありました。ちなみにこの大師堂も本堂も化政年間に再建されたものだとか。

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第18番札所 母養山 宝樹院 恩山寺
(ぼようざん ほうじゅいん おんざんじ)

打ちました。

納経所の住職が我々のスタイルを見て「走ってこられたんですか?」と聞いてくれました。そうだと応えると「それはすごい!私なんてここの坂を登るだけで息が上がります」って、ここの急登で息が上がらない人の方が珍しいよ!

 

弦巻坂〜弦張坂から立江寺

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恩山寺から立江寺まではそれほど距離もありません。ガイドブックには風情のある竹林の写真があり、穏やかなトレイルを楽しめる様子です。

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恩山寺から少し降って牛舎の横を通って山に入ります。防疫のために近づかないで、と看板あり。牧場としては人を通したくないところでしょうが、遍路は通すのかな。牛は遠目に見るだけに。

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先の方が崩壊してるけど、大丈夫かな…。

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「新しい自分と出会う」たしかにそんな期待を持たせる竹の倒れ具合でした。
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しかし、進むにつれて整備されたトレイルに。雰囲気は笠井山周辺の竹林のようです。
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弦巻坂というのは、義経が「もう敵がいないから弓を緩めて=弦を巻いて」進んだという逸話から。つまり、義経はこの峠を逆から越えたんでしょうね。なので反対側の登口には…

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弦張坂。つまり、敵を警戒して弦を張って登った坂です。ここまでくれば今回のトレイル区間は終了。シューズのグリップがあれば楽しめる長さの山道でした。

すぐ近くに「弘法大師のおむつき堂」がありました。なんでも空海のオムツを納めたんだとか。撮ったはずの写真がないんですが、薄暗い木立の中に墓が立ち並んでいて少し不気味なところでした。

 

お京塚〜立江寺立江駅

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山を出ます。


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もう畦道程度では驚かないぞ。これぞ遍路道ですね。サクサク進みます。
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慣れてくると普通のロードより不整地の方が楽しめちゃいますね。もしかしたら空海が、義経が、歩いたのかもしれないな、なんて想像できちゃいますし。残り3キロくらいからはロードでした。

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とにかく桜が咲いていて花見客も多いので、日曜よりも人とすれ違うことの多い遍路になりましたね。

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ここは「お京塚」。お京さんは夫を殺して別の男と逃げたんだとか。立江寺で髪が抜けてなんとかと書いてあった気がします。そんな伝説の残るお京塚。隣に再婚相手探します、の看板があってなんともシュール。

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川沿いに進むと住宅地になり、眩い朱色の橋が目に飛び込んできます。行基が白鷺に暗示を受けたと伝説の残る白鷺橋。これを渡ると目の前に立江寺です。

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光明皇后の安産祈願で建てられたという立江寺。お京塚にもあったように、悪いことをすると越えられない札所という面も。四国の総関所と呼ばれているそう。

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第19番札所 橋池山 摩尼院 立江寺
(きょうちざん まにいん たつえじ)

打ちました。本堂に素晴らしい絵天井があるらしいんですが、やっぱりスルー…。

今回は30キロということで目標の立江寺まで打つことができました。ちゃっかり10%増量の33キロになってるのがRezzoらしい…。

第3回目、完!

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ここまでの合計走行距離121.4キロ!

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立江駅が目の前にあるので、次回はここからスタートになりそう。列車に揺られて阿波富田駅で下車。駐車場に戻ります。iPhoneのバッテリーが切れててんやわんやもありましたが、どうにか到着。なお、この辺りはとくしまマラソンのスタート地点付近ですね。うらめしや。

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徳島の銭湯めぐりも3回目。水風呂がぬるいのが残念でしたが、いい雰囲気のお風呂でした。今回は徹底してアイシング。


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リカバリー飯は、老舗の「はやし」で。

お土産に阿波晩茶を買って帰ろうとローソンを5,6軒回ったんですが見当たらずじまいでした。

 

おっさんのごたく

国分寺セカオワDragon Nightの歌詞

「僕の「正義」がきっと彼を傷付けていたんだね」

が紹介されていて、「僕」とは誰だろう、「彼」とは誰だろう、ここでいう「正義」とはなんだろう、と考えさせられました。

マラニック中考えたことを書き留めていたら3000字を超えてしまったので、割愛…笑

 

時期的にロシア・ウクライナ問題へのメッセージなんだと思います。個人的に、どちらかに肩入れするつもりはありません。

ただ、遍路マラニック中に感じる安心感の源、「目に見えないものを信じる人たちが持つ穏やかさ」というものを学びつつ、自分自身の正義を振りかざすことがないよう気をつけながら、マラニックを続けたいなと思った次第です。

 

第4回に続きます。

長野マラソンを棄権します

結論から言うとシンスプリントのためサブ3ペースでのフルマラソンを走ってしまうと大きな故障を引き起こす、もしくはサブ3は不可能であると判断し、長野マラソンを棄権することに決めました。

備忘録を兼ねて反省を記しておきます。

まず、走りたくてもエントリーすら叶わない人がいる中で、自己都合で棄権することを申し訳なく思っています。

シンスプリント自体は昨年12月下旬に一度悪化し、ランの踏み込み時にズキズキくるほどの痛みがありました。また左アキレス腱付着部炎もランにこそ影響がないとはいえ、毎朝ストレッチしないと痛みがある状況でした。

そこから練習強度を落とすと共に1月はジムでのスイムとバイクによるトレーニングメインに切り替えて、愛媛マラソンに照準を併せていきました。

結果、ギリギリで愛媛は走れそうだと思えるところまで回復しましたが、大会は中止に。

次の照準をとくしまマラソンに切り替える中で、「ケアの質と量を高める」ことに力点を置きました。この時点で痛みもかなり治まっていたので、「シンスプリントの原因はケア不足である」と推定してしまっていたのです。

それまでのアップにウォーキングを加え、体を十分温めてからストレッチ。アップジョグを必ず2キロ以上入れてからのスピ練。ラン後のウォーキングにストレッチ。アイシングと温冷浴の習慣化。フォームローラーによるふくらはぎのほぐし。

こうしたケアの増量によって、さらに走れるようになった気がしており、実際、過去最高速のガチユルやキロバルの安定感など充実したメニューがこなせるようになった「気でいました。」

ただ、そうしたスピード系のハードな練習の翌日はアキレス腱付着部に違和感を覚えることもあり、またふとした瞬間、とくに脚のひねり動作の時に右スネにイヤな感じにピキッとした痛みを感じることもありました。

アキレス腱付着部炎は徐々にコントロールできてきたものの、シンスプリントが完全に治ったのかどうかはわからず、ほんのり疑問に残る中で練習量を元に戻していました。治っていると信じたい正常化バイアスにやられていたように思います。

とくしまマラソンが開催されるなら、名古屋ウィメンズ並走応援は無理なくのんびりジョグで走ると決めてのロング走にするはずでした。ところが、とくしまが中止になり長野まで期間が開いたことで、遠慮なくクルーズインターバルからのロングジョグのような46キロ走をしてしまいました。また翌週にはテンポ良く44キロ走。ケアが十全ならダメージもそれほどなく進められると思ってしましたが、翌日、踏み込み時にスネにズキっとした違和感。これにはすぐに対応した結果、痛みはすぐに引きましたが、シンスプリントの再発の可能性大です。それでも、ケア十分=原因は取り除けているのだから、と再発を自分では認められませんでした。

長野まで3週間となり、30kmペーランを企画していました。そこでボディワンで相談したところ「この脚の状態なら1週間はスピ練を控えるべき」とのアドバイスが。基本的にランナーの気持ちを汲んで、走れる方向に話してくれる先生からのストップ提案。これは重く感じました。その前日、入浴後にスネにズキズキとした違和感があったことを伝えると、炎症がおさまってないのではないか、とも。

それでも長野は走りたいので、整形外科の受診を決めました。治っているというお墨付きが欲しかったんですね。不安を抱えたまま30km走はできません。スピ練も及び腰になる。ならば大丈夫だという保証が得たい、と。

10枚レントゲンを撮るなどし、詳細な診断をいただきました。左右のレントゲンの差は素人目にも明らかでした。左にあるはっきりした部位が右にはなくぼんやりしている。ここに「何かある」というわけです。それが骨膜炎なのか疲労骨折になりかけなのかは、MRIを撮らないと鑑別できないとのこと。予約しました。

そして、医師から股関節の可動域?を確認されました。先生の口からは「めちゃめちゃ硬いな…」が連発。とにかく股関節が硬く、自由に足が動かないというのです。

簡単に言うと仰向けに寝て、片足だけを膝を伸ばしたまま上げていって、普通はカカトが真上に来る(90度程度開く)ところ、私は45度もいかない程度。この状態で走っているとハム、膝裏、ふくらはぎに大きな負担がかかる、とのことでした。

スピード練習をした後にふくらはぎが張り、張った状態で走ると痛みが出る流れが明確にわかったように思います。カカト、ハム、腓腹筋、ヒラメ筋のストレッチ、そして股関節のストレッチもしていたつもりでしたが、ここは盲点でした。

すかさず、ことぶき先生に頼りました。攻めのストレッチはことぶき整骨院の十八番ですからね。

先生によれば、ランナーによって硬さは十人十色で硬くても走れる人はいる、しかしどちらかで言えば硬い、と。十人十色なので、少しでも股関節の自由度を上げるか、股関節の自由度がないままでも走れるフォームにするか、と。

そして、股関節の自由度を上げるためのストレッチをいろいろ教わりました。

 

ここで大きな勘違いに気付きました。シンスプリントの原因が

・ほぐしや休息などのケア不足

だと思っていたものが、

・股関節の硬さ

だったわけです。これは、

・ケアをすればハード練後も回復する

のではなく

・股関節を柔らかくする

・股関節が硬いままでも走れるようなフォームにする必要があるということ。

これまでは「ケアを十分行えば、長野でキロ4:15で,走っても問題ない」と考えて(思い込ませて)いました。つまり、ラン後にケアが足りていればこれ以上の悪化もないだろう、スネの違和感も気にする必要はないと。

しかし、原因が股関節の自由度の低さとなると話は変わります。これを解消しておかないとフルマラソン後に、シンスプリントが悪化する可能性が非常に高い。最悪、疲労骨折になるかもしれない。そうなると、今後のラン計画は全て不可能になってしまう。長く走れなくなる。

ここで無理をして「タイムが出ない可能性が高いサブ3チャレンジを遠く長野の地で行う」のか「棄権して、股関節の自由度を上げつつシンスプリントを完治させる」のかの2択を、やっと考えることができるようになりました。

認めたくない現実でしたが、答えは明白でした。恥ずかしい限りですが、感じていた数々の違和感を気のせいで済ませてフタをし、現実から目を背けていたことは否めません。棄権を想定してみると、はっきりわかるんですね。明らかにスピ練後に右スネと左カカトの違和感が出ているし、こんなおっかなびっくりのペーランしかしていない状態で一世一代の大勝負を仕掛けるなんてことはどう考えても無理です。

 

ことぶき先生からの提案は、股関節の自由度を上げつつ、スネに負担の少ないフォームに修正していき、夏に思い切りスピ練をして秋に再度チャレンジをすることでした。これを全面的に受け入れようと思います。

また、クッションのいいシューズ、とくにカーボンプレートのあるシューズで「蹴らずに」進むようにすることで負担を軽減するアドバイスをいただきました。

薄底にこだわりがありますが、当面ロードはズムフラでのウォーク&ジョグで調整することにします。

 

「足が折れても公認レース走れるならサブ3してやる!」と息巻いていましたが、現実問題、疲労骨折の可能性を示唆され、原因をはっきり示されると、さすがに走ることはできないと決断するに至りました。

恥ずかしいかぎりですし、中止続きで公認レースを走りたくても走れない人が大勢いる中で、棄権するのは大変申し訳なく思います。

秋には再度、サブ3チャレンジができるよう、全面的な改善をし、トレーニングに励んでいきたいと思います。それまではトレイルなどスローなレースを主戦場にしていきます。

駄文、失礼しました。

 

 

名古屋ウィメンズマラソン2022応援ラン

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今年もteamいきもの舎の名古屋ウィメンズマラソン応援ツアーを敢行してきました。

番長は2回目、taromiははじめての名古屋ウィメンズです。前日受付が必要なのはおかやまマラソンと同じですが、今年の名古屋はPCR検査もあるということでさらに早い名古屋入りが必要。土曜の朝から出発でした。

私は仕事の後20:15に岡山発。大山田PA車中泊し日曜の早朝名古屋入り。Google先生ありがとう

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7時に2人を宿舎前でピックアップし、一路ナゴヤドームへ。

akippaでクリック合戦に勝利して確保した、ドームから徒歩1分の駐車場に車を停め、いよいよ乗り込みます。

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会場入りする前に、「埼玉のはるな愛」という名前で活躍しているお友達のランナーさんたちと記念撮影。ランナーズでご存知の方もいるはず。

この方、初の北海道マラソンの時、コース途中でtaromiが出会ったんですが、精密機械のように正確なペース配分で関門を突破していく凄腕ペーサー。公式ペーサーのない北海道マラソンで完走ペーサーを勝手にやっていてtaromiはそのおかげで奇跡的にサブ5できたという師匠なんです。

なお、愛ちゃんは性同一性障害で心は女性なんですが名古屋には出られません。シティハーフに出走されてました。

また、他にもいつもはスライム被ってるというスライムランナーさんや桃の被り物でおなじみの「いーたん」にも会うことができました。ビジュアルが特徴的だと大会でも出会いやすいですねー

さて、入場です。アレで行列ができていましたが、少し並べば入れたようです。

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私は急ぎ、合流予定の1キロ地点に移動開始です。

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ドーム前ではエリートランナーがアップ中。

天満屋渡辺桃子選手も集中して走ってました。天満屋の選手は岡山のランナーにはお馴染みですが、レース直前の様子を間近で見られるのは貴重ですね。

私の方は、途中でトイレに寄ろうとコンビニに入りますが、見事に行列。シティハーフ組もいるのでコース付近のコンビニはどこも一杯です。コースからかなり離れたセブンに飛び込みました…。

そして、予定の地点へ。ここで例の

「走ってくれて、ありがとう」プラカードを掲げて、やってくるランナーにメッセージを伝えます。

去年は、厳粛な静寂の中、目配せと頷きで挨拶を交わす方が多かったのですが、今年ははっきり手を振ったり、声をかけてくださる方が多かったです。中には「雑誌の人〜」と言って下さった方もいたそうで、さすがランナーズ誌だなと思いました。

taromiは今回、前半を6:05で押していくプラン。=そのまま行けば4:20目標。

しかし、サブ4.5ペーサーはおろかサブ5ペーサーが通過しても姿が見えません。スタートロスをカウントしていないペーサーのようなので、混雑に巻き込まれたかなという予想でその後もプラカード応援。程なくして合流し、並走開始しました。

そして、今回は新兵器、Twitterのスペース中継もスタート。参加して下さった皆さん、ありがとうございます。

この日の名古屋の天候は、薄曇りと晴れが交互にやってくるどっちつかずの状況。たまに出てくる太陽に照らされつつ、徐々に加速していきます。

5キロを過ぎ、taromiは早速ジェル補給。今回は頭からジェルを叩き込んでハンガーノックを防ぐ戦略です。その後、スペースからの情報で番長もサブ5ペースで追随していることを知ります。やるな、番長!

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去年も同じところを同じように走ったわけですが、今年はランナーも応援も多い!

世界最大の女子マラソンだけあって、華やかさが違いました。普段ならさらに倍くらい多いんでしょうけど。それでも沿道には数々の応援。そして私設エイドが出ていました。

この名古屋ウィメンズ応援ラン、並走していると、歩道橋を渡らないと追えないところ多数と地下道を抜けるところ、公園を抜けるところが各一ヶ所あるんですね。

この地下道でミスをしました。出るところを誤り、再度もぐって道に迷うという…。

どうにか正しい道に出た時にはかなり差をつけられている状況。もし並走される方は事前に出口のご確認を。(正解は4から降りて8に出る)

さて3分差がついたとして、キロ6で走るランナーに追いつくには、キロ4:30で2キロ必要です。歩道は歩行者もいれば障害物もあるので加速できたらさらにペースアップしないと追いつきません。

さらに待ち構えるのが、名古屋ウィメンズの素晴らしいトイレの数!コース上に仮設と店舗合わせて70ヶ所以上。しかも、スタッフが歩行者を止めて、ランナーがいない時に通らせるという鉄壁の体制なんです。

そのため、追いつくかなというところでまた差をつけられるという苦しい展開。追いついてジェルを渡し、また差をつけられてはダッシュで追いかける、変則的インターバル走。写真を撮る余裕もありません。

次第に気温は上がり、持参したポカリも底をつきます。自販機に立ち寄るも小銭がないという失態。コンビニに飛び込みポカリを追加し、またインターバル開始!

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そんなことを25キロ付近まで繰り返したところで、スペースから連絡。番長が走れないと悲鳴を上げているとのこと。

慌ててtaromiに追いつき、番長のもとへ駆けつけることを伝えます。

途中ローソンで約束のコーラをゲットし、早歩きで番長を探します。しばらく引き返していらと、果たして番長を歩道橋から発見!自分の番長センサーに感心…してる暇なく番長のもとへ。って番長しっかり走ってるし!

コーラと共に、チームメンバーからの励ましのメッセージを伝えます。ティファニーのために歩け!

ここから、番長との追いかけっこです。というのもロングインターバルと脱水で私の方がフラフラになり、番長といい勝負に…。

その番長、歩く区間もあるんですが、火が陰ったり、涼しい風が吹いたりすると、すかさず走るんですね。根性すげー。

足が痛いのかと思いきや。足は、もず先生の鍼治療で痛みがなくなっており、走れないのは暑さにやられたからとのこと。

なんと言っても数日前まで極寒だったわけで、この日の20度オーバーand日照という急激な温度変化に生クリーム番長はもうデロデロ。溶けかけたままガッツで走っていました。かっこいい!

番長だけでなく他にも多数のランナーが急な暑さにやられていたように思います。その意味では気温以上にハードなレースでしたね。

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さて、スペース中継から、taromiのペースが随時届き、4:30を超えていた途中のフィニッシュ予想タイムが、なんと終盤にきて一気に430切りになっていることが知らされます。これはすごいぞ。

番長はその後もランとウォークをうまく組み合わせ、確実に距離を重ねます。そして

「この調子ならティファニー」というような発言が聞かれました。一安心!

沿道からは去年の倍以上の応援が飛びます。セーラー服女装のおじさん隊やタキシードおじさん、凍らせたゼリーやコーラの私設エイドには人だかりも。いいですね、この大会の雰囲気!

スペースからもリアルタイムに番長に応援メッセージが届きます。これ、面白いですねー。またやりたい。

やがて太陽が傾きかけるころ、ついにナゴヤドームの通りに戻ってきます。フィニッシュしたtaromiも合流して番長を応援。

走れ!漢だろ!

ドーム前で番長を見送ると、再度「走ってくれてありがとう」応援をしました。もう疲れ切っているであろう42キロ走ってきたランナーからもたくさん声をかけていただきました。こっちが応援された気分です。

番長フィニッシュ後は、帰りのSAで名古屋名物きしめんディナー。ささやかな祝宴となりました。

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名古屋ウィメンズは去年に引き続きの開催でした。正しい知識と強い信念、万全の準備があれば、「屋外のスポーツ」開催に何の問題もないことを証明してくれたと感じています。換気率100%の屋外スポーツですからね。

そして同時に、スポーツが持っている、人を励ます力や、気分を上げる空気、いうなれば心と体の健康をもたらす当たり前のことを改めて教えてもらえたように思います。

ランナーズ誌に、マラソンが入院率を下げるといった記事がありましたが、それ以上に人と街を活性化し、人を元気にしてくれるなと感じました。

ただ…今回の変則的なクルーズインターバルのような街中ファルトレクのような激ハード走は、荷物を背負ってることもあり、思いのほか脚へのダメージが大きかったようで…。かなりの疲労蓄積をもたらせてしまったことは反省点としたいと思います。

 

 

 

 

四国八十八ヶ所マラニック その2【阿波国編②】

 

先週スタートした四国八十八ヶ所マラニックは、基本的に月一ペースでトライしていきたいなと思っているんですが、3月は名古屋ウィメンズやとくしまマラソンがあるので行けそうにない。なので、いきなり2週連続で遍路ランしてきました。…タフ。

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前回、11番藤井寺でタイムアップだったので、今回は藤井寺御朱印をもらうところから再開になります。そのため鴨島駅からスタートし、12番焼山寺に登り、旧遍路道を通って13番大日寺に始まる「五ヶ所参り」に進むコースを作成しました。可能なら17番井戸寺まで行きたいところ。

全体の7割程度は感覚的にトレイルかなといった感じで、予想獲得標高は1700m以上。日程以上にタフな遍路になりそうです。

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なんと今回はスペシャルゲストとして「るーさん」が参加してくださいました!うれしいですねー!トゥギャザしようぜ!

ギアはコロンビアモントレイルのカルドラドⅢ=初心者用トレランシューズ。アカシャはもったいなくてこっちに。ソックスは5本指マラソンソックスの上に厚めソックスの二重履き。そしてシューゲイターで小石などの侵入を防ぎます。エアリズムブリーフにCW-Xタイツという下半身。上はエアリズムTシャツにチームTシャツ、NIKEアームカバー、mont-bellグローブ。暑さと気温差、トレイル7割というコースと環境に合わせました。

また、補給食は1000カロリーほど、ドリンクも500以上持ちました。焼山寺山まで自販機なし、コンビニに至っては35キロくらいまでないので、食を優先しつつしっかり準備しました。

Reiさんはホカのトレランシューズ、るーさんはアディゼロ-Bostonでトレイルにチャレンジです。…ええ、トレイルであることは事前に伝えてたんです。でも、るーさんくらいのレベルのランナーになるとシューズなんてなんでも走れるんです。まさに

「弘法筆を選ばず」!

 

さて、るー&れーコンビとお遍路開始です。車を蔵本駅近くの駐車場に停めて列車で鴨島駅へ。

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気持ちのいい青空。これから始まる旅ランに期待が膨らみますね〜

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駅のトイレには「遍路トイレ」ステッカー。ここはわかりやすいですが、学校校庭のトイレなどお遍路さんに開放しているトイレなどに貼ってあって歩き遍路を応援してくれています。ありがたい。

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鴨島駅前にはこんな案内も。この「空海の道」標識も何ヵ所かでお世話になりました。8:15スタートです。

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駅前通りに沿って、アップを兼ねてジョグ。程なくしてお遍路さん休憩所、そして前方に山並みが迫ります。あの山を登るのかな?

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今回も大量の案内標識に助けられました。こんな感じで掲げられている各種案内に導かれて藤井寺へ。先週、逆走してるので心配なしです。

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11番札所、藤井寺に到着、3キロ。

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すけさんと約束の「どうでしょう」風の決めポーズを撮影。このためだけに重い三脚を持参…。こんなことに付き合わせて、るーさんごめんなさい…。

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↑こういうの好きなんで、ついつい。

もちろん、しっかり「押し」ました。

そして、あの日閉まっていた納経所へ。

なんと、るーさんも納経帳を購入!

と、いうことは今後も参加してくれるってことですね!

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11番札所、金剛山藤井寺(こんごうさん ふじいでら)打ちました。

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ここから焼山寺への登山道に入ります。

入る時はただの登山道入り口としか思っていなかったんですが、実はまるで異世界への入り口だったように、今は感じます。

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藤井寺の境内に「焼山寺みち」の道標がありまして、そこがスタート地点。小さなお堂が立ち並んでいて何かと思えば八十八ヶ所の写し霊場。つまり、ミニお遍路さんコース。この辺りを散歩するだけで八十八ヶ所を回ったご利益がゴニョゴニョ…。

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雰囲気はとてもいいので、時間に余裕があれば全て回るのも楽しいかも。我々は道を急ぎます。

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藤井寺スタート直後は、よく整備された歩きやすい山道といった雰囲気でした。緩急ありますが操山よりも歩きやすいかな。

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なので序盤は楽しいトレイル。そこここに「へんろ道」の札がぶら下がっていてロストの心配もなし。普通のトレランレースよりも案内札の数は多いと思います。

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そして登場。噂に聞く「へんろころがし」看板。お遍路さんを「ころがす」というキツい山道のスタート。1/6というのは、ハード山道が6ヶ所あるうちの最初ということみたいです。

3つしか見つからなかったんですけどね…

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たしかに、これはなかなかの急登。1キロほど進んだところで少し広い道と交差しました。ここで地元のみなさんがベンチに腰掛けて歓談中。

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あいさつするとどこまで行くのか聞かれたので、焼山寺山を越えて大日寺に向かうと応えると、札を目印に進め、急がないと難しいぞ、ということを教えてくださいました。

白衣を着ていなくても、我々をお遍路さんだとみなして、アドバイスや応援をしてくださるんですよね。見た目ではなく遍路という行いそのものを見てくれている、その自然な態度こそ、お接待の文化なんでしょうね。感謝を伝えて先に進みます。

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札というのは、こういうもの。今回トレイルメインでしたので、何百という札を目にしました。整備してくださってるみなさん、ありがとうございます。

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視界が開けるたびに景色は素晴らしくなっていきます。眼下には吉野川。先週、駆け抜けた切幡から藤井寺の道程がはっきり辿れますし、遥か東方にはスタートした鳴門方面がかすみます。まだ先週のことながら、すでにこれは感慨深く感じました。

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札を頼りに山道を進みます。登りは歩こうということで無理はしません。「同行二人」(どうぎょうににん)というのは、たとえひとりぼっちでも空海がついてるから2人だぜ!というお遍路さんの合言葉。この札、ぱっと見では「同行一人」に見えて「あぁ、ここは険しいから空海がいないつもりで登れってことなんだな」と納得。よく見たら「ニ」の上の棒が消えかかってるだけ…。

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また、こんな札もありました。地元の小学生たちが作ってくれた応援メッセージの札です。

うれしいですね。おかやまマラソンでもらえる小学生からのメッセージカードを思い出します。おいさんたち、がんばるぜ!

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そこからすぐ、3.7kmくらいで端山休憩所(はしやま)です。景色もいい場所なんですが、ここにも地元の年配者が歓談されてて、あいさつするとまたもや励まされました。ここから先はお遍路さんにしか会わなかったですが、地元のみなさんからの応援はランナーの心に沁みます。

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さて、端山休憩所の次は長戸庵(ちょうどあん)を目指します。

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随所にある道標。遍路道を歩いていると、ロストしてないか不安になることが多く、これを見るとほっとしますね。キョリ測やヤマレコがあるとはいえ、設定ミスの可能性もありますからね。

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ガイドブックに「焼山寺まで自販機なし」とあり、水は湧水を飲めとありました。あー、これがその水場なんだと、試してみることに。


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ザル王選手権!じゃなくて、水です、はい。

「わたし、胃腸弱いから…」と飲まなかったReiさん。めちゃくちゃ美味しかったです!と言いたいところですが、でも、まぁ、普通の水でした。寒いですからね。お腹を壊すこともなかったので安全な水だとは思います。夏場だときっとおいしいんでしょうね。

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その後もこんな穏やかな道を進んでいきます。整備されていて穏やかなではあるんですが斜度はきっちり。水場から、500メートルくらいで、長戸庵がみえてきます。なんでも空海が旅人の脚を加持で癒したとか。そんな伝説の残るお遍路さん休憩ポイントです。だいたい5キロくらい。

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到着した時、白衣に菅笠のお遍路さんがちょうど出発するところで、先は長いですよ、ということを少し教えてくれました。ありがたい。

ここで我々は小休止。るーさん持参のミッケのあんぱんで補給します。大きくて美味い!長丁場に備え、序盤からしっかり補給できました。坂道はエネルギー消費が桁違いですからね。

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続いて目指すは柳水庵(りゅうすいあん)。尾根づたいに進むので傾斜としてはやや緩やかになります。

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時折、開ける視界に疲れを癒されますね。見えるのは鴨島の街並みでしょうか。

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しかし、それ以外は基本的にこんな山道。平坦になるとジョグ、下りはラン。ややスピードアップしました。このペースなら、先に出発したお遍路さんに追いつくだろうと思って歩を急ぐのですが、なかなかどうして姿が見えません。

そして、見えてきたのはお遍路さんではないお姿。

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なんと、お坊さんが歩いているではないですか。よく見たら草鞋(わらじ)です。しばらく、やや後方を歩いてついていきました。

山奥の遍路道でお坊さんに着いて歩く、厳粛で貴重な時間です。

 

(お3人さんは…遍路…ですかな?

藤井寺からですか…ほう…井戸寺を目指されているようですが、そう急ぐわけでもおありですかな?)

振り返ることもなく、こちらの人数や目的地まで言い当てつつも急ぐ旅路を心配される…なんてことがあったら、素敵だなーっと思っていたら、お坊さん、急にこちらを振り返り…

びくっ!!!

と飛び上がって驚いて…。

とても若いお坊さんで、こちらの出現にたいそうビックリされた様子。ごめんなさい。

ほんとはお話ししたかったんですが、全力で驚かれてしまったので、道を譲られるまま追い抜いてしまい、それっきりでした。

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その後も林間を早歩きとジョグで抜けていくと、徐々に溶け残る雪が地面を覆い始めます。標高は約600メートル。北側はまだ冷えたままなんですね。

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少し開けた道に出て見つけた標識。そこに、なぜか愛媛のゆるキャラバリィさん。マスク姿にほっこり。88計画後半、お世話になります。

 

急な下りの後、見えてきた屋根が柳水庵。8.6kくらいです。空海が柳の枝で加持をしたら水が沸いたというのが名前の由来。トイレや補給を済ませます。が、肝心の湧水を忘れてました…

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ここで先のお遍路さんに追いつきました。我々も遅くはないと思うのですが、やっとこさ追いついた感じ。健脚なお2人ですね。休憩してるうちに、また先行されたので、また追っかけスタート。

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次に目指すのは一本杉・浄蓮庵。ハードな登りで今回の最高標高まで駆け上がります。あんぱんが効いてきて気合も入りました。

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少し歩きやすい車道のようなところを進みます。しかし、こんな崖っぷちもありますので、油断したら滑落しそう。

その道の途中、ついに健脚お遍路さんに追いつきました。

お二人は、お寺を一つ一つまわっているそうで、今日は焼山寺のみ、とのこと。そういう周り方も素敵ですね。焼山寺からは近くのバスで帰れます。古道を楽しみたいとのことで、しっかりした登山靴やストック装備を持ってました。かなりのベテランお遍路さんとお見受けします。

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そして、また完全トレイルへ。

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杉木立の急登が立ちはだかります。

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黙々と登っていきます。冷たい風が吹きおろしてきます。

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ジグザグに登るうち、徐々に地面の雪が増えていきます。

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お地蔵さんや札を見つけては進む方向を確認。

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凛とした空気感。静けさの中に自分の足音と呼吸の音だけ。

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途中、もうお一人お遍路さんと会いました。急坂の中で追い抜いたのであいさつだけ。いよいよ景色は白銀に覆われ始めました。

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雪は薄いのでそれほど歩きにくくはないですが、石の上などは凍っていて滑ります。慎重に次の一歩を選びます。ザックザックという音が響き渡ります。

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不意に現れた階段。見上げると弘法大師の立像。浄蓮庵です。約11キロ。

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ツルツルに滑る石段と格闘し、休憩ポイントへ。時間があればゆっくり見てまわりたいですね。これら途中の番外霊場の納経は焼山寺でお願いできるそうです。

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最高地点から降っていきます。次は左右内(そうち)の集落。トレランといえば下り。ここからは一気に駆け降ります。トレランの醍醐味ですね!


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急な石段を下れば視界が一気にひらけます。れー&るーさんも颯爽と駆け降りてきました。かっこいい!

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左右内集落。映画の中にいるかのような錯覚に陥る、そんな景色の転換を自分たちの足で体感していきます。

一体ここはどこなんだろう?

向こうに見える山並みは?

この道はどこへ続くんだろう?

別世界に来たような感覚に、感情が昂ります。

 

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これも遍路道。ほんとにここが道かな?というところが多いのも遍路道。この手の道にも徐々に慣れてきました。普通に民家の庭を突っ切るような道は見逃すこともあるんですけどね。

画面奥の橋を渡れば、ついに焼山寺山です。

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目指す焼山寺は、938メートルの山、焼山寺山の八合目。あと少しのところまできました。

この地に住む火吹き大蛇が空海とバトルした時に吹いたファイアブレスで焼けたので焼山なんだとか。

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先の橋で越えた川を再度越えて山に入ります。のどかな集落から、また一気に空気感が変わります。

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ついに「へんろころがし6/6」。最後の登りへ。

さすがに、やや足も重くなってきましたが、気合を入れ直します。しかし、坂は容赦ない斜度に。

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これはたしかに遍路「ころがし」。タフトレイルなコースにも遭遇しました。整備されていない時代に草履でここを越えるのは、本当に修行だったでしょうね。ランシューですいすい登るるーさんもすごい…。

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キツい坂を登り続け、ついに残り1キロ。長かった…。

ランなら5分ですが、タフトレイルだと20分かかることも。気は抜かずに進みます。

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そして、見えてきたのは何百もの石灯籠。焼山寺です。菩薩や如来の石像が立ち並び、ここがどういう場所であるかを静かに伝えています。

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この回廊も長い登り坂。道は雪が溶けて再度凍ったアイスバーン。慎重に歩いていきます。

焼山寺の駐車場も同じところにあるので、ドライブお遍路さんも何人か通っていました。

そして、ついに辿り着きました。

12番札所、焼山寺です。

予定時刻を大幅に越えての到着。時間が押してるんですが、大急ぎで三脚セット…。

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12番!焼山寺

こんなことに付き合わせて、るーさんごめんなさい。

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3時間ずっと進み続け、山を登りに登った場所ですから、

(もしかして、山小屋みたいなお寺?)

と思っていたら、この標高からは想像できないほど立派なお寺でした。

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第12番札所 摩廬山 正寿院 焼山寺
(まろざん しょうじゅいん しょうさんじ)

打ちました。

これまで納経所では「係の人」という雰囲気の方が書いてくださっていたんですが、ここ焼山寺ではお坊さんが書いてくださいました。なかなか貫禄あるお坊さんで、鴨島駅からの所要時間を聞かれたので3時間かかったと伝えると、それは速いと褒めていただきました。

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今回の大きな目標の一つを達成し、気分良く山下りです。次のチェックポイントは杖杉庵(じょうしんあん)。2キロほど車道を走って下ります。

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ここは右衛門三郎の伝説の地。だれ?って感じですが、なんと元祖お遍路さん。

その昔、右衛門三郎は人を大勢使って悪どく稼いでいたそうなんですが、そこに貧相な男が施しを求めて立ち寄ったそう。もちろん彼は冷たく追い返すんですが、それから次々と8人の子供が亡くなってしまうんですね。そこに聞いたのが空海なる偉いお坊さんが四国を回っているとの噂。あの人は空海だったに違いない!と追いかけること、なんと四国20周!そこではたと気づき、逆回りして空海に会えて許しを乞うたという。うんうん。(僕なら2周目で逆走するけどね…)

そう、それこそが遍路道、というわけで元祖お遍路さんという伝説の人物なんです。

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ここ杖杉庵には、その逸話を伝える銅像と案内板があって、当時に思いを馳せることができます。そんなお話を読みつつ、おにぎりで栄養補給。

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ここ神山町スダチと梅の産地だそうで、梅畑の中を走ります。ところどころ直売所もあるんですが、ガッツリ入って300円。そんなに持てないのでなくなく諦めます。一粒だけ売ってくれてたらなぁ。

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遍路道はまた,少し不整地に。写真の通り、なかなかの悪路です。下りを走った前腿が悲鳴を上げはじめます。

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舗装路に出ると、こんな看板。この悪路、近道扱いなのね。

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また左右内川を渡り、焼山寺山に別れを告げます。鍋岩地区へ。遍路向けトイレも整備されていました。

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のどかな街並みをジョグ。走りやすくて気持ちいいです。でも舗装路はあっという間に終わります。ここから、今回最大の難所が控えていようとは…。

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実はこの舗装路を進んでも遍路道なんですね。新しいルートのようでガイドブックにも出ていました。しかし、やはりここは旧遍路道を選びます。写真でいうと左の山道を選択。玉ヶ峠越えです。道が狭すぎて、分岐が多くどこが本当の遍路道がわからない感じでしたが、標識を探してなんとか入山です。

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実は先ほどの集落にバス停がありまして、藤井寺から焼山寺まで歩き遍路をした人も、このバス停から帰るのが定番の様子。

そうなると次の13番一宮大日寺は、近くのバスで降りて行く=我々がここから行くルートはあまり使われない道、ということ。

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そのため道はやや荒れ気味になります。そして、斜度がキツい…。ところどころ鎖場もありました。なくても登れましたが助かりますね。

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山の入り口にあった看板の「植村旅館」さんが、この道にたくさん札をかけてくれていまして、これがいい道標になりました。

先に述べた通り、通し打ち(一度の旅で一気に遍路を回ること)でないと、なかなかこの遍路道は通りません。遍路客相手の旅館も経営は厳しいんでしょうね。営業努力に敬意と感謝を覚えました。

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こんな道を延々と登っていきます。時期も天気もちょうどよかったですね。これが真夏ならギブアップせざるを得なかったと思います。

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やっと広い道に出ました。こんな手作り標識がありがたいです。

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視界が開けると、この景色です。

遥か遠方には四国山地の山並みが。

風力発電の風車は大川原ウインドファームだと思われます。西に目をやるとさらに高い山々。焼山寺山からは剣山が望めるそうです。

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しばし休憩ののち、下ります。走りよい道をジョグしていくと、少し街になったところに出ます。ここで自販機発見。ドリンク補給。やや水分不足でした。

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カカシと共にこんな遍路人形があるのも遍路道らしくていい雰囲気。24.4kmまできました。

ここで一息。

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ここからはロードメインで13番、一宮大日寺にまっしぐらです。

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この橋を越えて峠を一つ越えます。

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下っていくと、ここでも潜水橋が。

こういう狭い橋を見ると、必ずやります!

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10回くらい撮り直しして股関節が悲鳴を上げ始めたところで次へ。

ここから鮎喰川沿いを下っていきます。

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エメラルドグリーンっていうんでしょうか。つい足を止めて見とれてしまいました。
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この川沿いのルート、交通量がそこそこある道で、広くて信号もないので、けっこう車もバイクも飛ばすんですね。

負けじとこちらもジョグペースをあげ、今日中にどこまで行けるか計算します。17番井戸寺は厳しいですが、15番なら間に合うか?

そんなことを考えながら徳島刑務所付近に差し掛かった時、背後から大きなクラクションが鳴り響き、直後にガシャーン!!とクラッシュ音。

振り返ると白い軽自動車とバイクが路側帯に突っ込むところでした。

すると、るーさんが現場に猛然とダッシュ

我々も続きます。

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血を流して倒れるバイクの男性、パニック気味の女性の運転手、どちらも年配の様子。

冷静にるーさんが様子を確認。バイクのエンジンを切ったり、話を聞いたりして状況を把握。

Reiさんは、居合わせた男性が慌てすぎて救急に電話ができないのを見て、119に通報。

そして、るーさんは警察へ通報。お2人で周りの人から現場の住所や事故の状況、怪我人の様子を確認して、電話で伝えます。

幸い、バイクの男性はその時点では命に別状なく意識もはっきり。運転手も冷静になり、現場は徐々に落ち着きました。それから救急車を待ちます。これが、長かった。15分以上はかかったと思います。

救急車が到着すると、すぐに警察も到着。引き継ぎをして、我々は遍路ランに戻りました。

こういう時って、るーさんみたいな冷静でリーダーシップのある人がいてくれていると本当、安心ですね。番長なら目がハートになってたと思います。

るーさんのおかげでちょっとした人助けができてよかったです。見捨てていたら、空○の呪いで次々にteamいきもの舎のメンバーの命が奪われて…なんちて。

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さて一宮大日寺に再スタート。もはや時間がないので、今日は大日寺のみで終えようということに。

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↑うん、正解!

たしかに交通量が多いですし、路側帯を走るので、ちょっと危険です。お遍路さんをされる方は大日寺周辺にご注意を。

見えてきたのは一宮神社と一宮大日寺。36.5km

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大きな道を挟んで、神社とお寺が建っています。もともとは一宮神社が納経所だったという話も。歴史的経緯によれば、どちらにもお参りするのがいいかもしれませんね。それにしても焼山寺から長かった…。

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13番!大日寺

大日如来が降り立った地だから大日寺なんだとか。

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五カ所周りと呼ばれる街中お遍路コースだけあって、観光客風の人も多かったですね。

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13番札所、大栗山 花蔵院 大日寺
(おおぐりざん けぞういん だいにちじ)

打ちました。

こちらの納経所、訪れるとサラサラヘア茶髪のお姉さんが颯爽と登場し、鮮やかに書いてくださいました。まだお若い感じの方。正直、意外でした。

まだ17時の納経所統一閉店時刻には時間があります。3キロ先、14番常楽寺に向かいます。

間に合わなくても、遍路道を稼いでおいて、次回にうまく繋ぎたいところ。鮎喰川をさらに下り、一宮橋を渡れば、あとはひと丘越えるだけ。

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日の暮れる中、ラストの坂です。

これを越えると、常楽園という児童養護施設がありました。もともと常楽寺が身寄りのない子供たちの世話をしていたことが始まりなんだそうですね。

境内を開放してスタートしたとのことで、すぐに常楽寺です。

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ええ、もちろん閉まっていましたとも。

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うなだれるRezzoにGarminバッテリー切れのるーさん…。トボトボと最寄りの駅へ。

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どこかおうちの美しい梅と夕焼けに慰められつつ、府中駅(こうえき)に着きました。

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本日の工程、42.3キロ。

獲得標高、約2000メートル。

おつかれさまでした。

足、パンパンです。

 

列車で蔵本に戻り、銭湯で汗を流して、本日のリカバリー夕食、東大ラーメン本店へ。

ここで、日本語マスター中の学生さん?店員と研修中のバイト学生くんがてんやわんやで、5連続注文ミス状態になり「この野郎、許さないぞ!」と思ったんですが、そんなことしたら空○のアレでshibakiリーダーから順番に消されていくんじゃないかと思って怒りを抑えて美味しくラーメンをいただきました、とさ。

その後「安全運転で」無事、帰宅することができました。

 

まとめです。

今回は、藤井寺焼山寺、一宮大日寺の3霊場を回ることができました。

歩き遍路をされている方とご一緒でき、ハプニングがありつつもその中でも出会いがあり、今回も一期一会を感じることができたなと思います。

反省しなくてはいけないこともあります。焼山寺の納経所でお坊さんらしき方に書いていただいた時は、これはありがたいなと思い、大日寺若い女性に書いていただいた時はこの方が書くのかな?と意外に思ったわけです。

しかし、書く人の風貌でありがたみや価値が変わるのかといったらそんなことは決してない。もしかしたらあの女性は高名な方であり、お坊さんと見受けた方が実はただのバイトかも知れません。(バイトがダメというわけではないですが)さらに言えば、むしろそんな人への判断それ自体がまったく意味のないことでしょう。

つまり、本来ご縁を結んだ印をいただいたというだけなのに、いつのまにかそれをくださる方を見た目で判断して価値を値踏みしていたということです。これは反省しなくてはいけない。前回の焼き芋屋さんや納経所、今回の遍路の始め頃、ランスタイル、トレランスタイルの私たちをそのカジュアルな服装で判断することなく、お遍路さんとして敬意を持って接し応援して下さったこと、もう忘れていました。

ややもすれば表面だけで価値判断しがちであること、気づかされた次第です。

 

コースに関して。藤井寺から山道への入り口に足を踏み入れた時から幻想世界に迷い込んだような錯覚に陥りました。映画のような小説のような、別の時代の別の世界に迷い込んだような感覚のまま、一日の旅を楽しむことができました。未だに思い出すと不思議な幻想感に襲われます。それくらいに、厳しくも素敵な遍路道だったと思います。