紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

四国霊場八十八ヶ所お遍路マラニック その6【土佐国編①】〜年越し、星空、初日の出!2023年は修行の道場、78k完徹ランで最御崎寺へ!

昨年スタートした遍路マラニックは、前回で阿波国編が完了。ついにはじめて県境を越えます。今回も備忘録メインですし、おふざけ多数なので、ご了承を。では、はじまりはじまり。

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日和佐〜室戸のむつかしさ

23番札所薬王寺から24番札所最御崎寺(ほつみさきじ)への遍路道は、札所間距離が全区間中2番目の長さとか。(どの遍路道を使うかによって微妙に異なる)最短ルートで77キロもあります。

しかも交通機関が限られているので、これまでやっていた

  1. 前回のフィニッシュ地点に岡山から車やバスなどで移動
  2. 旧へんろ道をラン
  3. 納経所が開いてる17時までにフィニッシュ
  4. 駐車した地点にバスなどで戻る
  5. 車で岡山に帰宅

が、とてもシビア…。

日和佐〜室戸岬JR四国阿佐海岸鉄道を乗り継ぐんですが、阿佐海岸鉄道はなんと休日限定一日一往復。13:41のバスをのがすと次は1週間後!

前回完了後からいろんなパターンを作ってきたのですが、どれも費用がかかるか、時間が厳しいものばかり。

分割して2回かけて走ることも考えましたが、室戸といえば空海が悟りを開いた地。修行の意味も込めて、気合いで一気に到達したい。

そうして迎えた昨年末、Reiさんから「年越し&初日の出ランできないか」とオファーが。

なるほど!その手があったか!

計画

大慌てで詳細な計画を立てました。

  • 岡山を昼に出て道の駅日和佐に駐車。
  • 17時にスタート。
  • 平均キロ10:30で進んで、
  • 県境辺りで年越し、
  • 室戸岬辺りで初日の出、
  • 最御崎寺を打ったら、
  • バスとJRで日和佐に戻る、

という完徹遍路です。

ルートは、今回は旧へんろ道はナシ。真っ暗なので細い山道は避け、文化庁推奨のルートをそのまま利用=国道55号をラン。ラストだけ山登りします。

急に決まった遍路マラニックで年越しなので、実家帰省中のるーさんは今回も参加不可能でした。Rezzoで回ります。

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ギア

今回は新しいウェア!

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白衣風Tシャツ!

輪袈裟に見えるのは、teamマスコットのムギちゃんといきもの君のイラスト。どちらもマスター作の絵をデザインに利用。

背中の文字は、デーヴァナーガリー文字(=梵字)で、発音が「ちーむいきものしゃ」です。

これ、決しておふざけではありません。

輪袈裟のデザインって、子供用だと犬デザインありますし、そもそもお遍路さんってノースタイル。ホントはなんでもいいんです。

なぜこのTシャツを作ったかというと、白い方が車からの視認性が高く、また遍路スタイルの方が早く気づいてもらえるから、です。車で走ってると遍路スタイルの人を見かけるので「あ、人がいる!」と早めにわかるんですね。

でも、基本的に無宗教遍路なので、宗教色なしのチーム名&マスコットシャツになりました。折衷案。おしゃれでしょ?四国以外で着てるとただの不審者かも…


その他は防寒装備です。以前、フルモさんに同行した完徹トレイルの時の装備が役立ちました。

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ソックスこそ夏ですが、CW-Xタイツにトリムテックスのパンツ、エアリズムTシャツに長袖Tシャツ、ウィンドブレーカ(全UNIQLO

ザックに長袖フリースとレインジャケット、貼るカイロを持ちます。またカロリーメイトとジェルなどをめいっぱい持ちました。最後のコンビニからフィニッシュまで45キロほど。深夜&元旦でお店も開いてないので、必要な補給は持参するしかないです。あとは自販機頼み。

ヘッデンはレッドレンザー。Reiさんに借りました。ニット帽の上につけます。モバイルバッテリーにケーブルも。ヘッデン切れは大変危険なのでここは万全を期します。もちろん納経帳は忘れません。

ユレニクイにポカリ。自販機もありますが、ちびちび飲むために持参します。

シューズはズムフラ4。柴又100の相棒です。

EPSONウォッチは省エネ設定に全振り。全振りしたんですけどね…。


Reiさんは、アウター3枚くらいの脱ぎ着で調整するウェアチョイス。

シューズはリアクトでした。

2人とも夜行タスキでさらに視認性を高めます。


スタート地点まで

岡山を昼過ぎに出て、道中おにぎりやらパンやらをパクつきながら徳島へ。ウルトラはハンガーノックが怖いですし、コンビニも限られる、エスケープ先がないので、まずは食べておきます。

道中、これまでの遍路で走ったルートを通るので、阿波国編を思い起こしながら景色を楽しみました。どんなドラマが待っているか期待が高まりますね。

3時間ほどで道の駅日和佐へ。JR日和佐駅隣接。前回のフィニッシュ札所、薬王寺も見えます。薬王寺が見守る街、なんですね。

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早めについたのでまだ明るい時間でした。装備品を今一度チェックし、軽くアップしたら16:40スタート。気温は8度。想定よりはあたたかです。


スタート〜牟岐町

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日和佐は徳島県美波町。まずは国道55号を走り、牟岐町へ抜けます。

日が暮れようとする中、峠への坂へ。4キロかけて200メートル上り、その後、牟岐の街へ抜ける道です。

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今回も遍路保存会のステッカーが。さぁ行くぞ。徹夜で76km!

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国道55号は交通の要所らしく、大晦日というのになかなかの交通量。しかも、これが飛ばすんですね。一本道で広くて、左右の道も少ないですからね。なので、

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はい。飛ばす車、優先です。

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陽はどんどん暮れていき、足元が見えにくくなってきたのでヘッデンをつけます。気温はありますが、風は冷たい。立ったままだとキーンと消えてきます。

今回のランで気をつけたのは、汗をかかないこと。汗ばむと汗冷えが怖い。低体温になるとリタイアに直結します。ジョグで温まったらウォークに切り替え、冷えてきたらジョグや速歩きに。これで胃腸ダメージも減るし、糖欠乏も防げます。制限時間は17時間ほどあります。時間をかけて安全確実なフィニッシュを目指します。

国道なので歩道が広かったんですがすぐに路側帯走行に。グリーンラインも見当たらず、やや不安な状態。4キロ進むと日和佐トンネル。入り口にはこんな看板。

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お遍路さんのために、夜行タスキや反射板が!ありがたいですね。ちなみにボックスの中は空っぽでした…。トンネルの付近には旧へんろ道があります。今回はスルー。るーさんと来ることがあったらトレイルも楽しそう。


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トンネルの中は車が通るとやかましいし怖いんですが、風は吹かないし、明るいので歩きやすい憩いの通路です。

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700メートルほどある長い日和佐トンネルを抜けると、もう夜に。

民家もかなり少なくなります。クリスマスからでしょうか、イルミネーションなおうちが。ほっとしますね。

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札所間距離が長いだけに、へんろ小屋や休憩所はたくさんありました。ただ、ここはちょっと違う。

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おばあちゃんのおしゃべり広場。楽しそう。

また、周りを見渡すといろいろ目に入ります。この古めかしい高架橋はなんだろう。

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帰路でお世話になったJR四国の高架でした。

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グリーンラインが再度お目見え。

左右どちらかに歩道がある場合「反対側に歩道があるから渡れ」という看板とともに横断歩道が設置されています。これ、すごく安心。

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日が暮れて気温も下がってきます。汗をかかないように歩きも入れて調整。とくに下りは足ダメージも怖いのでペースは落とします。

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自販機が集まってるコインスナックが道中何ヶ所かありました。カップヌードル自販機は稼働してませんでした。残念…。

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さて、これまで遍路マラニックでは道中にある空海ゆかりの場所にできるだけ立ち寄ってきました。

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ここも小松大師という休憩所があります。大阪の石工が作り、空海の夢のお告げで設置されたとかなんとかという空海坐像があるそうです。昼間なら立ち寄るんですが、真っ暗で怖いので鮮やかにスルー。はい。

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牟岐海陽町

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16:40にスタートしてそろそろ19時半。晩ごはんの時間。コンビニについたらラーメンでカロリーと暖を取ろうということに。

牟岐町の中心に入るとセブンイレブンに。

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カップヌードル、うまい…。

そして、向かいにある個人経営っぽいお菓子屋さんでパンや饅頭を購入します。

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走りながらパクつきましたが、味についてはノーコメント…。


へんろ道にはバス停や東屋みたいな感じで休憩所がたくさんあるんですが、時折りデザイナーズハウスのような小洒落た休憩所があります。これ「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」が手がけたものだそうです。地域のイメージに合わせたへんろ小屋なんだとか。たしかにデザインが洒落てます。

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そのデザイナー、歌一洋さんは徳島県海陽町出身なんだとか。この牟岐町のすぐ隣町なんですね。牟岐中心部を抜け、その海陽町へ向かう道は「八坂八浜」(やさかやはま)という景勝地。真っ暗なので何も見えませんが、昼間来たら海岸沿いの国道から素敵な海辺の景色が見えるそうです。

 

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しばらく進むと、潮騒が聴こえてきます。

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内妻海岸です。時期の昼間だとサーファーで賑わう海岸らしいですね。

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ナイトモードで撮影したら、こんな感じ。昼間に来たいですね。


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海岸沿いに旧へんろ道があるんですが、スルー。

 

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その海陽町に入るとすぐに鯖大師。八坂八浜が難所だったころの伝承らしいです。僧に鯖を請求された馬子が拒否したら馬が腹痛起こして、鯖を渡したら治ったというアレなお話。伝承に登場する高僧は時代的に空海ではないはずが、なぜか空海伝説になってるという不思議な鯖大師伝説。なんでもあり、です…。

 

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12kmに及ぶ八坂八浜を走ります。トンネルは多いですが、アップダウンもそれなりに多い…。高低図ではフラットに見えるんですが、距離が長いからフラットに見えてただけ。下りは特に慎重に進みます。浅川を過ぎると八坂八浜も終わり。峠を越えれば海陽町中心部。

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25kmが迫ります。次のコンビニがあるはず。しかし、山の中を走るばかりで人の気配すらない。ほんとにあるの?と不安になりますが、下っていると街の灯り。ほっとします。

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なぞの水槽などで気分を変えつつ走り、見えてきたローソンへ飛び込みます。

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すかさず補給。すみません、チームで盛り上がってるカメラ目線でラーメン食べるの図。

今回はとにかく、「汗かかない」「ガス欠起こさない」「足壊さない」を徹底。ラーメンは欠かせません。ドリンクも入れ替えです。


海陽町中心部はさすがに街灯もあり、走りやすいですね。

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見えてきたのはオシャレな建物。なんだろうかと近づくと、阿波海南駅でした。帰りにDMVからJRに乗り換える駅。無事に戻ってきたいなぁ。

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海陽町はなぜか立て続けに3軒もローソンがあります。高知の東洋町に1つ回せませんか…。

 

阿波海南駅〜ファイナルコンビニへ

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そんなこんなで海陽町を抜けると、那佐湾に出ます。たぶん、風光明媚な場所なんですが、なにせ真っ暗…。

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ここにもヘンロ小屋プロジェクトの休憩所が。

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2022年も残り1時間を切る頃、また潮騒に包まれます。カメラを向けるとこんな景色でした。

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土佐街道の標識がありました。おもしろそうですが、今回はやはりスルー。

峠を越えれば、徳島県海陽町宍喰です。

ここには今回のファイナルコンビニが。距離は33kmを超えます。時計は23:30。年越しそばだ!

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他にお菓子などカロリーの元を買い、セブンを後にします。ここからコンビニも開いてる店もなし。船外活動に赴く宇宙飛行士の気分。残り45キロ。

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宍喰のセブンを出て中心部を抜けると2022年終了カウントダウン。

3.2.1…happy new year!

地味に新年を迎えました。

 

高知入り!満天の星空マラニック

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しばらくすると次の峠に。上ります。

そして、トンネルを抜けると…

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ついに高知県

はっきりしたラインはないんですが、

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ここが境界かな?


峠を越えて下っていくと、また潮騒。橋を何本も渡りながら海岸を進んでいる様子。橋の上は風が強く、体温を奪われます。しかし、走ると汗をかくのでペースが難しい。予定通り10:30くらいに落ち着くペースを維持。

甲浦と書いて「かんのうら」町。

 

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海水浴場に謎の建物。「白浜地区第1防災避難タワー」でした。津波に備えてるんですね。高知に来たことを肌で感じます。


再度、峠へ。何度繰り返したかわかりませんが、浜のある集落と峠を交互に繰り返します。


なお、徳島では道路の片側だけに歩道があり、「ここで反対側に渡れ」と横断歩道があったんですが、高知にはそれがありません。自分の判断で安全な側に渡る必要があります。


生見海岸では、こんな自販機コーナーが。

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商品を出す途中で壊れてる…。怒りに任せてパンチでもしたのか、ガラスにヒビ入ってました。

カップヌードルもあったんですが、怖くて手を出せず。

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高知に入ると、この「東洋大師」看板が何ヶ所もありました。

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フルの距離も近づき、足も疲れてきます。そんな時、遍路してるんだぞという気持ちにしてくれ、励みになるので助かります。なにせ、基本、真っ黒ですから…。


Reiさんの腰が悲鳴を上げ始めます。慎重にランandウォークを心がけてもザックで後傾しますし、アップダウンが多くてやはり前後の体重移動があるので負荷は避けられません。

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さらに峠を越えるとこんな標識。地面の96って、徳島からの距離だったのね。

あと36km!フルマラソンの距離を超えていました。流石に疲労を感じてきます。


次の峠を上っている時でした。ふと頭を上げると、空が星で埋め尽くされていることに気づきます。

 

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真冬の午前2時。人里離れた峠。晴天。大晦日で人の活動もなければ車も少ない。澄みきって、キンと冷えた空。あらゆる状況が整っていました。

新月ではないんです。月が眩しい時は気づかなかったんですが、月が姿を消して、星々が一気に現れていました。夜空を彩る夥しい数の星。星座も一つの空にこんなにあったのか、と。

「星の数ほど」と言いますが、こういうことかと改めて納得するほど数えきれない輝き。

空海もこの空を眺めたんでしょうか。1200年の間、お遍路さんたちも眺めたんでしょうか。しばし、時間を忘れて見入っていました。

 

深夜ラン〜睡魔との戦い、夜明け

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星でいっぱいの天球の下、さらに進んでいきます。左手は海、右手は山です。山側には鉄のネット。真っ暗ですがヘッデンの灯りでわかります。

その山の斜面から、ガサガサっと音が。さらに動物のものと思われる奇声が聞こえてきます。山に目を向けると、光る目がいくつも…。ガサガサ!

ぎゃぁぁああ!

…横を見ると、飛び上がって驚く私に驚くReiさんの姿が…。

いや、ほんとにビックリするんですって。

 

ここから、海沿いの道を延々と進みました。

野生動物にビクついて目を覚ましてもらったのも束の間。…眠い。

真っ暗で、景色もわからず、聞こえてくるのは潮騒だけ。疲労感と単調ウォークで、意識が怪しいレベルに。謎の替え歌を歌ったり、無駄に腿上げしたり、星空を見上げたり、いろいろやるんですが、とにかく単調。そこで、珍しいものを見ます。


いちごオレだ…

 

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側溝のコンクリートのフタがいちごオレのパッケージ。すげー。

…え?!

ハッとして目をこすると、ただの側溝のフタ。なお写真はクソコラ(下手な合成)です。

これがテクスチャがモルタルで、めっちゃリアルなんです。夢とうつつの境目がなくなる眠さ。疲れてるのかな…。VRとかMRとかそういう世界。見えてる景色の中に夢が投影される脳内プロジェクションマッピング


「なんか、側溝のフタがさ…」

と話しかけようとしたら、隣にイモトアヤコが走っとる!

 

Reiさんでした。これは幻覚じゃない。

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フラフラしながら進めば、ついに室戸市へ。

暗闇の港町で、遠くに人影。こんな時間に?また幻影か…。


「おはようございまーす」


…漁師さんでした。元旦から見回りでしょうか、散歩でしょうか。元気ならお話ししたいですが、気力がない。眠い。なお、佐喜浜漁港だった模様。


写真も書くこともなくてスミマセン。半分寝ながらなので…。


左手、つまり東に目をやると、水平線がほんのり白んできていました。朝です。

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水平線を横に見ながら進んでいくと、空が少しずつ明るくなってきます。意識も徐々にはっきりと。どうにか寝落ちせずにいられそう。

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見えてきたのは夫婦岩景勝地ですね。ここで初日の出を見ようという人たちが集まっています。とりあえず映える〜とばかりに撮影。

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あと何キロかな?と時計を見ると、画面が消えてます。…EPSONバッテリー切れ。四万十川ウルトラオンラインではスタートから16時間101キロ走って切れなかったのに。12時間61キロで終了。…涙。省エネ設定にしたのに。


ゆっくりできないのですぐ出発です。

どんどん明るくなる室戸の海。7時が近づき初日の出ポイントを探ります。海の見える堤防で待ち構えることに。

 

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2023年の夜明けです。

 

最御崎寺へ!

バッテリー切れでGPSデータなし…涙

下はヤマレコで作ったコース図。

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夜が明けると一気に明るくなりますね。そして、右手の山の大きさに気づきます。山として標高があるわけではないんですが、山が近くて圧倒される感じを受けるんですね。

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この環境、生態系も含めて貴重なものだそうでジオパークに認定。そのジオパークセンターには、ヘンロ小屋プロジェクトの休憩所が。

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この展望所から見える景色…

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うん、普通でした…

ここまでくると、最御崎寺の札所ゾーン。まずは大師蔵。

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上る気力がないので下から。やる気がなくてスミマセン


続いて、御厨人窟なる洞窟。御蔵洞と書いて「みくろど」ともいうそう。

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ここ、空海ファンなら一度は訪れたい聖地。なんといっても、弘法大師はここで修行し、この洞窟から見た空と海から「空海」と名乗ったというエピソードが有名。そして、その景色が、

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はい。落石防止ネットでこんな感じでした。

ただ、鳴門から24寺回ってくると、たしかに最御崎寺周辺は、空の広さと海の広さが桁違いなんだと気づかされます。空と海に圧倒されていると、人間がいかにちっぽけか思い知らされる。その意味で、空海がなぜ空海を名乗ったか思いを馳せることができました。興味ある方はぜひ「足で」24寺回ってください。わかりみが深いと思います。


そして、きました、最御崎寺へのヘンロ道。ラスト1kmだけ、室戸山トレイルです。(遠回りすれば舗装路もあり)

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途中、母親の雨宿りのために空海が捻じ曲げたという巨石や、一夜で岩に穴を開けて作った洞窟など、もうどうにでもなれ〜!という空海伝説を楽しめます。

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しかし、徹夜77キロマラニックからのズムフラトレイルはスリップしまくりでなかなか上れません。

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しかも、さっと同じ景色じゃない?という曲がり角が何度も。心が汚いと無限ループするんだろうかとガクガクしていたら、やっと着きました。

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仁王門。

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疲れすぎて、門前のポージングはありません。悪しからず。

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第24番札所 室戸山 明星院 最御崎寺
(むろとざん みょうじょういん ほつみさきじ)

打ちました。…長かった。

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疲労のため灯台も見ずに下ります。室戸スカイラインから見る室戸市街地方向。

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次はこの景色の中を走ることなるんですね。楽しみです。


室戸岬でバスを待ち、いざ帰路へ。

今回使うのは阿佐海岸鉄道DMV

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DMVというのはデュアルモードビークル

バスと電車、2つの機能を合わせ持つ不思議な乗り物。

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見た目はこんな感じなんですが、電車の車輪?がついていて、線路の上でも走ることができるというハイテク乗り物。

まずはバスとして室戸岬を出発。

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気絶。


車内アナウンスで目覚めると、宍喰で線路に乗ってました。モードチェンジ!

乗客がそそくさとスマホを取り出してビデオ撮影を始めます。なんだなんだ?!

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チャンカチャンカチャンカチャンカ〜♪

と、阿波踊りのようなお囃子と共にゴトゴトと車輪チェンジ。そして、子どもの声?で、


「…ふぃにっしゅ」


乗客から笑いが起こります。伝えにくいのですが、カベポスターの「ぐんぷく」みたいな雰囲気で笑えます。


そして、ここから電車の旅に!

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気絶。


再度、モードチェンジのお囃子で目が覚めました。終点、阿波海南駅でした。ありがとうございました。


LAWSONで半額パンやら焼きそばやらを買い、かきこみます。腹減った…。


のこりはJR四国で日和佐まで。


気絶。


スマホのタイマーに起こされ、気づけば日和佐駅。ここで達成感を味わいます。戻ってきたよ…

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見えるのは薬王寺。初詣客がまだ大勢いました。薬王寺温泉で温冷浴してリカバリー。

おつかれさまでした。

 

さぁ、修行の道場、土佐国編スタートしました。最御崎寺からの三寺は「室戸三山」と呼ばれているそう。次回は残り2つを打ちたいと思います。


完徹マラニックとして

過去の遍路、ウルトラ、トレランから得た知見を最大限に活かすことができました。

まず、防寒と同時に汗冷えを避け、低体温を防ぐことができました。これは成功でしたね。ジョグ〜ウォークで冷えない&温めないマラニック。南国土佐ですからそう寒くないんですが、それでも、真冬ですし深夜ですしカロリー尽きますからね。

補給。カロリーメイト、ジェル、パンやらクッキーやらを数キロごとに取り続けることで胃腸負担を減らしつつ随時カロリー補給。後半も動けましたし、体温が下がることもなかったです。胃腸も大丈夫でした。

ギアも問題なし。シューズ選択も正解でしょう。相性のいいズムフラで気持ちよく完走。ヘッデンもバッテリー持ちましたし、モバ充も余裕を持って使えましたね。

「また、あいつらアホなことやっとるわ」と思っていただけたら嬉しいです。ですが、この手のラン未経験の方が真似するときは、ご相談ください。良い子はマネしないでね案件です。下手すると人のいないところで力尽きます。

…ま、マネする人はツワモノだけですよね。

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おっさんのごたく

 

「心にヒマを」2023抱負に代えて

 

今回も空海伝説には度肝を抜かれました。

  • 夢枕に現れ、仏像を奉納させる
  • 母親の雨宿りのために巨石を捻じ曲げる
  • 一夜で岩に洞窟を掘る
  • 馬に腹痛起こさせて鯖をもらう

奇跡はまだしも、行基伝説を勝手に空海伝説にしちゃってるし…。

弘法大師伝説集という本まであり、その総数は5000を超えるとか。こんなひっちゃかめっちゃかな伝説、真面目に聞いていいの?

 

人は受け入れてきたんですよね。空海伝説の数々。素直に信じられたのか、美化されたのか、神格化されたのか。それはわかりませんし、人それぞれでしょう。それでも、今いきなり聞けば全く信じられない奇跡も、空海のものとして語り継がれてきた。それは間違いないんですよね。

思わずウソだろ!と言いたくなるエピソード。誰かが話を盛ったんでしょうか。つい、空海のことをすごい人物にしたくてホラを吹いたんでしょうか。もしかしたら…もしかしたら…ホントかもしれないんですけどね。

空海真言宗の始祖として唯一無二の高僧に間違いはないでしょう。しかし、その聖人伝説に実にゆかいな尾ひれがついたものです。

 

じゃ、まじめに聞かない?

いえ、そう言いたいんじゃないんです。

 

真実は事実とは異なる、と言いますね。

さすがに空海伝説の全てが事実とは限らないと思います。…ほとんど非事実かも。

でも、少なくとも信じた人、信じたい人、話した人、伝えた人たちにとっては、空海伝説は真実なんでしょう。密教という秘された教えとあいまって「伝説」が醸成されたのかもしれません。

 

室戸の大自然、星空、そして空と海に圧倒されていると、人がちっぽけな存在に思えました。

こまけーことは、いーんだよ!

そんな気持ちになります。

 

ウソもホントもどうでもいい、ということではないです。信じられない伝説でも、きっと盛った人、ちょっと捻じ曲げた人、ちょっと作った人にとって、空海はヒーローで、ついついすごい人にしてしまいたくなる。それでいいんだろうなと。

それを「いや、史実と違う、科学的でない、根拠がない」と切り捨てることに何の意味があるんだろうかと。

先日のブログで言えば、私の方が「呪術から解放」された「科学的事実」こそ「唯一正しい」とする狭隘な価値基準に囚われているだけなんだろうな、と。

 

簡単に言えば「オレが正しい。空海は嘘ばっかり」と言ってる私は、頭のかたいつまらん人間だなってことですね。

 

ランに翻って考えます。

先日、ハッとさせられることがありました。WATARUさんのマラニックにリプした時に「遊んでばかりで」と表現されてたんです。

なんとなくわかりますよね。

  • スピ練など陸上部メニュー =まじめラン
  • マラニック、おしゃべりラン=あそびラン

そんなカテゴライズ、たしかにしちゃってます。

20-21年の大会のない時期、「まじめレース」を渇望するあまり、まじめランに力を入れまくってました。真剣に取り組むのはいいんですが、肩に力が入りすぎてガチガチに。記録に囚われて、故障多いし、しまいにゃ倒れる。

とくに後半、「あそび」を忘れて練習メニューにしがみついてました。

マラニックやおしゃべりランも遅筋トレだしLSDだし毛細血管作れます。そもそも論でいうと、どっちも本職じゃない。非・お仕事です。

まじめランもあそびランもどちらも趣味だし、どちらも練習。マラニックしようぜ、です。

 

今後も記録は目指しますし、練習メニューも高負荷で洗練させていきます。ですが、それだけではダメだなと感じました。

真剣なのも結構なんですが、肩の力抜いて、笑い飛ばすかのように、こまけーことはいいんだよ、今日は気ままにジョグでスイーツだ、とそんな時間をもちたいなと。

 

岩明均は『寄生獣』において、人間を「心に余裕(ヒマ)のある動物」と表していました。それこそが、人間が人間たる所以。それを忘れて、科学的事実、効率の高さ、生産性、そんなものを追求し始めると、もはや人間でなくなってしまうかもしれない。

 

肩の力を抜いて空海伝説を楽しみ、肩の力を抜いておしゃべりマラニックに興じる。時に真剣に遍路を周り、時に真剣にスピ練に取り組む。そんな心の余裕を持ちたいなと思います。

 

寄生獣の中で、人間性を失いかけたシンイチにミギーがかけた「心にヒマ」。心に余裕を持って、人間らしいランをすることを今年の第一の目標にしたいと思います。

 

こんな風に思わせただけで、空海の奥深さは成就していますね。そう考えると、数々の空海伝説もここに意味を持つんでしょうか。

 

次はいつ行けるかな、遍路マラニック。心にヒマをもって全力で楽しもうと思います!

 

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