紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

北海道マラソン2022〜失態レースの顛末と人の温かさと

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富士登山競走から1ヶ月。待ちに待ったレース、北海道マラソンに参加してきました。

公認フルとしては防府読売2019以来の2年8ヶ月ぶり、フルレースとしてもBihoku Parkマラソン以来の2年4ヶ月ぶり。まさに止まっていた時計を動かす時がきました。

練習について

4月の長野マラソン前の故障、5月の柴又100k、7月の富士登山競走五合目コースという流れからの夏レース。特に柴又以降は暑熱順化を徹底し、炎天下でも4,5キロは無補給で走れることを目安に走ってきました。キロバルは夏場だとスピード走の距離が長すぎるのでガチユルメイン。故障後も3:10台までスピードが戻り、調子良く走れるようになりました。また6月はとくに山トレのロングを毎週実施。7月は富士登山競走に向けて坂トレ山トレ。つまり、暑くなるにしたがい、ショートスピ練と山トレ時間走という組み合わせで北海道マラソンに向けた練習メニューを組んできたわけです。視線の先には常におかやまマラソンでのサブスリー。夏でも妥協なし。ただ、走行距離は月間300km目標をやめました。故障しては意味がないです。


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目標ペース

北海道マラソンは気温によってタイムが大きく変動します。2019大会はスタート時の温度計が19℃。小雨混じりの絶好のコンディションでした。失敗レースをやったんですけどね。

今年はどうか。天気予報とにらめっこをする日々になりましたが、長期予報でも安定して20-25℃。場合によってはそれ以下で、涼しくなりそうな状況。3:30を切れたらいいかなという気持ちは徐々に公認自己ベスト3:15、シュガーカット=3:10切り、非公認ベスト3:06切りへと向かいます。そして「スタート時の気温が20℃未満ならサブ3ペースで入ってもいいのではないか」という欲が出てきました。道マラなら別大の上位カテエントリーに間に合います。

こっそり狙うサブ3

そこで計算したのが必要ペース。よく言われるのは4:15ですが、これは「スタートロスなし、42.195km」の場合。実際はスタートロスがある上に、最短ルートは走れない、給水ロスもあるためグロスだともっと高速ペースが求められます。

前回大会では42.5km、スタートロスが30秒程度でしたのでそれを計算し、4:12というペースを設定しました。

しかし前回大会ではまっすぐスタートできるブロックだったのに、今回はタイムが伸びているにも関わらず横からスタートする後方ブロック。スタートロスが大きくなります。1分は覚悟です。それでも4:12で走ればグロスタイムで間に合うはず。前回は周りに引きずられてオーバーペースで入った記憶がありますが、今回はそれに乗っていってしまえ、と算段。

直前のペーランでは気温29℃晴れでハーフまで4:18ペース。2.5kmにつき紙コップ1杯の給水で走り切れたので、これより涼しく、給水テーブルが長く、大会本番となれば走り切れると考えました。結果的に甘い想定でしたが。

暑さ対策

道マラと言えば避けて通れない暑さ対策。暑熱順化は必要最低限のトレーニングです。毎日欠かさず滝汗をかく日課は厳守。

補給に関しては、ピットインを事前に開封して伯方の塩を1g程度入れ、ポカリ数滴で溶かすという高ナトリウムピットインをテスト。かなり不味くなるんですが背に腹は代えられません。これを2本。

というのも26℃で高強度運動をすると1時間あたり1リットル程度の発汗、塩分は3グラム程度抜けるのだとか。(諸説あり)それを補うだけの補給をしてやろうという作戦です。ただ「26℃で走ると3時間で3リットル発汗」の方を失念してしまったのが後々の惨事につながることに。

ジェルは、加えて定番マグオンピングレで足攣り防止、メダリストコーヒー味でカフェインとミネラルを補給という体制に。またレース前にとるジェルにも塩を追加、ツーランをスタート1時間前に飲むことにするなど電解質不足に備えました。

ウェアはアディゼロのシングレット。アスフォームのマルチポケットパンツ。とにかく放熱を徹底です。帽子は、なし、キャップ、日除けつきキャップの3パターンを想定。

代謝関係

カーボローディングは金曜から。金曜はご飯大盛り。土曜は朝から大盛りTKG。残渣の少ないであろう白米中心に摂ります。ちょっと取りすぎたかな。やや胃が重いです。

また、モルテンを前日にチビチビ飲むというローディングを真似て、ポカリに黒糖と蜂蜜を溶かし込んだスペシャルドリンクを作りました。

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いざ、北の大地へ

土曜の昼にるーさんと合流し岡山空港から新千歳へ。家から4時間で北海道。直行便は早いですね。安い高速バスとLCCを乗り継げば安上がりなるんでしょうけど今回は贅沢しました。

道中、なんちゃってモルテンをちびちび飲みつつ移動。カロリーメイトジェルで栄養バランスも取ります。炭水化物に全振りしてた今までとはやや路線変更。新千歳から快速エアポートで40分程度乗ればもう札幌です。

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前日受付とエキスポと健康チェックと

3年ぶりの札幌を観光したい所ですが、即、受付会場の大通り公園へ。さすがに涼しい!大通り公園には溢れるほどのランナー!ついにフルマラソンだぜ。心躍ります。

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いろいろ簡略化され、ハガキではなくスマホQRコードで受付を済ませます。例のアレですが、オンラインで健康チェックをしていればそれ以上の問診や検温などはありません。もちろんワクチンチェックもなし。そもそもランナーは今までも自分の健康に最大限留意して大会に臨み、また健康不安があればDNSしてきたんです。何も変える必要なんてないんですよね。(私は2018.19の大会もバス、飛行機の移動中マスクしてました。呼吸器を加湿する目的ですが。ランナーの健康や感染症に対する意識は極めて高いんです。昔からね!)体裁は整えつつもランナー負担を最小にしている運営に拍手。他の大会も道マラくらいをお願いします。

エキスポではフィニッシャーズ・ジョッキの受け取り場所を確認。るーさんと「我々のゴール地点はジョッキ前」と申し合わせます。ここに先着した方が勝利!負けませんよ。

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エキスポもそこそこにホテルにチェックインです。

決戦前夜ルーティン

事前に決めた予定時間通り、軽くホテル周りをジョグをし、夕食を購入し、ホテルに戻ります。やや右脛に違和感。金曜のボディワンの揉み返しかもしれません。今週は20キロも走っていません。練習量は落としていますからシンスプが悪化したとは考えにくい。とりあえず、気にせずにおこうと言い聞かせます。

ホテルでディナー。セイコマのシャケおにぎりとカップうどん、アミノバイタルを夕食にして、だいたい18:30には食事完了。その勢いで朝ご飯も準備。

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ゼッケン装着、計測タグ固定、ジェルの配分を悩みつつ決めたら、シャワーからのストレッチ。朝のアップを考えたり、コース図をぼんやり眺めながらイメージを作っていると、緊張が高まりました。緊張というより、不安でしょうか。揉み返しだろうとわかっていてもスネは気になるし、やや頭の重さもある。過去最長のハイペースランはキロ4:13ペースで32キロリタイア。故障明けからウルトラ対策と山登りばかりでスピードレース対応が足りていない不安。予定ペースで走り切れるかどうか。

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大会前夜のツイート後、次々届く仲間からのメッセージでそれを少しずつ解消しながら、就寝。なかなか寝つけません。

当日の朝ルーティン

4:30起床。途中3回目が覚めました。すぐさま朝メシ。レンチンしたサトウのご飯に味噌汁。カップうどん。BPMがレースピッチに近い音楽を聴きながらイメージ作り。咀嚼に時間をかけつつ、ゆっくりじわじわストレッチ開始。お行儀悪いですが、気にしない。

ジェルを飲み物代わりにカロリー確保。これ以上食べると胃にきそうなのでやめておきます。カステラはおやつに回そう。そんな判断も大切。餅がなかったのが残念。

動的ストレッチ、臀筋、脛周りをストレッチ。座っている方がやりやすいストレッチをホテルで済ませた感じです。しかし、落ち着きません。なにも手につかない心持ち。こんな大会は初めてです。

ギア

シューズはターサーRP。軽量薄底フィット感重視。昭和ランナーには憧れの一足。アノ記録を狙うにはこのシューズ一択です。

ソックスはSTEPおすすめの五本指。

シングレットとマルチポケットランパンは予定通り。帽子は曇り時々晴れの天気予報から日除けなしのキャップに。ボロボロの古いものを準備したので途中で捨てる選択肢も作ります。

時計はEPSON。メガネはJINS

ジェルは塩増量ピットイン2本、メダリストコーヒー、マグオンのピングレ。ツーラン。念のためのロキソニン。その他の荷物はスマホ含めて何も持ちません。

会場へ

6時過ぎにはチェックアウト。シングレットで外に出ると空気が冷たい。肌寒いくらいです。他のランナーも半数は長袖長ズボンスタイル。この涼しさが,その後の判断を誤らせました。心は完全に4:12で押し切るレースへ。

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大通り公園はすでに多数のランナーで溢れます。エリートランナーゾーンを冷やかしますが、お目当ての選手は見当たらず。

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Cブロック荷物預りゾーンへ。るーさんと合流しました。ホイミンキャップを被ってアップストレッチです。足首周りと大腿四頭筋腓腹筋、ヒラメ筋、腸脛靱帯、ランジにハム伸ばしも。

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仲間っていいね

そこに声をかけてくださったランナーさんが!Twitter上でよくリプをくださるくまさんでした。全然熊じゃない!

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うれしいですねー。くまさん、サブ40狙いで走るとか。すごすぎ。超爽やかな方でした。かくありたいです。その後、岡山のレジェンド吉光さんにもご挨拶。

今回、応援に来てくださる予定のハッチさんがなかなか現れません。ハッチさんが来たら写真撮って荷物預けだと思っていましたが、姿が見えないので、道迷ったかと心配していたらひょっこり登場!

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そして、シューズ円陣をしたところで、「じゃ、シューズ円陣写真撮ろうか」と聴いた声。番長でした。サプライズで札幌に突然の登場。

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おいおい…。腰抜かしながら写真。ハッチさんと打ち合わせしてたそうで、それで時間かかったのか。そして、すこし歓談しつつ荷物を預けます。トイレに並んで、さぁアップだ…。なんとトイレの行列がめちゃくちゃ長い!人数に対してトイレ少なすぎです。トイレ到達時は整列完了3分前でした。アップは整列してからに…。この間、ツーランやジェルで最後の補給。すでに動悸を自覚できるレベル。

スタートへ

8:10、セレモニー開始。その場ジャンプ、その場軸取り、その場ツイスト、その場ストレッチで関節のなめらかさと心拍を確保。やはりCブロックはBが抜けてからの合流の様子。以前のDの動線です。これは不利…。

そして、道マラ名物、明治安田生命ビルの巨大温度計…25℃。どうする?

しかし、チャレンジするのが北海道。試される大地。一か八かの大勝負をしかける気持ち自体は一切揺らぎませんでした。

スタート

スターター鈴木道知事が挨拶し、テレビ塔がカウントダウン。そして、号砲。拍手。動かない列…。久々に味わう後方ブロックの悲哀。

それでも徐々に動き始めます。Bに合流する形でL字に右折。ゾロゾロとスタートゲートへ。

スタートロス1分。私には重すぎるロスがのしかかりました。ここで2646位。

想定していた序盤は「できる限り間を縫う動きは避け、周りに合わせてナチュラルに加速していく」こと。しかし、異様に遅いランナーたちに阻まれます。

以前は過去のタイム順ブロック。いくら速くても初回は後ろからという割り振りだったようで、2回目以降なら少なくとも周りは同レベルのランナーになる防府読売のようなスムーズな加速ができました。それが自己申告の目標タイム順にブロックが割り当てられるようになり「とにかく前からスタートしたい」だけのランナーが前ブロックに割り込む「都市マラソンのスタートあるある」に…あぁ。ま、言い訳です。

それでも前に出るしかありません。ついていっては後がキツくなるので、スペースを見つけては前へ。焦る気持ちを抑えるべく、見かけたカズボンバイエさんに話しかけます。疲労骨折明けで騙し騙し走ってるそうで、根性ですね。

1km目のラップ4:29。想定外のスロースタートになりました。

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序盤はコース変更がない様子だと思っていましたが、たぶんその通り。3年前の記憶が蘇ります。しかし違うのはペース。広いスペースを探しては加速の繰り返しで徐々にスピードを増します。2km目で4:04。上げすぎですね。ただ周りとの速度差がありすぎるのでいち早く走りやすいポイントに出ないと後半が厳しいと考え、とにかく前へ。

幌平橋は小刻みに上り、コース最南端ゾーンへ。気温上昇はさほど感じません。ここでやや呼吸を整えます。

5km。1171位。道マラおなじみの第一給水第一テーブル大混雑は避けて奥のテーブルで水を被り、ダカラを一杯。さほどの給水の必要を感じない状況でした。むしろ飲むのに力が入ります。これもミスでしたね。

同学年最速女子を抜く

走りやすくなってきましたが、まだ4:12ペースに合うランナーがいません。コバンザメできない。そんな時、前に小集団が。中継バイクの後ろに伴奏者ビブスが見えます。道下美里選手です。同学年女子最速の道下には勝っておきたいと思っていました。ベストが2:54の彼女ですから場合によっては並走したら最高のペーサーに使えるかも。と悪い考え。残念ながら調子はそれほどではなかったようで、すぐに抜いてしまいます。ズルはできませんね。

ゲストランナーのレジェンドぶりに驚嘆

再び北上に転じます。途中、歴代優勝者ゲストランナーの田中千洋さん、つまり田中希実選手のお母様もお見かけします。キレイなフォームですね。さすが。

また、女子のコースレコードホルダー嶋原さんも。「下の子が3歳で〜、最近全然走れてなくて〜、ちょっとジョクできるようになって〜」のようなことを隣のランナーと話してるんです。走れてなくて、このペースでおしゃべりラン?!レコードホルダー恐るべし。

さて、南7条橋を越えると、すぐに創成トンネル。約900メートルのアンダーパスを抜けます。日差しが弱い今日はむしろ蒸し暑いだけのトンネル。この橋とトンネルでのランは某YouTuberさんの動画に映ってました。ひどいフォームだな…。それでも橋からトンネルの下りは加速して最速ラップ4:01を記録。

トンネル抜けて10km。1083位。まだ間を縫うランが続きます。

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旧来のコースでは左折して札駅前を西に向かいましたが、今年からそのまま北上。第二新川通とも言えそうな長い直線が続きます。

ザバスピットインを半量摂取。10.8キロエイドでは、スポンジで首筋を冷やし、水を体にかけまくり、ダカラを1杯。なかなか2杯飲めません。

安定しないキツいランが続きます。そして目の前に見たことのあるランナー。エリック・ワイナイナです。デカいけどやっぱり速い。しかし、足の調子がイマイチだったそうで、あっさり抜き去ります。話しかける余裕はなし。

「マラソンには応援が必要だろ」

そこから程なくして、歩道橋の影にいきもの舎Tシャツ発見!ハッチさんと番長です。

「マラソンには応援が必要だろ!」のプラカードつき笑

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このコピーは、私がボッチ64kmランをした時ハッチさんが発した、我らの合言葉なんです。元気をもらって前へ。12.5kmに給水はありませんが、ハッチさんにはドリンクなどの差し入れはしないでほしいと頼んでいました。記録狙いの大会ではきっちりゼネラルドリンクだけで走りたいですからね。

元気をもらって意外とあっというまに24条。後輩が応援にきてくれているはずなので探しますが姿は見えません。テンションのさらなるアップ失敗…。しかたない。

苦難のコの字ゾーン

大きく左カーブからの右カーブしてから右折。新琴似方向へ。15kmエイド。1050位。ピットインを飲み干し、水かけ、ダカラ給水。ダカラのテーブルは短く、やはり1,2杯がやっと。

それでも慣れてきて減速も少なく補給完了。しかし、かけ水でシューズがグシャグシャに。マメは覚悟。ターサーの軽さと通気性、フィット感に賭けます。

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コの字を作る15〜20kmのゾーンへ。ここは比較的安定して走れました。ただ真綿で首を絞めるように発汗は進み、糖は枯渇へ向かっていたようです。

たしかこの辺りで60代人類史上最速女王弓削田真理子を捉えます。ゆっくり3:30くらいで走ると言っていた割に速いぞ。

おかげで気合も入り、長く感じる新琴似二条通りも通過。ただ、左足にやや攣りを感じ始めます。コの字ゾーンを抜けるとついに新川通へ。

過去最高のブラスと新川通

すぐに聞こえてきたのが、ブラスバンド。道立札幌国際情報高校だそうです。音圧がすごくてランナーにとってこんな心地よい応援はないですね!ダンスと笑顔と演奏に感動したランナーも多いのではないでしょうか。かけてくれるMCからのメッセージも温かい。私が通った時はたぶんワイルドアットハートという曲でした。写真は参加案内から。

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ここでマグオンピングレを摂り、20kmエイドへ。983位。スポンジはテーブル直置き。2、3個取って、水かけ、ダカラ、水かけのパターンへ。ここも給水は合計で100mLあるかどうか。

本格的な新川通が始まります。男子先頭とすれ違いもスタート。応援している三菱重工の定方選手を見つけてテンションあげます。

たしか、この辺りで自分のフォームの崩れに気づきます。最初に決めた1km毎にフォーム修正ルールを忘れていた模様。胸の張り具合や腕の引き、軸で反発を受ける感覚などいろいろ修正。大きなロスをしていたようです。まだまだ甘いですね。その結果ペースは上がりますが足裏の疲労感も出てきます。ターサーはトレーニングを要求しますね。

そして、中間地点。21.0975kmが見えてきます。時計は…10:00:31。スタートロスを30秒縮めましたが、縮め足りないと感じてしまいました。そのため、ここからの3kmは4:10で走っています。計算すべきだったか。

女子エリートランナーとすれ違い始め、天満屋の松下菜摘と自分がShimo部(ゆるい下門ファンのこと)でもある下門美春には声かけ。声かけっていいですね。自分に気合が入ります。

前田森林公園のランナーサポートエリアは今回からのアトラクションエイド。おかやまマラソンのラーメンエイドみたいなところです。私は寄るつもりもなかったんですが気づかずじまい。他のYouTube映像で見ましたが、中の人も言う通り呼び込みか大きな看板でもないとわかりにくいですね。雪玉やどら焼き、ペプシにマッサージ器などいろいろ用意されていたようです。

それからすぐに25kmエイド。ここで痛恨。ジェルを摂り忘れます。摂り忘れたことにも気づかず折り返しへ。後からポケットで見つけてとり忘れたことが発覚…。

気づけば折り返し点。過去大会では心を折られるほど長く感じた新川通を、今回はそれほど長いとは思いませんでした。成長なのか、ボーッとしていたのか。いや、ブラスバンドに気合い入れてもらったおかげですね。921位。

復路へ

見えるのははるか遠くにかすむJRタワー。しかし「見えてるところは近いところ」という柴又100kで得た感覚が恐怖心を取り去ります。折り返すとランナーの数も相当まばらに。前のランナーを拾い続けるランはまだ続きます。ペースの近いランナーがいません。折り返し手前で私にぴったりついているランナーはいましたが、つけるランナーと出会えないのは悲しい。なお、つかれるのは嫌いではないです。見かけたら後ろについてね。おっさん、ちっちゃいけど。

基本的に4:12を無駄なくロス数秒で走ると2:57くらいなので、そんなグループはそもそも遥か前方で追いつくはずがないんですね。しかたなく、抜き続けるランです。そのためなのか、序盤の無駄な動きのツケなのか、足は重く、呼吸も厳しくなってきます。

気づかぬミス

迎えた30km。メダリストコーヒー味でカフェインを投入!と思いますが、これがゼリー硬すぎて咀嚼が必要なレベル。試食しなかったことを激しく後悔。飲み込めぬまま、エイドに突入。残りを捨てて、スポンジ、水かけ、ダカラ、水かけ。慌ただしく補給しますが、ドリンクをうまく飲み込めません。飲もうとすると呼吸で吐き出してしまい、むせます。810位。31kmすぎの水も取りますが、一口飲み込むのがやっと。苦しさがいよいよ佳境へ。ただ30kmの壁という感じではなく、ただじわじわ苦しさが増していました。この「苦しさ」がどこから来ているのか、冷静に考えられていませんでした。足の痛み…×。腹痛…×。酸素不足…×。足が終わった…×。そうなれば、ハンガーノックか脱水を疑う場面。そこに思いが至りませんでした。

新川通もそろそろ抜けようかという頃、開けたところに再びハッチさんと番長の姿。ハッチさんが「とれるよ!」と声をかけてくれました。わかります。サブ3取れるよってことです。うれしいです。かけてほしい言葉をかけてもらった時って、どこから来たのかわからない力が湧いてくるもんですね。

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ただ、取ってやるぜという気持ちと、この苦しさであと10キロ以上持つのかという不安が内混ぜになっていました。こぶしを作って応えるのが精一杯でした。

対応の遅れ

再びブラスバンドに力をもらいつつ左折。新川通を抜けます。やはり、それほど長く感じない新川通。長いことに心を備えておけば、心は折られませんね。

コの字ゾーンへ。給水を取りますが、水がうまく飲めなくなります。呼吸の苦しさと咽せそうな感覚で嚥下できない感じです。

そして、場所ははっきりしませんが、コの字ゾーンのどこかで指先の痺れを感じました。この時、やっとハンガーノックの兆候を自覚。しかし、すでに35km付近。ジェルの吸収から効果までの時間から気力がわかず、摂り忘れたジェルを飲む手が動きませんでした。大きな判断ミスです。

35km給水。紙コップがうまく取れません。なぎ倒してしまうか、空振りするか。どうにか水をかけ、ダカラを口にします。ここでペースダウン、いや、立ち止まってでも給水しておけば、と後悔しました。位置は714位まで上げます。つまり、同ペースのランナー集団はまだ捕まえられず、です。

新琴似二条通は逆に長く感じ、苦しさが増します。そんな時、派手な髪色で若そうなAブロックランナーの後ろにつきます。この人なら速そうだし、リズムもいい。苦しさの中でコバンザメ。苦しい後には楽な区間が来ると信じて後ろに。これで少し楽になった…気がしました。しかし、これは成功だったのか失敗だったのか。このランナーさん、ちょっと落としたんです。それに気づかずしばらく並走。4:21-24-30というひどいラップになります。一気に30秒以上失う事態に。もちろん、休んで回復できたのかも知れませんが…。

遠のく記録

コの字ゾーンを抜けます。「自分の可能性を微塵も疑うな」という柴又で自分を鼓舞した言葉が思い出されます。とにかく諦めない。ラップをあげて北大ゾーンへ。しかし、次の給水でもほとんど飲めません。ひと口ふた口の水だけ。前のランナーを追う形で北大へ「入学」。フォーム修正もうまくできた記憶がありません。左右に振られるところなのでターサーで良かったと思います。ここまできたんだから、なんとしてでもネットサブ3だけでも取らないといけない。長野の悔しさを忘れたのか。伝家の宝刀ともいうべき悔しさを思い出して北大のメインストリートを南下。40km目のラップはレース2番目の4:02。まだ足は残っています。ただ、もう紙コップが取れませんでした。紙コップに視線が定まらないんです。目が紙コップを追えないことに気づきますが、時すでに遅し。飲めたのかどうかすら思い出せません。スポンジがあったのかも曖昧。651位は今回の最高順位。ここで同一ペースゾーンに到達したことになります。スタートロスを取り返すのが遅すぎました。

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アゴがあがる恥ずかしいフォームで走っていたようです。前には、その後私の恩人となるオレンジ色タンクトップのランナー。しばらく追走していたのでぼんやりとした記憶にあります。

遠のく記憶〜フィニッシュ

ラン中のことはかなり明確に記憶して文章に起こすのが得意な方ですが、残念ながらここから先は記憶が曖昧です。

その後、南門から出た気はしますが、ヨドバシの隣を通った記憶も赤れんがに入った記憶もない。ただ、いつになったら大通りに向かって右折だろうとばかり考えてました。コース変更のチェックを忘れていたんです。

そして、もしかしたらまだ間に合うかもしれないというその一心で走ったように思います。

見たことのないところを曲がったような、そして、次の記憶はフィニッシュゲート。

時計の表示、3:01:??だったでしょうか、間に合わなかった、とわかったところで一瞬意識が飛んだのか、地面に転がっていました。痛みも何も覚えていません。ただ、誰かが声をかけながら起こしてくれて、再びゴールに向かったような、計測の青いシートの上で倒れそうになり、オレンジシャツのランナーさんに支えてもらっていたようなことはぼんやりと覚えています。

救護テントへ

車イスが目の前にきて、そこに倒れ込み、テントの中を通って…。気づけばベッドに寝かされていました。飲みますかと聞かれ、ストローでドリンクを飲ませてもらい、その後、これまで経験のない激しい足攣りや背中の攣りに見舞われ、周りのスタッフさん数人に助けてもらっていました。

点滴を打たれ、何度かドリンクを飲ませてもらい、そこで徐々に意識が明瞭に。フィニッシュで倒れたんだな、救護テントに運ばれたんだな。タイムは?

時計は止めていたようです。ランナーの習性ですね。見ればネット3:00:44。情けなくて、ランで初めて泣きました。ほんと迷惑なランナーです。

若くてイケメンのスタッフさんに雑談のような問診を受けました。労いながらの問診。問診の手本とでも言うんでしょうか。責められている感じのない問診でした。そのうち足攣りが治まり、足が動かせるようになると、理学療法士さんや看護師さんが来てくださりいろいろとチェック。血圧や心拍の確認の後、点滴を外してもらいました。最後はドクターチェック。医師の問診を受け、ベッドから起きることに。ポケットの中のものが出してあり、見たことのない飴もあります。どなたかがどこかでくださったんでしょうか。

シューズも脱がされていました。スタッフの皆さんの献身的な救護の姿勢は思い出すだけで恥ずかしさと嬉しさで目頭が熱くなります。本当に申し訳ないです。

シューズを履き直し立とうとしますが、うまく立てません。支えられて立ち上がり、擦るような足で少しずつテントを進みます。

そこにボランティアスタッフの方が。◯◯さんですか?と。家族の方がお探しのようです、と。ハッチさんと番長のことですね。仲間が来てくれているんですと伝えると、わざわざ呼び出してくださいました。そのスタッフの方へのお礼も言えなかったなぁ。

温かい仲間と励ましと出会いと

ハッチさんと番長の姿が見えた時、顔を見れませんでした。岡山から札幌まで来て応援していただいたのに記録が出せなかった…。そして、どうやら、フィニッシュ後、手荷物を受け取ってないから行方不明だと思って捜索願いを運営に出してくれていたようです。金栗四三さんみたいだ…。

るーさんとも合流し、心配かけたことを謝ります。みなさん褒めてくださるんですよね。優しい…。るーさんとの対決はジョッキに間に合わなかった私の敗北です。

真夏の札幌の強い日差しの下で氷で足を冷やしつつ、ミニ反省会。気分も少し回復。

そんなことをしてるとスポーツオーソリティYouTubeチャンネルでおなじみの湊さんを見かけて写真を撮ってもらい、少し元気に。このターサーもランパンもオーソリティ岡山店で買いました!って。無理やりテンション上げた感じです。いいこともあっていいよね。

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その後、五丈原でランチ。変わらない美味しさなんですが、食べるための力が出ず、えらく時間がかかるという…。

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ホテルに戻ると、なんと…。

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ハーイ!挨拶してくださったのでエリック?!と。するとワイナイナの方からグータッチ!

なんて気さくなの!ますますワイナイナのファンになりました。落ち込んだ気分も少し上向きに。

夜には後輩にも会えて、応援のお礼を伝えることができました。オリンピックプレートの場所を教わり、パチリ。

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人の繋がりって大事ですね。こんな時でも応援し、慕って、必要としてくれる人がいるのは幸せなことです。

北海道マラソン2022終了

さよなら、北海道。忘れ物は取りに来る。

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テクニカルな反省点や達成点については、改めてまとめたいと思います。

 

謝辞

今回、北海道マラソン2022のチャレンジに対してはたくさんの仲間と大会運営スタッフの皆さん、そしてランナーのお世話になりました。

練習ではteamいきもの舎のみんなに給水やエイドカーをお願いすることで、1人ではできないトレーニングができました。失敗レースとはいえ真夏の大会で自己ベストが出せたのは給水練習込みのペーランができたからです。

大会運営スタッフの皆さんにお世話になるのはどんな大会でも同じですが、今回は特に医療スタッフの皆さんに大変お世話になり、ご迷惑をおかけしました。本来、自己責任であるべきランニング中の体調不良に対し、ボランティアで献身的にサポートしてくださったスタッフの皆さんに心からのお礼を申し上げたいです。

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そして、私がフィニッシュ直前で倒れた時、私を起こし、支え、フィニッシュさせてくださり、たぶん医療スタッフに引き継いでくださった方。登録競技者として1秒でもタイムを縮めたい場面で赤の他人である私のために止まって助けるなど、普通の人間には考えられないこと。フルマラソン最終盤の体力的にも限界であろう場面で、人を助けるなんてわたしにはできません。事実、転んだランナーを見かけましたが、私はそのまま走りました。今後も他人を助けるなんてできないと思います。それにもかかわらず私を助けてくださったあの方に、いつかお礼を伝えたいです。

 

北海道マラソンは前回に続きチャレンジと失敗のレースとなりました。そこから得るものはやはり大変大きい大会でした。この反省点を次に活かし、秋のサブ3、その後の記録向上、そして、来年の北海道マラソンで真夏のサブ3を達成したいと思います。

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