紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

四国霊場八十八ヶ所お遍路マラニック その8【土佐国編③】アゲハ蝶の羽ばたき

f:id:RunTazzo:20231230200358j:image

前回は27番札所神峯寺への急登をクリアした遍路マラニック。今回は28番札所土佐・大日寺を打ちます。27番神峯寺から36キロほど。その次まで回ると50キロ超えそうなので無理せず1ヶ所のみ。

なお「大日寺」って88ヶ所の中に3寺ありまして、紛らわしいので土佐大日寺って表記してる人もいて、それを踏襲しています。

スタート地点まで

朝4:45に岡山を発ち、6:45くらいには大日寺近くの駐車場に車を停めて「のいち駅」へ。

土佐遍路はスタートまでが長い…

f:id:RunTazzo:20231231211710j:image

ギア

気温が年末とは思えない17度予想で、白衣Tシャツにアームカバー。下はトリムテック。

シューズはhyper speed2、Reiさんはズムフラ

一応、スタート時はウインドブレーカー着ました。Reiさんは朝寒くてさらにレインジャケットを着込みます。午後から天気は崩れるというし、安全第一。

f:id:RunTazzo:20231231211720j:image

土佐くろしお鉄道で前回フィニッシュ地点近くの唐浜に向かいます。のいち駅は、大日寺最寄とあって遍路フレンドリー。
f:id:RunTazzo:20231231211744j:image

さて、7:26の電車で出発!と思ったら電車が全力阪神タイガース。これぞほんとの阪神電車?!とか思いながら乗り込みます。
f:id:RunTazzo:20231231211733j:image

内装も阪神仕様。熱狂的阪神ファンなの?Joshin電気なの?答えは「阪神の安芸キャンプ」詳しくは後ほど。
f:id:RunTazzo:20231231211705j:image

土佐くろしお鉄道の各駅には、やなせたかしデザインのゆるキャラがいて、唐浜駅は「へんろくん」。

アップを済ませたら8:20スタートです。

静かなスタート

f:id:RunTazzo:20240102082953j:image

ほぼほぼ海沿いが今回のルート。
f:id:RunTazzo:20231231211738j:image

謎の壁画に見送られ出発。絵にある通りナスが名産品。ふむふむ

f:id:RunTazzo:20231231222053j:image

まずは前回のフィニッシュ地点、唐浜休憩所へ。振り返れば27番神峯寺が…見えない笑

気温は低くないんですが、風が冷たい。朝日が当たればほんのり暖か。そんな冬の土佐の海沿いを北西に進んでいきます。
f:id:RunTazzo:20231231211638j:image

今回はいつもの遍路標識があまり見当たりません。「四国のみち」の道標がうれしい。
f:id:RunTazzo:20231231211654j:image

左に太平洋、右に土佐の大地という景色が今回の象徴的ランコース。
f:id:RunTazzo:20231231211658j:image

海風に吹かれつつ進みます。朝の太平洋が気持ちいい。
f:id:RunTazzo:20231231211714j:image

徐々に明るくなっていきます。太平洋の変化を楽しめるのも土佐遍路の楽しみの一つ。
f:id:RunTazzo:20231231211649j:image

お遍路さん向けの宿泊施設も見かけました。やってるのかな?車遍路メインの昨今だと運営は難しいのかも。
f:id:RunTazzo:20231231211641j:image

5キロほどで道の駅大山(おおやま)。
サイクリストの大学生たちがたくさんいました。四国一周かな。

寄り道〜岩崎弥太郎の生家へ

f:id:RunTazzo:20240102085349j:image

安芸市に入ります。
f:id:RunTazzo:20231231223252j:image

やはり津波対策の表示は目につきます。

目につくように考えられているんですね。
f:id:RunTazzo:20231231211701j:image

遍路道の石碑と看板。

実のなる木を植えてくださってるみたい。いろいろなお接待の形があるんですね。
f:id:RunTazzo:20231231223248j:image

少し街になります。遍路小屋は助かりますが…。まぁ、何も言うまい。
f:id:RunTazzo:20231231211645j:image

橋を2本渡るといよいよ安芸市の中心地。
f:id:RunTazzo:20231231211725j:image

遍路道に入ると、お馴染み保存会の赤矢印!これ見ると安心です。無許可で貼ってるから次々と剥がされてるらしい笑

f:id:RunTazzo:20240102120420j:image

今回、途中で遍路道を外れて安芸市街を北上します。寄り道ツアー!まず立ち寄ったのは安芸駅。ここは「うたあきこ」ちゃんというゆるキャラがいます。童謡「春よこい」が生まれた場所だそう。なんだか楽しい安芸市です。
f:id:RunTazzo:20240102090131j:image

さて寄り道の目的地は、岩崎弥太郎の生家。三菱グループの創設者ですね。Reiさんのかねてからの願いでちょっと6キロほど寄り道。うん、ウルトラランナー的な発想。

売上高70兆円を超えるという三菱グループ(非連結含む数字)を創始した弥太郎が育った場所ってどんなところだろう。空の広い農地の中を北上します。
f:id:RunTazzo:20240102090045j:image

着きました。でっかい岩崎弥太郎の像がお出迎え。前の広場には日本地図。スケールの大きさを表しているのかな。
f:id:RunTazzo:20240102090109j:image

こちらが生家。そんなに広くない、昔むかしの民家でした。
f:id:RunTazzo:20240102090048j:image

岩を並べて日本列島に見立て、野心を募らせていたという、さすが弥太郎。
f:id:RunTazzo:20240102090128j:image

蔵には三菱マークが残されています。岩崎家と土佐藩主の家紋から考案されたというスリーダイヤ。鬼瓦には岩崎家家紋が。そんな歴史的経緯も生家では確認できます。

なお「三菱鉛筆」は三菱グループではなくて、実は三菱マークを先に使っていたのは三菱鉛筆だというという…。
f:id:RunTazzo:20240102090201j:image

さて、あまりのんびりしてると札所の5時閉店に間に合わなくなるので再スタート。三菱グループ創始者が生まれた場所ということで三菱自動車がめちゃ多い!…と思いきや、まるで見かけません。

遍路道に戻るまでカウントしてみましたが、

ホンダ・スズキが二強で

MAZDAダイハツが続くイメージ。

…いろいろあって弥太郎が村を追放されたことと関係…ないか笑

岡山のランナーとしては三菱自動車を応援したいんですけどね〜(かく言う私はホンダ乗り)

ちなみに、コンビニは高知ではローソンが圧倒的に多いです。さすが三菱?

安芸市の西の端に差し掛かると土佐くろしお鉄道の球場前駅があります。人口約15000人の街に「球場前駅」ってすごくないです?

そう、ここは阪神タイガースのキャンプ地。今は野球の街なんですね。市営球場に室内練習場に安芸ドーム。街をあげて阪神を応援してるのが伝わってきます。阪神のアレの時は、さぞかし盛り上がったでしょうね!

さて、時間はそろそろお昼時、生徒からのオススメにあった美味しいお店に立ち寄ります。
f:id:RunTazzo:20240102090055p:image

よし、営業中!

安芸名産のしらす丼、並んでも食べるぞー!


f:id:RunTazzo:20240102090051j:image

あれ?

覗いたところで開いたりしませんね…。

「行ったら閉店」はteamいきもの舎の華…。

修行の中盤

f:id:RunTazzo:20240103080545j:image

安芸市に別れを告げ、太平洋沿いをひたすら走ります。
f:id:RunTazzo:20240102090158j:image

ここはサイクリングロード。
f:id:RunTazzo:20240102090121j:image

整備がしっかりされていて、とても快適に走れます。
f:id:RunTazzo:20240102090112j:image

走っていると、またこの立て札を見つけました。
f:id:RunTazzo:20240102090125j:image

果樹を植えてお接待。素敵ですよね。
f:id:RunTazzo:20240102090135j:image

みかんがなってました。暖かいから虫もたくさんいるであろう地域。アゲハ蝶の猛攻を耐えた野生のパワー?が詰まったおみかんです。
f:id:RunTazzo:20240102090118j:image

ありがたくいただきます!

小ぶりだし、種も多いけど、しっかり甘さと酸味、なによりみずみずしさが溢れてる!うまい!

f:id:RunTazzo:20240102090115j:image

清々しい太平洋沿いのサイクリングロードをひた走ります。
f:id:RunTazzo:20240102090103j:image

途中、休憩所もあってホント快適。
f:id:RunTazzo:20240102090155j:image

サイクリストたちも時折り通ります。
f:id:RunTazzo:20240102090059j:image

また、賑やかな遍路小屋もありました。屋根が飛びそうなほど年期の入った小屋。

f:id:RunTazzo:20240103094322j:image

土佐くろしお鉄道は高架部分が多くて、踏切はほとんどありません。津波対応でしょうか。
f:id:RunTazzo:20240103094303j:image

10キロ以上、こんな景色が続きます。トレーニングには最高でしょうね。
f:id:RunTazzo:20240103094328j:image

たまに見かける遍路道ステッカーに安堵。
f:id:RunTazzo:20240103094253j:image

こんなしっかりした遍路小屋もありました。
f:id:RunTazzo:20240103094312j:image

近くにはコンビニも。歩き遍路組にはとても助かるポイントです。
f:id:RunTazzo:20240103094249j:image

香南市

ここでトンネル回避で海沿いの道へ。

f:id:RunTazzo:20240103094715j:image

ややアップダウンがありますが、それほどでもありません。今回はフラットなロードばかりの楽なコースでした。
f:id:RunTazzo:20240103094319j:image

空と海。
f:id:RunTazzo:20240103094256j:image

高知の遍路はまさに空海、です。

ここを抜けるといよいよヤーシィパーク。何かというと道の駅。そこから市街地に向かうんですが、リーダーオススメのお店の閉店時間が迫ります。急げ!
f:id:RunTazzo:20240103094300j:image

あ、橋が…。この橋を渡ったらすぐなのに、なぜ…

f:id:RunTazzo:20240103094316j:image

可動橋がありまして、30分ほどで水路と道路が交互に進める仕組み。見事に引っかかりました。実は回り道をしたらすぐに先に進めるんですが、眺めちゃいました。
f:id:RunTazzo:20240103094332j:image

奥が、降りた可動橋です。f:id:RunTazzo:20240103094246j:image

ヤーシィパーク。お店は諦めます。

でもリーダーはLINEで「道の駅があいてます!」と。
f:id:RunTazzo:20240103094338j:image

16時までやってるはずのお店がclose!

なんてこった涙

 

f:id:RunTazzo:20240103094306j:image

と思ったら奥のお店は開いてました。
f:id:RunTazzo:20240103094335j:image

念願の「焼き茄子アイス」を手に入れたぞ!

これ、ガチで焼きナス味。焼いた皮の香ばしさ。うまいっ!

高知名物を堪能します。

f:id:RunTazzo:20240103095802j:image

ここからは遍路道を北上して大日寺へラストスパート。
f:id:RunTazzo:20240103095749j:image

津波の標語がお出迎え。
f:id:RunTazzo:20240103095811j:image

あと少し!
f:id:RunTazzo:20240103095758j:image

大日寺が近づいてきました。山の上に見えるのが大日寺?!いや、あんな標高だとゲームオーバーだぞ…。
f:id:RunTazzo:20240103095805j:image

ラスボスは階段!
f:id:RunTazzo:20240103095755j:image

ヒーコラしながら登ります。
f:id:RunTazzo:20240103095818j:image

ついに山門が!
f:id:RunTazzo:20240103095752j:image

本堂です。初詣の準備でしょうか。

第28番札所 法界山 高照院 大日寺
(ほうかいざん こうしょういん だいにちじ)

打ちました!

f:id:RunTazzo:20240103095815j:image

このお寺は、納経所がオープンで、筆使いを見学できます。いつも鮮やかな筆使いには驚嘆。

走り遍路への労いの言葉もいただきました。疲れも吹き飛びますね。なお年末のNHK特番で出ていた走り遍路さんは我々とは別です。
f:id:RunTazzo:20240103095745j:image

奥之院へ。
f:id:RunTazzo:20240103095742j:image

水があれば飲む!

ここまで遍路での生水で当たったことはありません。

日が暮れてくるので大日寺を後にします。

ラン距離は44キロほど。ちょうどいい長さの遍路マラニックでした。
f:id:RunTazzo:20240103095808j:image

近くの温泉で汗を流します。龍馬マラソンの協力施設とのこと。ランナーにはうれしいですね。

今回もカツオやウナギには辿り着けず、大戸屋リカバリーになりましたとさ。

f:id:RunTazzo:20240103102508j:image

次回は29番札所、土佐国分寺を目指します。高知中心部ラン、楽しみですねー

 

おっさんのごたく

学生のころ、ゼミでM.ヴェーバーの「プロ倫」を精読しました。「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という舌噛みそうな名前の本、ですね。

簡単に言うと、ヨーロッパの資本主義成立過程にプロテスタンティズムの倫理観が影響を与えた可能性がある、という内容。丁寧に積み重ねられた調査研究の上に築き上げられていく議論に、何やらすごいものに触れてるなと高揚しながら読み進めたものです。

さて今回の遍路では、安芸市岩崎弥太郎の生家に立ち寄りました。三菱を作った人、です。200年近く前にこの地で偉大な起業家が生まれたんだなと、思いを馳せる旅になりました。そう、彼の育った街は遍路道が通る街。弥太郎もお遍路さんを見かけながら育ったんでしょうか。あの生家にお遍路さんを泊めていたりするんでしょうか。想像すると心躍りますね。

次元を異にする想像になりますが、彼の起業家精神にお遍路さんは何か影響を与えなかったんだろうか?そんなことも考えました。利他心、超越性、忍耐力…そんな共通項はないんだろうかと、遍路と起業とに共通しそうな精神性を妄想。いわば「遍路接待の文化と起業家の精神」と言ったところでしょうか。やりすぎ?!

もちろん、そういう研究はすでに行われていそうですし、ここでそれを議論するつもりもありません。あくまで私の妄想です。

バタフライエフェクトという言葉がありますね。チョウの羽ばたきのような小さな風が遠くで嵐を引き起こす、かもしれない。そんなニュアンスでしょうか。

岩崎弥太郎とお遍路さんとの間に何かしらの邂逅があったかどうか、影響が見られたかどうか、わかりません。わかりませんが、もしかしたらチョウの羽ばたきのようにそれがわずかながらも影響を与え、それが彼の、三菱の、嵐のような興隆に繋がったかもしれない。

もしそこに何かしらの「良いもの」があり、そこに遍路の「良い」精神性が反映されていたら。そんなことを考えるワクワクしませんか?

翻って、自分自身が遍路を歩く中で、また遍路から得たものを日常生活に反映させる中で、自分が一羽のチョウとなり、誰かに少しでも影響を与えたら、それはもしかしたら、はるか未来に「良いもの」をもたらすきっかけかもしれない…。なんて、ね。

まぁ、アゲハ蝶と自分とに共通するのはミカンの木が大好きということ、くらいに落ち着きそうです。

おあとがよろしいようで。