紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

しまなみ海道 西条〜向島ウルトラマラニック【後編】

50〜60キロ 「伯方の塩!」の伯方島

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大島のアップダウンに足を使いつつも、まだメンタルは元気。走ります。50kを過ぎて宮窪峠。不思議なオブジェが並んでたり、謎のイスで休めたり。

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サイクリストたちを楽しませるポイントがたくさんありました。どのお店にも自転車を停めて施錠するためのポールが準備されていますし、案内標識や地図も充実。

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こんな感じで、コンビニに限定品のタイヤまで売ってました。

また大島北インターではトイレを借りれるようになっていました。SAではなくインターです。料金所にあるんですね。至る所でサイクリストをサポートする雰囲気があって、取り組みの浸透度を感じました。

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坂を下ると宮窪港。海沿いを走ります。岬を回るたびに見え隠れする伯方・大島大橋。その度に大きくなっていきます。島の牧歌的風景と巨大構造物とのコントラストはしまなみ海道の景色を形作っていますね。

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そして、伯方・大島大橋へ。Google先生の示した徒歩最短コースは原付道路で、実際はずっと長かった…。

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降りる時も長い下りを2キロほどたどっていきます。この時、Reiさんは足裏に焼けるような痛みを感じていたそう。やはり舗装道路の下りダメージは大きいですね。しかしまだ中間地点を過ぎたばかり。耐えて走って、ついに伯方島に上陸です。時刻は9時をまわっていました。

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Reiさんは足の痛みがかなりひどい様子。道の駅「はかたSCパーク」に立ち寄りチェックすると足はふやけ大きな水ぶくれが。カットバンとテーピングで固定して再スタートです。持っててよかったエマージェンシーキット。萩に続いてしまなみでも活躍。テーピングはいろいろな場面で活躍しますね。ナギピークス試走会では私もお世話になりました。

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道の駅では伯方の塩アイスや伯方の塩ラーメンに心惹かれましたが、その余裕はなかったです。むしろ、誰もいない食堂に突撃する勇気がなかったのかも…。

そして、私も足裏にかなりの違和感が。チェックしてみると、ボコボコに足がふやけていました。水ぶくれもありますが、まだそれほど心配ないレベル。丁寧に履き直しておきます。少しのソックスのズレでも致命傷になるのでロングでは特に要注意ですね。

道の駅を出て少し走れば60k。先は長い。

 

60〜70kキロ サイクリストの聖地、大三島

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石切場や石材店が多かった大島に比べ、造船所のような建物が見受けられます。島々に産業があり暮らしがあり文化がある。そんなことを思いつつ歩を進めます。

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(よく見るとフォーチュンクッキー号)

もちろん伯方島は製塩業が盛んなんでしょうね。せっかくの伯方でしたが、結局、塩に関しては何も触れられずでした。

大三島橋を渡って、伯方島に別れを告げます。次来た時は、塩ラーメンと塩ソフト食べたいぞ!

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大三島橋は300メートルちょっとのアーチ橋ですが、上りはじめから下り終わるまでの距離は4キロも。最初は楽しかった橋への登り降りも苦痛、苦行に。自転車用と別に階段でショートカットがあるところは見逃さずに使うようにします。もっとショートカット増やして、しまなみさん!

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この辺りから、レモン畑だらけに。手を伸ばせば届くところに青いレモンがびっしりとなっています。喉の渇きを癒すため、こっそりと齧ったり…してません。

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水分補給は自販機で。大三島はラストにファミマがあるだけ。伯方島中盤から無コンビニ区間が続くので自販機はありがたいです。特にCokeONの自販機は現金不要な上に購入時刻までアプリに履歴が残るので後からラン分析する助けになりますね。リアルゴールドいろはす桃をチャージしました。

ここまでサイクリストをほとんど見なかったのですが、徐々に増え始めます。タンデム車にも追い抜かれて、サイクリングロードであることを実感。一方、ランナーにはまだ出会いません。お盆の土曜日、こんな走りやすい道があるのにみんな何してるの?

しかしランナーたる我々ですがキロ6分台で走れる時間がほぼなくなり、走れても7〜8分、歩きも混ざります。前半でシューズを濡らし、ふやけきった足で走るとシューズ内でパンパンになり、まるでずっとつねられてるような痛みがくるのです。筋肉痛のような痛みに加え、ジンジンとした痛みも襲ってきて、まともに走れない区間が長くなってきます。体験しないとわからないことって多いですね。

それでも潮風に背中を押されて海沿いを走っていくと、ついに見えてきました。多々羅大橋です。あの橋を渡れば広島県

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徐々に大きくなっていく多々羅大橋を励みに痛い足を前へ。見えてきたのは道の駅「多々羅しまなみ公園」。このあたりから、カフェインとり過ぎてトイレが近くなり、トイレ探しにも必死の走りに。なので道の駅はとてもありがたい。

道の駅に「サイクリストの聖地の碑」という看板を見つけ、行ってみることに。

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本当に聖地なのかどうかは知りませんが、サイクリングする人たちにとって走りやすいコースにしようという地域の意気込みは感じられるしまなみ海道ですね。

一息ついたら、いよいよ多々良大橋へ。

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70〜80キロ 歓喜の多々良大橋、地獄の生口島

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サイクリストたちとたくさんすれ違いつつ多々良大橋に登ります。県境はどこだー?と走っていくと、「多々羅 鳴き龍」の看板。

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ちょうど主塔(というらしい)の真下から見上げた写真です。ここで手を叩いたり「ヤッホー」なんて叫ぶと、何十回もこだまが返ってくるんです。平行に並んだ2本の柱の間で音がきれいに跳ね返るからなんだとか。その音は甲高くなりつつ上に登っていくように聴こえるので、まさに鳴き龍!拍子木なども置いてあり、そこでしばらく遊びました。

そして、多々羅大橋のちょうど中間地点までくると、念願のペイント発見。

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県境です。

ありがとう、愛媛県。こんにちは、広島県

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海上の県境をしばし楽しみます。ずぶ濡れなので、座り込んでも気にならないという…。

多々良大橋は足の痛みを忘れて、束の間の休息を与えてくれました。今思えば、ここが最後の楽しいポイント…。

多々羅大橋を渡り切ると生口島瀬戸田町瀬戸田レモンの里です。

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しまなみ海道としては、生口島は北側を通るのがメインのコースです。しかし、事前の計画でGoogle先生によれば南側コースの方が1k短く、高低差も少ないので南を通ることにしていました。橋を渡ると、南に降りる道を……ない。地図にあったのは原付道だった模様。調べると別にも南に降りられる道があり、そこを進むことに。急な下りが足裏に響く…キツいです。とにかく耐えてレモン畑の間を下ります。

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(73k付近。写真撮る気力がなかったのでストリートビューで雰囲気を味わってください…)

やっとの思いで一般道に合流。生口島橋へ続く道をスタート。もはや、足は棒のようになり、足裏の痛みで足全体が麻痺したような感覚に。まともにはとても走れません。Reiさんは爪先立ちのようなフォームで痛みを分散。ふくらはぎが終わるのが先か、フィニッシュが先かというギリギリのスタイルに。

またエネルギー切れも感じます。固形物もジェルもしばらく取れていません。自販機のドリンクだけで糖質を取り、体脂肪で走ります。少しでも坂なら歩くしかありません。

生口島の景色はレモン畑と点在する住宅、そして瀬戸内海。穏やかでほっとする風景も、もはや代わり映えしないただの背景に。

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(78k付近。貴重な自販機ゾーン)

Reiさん、最長不倒距離を更新。萩往還を超えます。ここからの一歩一歩が最長距離の記録更新になりますね。しかし、その一歩が重い。まだ尾道まで30k近くある上に、生口島がとにかく広い。先を考えるのではなく、今に集中します。

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道沿いの中学校です。なんと、校庭にトイレと自販機があり、サイクリストに開放されています。これはありがたい。

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雨で人には会わないんですが、しまなみ海道を走ると歓迎されていることを感じられますね。

 

80〜90キロ はっさくの島、因島

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長い長い…長い生口島ラン。

徐々に因島が見えてきて、少し元気が戻ります。対岸にハローズ。広島を実感します。

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因島に渡る前にセブンに寄り、ドリンクチャージ&補給。…した記憶はあるんですが、内容が思い出せない。もう眠気と疲労低血糖で頭が回りません…

そして、ショッキングな出来事が。なんと新品でバッテリーが長持ちするはずのReiさんのGarminがバッテリー切れで終了。ここまできて、そんな仕打ちが。かなり凹んでいました。なお、後から80キロまでのデータは復旧できました。設定を省エネに振っておかないとウルトラには対応しないようです。

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この生口島橋も登り降りに4キロかかります。走る力が出ません。下りは走れそうな気がしますが、足裏が痛むのでむしろ下りが辛い。

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ショートカットを探るリスクは取らず、素直に自転車用の長い道を進みました。

そして、因島上陸!今回のお楽しみ、はっさく大福のお店に立ち寄ります。

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「はっさく大福は11月から6月しかないんですよー」

83km走ってきて、この仕打ちかよ…笑

しかし代わりに食べた夏レモン大福がはちゃめちゃに美味しく大満足。溢れるフルーティかつジューシーな柑橘の甘味に元気が回復します。

お店のご夫婦もコミニュカティブで楽しくお話しさせてもらいました。また行きたいですね!

近くのファミマでコーヒー補給。シロップ2個入れてエネルギーを稼ぎます。

因島は、かなり街です。人も多く、サイクリストも多い。(ランナーはゼロ…)通り過ぎるサイクリストと交わすあいさつにパワーをもらいつつ、ひたすらにしまなみ海道の青線に沿って走ります。キロ6分台まで上がることはほぼなく、7分台で粘る、止まるの繰り返しでした。

 

90キロ〜 追憶の向島

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それまで、事前に調べた最短距離を走ってきたわけですが、因島ではその気力が消えました。とにかくしまなみ海道のコースを走ります。交通量のある道の路側帯走行もあるんですが、スマホを取り出してコース確認する余裕もなく、ただただ青線を追うことに。

島の中盤はまたもや峠越え。金山や萩に比べればフラットなんですが、今の足には苦痛です。

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農道っぽいところに入ると交通量が減って走りやすくなります。

写真も書き加えることもありません。痛みの少ない接地とフォームを探りつつ、黙って進むだけになりました。時計は16時をまわり、タイムリミットが迫ります。

海沿いに出ると右手に因島大橋が。橋の遠影は希望だったのですが、あの高さに登るのか、下るのか、とげんなりします。そして、もう時間がない。気力を振り絞って登りはじめます。

北田さんのように悪魔の天使のやりとりをさらに上から眺めるような境地には至っていません。悪魔が勝ちっぱなし。走る気力はなくなりました。歩いて橋の上へ。

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因島大橋に登りました。この橋では、歩行者自転車そして原付は車道の下を通ります。車道が屋根になり、ほとんど雨がかかりませんが、隙間から水が滴ります。これまであれほど浴びてきた雨粒を、なぜか避けようと端によって歩きます。この時、それほど意識してなかったのですが、歩きメインになると濡れた体に風が吹きつけ体温を奪われていたんですね。かなり冷えていました。長い長い因島大橋を渡っていくと、向島の道が見えてきます。青線です。あの道を行くんです。尾道まであと12キロ。気が遠くなりました。

そして、ついに私のEPSONもバッテリー切れ。記録上は94キロです。途中、時計のスタート忘れをかなりしていますし、精度を下げたための誤差も大きいので、これがGarminだったらと思わずにはいられません。今回、走行距離が100kmに到達していた可能性は十分にありました。でも、お楽しみは次に持ち越しです。

そんな悲しい状況に拍車がかかります。はっさく大福屋さん近くのファミマからすでに10キロ以上無補給でドリンクも補食もなし。見える道は狭くこのパワーでは路側帯を走るのは困難そうです。

日は暮れていきますが、ヘッデンは切れ、スマホのバッテリーも危うい。モバイルバッテリーもいつまで持つか。

タクシーは?島に来てもらえるのか?バスはあるのか?そんなことを頭によぎらせながら渡り切ると、歩行者用の階段を下ります。福山階段15往復目よりもキツい下り階段でした。

下り切ったところでReiさんからリタイアの提案。ホッとした自分がいました。止める理由しか考えていませんでしたね。Rezzoの挑戦は向島-立花臨海公園で終了となりました。

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しかし、バス停は遠く、タクシーは来てくれるのかどうか。この絶望感は忘れられません。

島内のタクシー会社があり、電話すると15分で来てくれることに。長い待ち時間に感じました。

レインジャケットを敷物がわりにしてタクシーに乗り、しばらく走って渡し船乗り場へ。この距離は走れんかったね、とReiさん。10キロ以上残っていました。

渡し船を待つ間に、震えがきました。ひどい悪寒です。これは低体温だなと。慌ててレインジャケットを着て、飴玉を放り込み、少しでもエネルギーを入れます。ガタガタ震えながら、100円の渡し船で対岸の尾道駅前へ。

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お風呂で暖まろう、まずは荷物だ、と震える足でヤマト運輸へ。

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大雨で閉店していました…絶句。

そして電話をかけても繋がらない。翌日ヤマトの話では電話パンクしていた模様。そりゃそうだろね。

セブンで下着など買い、スーパー銭湯へ。服を脱ぐにも時間がかかり、しかも低血糖で頭も回らない…。温泉では1時間かけて体を温めましたが燃やすものがなく、たいして温まりもしない状態。足はぶよぶよで、床の石畳に悲鳴をあげたいくらいの痛み。ロボットのような生まれたての子鹿のような、そんな動きでお湯から上がります。終電が近いので戻らねば。

期待していた尾道ラーメンにもありつけず、寂しいフィニッシュに。駅のセブンで買った暖かいほうじ茶にしがみつくようにして帰路へ。

駅でSuicaの乗車取り消しをします。ここで乗車証明には「備前西市(大多羅)から乗車して岡山から特急で伊予西条」に乗ったと書いてあり、言われた通りに支払ったわけですが、なぜか駅員から金額が足りないとの指定をうけ、Suicaで追加分を支払うことに。備前西市には特急は止まらないし、岡山から特急に乗ったと伝えていたのも関わらず、正しく請求していないという…。JR四国にはほんとに失望しました。しかも、こちらを責めるような言い方をする尾道駅の駅員にもがっかりです。全てそちらのミスですよ!

そんな残念なこともありましたが、無事に終電には間に合い、帰宅することができました。

 

まとめ

しまなみ海道ウルトラマラニックは、最後の島である向島に渡ったところでタイムアップになりました。

しかし、やるだけのことはやったかなという充実感があります。

スタート地点トラブルでの9キロ延長や大雨への対応、徹夜でのラン、想定外の橋登りアップダウン、歩行者道と原付道との混同など、計画段階でのミスがやや多かったかなというのが反省です。

その一方で、蒜山大山、サロマ湖萩往還などでわかってきたロングへの対応力で、装備品や補給、保温など持ち物準備の面では洗練され、無駄のない荷物で走れたと思います。

また初挑戦となった徹夜ランが無事にできたことも大きな収穫。なんとかなるもんですね。

足裏の痛みは3日4日では取れない様子で、しばらく治るのに時間がかかりそうですが、回復したら足底トレーニングをしていきたいですね。

しまなみ海道は、島の中を車で走り、橋だけランニングするならとても楽しそう。いつかteamいきもの舎で再チャレンジしたいと思います。

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