紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

四国八十八ヶ所マラニック その2【阿波国編②】

 

先週スタートした四国八十八ヶ所マラニックは、基本的に月一ペースでトライしていきたいなと思っているんですが、3月は名古屋ウィメンズやとくしまマラソンがあるので行けそうにない。なので、いきなり2週連続で遍路ランしてきました。…タフ。

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前回、11番藤井寺でタイムアップだったので、今回は藤井寺御朱印をもらうところから再開になります。そのため鴨島駅からスタートし、12番焼山寺に登り、旧遍路道を通って13番大日寺に始まる「五ヶ所参り」に進むコースを作成しました。可能なら17番井戸寺まで行きたいところ。

全体の7割程度は感覚的にトレイルかなといった感じで、予想獲得標高は1700m以上。日程以上にタフな遍路になりそうです。

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なんと今回はスペシャルゲストとして「るーさん」が参加してくださいました!うれしいですねー!トゥギャザしようぜ!

ギアはコロンビアモントレイルのカルドラドⅢ=初心者用トレランシューズ。アカシャはもったいなくてこっちに。ソックスは5本指マラソンソックスの上に厚めソックスの二重履き。そしてシューゲイターで小石などの侵入を防ぎます。エアリズムブリーフにCW-Xタイツという下半身。上はエアリズムTシャツにチームTシャツ、NIKEアームカバー、mont-bellグローブ。暑さと気温差、トレイル7割というコースと環境に合わせました。

また、補給食は1000カロリーほど、ドリンクも500以上持ちました。焼山寺山まで自販機なし、コンビニに至っては35キロくらいまでないので、食を優先しつつしっかり準備しました。

Reiさんはホカのトレランシューズ、るーさんはアディゼロ-Bostonでトレイルにチャレンジです。…ええ、トレイルであることは事前に伝えてたんです。でも、るーさんくらいのレベルのランナーになるとシューズなんてなんでも走れるんです。まさに

「弘法筆を選ばず」!

 

さて、るー&れーコンビとお遍路開始です。車を蔵本駅近くの駐車場に停めて列車で鴨島駅へ。

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気持ちのいい青空。これから始まる旅ランに期待が膨らみますね〜

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駅のトイレには「遍路トイレ」ステッカー。ここはわかりやすいですが、学校校庭のトイレなどお遍路さんに開放しているトイレなどに貼ってあって歩き遍路を応援してくれています。ありがたい。

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鴨島駅前にはこんな案内も。この「空海の道」標識も何ヵ所かでお世話になりました。8:15スタートです。

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駅前通りに沿って、アップを兼ねてジョグ。程なくしてお遍路さん休憩所、そして前方に山並みが迫ります。あの山を登るのかな?

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今回も大量の案内標識に助けられました。こんな感じで掲げられている各種案内に導かれて藤井寺へ。先週、逆走してるので心配なしです。

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11番札所、藤井寺に到着、3キロ。

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すけさんと約束の「どうでしょう」風の決めポーズを撮影。このためだけに重い三脚を持参…。こんなことに付き合わせて、るーさんごめんなさい…。

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↑こういうの好きなんで、ついつい。

もちろん、しっかり「押し」ました。

そして、あの日閉まっていた納経所へ。

なんと、るーさんも納経帳を購入!

と、いうことは今後も参加してくれるってことですね!

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11番札所、金剛山藤井寺(こんごうさん ふじいでら)打ちました。

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ここから焼山寺への登山道に入ります。

入る時はただの登山道入り口としか思っていなかったんですが、実はまるで異世界への入り口だったように、今は感じます。

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藤井寺の境内に「焼山寺みち」の道標がありまして、そこがスタート地点。小さなお堂が立ち並んでいて何かと思えば八十八ヶ所の写し霊場。つまり、ミニお遍路さんコース。この辺りを散歩するだけで八十八ヶ所を回ったご利益がゴニョゴニョ…。

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雰囲気はとてもいいので、時間に余裕があれば全て回るのも楽しいかも。我々は道を急ぎます。

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藤井寺スタート直後は、よく整備された歩きやすい山道といった雰囲気でした。緩急ありますが操山よりも歩きやすいかな。

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なので序盤は楽しいトレイル。そこここに「へんろ道」の札がぶら下がっていてロストの心配もなし。普通のトレランレースよりも案内札の数は多いと思います。

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そして登場。噂に聞く「へんろころがし」看板。お遍路さんを「ころがす」というキツい山道のスタート。1/6というのは、ハード山道が6ヶ所あるうちの最初ということみたいです。

3つしか見つからなかったんですけどね…

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たしかに、これはなかなかの急登。1キロほど進んだところで少し広い道と交差しました。ここで地元のみなさんがベンチに腰掛けて歓談中。

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あいさつするとどこまで行くのか聞かれたので、焼山寺山を越えて大日寺に向かうと応えると、札を目印に進め、急がないと難しいぞ、ということを教えてくださいました。

白衣を着ていなくても、我々をお遍路さんだとみなして、アドバイスや応援をしてくださるんですよね。見た目ではなく遍路という行いそのものを見てくれている、その自然な態度こそ、お接待の文化なんでしょうね。感謝を伝えて先に進みます。

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札というのは、こういうもの。今回トレイルメインでしたので、何百という札を目にしました。整備してくださってるみなさん、ありがとうございます。

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視界が開けるたびに景色は素晴らしくなっていきます。眼下には吉野川。先週、駆け抜けた切幡から藤井寺の道程がはっきり辿れますし、遥か東方にはスタートした鳴門方面がかすみます。まだ先週のことながら、すでにこれは感慨深く感じました。

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札を頼りに山道を進みます。登りは歩こうということで無理はしません。「同行二人」(どうぎょうににん)というのは、たとえひとりぼっちでも空海がついてるから2人だぜ!というお遍路さんの合言葉。この札、ぱっと見では「同行一人」に見えて「あぁ、ここは険しいから空海がいないつもりで登れってことなんだな」と納得。よく見たら「ニ」の上の棒が消えかかってるだけ…。

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また、こんな札もありました。地元の小学生たちが作ってくれた応援メッセージの札です。

うれしいですね。おかやまマラソンでもらえる小学生からのメッセージカードを思い出します。おいさんたち、がんばるぜ!

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そこからすぐ、3.7kmくらいで端山休憩所(はしやま)です。景色もいい場所なんですが、ここにも地元の年配者が歓談されてて、あいさつするとまたもや励まされました。ここから先はお遍路さんにしか会わなかったですが、地元のみなさんからの応援はランナーの心に沁みます。

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さて、端山休憩所の次は長戸庵(ちょうどあん)を目指します。

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随所にある道標。遍路道を歩いていると、ロストしてないか不安になることが多く、これを見るとほっとしますね。キョリ測やヤマレコがあるとはいえ、設定ミスの可能性もありますからね。

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ガイドブックに「焼山寺まで自販機なし」とあり、水は湧水を飲めとありました。あー、これがその水場なんだと、試してみることに。


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ザル王選手権!じゃなくて、水です、はい。

「わたし、胃腸弱いから…」と飲まなかったReiさん。めちゃくちゃ美味しかったです!と言いたいところですが、でも、まぁ、普通の水でした。寒いですからね。お腹を壊すこともなかったので安全な水だとは思います。夏場だときっとおいしいんでしょうね。

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その後もこんな穏やかな道を進んでいきます。整備されていて穏やかなではあるんですが斜度はきっちり。水場から、500メートルくらいで、長戸庵がみえてきます。なんでも空海が旅人の脚を加持で癒したとか。そんな伝説の残るお遍路さん休憩ポイントです。だいたい5キロくらい。

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到着した時、白衣に菅笠のお遍路さんがちょうど出発するところで、先は長いですよ、ということを少し教えてくれました。ありがたい。

ここで我々は小休止。るーさん持参のミッケのあんぱんで補給します。大きくて美味い!長丁場に備え、序盤からしっかり補給できました。坂道はエネルギー消費が桁違いですからね。

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続いて目指すは柳水庵(りゅうすいあん)。尾根づたいに進むので傾斜としてはやや緩やかになります。

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時折、開ける視界に疲れを癒されますね。見えるのは鴨島の街並みでしょうか。

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しかし、それ以外は基本的にこんな山道。平坦になるとジョグ、下りはラン。ややスピードアップしました。このペースなら、先に出発したお遍路さんに追いつくだろうと思って歩を急ぐのですが、なかなかどうして姿が見えません。

そして、見えてきたのはお遍路さんではないお姿。

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なんと、お坊さんが歩いているではないですか。よく見たら草鞋(わらじ)です。しばらく、やや後方を歩いてついていきました。

山奥の遍路道でお坊さんに着いて歩く、厳粛で貴重な時間です。

 

(お3人さんは…遍路…ですかな?

藤井寺からですか…ほう…井戸寺を目指されているようですが、そう急ぐわけでもおありですかな?)

振り返ることもなく、こちらの人数や目的地まで言い当てつつも急ぐ旅路を心配される…なんてことがあったら、素敵だなーっと思っていたら、お坊さん、急にこちらを振り返り…

びくっ!!!

と飛び上がって驚いて…。

とても若いお坊さんで、こちらの出現にたいそうビックリされた様子。ごめんなさい。

ほんとはお話ししたかったんですが、全力で驚かれてしまったので、道を譲られるまま追い抜いてしまい、それっきりでした。

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その後も林間を早歩きとジョグで抜けていくと、徐々に溶け残る雪が地面を覆い始めます。標高は約600メートル。北側はまだ冷えたままなんですね。

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少し開けた道に出て見つけた標識。そこに、なぜか愛媛のゆるキャラバリィさん。マスク姿にほっこり。88計画後半、お世話になります。

 

急な下りの後、見えてきた屋根が柳水庵。8.6kくらいです。空海が柳の枝で加持をしたら水が沸いたというのが名前の由来。トイレや補給を済ませます。が、肝心の湧水を忘れてました…

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ここで先のお遍路さんに追いつきました。我々も遅くはないと思うのですが、やっとこさ追いついた感じ。健脚なお2人ですね。休憩してるうちに、また先行されたので、また追っかけスタート。

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次に目指すのは一本杉・浄蓮庵。ハードな登りで今回の最高標高まで駆け上がります。あんぱんが効いてきて気合も入りました。

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少し歩きやすい車道のようなところを進みます。しかし、こんな崖っぷちもありますので、油断したら滑落しそう。

その道の途中、ついに健脚お遍路さんに追いつきました。

お二人は、お寺を一つ一つまわっているそうで、今日は焼山寺のみ、とのこと。そういう周り方も素敵ですね。焼山寺からは近くのバスで帰れます。古道を楽しみたいとのことで、しっかりした登山靴やストック装備を持ってました。かなりのベテランお遍路さんとお見受けします。

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そして、また完全トレイルへ。

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杉木立の急登が立ちはだかります。

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黙々と登っていきます。冷たい風が吹きおろしてきます。

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ジグザグに登るうち、徐々に地面の雪が増えていきます。

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お地蔵さんや札を見つけては進む方向を確認。

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凛とした空気感。静けさの中に自分の足音と呼吸の音だけ。

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途中、もうお一人お遍路さんと会いました。急坂の中で追い抜いたのであいさつだけ。いよいよ景色は白銀に覆われ始めました。

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雪は薄いのでそれほど歩きにくくはないですが、石の上などは凍っていて滑ります。慎重に次の一歩を選びます。ザックザックという音が響き渡ります。

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不意に現れた階段。見上げると弘法大師の立像。浄蓮庵です。約11キロ。

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ツルツルに滑る石段と格闘し、休憩ポイントへ。時間があればゆっくり見てまわりたいですね。これら途中の番外霊場の納経は焼山寺でお願いできるそうです。

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最高地点から降っていきます。次は左右内(そうち)の集落。トレランといえば下り。ここからは一気に駆け降ります。トレランの醍醐味ですね!


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急な石段を下れば視界が一気にひらけます。れー&るーさんも颯爽と駆け降りてきました。かっこいい!

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左右内集落。映画の中にいるかのような錯覚に陥る、そんな景色の転換を自分たちの足で体感していきます。

一体ここはどこなんだろう?

向こうに見える山並みは?

この道はどこへ続くんだろう?

別世界に来たような感覚に、感情が昂ります。

 

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これも遍路道。ほんとにここが道かな?というところが多いのも遍路道。この手の道にも徐々に慣れてきました。普通に民家の庭を突っ切るような道は見逃すこともあるんですけどね。

画面奥の橋を渡れば、ついに焼山寺山です。

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目指す焼山寺は、938メートルの山、焼山寺山の八合目。あと少しのところまできました。

この地に住む火吹き大蛇が空海とバトルした時に吹いたファイアブレスで焼けたので焼山なんだとか。

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先の橋で越えた川を再度越えて山に入ります。のどかな集落から、また一気に空気感が変わります。

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ついに「へんろころがし6/6」。最後の登りへ。

さすがに、やや足も重くなってきましたが、気合を入れ直します。しかし、坂は容赦ない斜度に。

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これはたしかに遍路「ころがし」。タフトレイルなコースにも遭遇しました。整備されていない時代に草履でここを越えるのは、本当に修行だったでしょうね。ランシューですいすい登るるーさんもすごい…。

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キツい坂を登り続け、ついに残り1キロ。長かった…。

ランなら5分ですが、タフトレイルだと20分かかることも。気は抜かずに進みます。

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そして、見えてきたのは何百もの石灯籠。焼山寺です。菩薩や如来の石像が立ち並び、ここがどういう場所であるかを静かに伝えています。

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この回廊も長い登り坂。道は雪が溶けて再度凍ったアイスバーン。慎重に歩いていきます。

焼山寺の駐車場も同じところにあるので、ドライブお遍路さんも何人か通っていました。

そして、ついに辿り着きました。

12番札所、焼山寺です。

予定時刻を大幅に越えての到着。時間が押してるんですが、大急ぎで三脚セット…。

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12番!焼山寺

こんなことに付き合わせて、るーさんごめんなさい。

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3時間ずっと進み続け、山を登りに登った場所ですから、

(もしかして、山小屋みたいなお寺?)

と思っていたら、この標高からは想像できないほど立派なお寺でした。

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第12番札所 摩廬山 正寿院 焼山寺
(まろざん しょうじゅいん しょうさんじ)

打ちました。

これまで納経所では「係の人」という雰囲気の方が書いてくださっていたんですが、ここ焼山寺ではお坊さんが書いてくださいました。なかなか貫禄あるお坊さんで、鴨島駅からの所要時間を聞かれたので3時間かかったと伝えると、それは速いと褒めていただきました。

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今回の大きな目標の一つを達成し、気分良く山下りです。次のチェックポイントは杖杉庵(じょうしんあん)。2キロほど車道を走って下ります。

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ここは右衛門三郎の伝説の地。だれ?って感じですが、なんと元祖お遍路さん。

その昔、右衛門三郎は人を大勢使って悪どく稼いでいたそうなんですが、そこに貧相な男が施しを求めて立ち寄ったそう。もちろん彼は冷たく追い返すんですが、それから次々と8人の子供が亡くなってしまうんですね。そこに聞いたのが空海なる偉いお坊さんが四国を回っているとの噂。あの人は空海だったに違いない!と追いかけること、なんと四国20周!そこではたと気づき、逆回りして空海に会えて許しを乞うたという。うんうん。(僕なら2周目で逆走するけどね…)

そう、それこそが遍路道、というわけで元祖お遍路さんという伝説の人物なんです。

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ここ杖杉庵には、その逸話を伝える銅像と案内板があって、当時に思いを馳せることができます。そんなお話を読みつつ、おにぎりで栄養補給。

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ここ神山町スダチと梅の産地だそうで、梅畑の中を走ります。ところどころ直売所もあるんですが、ガッツリ入って300円。そんなに持てないのでなくなく諦めます。一粒だけ売ってくれてたらなぁ。

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遍路道はまた,少し不整地に。写真の通り、なかなかの悪路です。下りを走った前腿が悲鳴を上げはじめます。

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舗装路に出ると、こんな看板。この悪路、近道扱いなのね。

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また左右内川を渡り、焼山寺山に別れを告げます。鍋岩地区へ。遍路向けトイレも整備されていました。

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のどかな街並みをジョグ。走りやすくて気持ちいいです。でも舗装路はあっという間に終わります。ここから、今回最大の難所が控えていようとは…。

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実はこの舗装路を進んでも遍路道なんですね。新しいルートのようでガイドブックにも出ていました。しかし、やはりここは旧遍路道を選びます。写真でいうと左の山道を選択。玉ヶ峠越えです。道が狭すぎて、分岐が多くどこが本当の遍路道がわからない感じでしたが、標識を探してなんとか入山です。

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実は先ほどの集落にバス停がありまして、藤井寺から焼山寺まで歩き遍路をした人も、このバス停から帰るのが定番の様子。

そうなると次の13番一宮大日寺は、近くのバスで降りて行く=我々がここから行くルートはあまり使われない道、ということ。

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そのため道はやや荒れ気味になります。そして、斜度がキツい…。ところどころ鎖場もありました。なくても登れましたが助かりますね。

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山の入り口にあった看板の「植村旅館」さんが、この道にたくさん札をかけてくれていまして、これがいい道標になりました。

先に述べた通り、通し打ち(一度の旅で一気に遍路を回ること)でないと、なかなかこの遍路道は通りません。遍路客相手の旅館も経営は厳しいんでしょうね。営業努力に敬意と感謝を覚えました。

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こんな道を延々と登っていきます。時期も天気もちょうどよかったですね。これが真夏ならギブアップせざるを得なかったと思います。

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やっと広い道に出ました。こんな手作り標識がありがたいです。

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視界が開けると、この景色です。

遥か遠方には四国山地の山並みが。

風力発電の風車は大川原ウインドファームだと思われます。西に目をやるとさらに高い山々。焼山寺山からは剣山が望めるそうです。

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しばし休憩ののち、下ります。走りよい道をジョグしていくと、少し街になったところに出ます。ここで自販機発見。ドリンク補給。やや水分不足でした。

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カカシと共にこんな遍路人形があるのも遍路道らしくていい雰囲気。24.4kmまできました。

ここで一息。

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ここからはロードメインで13番、一宮大日寺にまっしぐらです。

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この橋を越えて峠を一つ越えます。

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下っていくと、ここでも潜水橋が。

こういう狭い橋を見ると、必ずやります!

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10回くらい撮り直しして股関節が悲鳴を上げ始めたところで次へ。

ここから鮎喰川沿いを下っていきます。

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エメラルドグリーンっていうんでしょうか。つい足を止めて見とれてしまいました。
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この川沿いのルート、交通量がそこそこある道で、広くて信号もないので、けっこう車もバイクも飛ばすんですね。

負けじとこちらもジョグペースをあげ、今日中にどこまで行けるか計算します。17番井戸寺は厳しいですが、15番なら間に合うか?

そんなことを考えながら徳島刑務所付近に差し掛かった時、背後から大きなクラクションが鳴り響き、直後にガシャーン!!とクラッシュ音。

振り返ると白い軽自動車とバイクが路側帯に突っ込むところでした。

すると、るーさんが現場に猛然とダッシュ

我々も続きます。

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血を流して倒れるバイクの男性、パニック気味の女性の運転手、どちらも年配の様子。

冷静にるーさんが様子を確認。バイクのエンジンを切ったり、話を聞いたりして状況を把握。

Reiさんは、居合わせた男性が慌てすぎて救急に電話ができないのを見て、119に通報。

そして、るーさんは警察へ通報。お2人で周りの人から現場の住所や事故の状況、怪我人の様子を確認して、電話で伝えます。

幸い、バイクの男性はその時点では命に別状なく意識もはっきり。運転手も冷静になり、現場は徐々に落ち着きました。それから救急車を待ちます。これが、長かった。15分以上はかかったと思います。

救急車が到着すると、すぐに警察も到着。引き継ぎをして、我々は遍路ランに戻りました。

こういう時って、るーさんみたいな冷静でリーダーシップのある人がいてくれていると本当、安心ですね。番長なら目がハートになってたと思います。

るーさんのおかげでちょっとした人助けができてよかったです。見捨てていたら、空○の呪いで次々にteamいきもの舎のメンバーの命が奪われて…なんちて。

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さて一宮大日寺に再スタート。もはや時間がないので、今日は大日寺のみで終えようということに。

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↑うん、正解!

たしかに交通量が多いですし、路側帯を走るので、ちょっと危険です。お遍路さんをされる方は大日寺周辺にご注意を。

見えてきたのは一宮神社と一宮大日寺。36.5km

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大きな道を挟んで、神社とお寺が建っています。もともとは一宮神社が納経所だったという話も。歴史的経緯によれば、どちらにもお参りするのがいいかもしれませんね。それにしても焼山寺から長かった…。

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13番!大日寺

大日如来が降り立った地だから大日寺なんだとか。

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五カ所周りと呼ばれる街中お遍路コースだけあって、観光客風の人も多かったですね。

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13番札所、大栗山 花蔵院 大日寺
(おおぐりざん けぞういん だいにちじ)

打ちました。

こちらの納経所、訪れるとサラサラヘア茶髪のお姉さんが颯爽と登場し、鮮やかに書いてくださいました。まだお若い感じの方。正直、意外でした。

まだ17時の納経所統一閉店時刻には時間があります。3キロ先、14番常楽寺に向かいます。

間に合わなくても、遍路道を稼いでおいて、次回にうまく繋ぎたいところ。鮎喰川をさらに下り、一宮橋を渡れば、あとはひと丘越えるだけ。

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日の暮れる中、ラストの坂です。

これを越えると、常楽園という児童養護施設がありました。もともと常楽寺が身寄りのない子供たちの世話をしていたことが始まりなんだそうですね。

境内を開放してスタートしたとのことで、すぐに常楽寺です。

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ええ、もちろん閉まっていましたとも。

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うなだれるRezzoにGarminバッテリー切れのるーさん…。トボトボと最寄りの駅へ。

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どこかおうちの美しい梅と夕焼けに慰められつつ、府中駅(こうえき)に着きました。

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本日の工程、42.3キロ。

獲得標高、約2000メートル。

おつかれさまでした。

足、パンパンです。

 

列車で蔵本に戻り、銭湯で汗を流して、本日のリカバリー夕食、東大ラーメン本店へ。

ここで、日本語マスター中の学生さん?店員と研修中のバイト学生くんがてんやわんやで、5連続注文ミス状態になり「この野郎、許さないぞ!」と思ったんですが、そんなことしたら空○のアレでshibakiリーダーから順番に消されていくんじゃないかと思って怒りを抑えて美味しくラーメンをいただきました、とさ。

その後「安全運転で」無事、帰宅することができました。

 

まとめです。

今回は、藤井寺焼山寺、一宮大日寺の3霊場を回ることができました。

歩き遍路をされている方とご一緒でき、ハプニングがありつつもその中でも出会いがあり、今回も一期一会を感じることができたなと思います。

反省しなくてはいけないこともあります。焼山寺の納経所でお坊さんらしき方に書いていただいた時は、これはありがたいなと思い、大日寺若い女性に書いていただいた時はこの方が書くのかな?と意外に思ったわけです。

しかし、書く人の風貌でありがたみや価値が変わるのかといったらそんなことは決してない。もしかしたらあの女性は高名な方であり、お坊さんと見受けた方が実はただのバイトかも知れません。(バイトがダメというわけではないですが)さらに言えば、むしろそんな人への判断それ自体がまったく意味のないことでしょう。

つまり、本来ご縁を結んだ印をいただいたというだけなのに、いつのまにかそれをくださる方を見た目で判断して価値を値踏みしていたということです。これは反省しなくてはいけない。前回の焼き芋屋さんや納経所、今回の遍路の始め頃、ランスタイル、トレランスタイルの私たちをそのカジュアルな服装で判断することなく、お遍路さんとして敬意を持って接し応援して下さったこと、もう忘れていました。

ややもすれば表面だけで価値判断しがちであること、気づかされた次第です。

 

コースに関して。藤井寺から山道への入り口に足を踏み入れた時から幻想世界に迷い込んだような錯覚に陥りました。映画のような小説のような、別の時代の別の世界に迷い込んだような感覚のまま、一日の旅を楽しむことができました。未だに思い出すと不思議な幻想感に襲われます。それくらいに、厳しくも素敵な遍路道だったと思います。