紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

四国八十八ヶ所マラニック その4【阿波国編④】

故障あけ遍路!

疲労骨折スレスレのシンスプで、しばらくランオフしていたわけですが、圧痛が消えて短いジョグでも問題なし。5月の柴又、6月の那岐ピークスに向けてそろそろ再始動の時期。次の遍路みちはトレイル比率7割でほぼ歩きなら足へのダメージも少なかろうと、お遍路マラニックに行ってきました。

るーさんが田んぼ仕事のために惜しくも参加できず今回もRezzoで周ります。

 

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「発心の道場」阿波遍路。その難所と言われているのが「1に焼山、2にお鶴、3に太龍」。

今回は、2.3にうたわれる札所、鶴林寺太龍寺を周り、山を下って平等寺まで行くコースを作りました。500メートルの山を2つ越える、ほぼトレイルの33キロです。

累積高低差1400なので消費カロリーを基礎代謝込み3000は覚悟ですね。ダイエットダイエット。

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4回目ともなるとスタート地点が遠くなってきました。今回は吉野川最河口側にある吉野川サンライズ大橋で南下します。3月21日に開通したばかりの高速道路です。とくしまマラソンでお馴染みの吉野川大橋よりもさらに河口側。これを渡って一気に小松島へ。

 

今回のギア

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もう気温も上がってきたので、私は夏仕様のトレランスタイル。雨の予報なのでレインジャケットなどはガッツリ。シンスプ対応でズムフラで臨みます。

Reiさんは寒さ対策をしっかりしていますね。ザックごと覆えるウェアで機動性を上げた模様。ホカのトレランシューズで山に備えます。

10キロ毎に補給可能なので、荷物は軽量に。

 

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今回のスタート地点は、前回フィニッシュの立江寺から。行政区分でいうと小松島市から勝浦町、那珂町、阿南市が範囲になりますね。

 

0〜7km「真念歩きへんろ道」登場

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近くに車を停め、アップがてら立江寺に移動します。やや風が冷たいですが、予想されていた雨は上がり、悪くないコンディション。

1キロで立江寺ゴールデンウィークだけあって、お寺周辺にはお遍路さんがすでに数組見られます。

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前回食べ損ねていた「たつえ餅」の酒井軒本舗に立ち寄りますが、雨戸が閉まっていて開店前の様子。パンフやネットで情報が異なっていて、8:30開店というガイドブックに期待したんですが…。

しかし、Reiさんが突撃してお店の人に掛け合いたつえ餅を売ってもらっちゃいました。なお、開店は「9時ごろ」とのこと。こののんびり感もお遍路っぽくて楽しみたいところですね。

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軽くストレッチしたらランスタート。徳島では田植えが始まっていました。空海もこんな景色を眺めたんでしょうか。

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今回は、ただのマラニックというよりシンスプ復帰ランの意味もあるので、終始フォームには留意してのランになりました。

とくにことぶきちゃんやReiさんのお師匠さんがいう足指の使い方を意識し、アーチが落ちない走りを気にしてみました。Reiさんからも、足さばきの改善を指摘してもらえたので、気をよくして軽快に進みます。

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さて、毎回このマラニック遍路道は、複数ある遍路道の中からできる限り古いものをチョイスしています。今回も保存会ルートを実際に走破した方のブログの地形図をベースにヤマレコに入力して作成したんですが。…走ってると作ったルートと違う方向に標識が。

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「真念歩きへんろ道」って…なに?

しかし、いつもの遍路道標識なので、それを信じて曲がります。たしかにヤマレコをよく見ると先人の足跡が。後から調べたんですが、最近になって整備された古道なんですね。これ、今回のテーマの一つになりました。

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さっそくの不整地。でも、この方が遍路らしくてウキウキします。

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毎度ながら、人様のお庭っぽいところを突っ切るのも遍路道らしいですね。民家の敷地(らしい所)を通る時は、いつも感謝の気持ちと共に通り抜けます。これもお遍路の「仕掛け」なのかも。

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和ませてくれるフクロウの置物。私たちはラン遍路なので、こうしたものを見逃している気がします。その意味では、八十八ヶ所を満喫するには歩きがベストなのかもしれません。

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「真念へんろ道」もほぼ舗装路なんですが、林を抜ける箇所もあり、ランを楽しめました。途中で国道でも通してるのかなという工事現場を通るんですが、その付近で白衣の歩き遍路の男性を追い抜きます。その方、「鶴林寺はこの道であっていますか?」と話しかけてくれました。こちらも鶴林寺に向かっています、とエール交換。とても穏やかな方でした。レース中のランナー同士の励まし合いに近いものを感じます。これでスタート直後の緊張もほぐれて元気が出てきました。

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途中、巨木のある公園に目が止まります。

なんでも「フウの木」というらしい。調べると漢字で「楓」と書くんだとか。

本来はカエデの木は「槭」と書くそうで、何ともややこしいですね。

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一度、新へんろ道に出て、また真念へんろ道へ。予定より2キロほど長くなります。真念〜は、新しく整備されただけあって、とてもわかりやすく看板や標識が立ててありました。

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冷たい風も徐々に暖かくなります。

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いい雰囲気の竹林も。これが、なかなかの登りです。これは想定外。

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しかし、登った分だけ景色も楽しめますね。

 

7〜13km 快適!勝浦川遡上ランニング

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新へんろ道に合流し、休憩小屋で一休み。立江〜鶴林寺道はぜひ真念へんろ道をお勧めします。


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ローソンで小休憩。たつえ餅をいただきます。

柔らかいお餅に優しい甘さの白餡がぴったり。

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ここから勝浦川沿いを走ります。鶴林寺は勝浦川那珂川分水嶺にあるんですね。久々のロードを楽しくランニング。走れるって、ほんと気持ちいいです。

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数キロ走ると、鶴林寺山へ続く稜線が見えてきます…たぶん。

この辺りで、折り畳み自転車のお遍路さんに追い抜かれました。鶴林寺まで自転車で登るんでしょうか。

ここには道の駅もあって、車で来ていたら楽しめそうなポイントです。私たちはファミマでドリンク補給。山に備えます。

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地図上では、この辺りから急激に道が複雑になります。ほんとにこの道なのかな?というレベルでルート作ったんですね。いろんなところで「金子や」で曲がれとあって、その金子や発見。一安心。
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そして、いよいよ、鶴林寺の標識。

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複雑な道が不安でしたが、こんな感じでわかりやすい標識がたくさんありました。これなら迷いませんね。徐々に道はミカン山に。

 

13〜17km 急登、鶴林寺みち

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いわゆる「鶴林寺みち」が始まります。遍路道には、名前のついた道がいくつかありますね。ここ鶴林寺みちもそのうちの一つ。国指定の史跡です。

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ご覧通り、よく整備されていて序盤は楽に登れました。ミカン山に続く、コンクリート舗装の道です。

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とはいえ、鶴林寺までは水平方向約2.5キロで450メートルほど登りますから平均斜度は18%程度あります。かなりの急登。遍路ころがしの名に不足なし。

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南北朝時代に建立されたという丁石はこれでしょうか。109mごとに設置されていて、鶴林寺にカウントダウンしていきます。

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そのうち、コンクリート舗装が終わると、いい感じの湧水が。

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うん、美味い!

5月ともなると、坂を登れば汗もかくので、湧水のうまさがちがいますねー。

そして、見上げると…

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ここが「水呑大師」でした。空海が杖で突くと湧いた水、とのこと。いったい何ヶ所の湧水を作ったんだ、弘法大師…。

さて、ここから石畳の道が始まります。

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雰囲気は萩往還道ですね。

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傾斜も同じくらいキツく、シューズもズムフラなので足をくじきかけつつ登ります。スネへのダメージを減らす方を優先です。がんばれ、足首!

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視界が通るところに出ます。

広がるのは那珂川太龍寺山。あそこに降って、また登るのか!ワクワクしますね〜


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鬼のような急登が続きます。アドベンチャー感やファンタジー感では焼山寺が圧倒的ですが、登りやすい古道の雰囲気は抜群で、毎度ながらリフレッシュできました。

道は鶴林寺の駐車場あたりにつながり、クルマ遍路さんたちと合流。到着です。

杉の巨木が立ち並ぶ中に佇む仁王門。写真撮影の順番待ちができるほど人が多かったですね。(それでも10人くらいですけどね)

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この山門の仁王像は、運慶の作なんだとか。ほんとかな。自撮り棒を活かして撮影。


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…暗くてよくわかりませんね。

そして、なぜ前回やらなかったのか小一時間問い詰められたという札所前の決めポーズ。Reiさんがどうしてもやるというのでダウンドッグ。

 

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20番!鶴林寺

人目をかいくぐってがんばりました。

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鶴林寺はその名前にもある通り、鶴の銅像が並ぶ本堂が見どころ。空海が修行中に二羽の鶴が舞い降りたのが起源とか。

そして、境内を回っていると車遍路さんに混ざって巨大なザックを背負ってる2人組のお遍路さんを発見。思わず話しかけると、今日はここ鶴林寺までで、山を下って小学校跡地でキャンプなんだとか。ゴールデンウィークを利用して数日間通し遍路なんでしょうか。かっこいいですね!

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第20番札所 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺
(りゅうじゅざん ほうじゅいん かくりんじ)

打ちました!

ここの住職から「自転車ですか?」と聞かれ、ランであることを告げると「トレランですかー!30分くらいで登って来られました?」と…トレランって言葉を知ってるのか!

なお、1時間かかってます。

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さて、ここから太龍寺に向かいます。

古道が残るこの地域ならではの看板。「かも道」も走りたかったんですが距離が大幅に伸びるので今回は見送りました。

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引き続きトレイルで降って,登り返せば次の札所。鶴林寺太龍寺も山の上のお寺です。しかし、川まで降るので、完全に登り直しになります。尾根づたいの移動ではないんですね…。

 

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杉林の間を整備された階段が続きます。

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小川の流れるところがやはり何度かあって、グリップのないシューズだとどうしても減速方向にシフトしてしまいますね。ズムフラなのでスリップを警戒して、すり足気味に走るようにしました。圧雪路面やアイスバーンで鍛えたバランス感覚が活きてきます。しかし、このすり足走法が後から悲惨な結果を招くことになろうとは…。

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史跡指定だけあって整備されてるところが多いですね。快適に降っていけます。

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整備されているのは道だけでなく、古い丁石には解説の看板が建てられていました。昔から「指」マークって使われていたんですね。今回のルート沿いにはこんな看板が多く、歴史を学びながら、感じながら、走れました。

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なかなかの悪路もあるので、油断せずに降っていきます。

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降り切ったところの休憩所で、たつえ餅を補給。うまい!登り返しに備えます。キツい箇所にあわせて休憩所が整備されてるのはホントありがたい。

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いい感じの遍路道を抜けると、ちょっとした集落へ。
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大井休憩所です。ガイドブックにもよく出ている大型の休憩所。家のソファ持ってきました!みたいな感じが素敵。ここは素通りしました。

 

18〜21km 絶壁アドベンチャー太龍寺

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鶴林寺から降り切りました。せっかくの標高がほぼなくなります…。仕方ない。

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そして、那珂川を越えます。

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橋があるって楽ですよね。
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うわさの「かも道」看板。最古の道とのことなので、いつか行ってみたい道ではありますね。
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太龍寺への道は、焼山寺鶴林寺に比べるととっても楽。
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道幅も広く、傾斜も少しゆるやか。

4キロ歩いて500メートル登るので、平均斜度は12%くらいです。
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水場もあって癒されつつ登ります。

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倒木の直撃で傾いた橋があるのはご愛嬌。とりあえず今のところ渡れる様子。

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そろそろ太龍寺かなというところで、かも道との合流地点に。ここでなんとトレランスタイルのペアを見かけます。白衣ではないんですが、遍路かな?

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ラストの坂。なかなかハードでしたが、たつえ餅パワーで登り切りました。標高は600メートルに迫ります。

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古めかしい山門が見えてきます。ここまででも特に時代を感じさせる仁王門でした。杉の巨木が並ぶ参道を通り、太龍寺へ。

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お遍路さん、参拝客、なかなか多かったですね。これまでの札所の中でも、看板がしっかりしていて、見どころの一つ、龍天井も見逃さずにすみました。
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これ、下から撮ったところです。墨絵のような龍の姿が天井に描かれています。

そして、太龍寺でもやっぱり決めポーズ…。
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21番!太龍寺!…はい。

龍天井のある建物は本堂ではなく、奥の方に移動。そのとき、先程見かけたトレランスタイルペア…なんとなく険しい表情と雰囲気で、話しかけずにスルー。そんなこともありますね。

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第21番札所 舎心山 常住院 太龍寺
(しゃしんざん じょうしゅういん たいりゅうじ)

打ちました。

ファンタとたつえ餅補給をして、太龍寺を発ちます。

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降るとこんな立派な階段がありました。現在の順路はこっちなのかも。というのも、ここ太龍寺には…
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ロープウェイがあるんです。ちょっとアレなお土産物屋さんもあったりして、完全に観光地です。下界のロープウェイ乗り場は道の駅。参拝客が多いはずですね。

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平等寺方向の看板の通りに進むと立ち並ぶ仏像。似てる人がいたので並んでもらいました。そっくり…。

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そして、空海が修行したという舎心嶽へ。
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ハードな鎖場をよじ登ると

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修行する空海の像が!

やっほーい!

…しかし、

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周囲は思い切りガケ、なんです。

一歩でも踏み外せば真っ逆さま…

まず即死。

なので…
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さすがのReiさんもガクブルでした。

引き返すのも相当怖かったですが、超オススメのポイントでした。

 

22〜30km  いわや道にコケる…

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さて、ここから「いわや道」です。なんと、注意書きの看板が。焼山寺みちにはなかったのに!

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古い道を整備し直したとのことで、ここの道沿いの史跡にも解説があります。
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左手が常に急斜面になっている杉林で、所々狭い個所もありますがおおむね走りやすいです。


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いつものことなんですが、EPSONGarminでは山の中はEPSONの方が距離が短く出ます。悔しいので、わたしだけ先に走り、引き返しを繰り返して距離を稼いでみました。那岐ピークスに向けての練習でもあります。

そして、例によってズムフラで「すり足」気味の走法。スリップには完全に対応できたんです。しかし、見事に木の根に足を引っ掛けました。コケた直後は数分動けないほどの激しいズッコケ…。

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すっ転んだ瞬間をReiさんに見られなかったのが不幸中の幸い…。

そこからしばらく降った先で傷を洗い、ラン再開。突き指した小指が痛みます。ヨタヨタ進んでいるうちに、トレイルは平等寺みちへ。

全力でズッコケたので、スマホも握れずしばらく写真はありません。この後、逆打ち?お遍路さん2人組とすれ違い、トレランですかー?すぐ先、急坂です!と応援されました。ほんとに凄まじい急坂で、痛む体で泣きながら降る降る…。

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山から出ると、気持ちのいい田畑の風景。コケた痛みも忘れますね。ここが少し街になっていて自販機補給。その辺りで標識が見当たらず、やや右往左往したんですが、どうにか正しいルートに。そして、最後のプチ登り、大根峠に向かいます。
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その途中、お遍路さんの案内標識を付け直している男性を見かけました。

お話しすると、この辺りは道に迷うお遍路さんが多く、標識を整備しているところなんだとか。まさに、迷ってたところ!

この方、話していて、穏やかさが滲み出てるんですよね。癒される笑顔で話してくださって、大コケの痛みもすっかり良くなりました。本日のMKP(もっとも空海っぽい人)は、この方に決定!写真撮ってもらえばよかった。

それはともかく、遍路道は整備してくださる皆さんあっての遍路道。それを実感することができ、さらに感謝が深まりました。

さぁ、ラストのトレイル、大根峠(おおねとうげ)です。

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きれいなトレイル。

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これまでのトレイルからすれば、なんてことない楽しい山道。大根峠、クリアです。

 

31〜35km 今回は間に合った!フィニッシュへ

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下ってロードに出ると、太陽は徐々に傾き始めています。今日はなんとしてでも17:00までに駅に着きたい。これを逃すと、次の電車は90分後!

夕方のロードを走っていると、朝見かけた折り畳み自転車お遍路さんに抜かれました。自転車で山越えてきたんだ…すごい。

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どうにか16時半くらいに着きました。平等寺です。

ここも空海が杖で井戸を掘った伝説があります。その水が白かったので白水山。境内に入ると出店があって、ミニ縁日みたいな雰囲気。

しかし、時間がないので過去最短5分ほどで納経所へ。

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第22番札所 白水山 医王院 平等寺
(はくすいざん いおういん びょうどうじ)

打ちました。

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後は新野駅へ3キロダッシュ

打ち身が痛むけど、とにかく走る。

遍路道ではないので、Google mapsとにらめっこしつつ新野駅へ。

結構、余裕で列車に間に合いました。ほっと一息。日も陰って寒くなり寒さ対策装備が活きました。

残ったたつえ餅で補給しつつ列車を待ち、今日もワンマン列車に揺られて立江駅へ。

…おや

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乗り過ごした…。

そんなオチもついた本日のお遍路マラニックでした。

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お風呂の後、スーパーでお土産を探して帰りました。阿波晩茶は、発酵マイスターでもあるルイーダ総監督からも珍しい、美味しいと言っていただけました。やったね。

 

次回は、いよいよ徳島ラスト。23番札所薬王寺です。ここから、遍路区間最長の土佐行き遍路が待っています。ミスなきよう、綿密な計画を立てていこうと思います。

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ここまで、累計約156キロになりました。

1/10は超えたかな。

 

あとはおっさんのごたくなのでマラニックの話はありません。読まなくていいです笑

 

おっさんのごたく〜遍路するって何だろう

へんろ道を走るのは景色やランを楽しめるわけですが、時間がかかるのも事実で、いろいろと考えを巡らせる暇(いとま)があります。

今回、小松島の真念へんろ道を走って思ったのが、クルマ遍路全盛にあって歩きへんろ道の整備が進められていることへの意外さ、でした。

「道」はどんどんと舗装され、真っ直ぐひかれ、広くされていっています。しかし、へんろ道は不整地で、ぐにゃぐにゃと曲がり、狭い。当然歩きにくく時間はかかり、クツは汚れます。

一度、合理化されていった「道」が今、非合理的な古道の復元によって蘇っている。これはある意味ヴェーバーのいう「呪術からの解放の再呪術化」に通じるものがあるなと感じました。

しかし、それは不合理などというものではなく、むしろ好ましい変化という意味です。

科学の発展(呪術からの解放)により「まじない」としての聖地巡礼の意味は削ぎ落とされてきた。しかし、お遍路は途絶えることなく脈々と受け継がれている。その中で、遍路の意味はむしろ深化してきたのではないかと思うのです。

今回は遍路道の標識を整備して下さっている方に出会えました。また、毎回、お遍路さんとは言葉を交わしつつ回れています。お寺の方々にはいつも親切に対応してもらっています。そのみなさんに共通する「安心感」の正体。それはもしかしたら「目に見えないものを信じている」人たちに特有の穏やかさなのかもしれない。そう感じます。

「お遍路さんをしたら金運が上がりました」なんていうオカルトチックなご利益はもはや多数に信奉されるものではないでしょう。しかし、それでもなおお遍路に人は向かっている。そこにあるのは、遍路のもつ何かしらの魅力に惹き寄せられたから。

ただの山歩きでなく、ただの参拝でもない。歩きにくい道を延々と歩き、考え、人と出会う。

つまり遍路道の「非合理的な復元」は、エコフレンドリーとかスローライフとかそんなカウンターカルチャーでもなく、スピリチュアルなことを認める人たちに思考思索の場を提供しつつ、その間に緩やかなつながりを持たせるための仕掛けのように感じるのです。

前回、セカオワの歌詞を引用したポスターには考えさせられました。まだ某国による某国への侵攻が続く中、考えたのは、いわゆる西側諸国の旧共産圏への嫌悪の根底にあるのは、宗教弾圧を繰り返してきた過度の思想統制唯物史観の極端な解釈)への直観的な反応ではないかと

いうこと。

その中にあって、宗教側の主体たる寺からのメッセージが「僕の正義が彼を傷つけていたんだね」と、自らに向けて「正義」を問い直させたのは意義深いと感じます。

呪術からの解放の再呪術化は、往々にして政治による宗教の「悪用」と結び付けられます。しかし、遍路がもたらす非合理的な「道」は、曲がりくねりつつも、自らを問い直し、相手を認めつつ、緩やかにそしてしなやかに繋がっていく、その困難にして希望のある先を見せる、そんな道なのかもしれない。

なんてことを生意気にも考えた第4回遍路マラニックでした。

 

つづく