市民ランナーの大目標グランドスラム
=フルサブ3、ウルトラサブ10、富士登山競走完走
私のランニング正装
グランドスラム+スライム
=グランドスライム
という、バカバカしいダジャレから始まったこの企画。びわ湖2023で2:57、えびだい2023で9:32を記録。
頭にホイミスライムを乗せ、グランドスラムをキメてやろうという体を張ったダジャレネタランも、いよいよ残すところあと一つ!
ついに富士山頂でそれを決める時がきました。なお、トップ画はChatGPT画伯によるそれっぽいイラストです。
目標
当然、完走が目標です。ただ去年は後半の酸欠と失速が大きく、タイムは伸ばしたいと考えました。
A 3:40切り
B 3:46切り
C 3:51切り=自己ベスト
つまり、頭にホイミンが乗っていても最低でもPBを出すことを念頭に準備を進めました。
そして…
山頂で究極にして至高のコーラ&カップヌードルを食す!
合わせて1500円。1500円で味わえる世界一のクイジーン。絶対に今年は食べちゃうぞ!
トレーニング
今年は
5月…牛で100km
7月…富士登山競走
8月…北海道マラソン
という流れなので、暑熱順化が不可欠。とくに暑い今年ですから日中ランが基本の私は暑さの中で走る必要。暑さから逃げずに炎天下で走り、暑さに対応することが前提になりました。
対富士登山競走のメニューとして、今年は坂スプリントインターバルを取り入れました。環太平洋大の吉岡先生が提唱する、最大酸素摂取量を伸ばすトレーニング。坂を30秒ダッシュし、4分レスト。これを4〜7本という内容。去年は七合目あたりから低酸素で頭がボーっとしてしまい、うまく早歩きすらできなかったので少ない酸素を効率的に利用できるようになるだろうと、これをアレンジ。
そのまま実施もしましたが変化も持たせました。例えば金山6.2kでこれを行い、レストの代わりに早歩きで富士登山競走っぽさを出しつつ山頂まで12本など。坂も場所を変えて変化をつけ、いろんな斜度に対応させます。
また、おなじみのノーマル金山走、金山スキップ走、金山2登30kなど、金山を走り倒しました。6.7月で20登くらいはしています。
去年同様の自宅階段昇降も少し実施。今年は頭にビニール袋をかぶって低酸素状態もやりました。頭がクラクラするのはよかったんですが、視界が悪くて2回だけ。
トレランは最近は完全にトレ歩(トレポ)になっていて、走りはしませんがガシガシと歩くトレーニングは数回。これは足りなかったと思います。
全体として、坂スプバルを中心にVo2maxの向上に重きを置き、去年よりもハードなトレーニングを積むことができました。
何が正解なのかさっぱりわからない富士登山競走ですが、追い込めるまで追い込んだ、つもり…。
ギア
シューズ…ターサーRP
「ターサーエッジで走る」とツイートしたんですが直前になって、エッジは北海道マラソン用に回し、富士登山競走はターサーRPに作戦チェンジ。RPはつま先にグリップの良さそうな素材が使われてるのでそれも理由なんですが、完全に裏目に出ました…。
メット…公式と同一品
富士登山競走では、五合目からヘルメット着用が義務。無料レンタルもあるんですがホイミンが乗ってるためメットを後から被れない。
そのため、公式と同一のものを購入しました。普段は牛スーツの時に被って下からミニ・ホイミンを支えてるのに使ってます。
これをホイミンキャップに結束バンドで固定。スタート地点からメットも被って走るわけです。自転車用のデカいメットでウマ娘コスを作られているマラソンサニーさんには頭が下がります。
マルチポケットパンツ…アスフォーム
ジェル保持用
ウェア…エアリズム&UNIQLO速乾Tシャツ
曲がりなりにも富士登山ですからシングレットだけのような軽装では走りません。まぁ十分に軽装なんですが😅
ソックス…タビオ
レース定番の安定5本指ソックス。フィット感最高。
レインウェア…mont-bell
トレランレースのレギュレーションを満たすために買ったもの。万一のために。
ポーチ…ユレニクイ・プロ
レインウェアとスマホを持つためにポーチも使用。揺れないユレニクイ一択。
手袋…mont-bellのトレラン用
ネックゲーター…下山時の粉塵マスク代わり。ワークマン。
その他…シューゲーター、メガネバンド
補給…アスリチューン、メダリスト、M&Mケースに経口補水液パウダー
全体的に去年を踏襲しています。
水曜日
富士登山競走、決戦は金曜日です。
木曜受付なので木曜に出発でも良さそう。
しかし、スタート7時のため早寝する都合もあり、水曜夜に出発し木曜早朝について先に試走したい。去年と同じですね。
車中でモグモグタイムしながらの高速移動、楽しいですね。買い込んだパンとおにぎり、まんじゅうなどを満喫。あー幸せ。
木曜日
翌朝、見えてきました。富士山です。でかいなぁ。
今年も浅間神社に車を停めて、軽く試走。他のランナーもちらほら。有名選手も走ってました。
キリのいい500番!
るーさんも到着。健闘を誓い合います。
スーパーで食料買い出しののち温泉に浸かり、公式の駐車場へ。夕食は当然おにぎりとパン。無理のない分量にしました。
というのも、あまり食べ過ぎて体が重くなると「登山」競走には不利ではないかと、スレスレを突くことにしたんですね。
以前の計算で、富士登山競走での必要カロリーは、だいたいフルマラソン程度と推定しています。距離は半分ですが斜度がきつく消費カロリーは爆増。
そのためフルマラソンを想定しつつ、ギリギリ足りるくらいの食事量にしてみました。でもこれ、大失敗でした。
金曜日
今年も車中泊。去年の反省を踏まえて、スマホをぶら下げてライト代わりにし真っ暗な屋外の水道で洗面。徐々に夜が明けてくると、富士山のシルエットが浮かび上がります。ご来光目当ての登山客ヘッデンが今日のルートを示しています。さ、行くぞ。
4時までに食事を終えます。無理のない量にセーブ。着替えを済ませ、車内でストレッチ。そして装備品を丁寧に準備します。レースを脳内シミュレートしつつ確認。うん、ぬかりなし。
シャトルバス運行が始まると、すぐに乗り込んで富士吉田市役所へ。
上の写真ですが、スタート地点から見るとほんと遠く感じますね。でも、見えてるところは行けるとこ。山頂までたったの21km。行けるぞ行けるぞと自己暗示。
富士登山競走って、けっこうコスプレ仮装ランナーが参戦してるんですよね。ゴリゴリのランナーばかりなんですが、仮装にも妥協なし!
おなじみ初音ミクやルフィも参戦していました。
くまさんにもお会いできました!東京マラソン以来の再会。ホイミン正装だと気づいてもらいやすくていいですねー。知り合いと会えるとテンション上がります。
トイレ、荷物預け、アップジョグ、トイレ(ストレッチ)の黄金ルーティンをこなすうちに、スタート時刻が迫ります。
Bブロックなので、ギリギリまで日陰でアップしムダに日差し浴びないようにしつつ、スレスレのタイミングで整列。今年は感動の選手宣誓こそないものの、MCがしっかり盛り上げてくれました。おなじみ「えいえいおー!」をやって、いよいよスタート。
スタート〜浅間神社
前のブロックだけあって、そこそこスムーズに動き出しました。走り始めてしまうと頭のホイミンはほとんど気になりません。パフォーマンス低下は限定的。
浅間神社に向かう大通りはすごい応援!もちろん、ホイミンはしっかり応援されました。タコ!クラゲ!たまにドラクエ!ありがとうございます!
やや体は重いのですが、序盤と暑さのせいかなと気に留めずいきます。ターサーは足にピッタリで、自分の足で走ってます、という感覚。日差しが徐々に強くなり、暑さをはっきり感じる中、やっと3キロ、浅間神社。どうにかキロ4分台で到着。
浅間神社〜中の茶屋
ここからは林の中。一気に涼しくなってラクになる!はずがそうでもない…。今日はキツい。
最初の給水からしっかり飲みます。5合目まではスポドリが提供されますからそれを優先。
冷たくてうまい…足は重い。
ただただ登ります。この辺りでホイミを頼まれた気が。キロ5:30近くに落ちます。
中の茶屋〜馬返し
周りも落ちてくる急登区間。気合いを入れ直して粘ります。キロ6分を挟んだ攻防。
姿勢の維持がキツい。今思えばここでペースキープするためにふくらはぎを使いすぎた気がします。どんどん抜いて前に出るんですがしんどさも爆上がり。あれだけ金山で鍛えたのに去年よりはるかにキツく感じるんです。去年の苦しさを忘れただけ?
去年はあっという間だった馬返しがなかなか見えません。こんなにまだかまだかと考えたっけな。もちろん去年よりペースアップするつもりなのでキツくて当然なんですが…。
やっとの思いで馬返しが見えてきます。慌てて経口補水液パウダーをとり、ジェルの封を切る……切れてない!
ジェルの口をカットしたんですが微妙に上側が切れていて、肝心の中身が出てこない!思い切り握っても出てこないのでやむなく廃棄…。傷心のまま、給水所へ。
ここで、ボランティアさんたちが冷たい富士山の水をコップでランナーの頭にかけてくれるんですね。私がそのテーブルに近づいた時、若い女性のボランティアさんがコップの水を頭に…いや、頭にはホイミン…とっさに彼女は水を私の顔にバシャっと…。
若い女性からコップの水を顔にかけられるというなかなか貴重な体験をしました。それはそれ、これはこれ。悪かないね。
去年より1分ほど早く馬返し通過。
馬返し〜五合目
ここからウォーク優位なゾーン。ラクになるはずのトレイル区間ですが、なかなか呼吸が整いません。前の方で馬返しに到着すると、空いてる分だけ流れが速いんですね。少しでも走れるなら走るという人ばかり。この流れに乗らなくては。
ここでも素人ぶりを発揮。置いたつま先を固定せずにふくらはぎで登っていた気がするわけです。どんどん消費する小さい筋肉。
3合目あたりで少し呼吸は楽になりますが、調子に乗ってペース上げると当然にキツい。少しずつ前を抜きつつ、登り方を工夫します。しかし、徐々に足攣りの気配が。早くないか?と気付きますが、それが足首の使い方の悪さだったと気づくのはレース後の話。
それでも、ハイペースでグイグイ登ります。富士登山競走、たまに登山客やスタッフさんがいて応援してくださるんですが、今年はホイミンがいるので熱烈応援されます。とくに「かわいい!」をたくさんいただきました。ありがとうございます!
佐藤小屋に辿り着くと五合目関門。去年より数分早い到着!足は攣りかけても脚力は伸びてるぞ。
エイドでジェルと給水。ヘルメットレンタルでのロスは全くありません。スタッフに走りつつ手早くホイミン下のメットを見せてゼッケン番号をチェックしてもらい、駆け上がります。
ここで、なんと応援の方々から「ホイミっ!ホイミっ!」とホイミコールを受けます。こんなホイミン応援してもらったことないよ!泣
過去最大となる大声援を受け、完全にベホマ!
勢い込んで次のステージへ進みます。
五合目〜七合目
五合目関門を過ぎるとしばらく林の中なんですが、すぐに森林限界を超えます。六合目。よく見る富士登山らしい岩の景色。この辺りの給水から、水オンリー。経口補水液パウダーを口に放り込んでから水を…と思ったらフタが開いてて、粉がユレニクイの中に散乱…。南無三。ジェルを取り、先を急ぎます。
この辺りで気になる選手を見つけます。 明らかに足を置く位置が匠で、見事なコースどりをされるんですね。ほとんど足元しか見てないので特徴は忘れましたが、フジスピードを履いた選手。フジスピードっていうのはasicsのカーボン入り軽量トレランシューズですね。
好タイムのためには、これはついて行かねばと必死で後を追います。これは良かったのか悪かったのか…。
瓦礫のような足元、いわゆる礫場(ざれば)ですね。その九十九折り。ここを走りたいんですが、足が上がりません。やはり今年も無理か。
20数回折り返すと7合目です。
七合目〜八合目
標高は2600メートルを超えます。あと上に1キロ…。呼吸は荒くなり、足は重い。
しかし、気づいたことが。去年は意識が朦朧としてきて、まるで胃カメラの麻酔のようなぼわーっとした感覚に包まれたんですが、今年はまだありません。これは追い込んだ成果か?!
とにかく、前のフジスピードを真似る、真似る、真似る。徹底して追随。他の選手が割り込もうとしたらダッシュしてでもキープ。とにかくこの位置を守ることに集中。
これはいける。そんな確信が生まれていました。五合目での貯金に加えて今年は速い。左脚ふくらはぎは攣りかけていますが、一歩ごとのストレッチでキープできている。このまま粘り倒せば去年よりかなり速くなるんじゃないか。
キツい中にも、希望が出てきます。そして、たまにあるホイミン声援からさらに大いに力を得ます。
吉田ルートでは、ご存知かもしれませんが、八合目シリーズがたくさん登場します。いったいどこが本当の八合目なのかわかりません。八合目関門がポイントになるんですが、なかなか登場しない。
岩場を四つんばいでガシガシと登っている時、つま先が岩から外れ、ガクんっ!と踏み外すことが突然増えました。
当然、その度に足が攣りそうに。これはヤバい。なぜ踏み外しまくるのかわかりませんが、後から分かったのはシューズのアウトソールのグリップ部分が剥がれかけていたこと。
つま先は危険。なので、やや無理をしてでも足全体を持ち上げるようにして登ります。これならなんとかなる、かも。
八合目はまだか…キツい登りの中で、次はフラつきを感じます。去年の酸欠とは違う感覚。意識はハッキリしているのに、体が重く直立が難しい感じ。どうした?
今度はふらつきで踏み外します。数回踏み外すうちに、激しい足攣り。ぁあ!!と叫び、ふくらはぎを押さえ、足を腕で持ち上げます。なんとか動かしてそのまま前へ。いきなりの黄色信号。
岩場の連続にそんなことが頻発しはじめます。明らかにおかしい。しかし、なにも対処の方法がありません。とにかく動くしかない。
ふらつき、踏み外しからの足攣りが続き、ついに足が止まりました。動けません。以前にはなかった事態。
どうやらハンガーノックによるフラつきと足攣りが重なった模様。どんどんランナーに抜かれます。
なんとか脚を持ち上げ、動き始めますが、前のスピードが出ない。それからも、何度か足を攣っては岩場に寄りかかり、しのぎました。まだだ、まだ終わらんよ。
八合目〜山頂へ
体が思うように動きません。激しい足攣りの度に腕で足を持ち上げて足攣りロックを回避。動かしていないとゲームオーバー確実。止まったら終わり。
八合目を過ぎて、最後の連続九十九折りゾーンへ。焦ります。これではサブ4すら危うい。
気持ちと裏腹に体はいよいよガス欠。足攣りで止まると、情けないことに岩に両手をついて停止する事態に。登山客らしい人から、「そこで座ったら足を伸ばしてあげるよ!」と声がかかりますが、むしろ逆効果と思い丁重にお断りします。
嬉しいのは他のランナーからの励まし。がんばれ!いけるよ!もうすこし!そんな声をかけてくれるんです。
おわかりでしょうが、みんな、めちゃくちゃキツいんですよ。富士吉田市役所から全力で20キロ登ってきて、もう限界スレスレ。声を出すのもしんどいんです。それなのに、ミスで足攣ったアホなランナーに励ましの言葉。がんばらなきゃ。今思い出しても胸熱です。
まさに最後の力を振り絞ります。攣らないように大きな筋肉で、小さい歩幅で、攣らないギリギリの速さで。
白い鳥居を抜けると、見えました。山頂。
どんどん抜かれながらでしたが、どうにかフィニッシュゲートを通過。
…3:53
去年より2分悪化していました。
悲しみの山頂
それでも、富士登山競走、見事に完走。サブ4は達成。文句なしの「グランドスライム」!
前人未到の(いや、誰もやらないだけの)
大記録達成の雄叫びダジャレを山頂で叫びます。
「グランドスライムたっせーい!」
八合目以降はグダグダで情けないレースだったし、タイムは最低目標すらクリアできず…。あのキッツい練習はなんだったんだ。
それでも達成は達成。富士登山競走2年連続サブ4は我ながら立派!
さ、宴だ宴!
去年楽しめなかった山頂を今年は楽しむぞ!
世界一美味いコーラと世界一美味いカプヌ!
……!金持ってくんの忘れた!!!
お店の人にPayPayは使えないか尋ねると、困った顔で現金だけなんです、と。
山頂でうまそうにカップヌードルを啜る完走者たちを恨めしく眺めるしかできませんでした。
富士登山競走の後は、富士下山競走。のはずが
走れません。ハンガーノックなんです。しかも肝心のコーラがない。とぼとぼと歩いて降ります。途中、クマさんと合流でき、楽しいおしゃべり下山になりました。下山ランデートできたから、ま、いいか。
まとめにかえて
富士登山競走の難しさを思い知るレースになりました。正直、ちょっと舐めていたかなとも思います。
頭の中には、1ヶ月後に控える北海道マラソン、10月の四万十川ウルトラマラソンがあり、そちらの練習も兼ねて、という意識が強く、トレイル練習は皆無。それがやはり足を引っ張りました。足首の使い方もわからないようでは富士登山競走はまともに走り切るレースできませんね。
低酸素対策はできたものの足攣りに見舞われ、スレスレのカロリーで臨んだために後半にハンガーノック。ガス欠とのダブルパンチで失速でした。
シューズは使い捨てできてグリップの良いものをと考えたターサーが完全に裏目に。つま先が使えず足攣り誘発。シューズも選びましょう。
そして、…山頂で食べる究極のカプヌを逃す大失態…。
このまま終わるのか?
このまま富士登山競走を卒業するのか?
富士登山競走ベスト3:51:51で満足なのか?
日本一高いところで至高のカップヌードル食べなくていいのか!?
つづく。