紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

第10回柴又100k レース編

(アプリのバグで、初めに公開した内容が一部消えたため、記憶を辿って書き直しました)

 

準備編に続き、レース編です。

f:id:RunTazzo:20220525232028j:image

仲間とモチベーション

レース前々日となる金曜はことぶき先生のところへ。突き指に最後の施術をしてもらい、さらに足裏が痛む問題に対して、これを和らげる施術を「餞別」としていただきました。これがレース後半を救うことに。

また番長から差し入れとエールをいただき、気合が入ります。仲間っていいね!

「走り込みはできてないが、何が何でもサブ10の称号を掴んでやる。故障あけでも目標は1ミリも下げるものか。」

明確に目標を意識することができ、レース前の高揚感をここで感じ取ることができました。

 

今回のギア

f:id:RunTazzo:20220526093141j:image

シューズ…NIKE Zoomfly4 25.5cm

いつものZF3より0.5大きいのはステップスポーツのアドバイザーさんが、カカトのクッション分だけ大きめを選ぶべき、と。履き慣らし5キロでZF4を投入するのはギャンブルでしたが、相性の良さを信じます。これはシンスプ対策でもあります。ホントはasicsで行きたいんですけどね。

f:id:RunTazzo:20220527183502j:image

ソックス…5本指でアーチサポートのあるマラソンソックスでした。足裏対策でアーチサポートは必須です。

肌着…エアリズムTシャツ&ブリーフ。自分の定番です。

パンツ…ノースやアディダスそっくりのマルチポケットパンツ…。アスフォームです。ジェルを入れるためのチョイス。

ウェア…我らがteamいきもの舎Tシャツ。UNIQLOのドライメッシュです。

キャップ…asicsの安物。

ウォッチ…EPSONのみ。Garmin235は留守番。

ポーチ…ユレニクイpro。ザックでなくポーチをチョイス。

ジェル…スタート時に6つ。ドロップバッグ(49k)に5つ。スペシャルバッグ(77k)に4つ。

ユレニクイのボトルホルダーにはミニポカリにメダリストを溶かしたものを保持。予備の給水とします。

その他、ミニカイロで胃腸保護、ワセリンで足保護。焼石に水ですが、日焼け止めも。

ドロップバッグには、日除け付きの替えキャップ(暑さ対策)、HOKA Rincon 28cm(足裏が痛んで走れない場合)、クリップヘッデン(失速して完走ペースに落ちた時用)をいれます。

f:id:RunTazzo:20220527183527j:image

その他、前日の軽食としてパンにカステラ、大福、どん兵衛、スライス餅、プロテインドリンク、エビアンなどローディング系飯を持参しました。おにぎりは現地調達。

ゼッケンにメッセージが書けるので、ホイミンがいない代わりの「ホイミ!」と「レベル19遊び人」の自己紹介を印刷。日除けと保温になるので全部持っていきます。前に1枚。後ろに3枚。午後の日差しはこのゼッケンが遮ってくれるはず。

 

土曜日

朝6時前に岡山を出ます。

道中、おにぎりとパンをかじりながら高速を走ります。エビアンでウォーターandミネラルローディング。

聴いてる曲が変わるたびに肩を回し、クルーズコントロールでアクセルから足を離して足首も回します。とにかく、固めない。

f:id:RunTazzo:20220526103952j:image

100kmという数字にやたら反応…。

そうこうしてるうちに、宿泊地である松戸に。

ホテルにチェックインすると、友人が出迎えてくれました。

学生時代からの悪友で、私のフル初挑戦を鼻で笑い、完走したら本人が走り始めたという愉快な野郎。負けられないライバルです。

f:id:RunTazzo:20220526104101j:image

おかやまマラソン以来の再会に話が弾みます。珍しくレース前日が外食に!マグロ漬丼に筍ごはんおかわり。

応援に来てくれるというので、後半の苦しいときに喝入れてくれと頼みます。これが命綱になろうとは。

 

f:id:RunTazzo:20220526105217j:image

セブンで買い出し後、ホテルで最終チェック。

エイドの箇所を確認し、預かり荷物、ドロップバッグ、スペシャルバッグに割り振り。

シューズにチップ装着!これ、上がる!

餅うどんとチョコクリームパンでカーボローディング。

軽くストレッチとマッサージで疲れを取りつつ、teamの皆さんに報告。寝ます。

 

日曜の朝

4時前起床で、餅入うどんとチョコクリームパン、おにぎり2個でローディング。凝縮栄養、ポカリでビタミン&ミネラル&水分摂取。

突き指した小指にことぶき先生直伝のテーピングを施します。軽く足首周りをストレッチの後、ワセリン、日焼け止め、着替えを済ませチェックアウト。akippa駐車場からスタート地点へ。

f:id:RunTazzo:20220526110000j:image

スタート地点は、帝釈天のすぐ近くです。

向かっているとゴリゴリのウルトラアスリート体型ランナーがゾロゾロと歩いています。いいなぁ、この大会の雰囲気!

f:id:RunTazzo:20220526110445j:image

柴又100名物のお団子屋さん。立ち寄れずに残念…。

ここから土手を越えると会場です。天候は曇りで15,6度。このままの天気なら最高なんだけどなぁ。予報だと晴れて24度まで上がる模様。

f:id:RunTazzo:20220526110627j:image

キター!柴又公園です。矢切の渡しで有名ですね。

まずは、検温して体調チェックシートを提出。なんですが、とくにシートを確認することなく回収。あ、そうなのね。

世界選手権の代表選考も兼ねているので陸連登録の選手が大勢います。6時間台で走る選手とのすれ違いが楽しみです。

参加賞のTシャツと草大福、ガラスの写真立てを受け取り、荷物を預けます。ドロップバッグ&スペシャルバッグも預けるのがウルトラっぽくていいですね。

トイレの大行列に並んでる時間を利用してストレッチ。スタートブロックでもストレッチ。この慌ただしさも懐かしい。

足首、アキレス腱、前腿、ハム、股関節のストレッチまでで時間切れ。会場まで1.5キロ歩いたのをアップということにしておきます。

f:id:RunTazzo:20220526111701j:image

 

レースプラン〜当然のキロ6未満ラン

キロ5:30で巡航し、10キロにつき5分休憩してピッタリ10時間。

休憩を節約して貯金していき、後半のペースダウンに備える計画。

走り込み不足で自信はありません。いけるところまでいってやる、という気力頼みのプランです。シンスプ悪化で万一疲労骨折でもすれば、その時点でゲームオーバー。無理はせず、走り切れるギリギリを狙います。

 

スタート〜久々のリアル公認レースへ

トイレがとんでもない大行列でかなり時間を使いましたが、どうにか間に合いました。トイレ、足りてなくないですか?登録の部の人を優先するトイレがあってもよさそう…。

参加人数は多くないのでざっくり整列し、うまいMCの盛り上げにのってテンションをあげます。公認のリアル大会やべー!

f:id:RunTazzo:20220526220805j:image

6:30に登録の部のアスリートたちがスタート。我々Bブロックは6:37スタート。ウルトラだけど明るい時間帯です。静かに走り始めました。

周りの選手の目標タイムが背中ゼッケンでわかるのでサブ10目標ランナーの集団につきます。向かい風が強いので、集団の中で体力温存。

足指を広げること、2軸を心がけること、骨盤前傾をキープすること、腕振りでリズムを作ること、すり足気味にして接地ダメージを減らすこと。これらを可能な限り守ります。

2.5k給水付近で、柴又フィニッシャーズTシャツ(タイムは9:51くらいでした)を着たランナーさんにつきます。ベテランでコースを知っているはず。しかもフォームが安定。こういう人に背中を借りたい。なお、体力温存のため給水はしばらくスルーしていきます。

スタート地点は土手の下の舗装路なんですが、第一給水過ぎで土手上にあがります。これがなかなかの急登にして高低差あり。百間川の土手より2倍は登る感じ。

土手上は、さらに風が強く集団内部から外れないようにコースどりをします。ときおり顔を上げると見えるのが江戸川河川敷の風景。左手には住宅地、右には河川敷とスポーツ系グラウンド、遠くにビルや煙突。関東平野の広さを体感します。さすが江戸幕府

5kmまでのラップはキロ5:24。ややオーバーペースですが集団から遅れたくないので良しとします。

8キロ過ぎでジェル。ピットインを摂ります。ピーチ風味。早め早めにジェルを入れるプラン。周りのランナーも同じようなタイミングで補給していました。

5〜10はキロ5:26。順調。

f:id:RunTazzo:20220526232106j:image

10〜変わらない景色、変えないランへ

10キロ通過しても同じ景色です。体も温まり、スムーズに進んでいきます。この調子なら100kでも200kでも走れそう。そんな感覚。ランを意識することなく、体は勝手に進むように。

エイドはまだ取りません。ヤマザキのブッセが美味しそう。今回、エイドのほとんどがブッセでした。毎回、違う味が出ていたので、制覇したかったなぁ。噛み切りやすくクリームで食べやすいというチョイスでしょうか。でも口の水分を持ってかれそうで手を出せません。エイドが水→(スポドリ)→ブッセの順だと食べにくいよ!なお、15kまで5:27でした。

それにしても景色が変わらない…。まるでスタート地点に巨大なトレッドミルがあって、その上をみんなで走ってるかのような感覚。

それでも前の選手のゼッケンを見て、和んだり笑ったりしつつ走ります。子供からのメッセージや「今夜は飲むぞ」系、そして、やっぱり多いのがサブ10。サブ10してウルトラ引退するぞ!っていう人も。

フォームのポイントを定期的にチェックし、かつ省エネになるように無駄な動きを抑えます。これは必要だったわけですが走り込み不足からか力みが出て筋力を無駄遣いしていったようです。早めに前腿が疲れました。

気づけば20キロへ。まだまだ序盤。天候はほぼ変わらず、景色もほとんど変わりません。

唯一、20k辺りで見たことのある風景が。この空の広さは、さいたま国際マラソンの折り返しあたりで見た越谷付近の風景じゃないか!ちょっぴりテンションアップ。それでも単調に違いはありませんでした…。20kまで5:31。エイド手前でマグオン投入。ラフランス味。美味い。

f:id:RunTazzo:20220526233222j:image

20〜フラットコースと土手ランプ

土手の道幅は、広いところと狭いところをくりかえすんですが、20kからしばらく狭いまま。すれ違う散歩のおじいちゃんや追い抜いていく自転車に気を遣います。

しかし、案内看板には「大会あるから千葉側を走ってね」のようなことが書いてあって、並走する人などは応援に来てくれてたりなんですね!

ナイスラン!いってらっしゃい!がんばれ!

そんな声かけを受けながら進んでいきます。

うれしいですねー。でも、今回はあまり声援に応えないことに。ほんとごめんなさい。余裕ないんです。

エイドはテーブルが短く、他のランナーがいると減速必至。なので、ユレニクイに入れたボトルから給水も併用します。早歩きで止まらず飲むことに慣れててよかった。

22kあたりで河川敷に降ります。ジグザグに降るのでヘアピンカーブに。序盤は大丈夫なんですけどね。下りはしっかりペースダウン。まだ余裕はありますが、着地が強いと足裏、スネ、胃腸にダメージが入るので慎重に。

なお、高低図は↓

f:id:RunTazzo:20220527130052j:image

こんな感じです。激フラットですが土手⇆河川敷のランプが極端にキツいです。橋の下をくぐるランプ部分も気をつけないと足を使いますね。

降り切ると砂利道1.5キロ。ローラーでかためてくださってるそうですね。感謝感謝。しかし、走りにくいのは事実なので、ベテランランナーさんのコース取りをマネします。うまく端を選んでムダな体力を使わないように。ここを復路で走るときはどんな状態なんだろう、とガクブル…。

土手に戻る坂も当然なかなかキツいですね。ここもペースダウン。25kくらいから土手は広めになります。25kまで5:24。この辺りで牛舎があるのか、家畜の香りが漂っていました。苦手な人は、とくに復路で吸い込まないように。吐けます。

変わらない景色の中、フォーム修正だけは気を遣いました。とにかく怖いのは後半ですからね。ジグザグで下ったりして橋をくぐります。スポンサーが味の素なのでアミノバイタルのアミノショットが配られており、それをいただきました。ジェル買わなくていいじゃん!カロリーは足りないのでアミノサウルスのジェルを取りつつ、30kを迎えます。

30kまで5:24 。レース中の最速5キロラップでした。

f:id:RunTazzo:20220527104535j:image

30〜序盤終了、炎天下ランへ

30kまではトイレ我慢と思っており、30過ぎのエイドでトイレへ。思い切り体重が軽くなった気がします。いつの間にか身体が重くなってましたね。これで動きが軽快に。気分転換にもなりました。ついでに確認すると腹部も冷えてなかったです。胃腸保護はミニカイロで万全でした。

直後に「龍Q館」なる特徴的な名前の施設が見えます。沖縄のなにかかな?と、あとから調べると

f:id:RunTazzo:20220527131350j:image

首都圏外郭放水路地底探検ミュージアム」だそうです。行ってみたい〜。なお、写真は春日部市役所WEBサイトから。

そんなこんなで35k。5:38です。トイレロス45秒を考えたら予定以内です。そして、また砂利道へ。ここは短いと言っても800メートル。足を取られますね。

この辺りからたしか日差しが出てきました。気温はどんどん上がってきます。感じる感覚は脱水症状の前触れ。腕に熱がこもり、顔が火照ります。対応しないと確実に潰れそう。序盤ですが、距離はもう30超えてますから気づかない発汗もかなりのもの。

給水では確実にスポドリを取り、水を背中に。38kあたりで一度土手から離れ、「エコスポいずみ」エイド。ここから、かぶり水を毎度のように利用することに。

この39kという地点は、フルとウルトラの差を大きく感じますね。

フルだと残り3キロの最終盤。

ウルトラだと30キロ台はまだ1/3の感覚なのでまだまだ序盤。

気持ちの持っていき方が違いますね。

f:id:RunTazzo:20220527131927j:image

すぐに土手に戻り、40kを迎えます。5:25ペースは安定。貯金も15分を超えました。レースは中盤へ。

f:id:RunTazzo:20220527132612j:image

40〜ウルトラ名物を楽しむ

ウルトラ名物?42.195通過。この辺りで、左足裏にやや重めの痛み。足裏に来はじめました。いやな雰囲気です。やはり右を無意識にかばう左右差が出ているようです。意識しすぎると逆に悪いので、あえてフォームは気にしません。これまで通りを貫きます。

また河川敷におります。3回目の砂利道。1kmあります。足裏の痛みを気にしてペースダウンです。そろそろキツさが。

45kまで5:36。貯金はレース中最大の17分に。つまり、ここからこの貯金をつぶしはじめたんですね。

45k過ぎに左に折れます。その手前あたりで、応援の方から「えーTシャツかわいい!」と声かけていただきました。テンション爆上がりです。マスター、いきものくんが褒められましたよ!

そして、茨城県五霞町を走る街中10キロラン。1番楽しい区間かも知れません。49キロで大型エイドひばりの里へ。ドロップバッグ受け取りポイントです。ウルトラらしい!

f:id:RunTazzo:20220527140153j:image

ここでチームメンバーに「アップ完了」と余裕なフリをするLINEを投稿。全ての余裕を使い果たしました笑

また、他のランナーさんから「背中の『ホイミ!』に癒されました。背中をお借りさせてもらいました」と声をかけていただきました。これ、うれしいですねー。後ろにつかれるのを嫌がる方もいますが、私は大歓迎。だって、何の邪魔にもならないし、そもそもフォーム汚いランナーにはつきたくないですよね。褒められてる感じがして嬉しいんです。あ、私は身長が160前半の人権なし男なので風よけにはなりません。あしからず。

ドロップバッグから帽子を取り出し交換。日除けを広げ日差しを首に当てないように。シューズは交換しないことに決めます。足裏の痛みは始まってましたが、それほど大きくもなく、それよりもカーボンプレートによる反発で楽に5分台が出せることを取りました。ジェルをポケットに詰め直し、ポカリと速攻元気、アミノバイタルを飲み干します。また岩塩粒を口に放り込みます。北海道マラソンの時にやったストレート塩分補給!エイドのおにぎりはスルー。残念ですが、胃が怖い。そのかわり、しっかりかぶり水。

シューズの紐をやや緩め、後半に向け再スタートです。

エイドを出てすぐに、9:51フィニッシャーさんを見つけ、付かず離れずのポイントへ。50kはほぼ同時に通過。ベテランの安定したランを見習います。この5キロは7:10。ドロップバッグ受け取りを除けば6分は切って走れています。

f:id:RunTazzo:20220527143404j:image

50〜「キツい」ランのはじまり

ついに後半戦です。

足裏の痛みに加えて、左右の前腿に疲労感。ズムフラの反発に足を使っていました。日差しは強く、汗もかなりかいている気がします。

それでも55kまでは街中ラン。変化があって楽しいです。途中、沿道のお家の方が、ホースをシャワーにして水をかけてくださいました。ありがとう!めっちゃ気持ちよかったです。有無を言わさず放水されるので、濡れたくない方は逃げてね笑

55kまでは5:39。すこし貯金を戻しますが、それもここまで。

土手に戻ります。容赦ない日差しが襲ってきます。真夏のランをやってる身からすれば大したことないんですが、暑熱順化がまだ甘く、暑さ慣れしてない身体です。しかも、すでに50k以上ラン。どんどん体温の上昇がある気がします。ここで自分ルールを決めます。これ重要。

まずかぶり水は確実にする。エイドのスポドリは2杯飲む。水は1杯飲む。(水だけエイドが半数)そのために、立ち止まらざるを得ないが、かぶり水&給水を優先する。そして、ジェルは無理しない。というのも、またハンガーノックの近い時になる体の感覚になってないんです。重さも瞼の下がる感じもない。カロリーより胃を休めます。

エイド区間で30秒落ちても他で5:50をキープすれば2.5キロにつきロス15秒。復路で5分のロスにしかならない、との皮算用。とにかく、エイドの度に体を冷やしまくる作戦です。

58k。残りフルマラソン一本。なんだキロ6でフル走ったらサブ10じゃん、楽勝楽勝!と自分を鼓舞します。楽勝な感じなんて微塵もしません。計算できない時点では、この手の楽観視は効きませんでした。

徐々に1キロが長くなります。トイレに寄って軽量化しつつ足を休めます。どうにか60k。6:36に落ちましたが、これは砂利道4回目とトイレに並んだから。そう信じたい。

f:id:RunTazzo:20220527145143j:image

(ここからルート図はランキーパーのもの。南北向きを変えてます。)

 

60〜地獄の入り口

60k台は、地獄の入り口でした。時刻は12時を過ぎ、気温も高く日差しは強くなります。土手は陰がありません。木陰ください、木陰…。

ただ、日除けつきキャップや背中にゼッケン3枚は効果的だったと思います。

前を行くベテランさんもすごい量の汗をかいておりエイドごとにザブザブとかぶり水。私も負けじと被ります。シューズがずぶ濡れでガボガボいいはじめますが、そんなことより冷却優先。ズムフラのフィット感なら濡れても走り切れるだろうと甘い判断。でも、正解でした。

62キロ地点のボランティアさんが「あと少しです!がんばって!」と。少し?「38もあるよ」とボヤいたら笑ってくれました。38キロをあと少しだなんて、きっと北田隆夫級のすごいランナーさんなんだと思います(自爆

景色は変わりません。見事に変わりません。進んでいるんだから画は拡大しているはずなのに拡大してもしても同じ画…これってフラクタルマンデルブロート集合?なんてどうでもいいことを考えながら時間をつぶそうとします。

河川敷に降る坂が厳しくなってきます。かなり慎重にならないと前腿や足裏が痛みます。そして、また砂利道。大きな石を踏むとよろけます。体幹が終わりはじめました。65kまでキロ6:05。

ジェルを取ろうとしますが、胸焼けと吐き気に襲われます。ジェルはただ重いだけの荷物になっていました。カロリーはスポドリとコーラで摂ります。

エイドでかぶり水をし、走り始める時の足が重い。攣りそうになります。66k地点は2/3。まだ70来てないのに、こんなに弱るのか?走り込み不足を痛感しました。

ただただ無心に暑さに耐えて、ウルトラの壁と言われる70kへ。フル30の壁は糖の枯渇と足の消費、乳酸の波なんだと思いますが、ウルトラの壁の意味はわかりませんでした。ただ、この時感じたのは、この疲労や痛みの中で残り30kもペース維持して走れるのかという絶望感。貯金はあるのに、希望が持てません。エイドの度に貯金は大幅に減ります。エイド残り15箇所で1分ずつ吐き出したら貯金ゼロ。そこからキロ6弱で走れるイメージがわかない。痛みは増強し、脱水も進んでいるように思われる。限界疲労蓄積曲線と限界達成曲線との交点が70k付近なのか。そんなことを考えます。

ゴールしている自分が想像できないんです。もうダメだなと感じたのは実はこの辺りでした。諦めが頭をよぎる、いやよぎるどころではなくて、この足でウルトラなんてやはり無謀だったかと変な悔しさが。

ただ、例のラン友が77kで待つという話をしていたことを思い出します。そこまでは予定ペースで行かなくては。止まるわけにはいかないぞ、とペース維持のために力を込めて蹴ります。蹴れたんです。しかし、70kまで6:29。貯金を5キロで2.5分消費したことになります。

f:id:RunTazzo:20220527152600j:image

70〜ラン友のチカラ

はっきり覚えてないのですが、どこかでスカイツリーが見えました。東京だ!

しかし、針先のようなスカイツリー。あんな遠くまで走るのか?気が遠くなります。

気づけばベテランランナーさんの姿が見えません。どこかではぐれました。恥ずかしい限りですが、周りのランナーさんに引っ張ってもらうことを躊躇しませんでした。サロマ湖フィニッシャーズTシャツのランナーさんに背中をお借りしたのは、このころかもしれません。ベテランさんに頼りっぱなしですね。この方とはフィニッシュ後に再開することになります。この辺りから単独走が中心のランが始まりました。

70〜75kは比較的走りやすい広い土手。といっても足はさらに重くなり、ペース維持が厳しくなります。ズムフラはフォーム修正さえすれば5分台にスーッと上げてくれるんですが,そのかわり足攣りがきます。苦しい。

周りのランナーにも異変が次々。草むらにキラキラ効果を出しながら倒れ込む人、足を掴んで悶絶している人、目の前の坂で足がもつれて転倒する人。そんなランナーたちを間近で見ます。スタッフ配置はとても多く、無線で連絡が飛び、自転車で全力救護が来ていました。スタッフのみなさん、ありがとうございます。

しかし、そんな様子はやはり「次は自分ではないか」という恐怖心になります。胃のムカつき、暑さからのフラつき、足攣り、痛み、どれをとっても倒れる可能性を感じます。この恐怖心との戦いもあったんですね。

75kまで6:05。走りやすい土手で少し戻します。

しんどさがもはや限界になり、ついに悪魔と天使のバトルが本格化します。

疲労骨折スレスレだったんだぜ。故障あけなんだから、もういいじゃん。タイムより完走。怪我しないように無理せず行こう。骨折なんてしたらサブ3も消えちゃうぞ。なんなら一生タイムは狙えなくなるかもよ」

そんな論理的にして冷静な判断で悪魔が囁きます。苦しい時って毎度こんなですね。悪魔は極めて狡猾。褒められることとして、失速やリタイアを勧めてきます。これは本当に苦しみました。

しかし、スネに痛みはありません。回復とフォーム修正で万全を尽くしたんです。フォーム変更でダメージはへり、その衝撃はズムフラが吸収。何ともないはず。悪魔の囁きに対抗します。

そこに現れたのは河川敷の砂利道1.5キロ区間。暑さと痛みで全身が悲鳴を上げています。歩きたい。それでも歩いたらサブ10は絶対に不可能。まだ20キロ以上あるんです。落としてもキロ6.5まで。粘りに粘ります。

はるか前方に土手を折り返して登るランナーの姿。あれを登るの?!

その坂に差し掛かり、ついに走れなくなります。

f:id:RunTazzo:20220527161116j:image

とにかく腕を振り、早歩きで登ります。そこで声がかかります。

「順調じゃん笑」ラン友でした。

思わず出たのが「おせーよ…」本音でしたね。

何がいる?と見せてくれたのは、エナジードリンクやいろんなジェル、袋いっぱいに買ってきてくれていました。でも、胃が受け付けません。かわりに今あるジェルなど荷物全部を渡します。もうジェル一個すら持ちたくない状態でした。あとはエイドのスポドリとコーラで走り切ってやる。ハンガーノックが先かフィニッシュが先か。大きな賭けに出られたわけです。彼には感謝の言葉もありません。

荷物を渡してるうちに足が固まっていました。草むらにうずくまるランナーたちもきっとこんな状態でしょう。一度止まって気合いを抜くとそこでリタイアなんだと痛感。可能な限り止まらずに走るしかありません。もはや激痛に近い痛みの中で足を動かします。彼の「もう一ヶ所くらい寄るわ」を背中で聞きます。

ただ、順調に見えていることは意外でした。あとから応援ナビで見る限り、たしかに順調なんですね。そして、その向こうにいるチームメンバーたちのことも思い出します。そうか、順調に見えるのか。これで投げ出したら、本気でガッカリさせるぞ。と、またペースを戻します。

気づけば5分台に戻っていました。

80kまで6:34。まだ貯金はありますが、このままではサブ10が厳しくなるのもまた確かです。

f:id:RunTazzo:20220527162636j:image

80〜「これはもらった!」という確定感

さて、70k以降は、60キロの部のランナーたちも合流しています。我々が差し掛かる頃の時間帯はどちらかというと後半の選手たちなので、歩いている選手の方が多数でした。

それ自体は問題ないんですが、土手はギリギリすれ違える幅の所もあって、追い抜きに苦労するところも。パッと前に出る力が出ません。攣ります。

なので、思わぬところで時間を使ったり足を使ったりしました。普段から単調な練習のみではなく、メリハリのあるファルトレクやウェーブ走をすべきなのがわかりますね。

たまに日がかげる時もあり、雲に感謝してみたり、やや傾きかけた太陽をありがたく感じたりしつつ、とにかく粘ります。

どこかでエイドのブッセとコーラを摂りました。気分転換ですね。しかし、止まればすぐに足が固まり、走り出しが辛くなります。

ランナーがいれば後ろにつき、考えずに走る。とりあえず頭の中で音楽をかけて気を紛らす。ブログやツイッターのネタを考える。そんなことで時間を使おうとしますが、痛みやキツさがやはり先に。

そのうち、あまりのキツさに「天変地異が起きて大会中止にならないかな」「車が突っ込んできて、強制リタイアでいいや」などと考えはじめました。

その一方で79キロなどでは「残りハーフ。しかも、それをキロ6でいいんだぜ。」と無理やり言い聞かせます。悪魔と天使の大乱闘です。

ただ距離はなかなか減りません。

85kまで6:14。少し戻しましたが貯金は減っています。エイド減速が大きいですね。

キツさはもう限界突破していました。走るのを止める理由をどんどん考えます。

しまいには「倒れたい。よし、倒れるまで走ろう。倒れたら誰も文句言わないぞ。やめれるぞ。」と意味不明な思考になっていました。もうどうにでもなれ、というランは、かなりの距離やってた気がします。

ですが、どうしても消せないのが、長野の悔しさでした。

何のために長野を棄権したんだ?

長野のサブ3を諦める代わりに柴又で初ウルトラ初サブ10をやってのけるんじゃなかったのか?

なんのために、これまでキツイ練習してきたんだよ。ゲロ吐くまで追い込んだのはなぜだ?(尾籠な話でスミマセン)そうやって言い聞かせて気力を維持しました。メンタルは折れる寸前でしたが、どうにか筋一本が残っていたようです。

88kくらいでラン友が再度声かけしてくれました。姿が見えた時、うれしかったなぁ。差し入れを飲めなくて申し訳なかったんですが、フィニッシュ後、最大限感謝を伝えたことは言うまでもありません。

そして、1番強力に心が折れないように支えたのは、「サブ10してやる」という意志でもなく「できるかもしれない」という可能性論でもありませんでした。それは

「あ、これはもらったわ」という確定感、でした。

例えば松本マラソンの40キロ地点。初のサブ3.5がかかるランで、残り時間と足の具合やスタミナを考えて「これはサブ3.5もらったわ!」とめちゃくちゃ高揚したことがあります。その感覚です。

どういうことかというと、残りの距離を計算する中で、残り15キロを6:30でいけばいいとわかる。そして、走っている自分の体の状態を感じ取ってみて、この痛みやこの攣りくらいならこのペースでいけるぞ!となるわけです。この感覚なんです。それを感じると、不思議と元気が湧き、この体と足と痛みレベルなら問題ない、目標達成だ!と思えてくるんですね。

おれたち仲間からの応援じゃないのかよー。という声が聞こえてそうですが、計算できるそこまで連れてきてもらったのは、間違いなく仲間の存在でした。

90kまでは6:00。エイド込みでイーブンに戻していました。そして、残りを6:51ペースでサブ10達成。

「…もらった。」

77kからここまで、エイドに寄らない区間は6分を切って走っていました。

f:id:RunTazzo:20220527165842j:image

90〜目標達成へのラン

達成できるかも、達成できそう、から、達成確実!とメンタルを切り替えることにより悪魔の囁きは払拭しました。

しかし、キツさはそのまま増大します。当たり前ですが、故障明けの走り込み不足で炎天下90k走してるんです。気力が湧いたところで痛みやキツさは消えません。膝横の攣り、両足裏の痛み、右腸脛靱帯、左右の足指の親指はマメや爪が痛みます。ふくらはぎも悲鳴を上げ、踏み込めば攣りかける繰り返し。そのために意図的にペースダウン。確実なサブ10を狙い、6:20あたりをターゲットにします。そして、ただただ無心で前に進みました。

95kまで6:18。残り7:20ペースでサブ10。もしかしたらハッチさんがそんな計算してくれてるかなと想像します。

スカイツリーはかなり大きく見えていました。太陽は徐々に傾き、空はオレンジ色に。応援の声が時折飛んでいます。応えられなかったのが本当に悔しい。申し訳ない。

この辺りでReiさんとの対決を思い出します。もしReiさんが60キロの部に出ていたら、この辺りで抜いたのかなぁ。なんてことを想像。あっさり抜き去ってやると意気込んでましたが、そんなことしたら一瞬で攣って終わりますね。

あと5キロの長いこと。橋をくぐって東京に入り、取水口の塔を過ぎると柴又公園が。残り1キロ。ラストくらいキロ6以内に上げてやろうとペースアップ。

フィニッシュをつげるMCのアナウンスが聞こえてきます。ゲートが見えてから、どう走ったか、覚えてません。ただ、名前を呼んでもらえたのは嬉しかったなぁ。

 

f:id:RunTazzo:20220527174415j:image

サブ10達成していました。メダルをかけていただき、アミノバイタルとドリンクで補給。いいサービスですね。LINEでみんなに連絡。LINEにもTwitterにもたくさん応援メッセージが届いていました。泣けましたね。

f:id:RunTazzo:20220527181851j:image

ありがとう、柴又

さ、荷物受け取りに行こう、と歩きはじめますがストライドが5センチくらいしか出ません。痛いし攣るし固まるし、どうにもなりません。紙一重のフィニッシュでした。もしどこかで心が折れていたら、完走も厳しかったでしょうね。その時点で、こんな足になるんですから。

ちょっとミーハーですが、ランネットチャンネル編集長でお馴染みのカズ・ボンバイエさんにお会いできサブ10をお祝いしていただけました。ありがとうございました。

f:id:RunTazzo:20220527181829j:image

その後、ベンチに座って休んでいると、隣に腰掛けた東京のランナーさんとおしゃべりできました。途中、しばらく背中をお借りしていたサロマ湖フィニッシャーの方です。そして、サロマ湖でならサブ9できるから目指せと発破をかけていただきました。その時はウルトラなんて2度とやるもんかと思ってましたが、考えてもいいのかな…。

f:id:RunTazzo:20220527182239j:image

夕陽が綺麗でした。

 

風呂に入り、車で帰路へ。さすがに疲れすぎていて神奈川で車中泊。翌日11時にクラブハウスに帰還しました。

f:id:RunTazzo:20220527183439j:image

勝因分析

おこがましい限りですが勝因分析をば。

まず、シンスプ(疲労骨折)を抑え込めたこと。これはランオフの成果です。ある意味、メンタル1番きつかったところ。そして、股関節可動域、シューズ選定、ストレッチ、フォーム修正などが奏功しました。

体力低下を最低限度で済ませたこと。LSDをほぼしていない2ヶ月でしたが、何とかなりました。バイク練がよかったかな。

暑熱順化も効きました。暑かったですからね。加えて暑さ対策では日除け付きキャップへの交換、背中にゼッケン3枚、毎回エイドでかぶり水、スポドリ2杯ルールが効いたと思います。

カーボローディングは胃痛なく最大限食べられました。経験の勝利。後半のジェル取れない問題はカーボローディングで克服。

タイムマネジメント。序盤で早めに往路を終わらせておいたのは、風向きの関係でも奏功しましたね。追い風を有効利用できました。さらに、時間管理が結果的に「もらった」感を生み、メンタルを支えました。無理なペース配分もせずにすみましたね。

ズムフラ効果。ナイキの「反則」シューズのおかげで着地ダメージは少なく、カーボンプレートで楽に前に進めました。フィット感がよくビショ濡れにも関わらずマメなどが最小限で済みました。

メンタル対策。まず、応援でした。チームメンバーが普段から応援してくれていたので、声は届かなくても応援を感じ取れました。

そして、ラン友がリアルに駆けつけてくれたこと。これにつきます。あまりにもキツすぎて未だに達成が信じられないほどなんですが、応援がなければ絶対に達成できませんでした。残り30キロの苦痛は壮絶だったんです。

「もらった!」感によって、目標達成の不可能を根絶したこと。この達成確定感で完全に悪魔に勝利できました。少しでも不可能な理由を残していると、それが大きくなって増幅され、心を折られてしまう。でも、ゼロだと信じ込めば、いくらかけてもゼロはゼロ!

そして結果的に、途中歩かなかったことがサブ10達成に大きく影響しました。どこかで歩いていたら、間に合わなかったと思います。距離が長いので歩いてしまうと大幅に遅れます。その意味でも、歩かないぞ、走るぞと思わせてくれた応援の存在が大きかったです。

 

謝辞

まずは大会を開催してくださった関係者の皆様、そしてボランティアスタッフの皆様。難しい情勢の中で開催してくださったこと、長時間にわたる懸命なサポート、ありがとうございました。疲れ果てたランナーはお礼も言えません。承知とは思いますが改めて感謝したいです。第10回柴又100kは素晴らしい大会でした。

沿道で応援してくださった皆さん。暑い中、声援いただきありがとうございました。ご迷惑をおかけしているにも関わらず応援してくださったこと、感謝の言葉も見つかりません。

teamいきもの舎のみんな。名古屋でリアルタイム応援をした時のハッチさんの実況を自分で想像して走りました。番長には出発前日に差し入れまでもらって応援してもらいました。ウルトラの世界に導いてくれたReiさんには本当は一緒に走って一緒にその瞬間を共有してもらいたかったです。そして、リーダーshibaki王子。リーダーのおかげでteamができ、そのチームがメンタルを支えてくれました。胃袋借りたかったです。

ラン友のみんな。応援ナビやTwitterでメッセージありがとうございました。後から読んでも嬉しいものですね。

そして、U。姿が見えた時は痺れたぜ。

忘れていけないのがフォロワーのみなさん。普段からいいね!とリプに励ましをいただいてます。いい報告したい気持ちもモチベーションでした。

今回は、ことぶき整骨院のことぶきちゃんこと大久保先生に、施術からフォーム、ウルトラの心構えに至るまで細かなサポートをしていただきました。感謝に堪えません。

一緒に走ったランナーのみなさん。走路を邪魔したり、背中を借りたりいろいろとご迷惑をおかけしましたが、みなさんと走ったからこそ目標達成できました。とくに序盤から中盤まで引っ張っていただいた柴又フィニッシャーズTシャツの方、会場でお礼を伝えられなかったのでここに書かせてください。本当にありがとうございました。

 

次は、富士登山競走の五合目コース、そして、秋にはサブ3目指しておかやまマラソンにチャレンジします。

今後とも応援よろしくお願いします!