紙ペーパー師匠のぺらっぺらジョグ日誌

ホイミンとマラソンするおっさんの日記

ウシ月間シリーズ2023前編

お騒がせしてますウシ仮装ラン。まとめておきます。

 

前回のウシは津山加茂郷フルでした。

トイレで、ゼッケン留めてるテグスが絡まりてんやわんやしてサブ4失敗するという大失態を展開したのでした…

 

吉備高原ハーフ

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まずは試走から!

チームメンバーに牛飼いをお願いしてチェック。斜度と接地感、下りキロ4のペース確認です。

続いて🐮スーツ改造。

ゼッケン固定を改善するのが至上命題!

そこで、百均の強力マグネット8個でクリアケースを留める方式に。かなりバチンと留まります。

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また、熱気でメガネが曇る問題に対しては、コンタクトレンズで対応。目はサングラスでカバー。

マスクやヤケーヌは呼吸が苦しいので、顔全体を虫除けネットで覆うことに。これはReiさんからお借りしました。

シューズはお馴染み、黒塗りズムフラ4。

それ以外はこれまでと同じ装備。

ユレニクイにバッテリーを入れ、薄着で臨みます。

 

目標は100分切り。キロ4:40あたりを狙います。

ほぼ最後尾スタートで追い上げつつペースを整えてラン。これまでよりも高効率のフォームにしてきたので、スムーズに走れました。

ただ7km辺りでゼッケンケースがずり落ちてるのに気付きます。マグネットだけだとずり落ちるんですね…

坂の上ゾーンで走りながらゼッケンケースを引き上げる…難しい。

そして、サングラスが曇る…

もうてんやわんやです。

また給水が難しい…。顔のネットを巻き上げて飲んで、元に戻す!曲芸か!

 

2周目に入り、またもずり落ちるゼッケンケース。ラストの下りでついにゼッケンケースが外れて落下…。立ち止まって直します。ああもったいない。

結果95:29。

ネットなら95分くらいでしょうか。

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目標は達成でしたが、課題もたくさん出てくるハーフになりました。

ただ、カーボローディングはガッツリしたためスタミナには全く問題なかったです。ウシだと消費カロリーが跳ね上がる(と思う)ので、ハンガーノックもこわいです。その点、北海道マラソンの反省が活きましたね。

 

蒜山高原10km

吉備高原の反省を踏まえ、ゼッケンケースは裏側のシートを安全ピンでウシスーツに留める仕様に。

顔のネットをダイソーのランドリーネットにして、サングラスをやめました。

顔は隠れつつ、顔そのままなので見やすく曇らない。

その他は、同じ装備です。

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目標は45分切り=キロ4:30ペース。

上り坂に苦しめられましたが、下りで盛り返しました。

ラストの直線で、後ろにつけてたランナーに抜かれたので、大人気なくムキになって抜き返す愉快なフィニッシュ。RSKのニュースに映像が出ていたので、こっそり貼っておきます。

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足が流れるのは仕方ないということで…。この時、キロ2:20くらいまで加速してました。

ゴールして息ができずに悶絶…。目標は達成でした。

課題は腕振り。4分台で走ると、吸気口に手が当たる…。吸気口のファンが動いてあたるのも問題。

またゼッケンケースが大きくてやはり腕振りに邪魔。

足の皮膚?がすれあって絡まるのもランに影響しました。とくにダッシュしにくい。これもなんとかしたい。

 

浅口マラニック27km

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ここで、過去一の大改造。吸気口を移動しました。吸気口を四角くカットし、中央よりに縫い付けて位置を入れ替え、接着剤と補修シートで空気漏れを塞ぎます。模様をアクリル絵の具で直してひとまず完成。

写真の牛乳パックのところが新・吸気口です。牛乳パックは飾りでもありますが、雨よけも兼ねてます。USB給電のファンなので水濡れ厳禁。雨レースに備えてます。おかやまマラソンでは役立ちました。

さらに、吸気ファンをゴムベルトで腰のユレニクイ(ウエストポーチ)に緩く固定し動きを抑えます。

モバイルバッテリーもユレニクイにベルト固定。ダッシュに強くなりました。f:id:RunTazzo:20231125001343j:image

マラニックなので、競技性ゼロ。楽しく走りました。牛のチェック走にはピッタリです。

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おにぎりに漬け物、駄菓子屋さんコーナーやおはぎに手作りジャムなどエイドが美味しく、わきあいあい。とても楽しいマラニックでした!

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なお、今回の牛飼いはReiさん。

番長にも牛練習をおつきあいいただいてます。

牛着てると自分を見れないので牛飼いがいると助かりますね。

 

27km走って吸気口にとくに問題なし。

3.5時間動き続けてバッテリーも問題なし。

🐮のおかやまマラソンデビューに死角なし?!

後編に続きます。

 

 

 

北海道マラソン2023技術編。または何故序盤失速したのかについて。

道マラ23の結果

「15km過ぎで失速。」でした。

 

主たる要因は「糖の欠乏」(ハンガーノック)と思われます。

・糖摂取後の回復が早かった

・前日当日の摂取カロリー不足

・ウルトラ練習後のハンガーノックに似た感覚=低体温

以上のことなどからも、これは間違いないでしょう。

 

問題は、糖の欠乏を起こした理由、です。

 

  1. カーボローディングの失敗
  2. 脂質代謝閾値の低さ
  3. 乳酸閾値の低さ

 

この辺りが考えられます。

 

1.カーボローディングの失敗

基本的にフル前は「筋グリコーゲン回復は高炭水化物の食事から24時間後以降」という話に基づいて、金曜夜から土曜日を重視してきました。

金土の食事→筋肉と肝臓のグリコーゲン

日曜朝→消化吸収され、随時血糖値上昇へ

というイメージを持っています。

今回もいつもの同様に、金曜から塩ご飯をたくさん食べたつもりだったんですが、暑さからかあまりとれていなかったようです。

消費から追いかけます。

土曜の消費カロリー

岡山空港では荷物を担いで第四駐車場=最果てからの歩き。

羽田空港では、乗り継ぎでANA→エアドゥの移動。端から端。

新千歳空港〜JRまで。

札幌駅〜大通公園〜受付〜散策〜ホテル

チェックイン後、ジョグ4km

以上、荷物持って20kmくらいは移動してると思います。1000kcalは超えます。

これに基礎代謝、やや不案内な街での脳での消費など、追加分を考慮すれば3000kcalは消費したと思われます。

土曜の摂取カロリー

…朝

塩ご飯

スナックパン

ヨーグルト

…昼抜き

…夜

おにぎり3つ

カップ雑炊

プロテインバー

ジェル2つ

しめて2000kcal程度

差し引き1000kcalほどマイナスです。

カーボローディングの要たる土曜日にカーボアンロードしてしまったことがわかります。(1000kcalあれば糖のみの非効率走行でも18km程度のエネルギーになりますから、ジェルを加えたら十分にゴールまで「カロリーは」足りたでしょう。)

筋肉と肝臓にため込む2000-2500kcalのグリコーゲンは、土曜の夜にもはや枯渇していた可能性があります。この辺りはホント素人ですね。

日曜朝は、おにぎり2個とジェル2個。合わせて7〜800kcal。これも基礎代謝を賄う程度。暑さばかりに気を取られ、カーボローディングに意識が向いていませんでした。

ただ1つ考えはありました。小麦を減らそうとしていたんです。ラン後によく蕁麻疹が出ることがあり、もしかしたら小麦&運動を疑ってまして、体に負担になるなら小麦製品は避けようと。そのため味変バリエーションが減って食べられなくなっていた、というのも一因です。また暑さや疲れなどから食欲が落ちていたのかもしれません。

いずれにしても、食べてないと走れないを体現したことに間違いはありませんね。

 

2.脂質代謝閾値の低さ

ランのペースが十分に低ければ、糖質:脂質の消費比率を50:50に近くできるそうですね。(鍋倉本による)

私の体重が55kg程度ですから糖質が1200kcalもあればフルマラソンを走り切るに足るカロリーになるはずです。我々ランナーの体脂肪がいくら少ないといっても150gくらいは余裕でありますからね。

それが15kmほどで失速を始めたということは、脂質代謝閾値が低く、より高い比率で糖を消費していた、と推測されます。

簡単にいうとオーバーペース。心肺としては余裕があってもランニングエコノミー、とくに代謝の点では余裕がなかった。と考えられます。

びわ湖のようにジェル少なめで走り切ったりもしていることを考えると、脂質代謝が以前より落ちたと考えることもできます。

夏場、ガチゆるのゆる強度や距離が不足したり、ペーランペースが遅かったりしたことが、これに繋がってしまった可能性は捨てきれません。

3.乳酸閾値の低さ

さらに脂質代謝と同様に考えられるのがLTです。これは特にペースランニング不足でヒラメ筋が発達せず、地面を叩く→反発をもらうということに余裕がなかったことに起因しそうです。そうなると、やはりエネルギーになるもの=乳酸が使えない→消費カロリー増大や脚の「キツさ」になるでしょう。

ウルトラや山に注力するあまり、スピード持久力のトレーニングが不十分だったと言えます。

 

今後の練習・対策

決定的に不足していたのは乳酸閾値をやや上回るペースでの10km以上のランだと感じています。ガチゆるのゆる、ペーランの質を上げる必要があります。

現時点でいえば、ゆるは4:55程度から3:50くらいまでビルドアップしつつ10km以上。ペーランなら15km〜4:20〜で適切な負荷。…苦手です。

今年のように気温が高いとこれらのランは非常に難しいのが現実でもあります。いかに給水するか、日陰を走るかなどを含め、計画していきます。

食事については、小麦フリーにこだわらず、味変しつつ色々な炭水化物を摂りたいですね。この点に関して、ペーランや吉備高原ハーフ、蒜山高原10kmでチェックしてみましたが、やはり米+小麦でしっかりとカロリー取るとしっかり最後まで走れますね…。吉備高原なんて、牛コスプレで起伏コースを走っても余裕なわけで、道マラで17km失速なんて信じられない…。

まずは防府、別大でのPB更新に向けて、月間400をスピ練〜ペーラン中心に組み立てていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

北海道マラソン2023 〜お寒いレースと出会いと再会と

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試練の北海道マラソン

北海道マラソンは私にとってチャレンジのレース。

 

2018初参加初サブ5達成⭕️

2019初サブ3.5失敗❌

2022初サブ3失敗&熱中症で倒れる❌

 

という戦歴です。

去年の大失態については以下。

いやほんと、未だに悔しくも恥ずかしい限り。

あの時、ああしていれば…というタラレバを考えてしまいますね。しかし素敵な出会いがあり、その後の成長につながったんですよね。

おかげさまで目標としていたサブ3は地元おかやまマラソンで達成。ある程度の自信を持って真夏のマラソンに臨むことになりました。

北海道は厳しくも優しい場所。亡父の故郷でもあり、私が学生時代を過ごした地でもある。やはり特別な場所といえます。今年もチャレンジ。試される大地。

 

目標は明確です。

去年のリベンジ=真夏のサブ3達成。

倒れずに3時間未満で走り切り、あわよくば恩人たる相木さんに勝利&相木さんのベストを超える。そんな目標を設定して臨みました。

 

練習

4ヶ月連続月末ハードレースの最終レース。

ultra→ultra→富士山→full

という流れです。

ここまで坂バル+ジョグによる「登り&ロング」対策を増量キャンペーン中でしたから、3月のびわ湖以来となるフルマラソンに向け、スピードとスピード持久力は確認・調整したい。

まずはスピード。富士山疲労が抜けた頃には1kmなら3分前半は安定して走れましたし、バルは3:30を切ってこなせました。またズムフラながら自己最速の1km2'58"も記録。速筋やVo2maxは十分だと判断します。

あとはスピード持久力。給水所ありのレースペースロング走を企画し挑みますが、暑さと膝の違和感から途中棄権。これは不安要素でした。

結局、ガチゆるだけを実施するとともにトレイルを使った3時間走でお茶を濁す仕上げに。しかもユルの距離も負荷もやや低め。暑さにメンタルが負けて「故障したらダメだよな。脱水して攣ったらそれは微小な肉離れだからパフォーマンス下がるな」と早々に切り上げるorペースを落としまくる「ユル?」になってました。

さて去年と同環境でのリベンジが第一目標なので、おかやまマラソンを最後に封印したはずの薄底サブ3に今年もトライすることに…。ターサーと仲良くしようとしますが、すっかりハイパースピード2に慣れてしまっていて、接地の感覚の違いに足がもつれたり、シューズ内の指ズレで水ぶくれをたくさん作ったりしました…。しっくりきたのは札幌入り前日というスレスレ感。

全体としては、走力的に問題はないだろうから無理せず行こうという楽観視で調整したイメージです。

テーパリングとしては

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90-60-30と落としました。最終スピ練が1週前。痛みが出ても回復できるギリギリのところです。

 

ギア

去年を踏襲しています。

シューズ:asicsターサーRP。旧ターサーに近いアウトソール。自分の足で走ってる感覚が強いが、クッションもそれなりにある昔気質の薄底ですね。去年、初サブ3アタックだったため、こだわりの薄底=ターサーを選んでしまったので今年もターサーに。ほんとは薄底卒業したいんですが…。

ソックス:TABIO。もはやレースの定番。ターサーでの靴ズレ対策にもピッタリ。

下着:エアリズムブリーフ。速乾性とズレ対策。

ウェア:adidasシングレット。放熱最優先。

パンツ:今は亡きAFMのマルチポケットパンツ。収容力でレースの定番。

時計:EPSON

あとは、メガネバンド、貼るカイロミニ、キャップ。

補給は、アスリチューン3つとOS-1パウダー。アスリチューンはサロマ湖で余ったもの。一応マグオンも持ちましたがレースでは不使用でした。OS-1パウダーは富士登山競走から改良して、ラムネではなくBlack Blackの容器に詰めました。フタ開閉が楽。

ギアとしては妥協ゼロ。所持品のうち最高装備で臨みます。「1番いいのを頼む」。

 

いざ北海道へ

カーボローディングは金曜日からやや意識。といっても白ご飯をしっかり食べるだけ。米増量です。

土曜。朝は塩ご飯のみ。空港への移動中、ローソン駐車場でチョコチップスティック(スナックパン)、プロテイン飲むヨーグルト(ローソン)。

今回は羽田で乗り継ぐ便。岡山空港を9:55に発ち、羽田へ。

羽田空港での乗り継ぎ待ち時間を利用しておにぎりでも、と塩むすびを買い込んでいたんですが、到着ゲートからエアドゥの搭乗ゲートまでが長いことを忘れてまして、かなり時間がかかりました。トイレも並んでいて、食事はとらずに飛行機へ。

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ホタテスープでしっかり塩分チャージ。

お隣は歳上風の女性の方だったんですがシューズがリアクトインフィニティっぽいんですね。もしやと考えつつもまさかランナーではないだろうと思っていたら、そのまさか。あちらから話しかけてきてくださいまして、聞けば全日本マラソンランキングの常連というサブ4ランナーさん。最高位11位と言いますから相当の実力者です。その方とマラソン談義で盛り上がりました。で、途中、その方が断りの上でおにぎりを食べてまして、何となく私は一緒におにぎりを食べるのも恥ずかしくてこのブログの序盤を書いたりリプ書いたりしてました。

そして、健闘を誓い合い、新千歳空港でお別れしたんです。

さて、空港からは快速エアポートで札幌へ!

到着するとすぐに恩人たる相木さんに連絡。ご挨拶させてもらうアポ取ってたんです。あ、あちらから声かけていただいてたんですけどね…。

そして、札幌駅では学生時代の旧友に挨拶。ここでも健闘を誓い合います。

地下歩行空間で大通公園に出ると、もうそこは北海道マラソン一色!キター!

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受付はスマホかざしてゼッケンもらい、チップ検査の後にTシャツもらう毎年の流れ。待ち時間5秒の世界。スムーズ。スタッフからの激励に笑顔で応えます。

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相木さんと再会!

東京マラソンの時に一度お会いしてお礼はお伝えしてましたが、改めてゆっくりお話し。

昨年、フィニッシュしてすぐに車イスが出てきたつもりだったんですが、1-2分傍でうずくまってたらしいです。というわけで今年は倒れない!ということを鋭く意識していました。仲間たちからも言われましたが、命最優先。他人に迷惑をかけるランはしない。おかしいと思ったらすぐにやめる。うん。

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相木さんから旭川土産もいただいてしまいました。人類は麺類だ!を自認する私にとってこんなに狂喜乱舞なお土産はありません。いやぁ、やっぱり人助けはしておくもんだなぁ…あ、まてよ、助けたんじゃなくて助けられたんじゃん…。ありがとうございます涙

今回の戦略を伺いつつ、健闘を誓い合いました。

仲間たちの想いと

受付後はホテルへ。

今回、ご存知のように大型ライブやらイベントやらが被ってホテルは満室だらけ。ご多分にもれず私もホテル難民になり、当初は小樽のゲストハウスのはずでした。始発で電車移動覚悟。

さて我らがteamいきもの舎から、今大会にはハッチさんとるーさんも参戦予定でして、チーム内は真夏の死闘に向けて盛り上がってたんですが、なんとハッチさん、激務で道マラDNSに…。それにつけこんで、ハッチさんが予約していたホテルを譲っていただいたんです。


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その名も東急Reiホテル。Reiですよ。

我がチームいきもの舎の鬼軍曹…もとい聖母(ハッチさん命名)たるReiさんの名を冠する素敵ホテル。スタート地点まで500メートル程の好立地にしてお手頃価格。ハッチさん、本当にありがとうございます。記録達成を誓います。

そして、軽くジョグ。

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4キロほど軽く札幌をぶらつきます。帰路で夕食朝食を確保。

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チーズ雑炊にシャケと筋子の親子おにぎり、塩むすび、ビタミンジェルとカロリージェル、各種サプリ。何やらお腹が空きますが食べ過ぎて胃痛を起こさないためにやめておきます。

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ゼッケン、チップ装着。明日の準備を整え、ルーティンになっているお詫びツイート。第一回おかやまマラソンで交通規制にやられて仕事を遅刻しかけた怒りを忘れてませんよ。ほんとマラソンに興味ないみなさん、ごめんなさい。

タイム目標はもちろん去年失敗したサブ3。ただ相木さんの道マラベスト2:54を最高目標に据えます。キロ4:06で達成。これが明日の基本的なレースペースになります。

22時就寝。

 

当日〜完璧なスタートルーティン
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4時起床。寝覚め良し。塩増量の塩むすび2個とみそ汁、飲み物はジェル2個。今回は菓子パンや団子、カステラなどは摂りませんでした。胃痛を避けつつ、体を重くしたくないので残滓の少ないジェル増量。ストレッチしながら完食し、しっかりトイレ。ホテルが近いとこの余裕。ウェアに着替えて6:30くらいに出立。二泊するので荷物そのままってめちゃくちゃ楽です。
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台湾人ランナーに話しかけられ、おしゃべりしながら会場へ。楽しい! なお去年と違い肌寒さはありません。シングレットでもムワっとした生ぬるさを感じるほど。

大通公園につくとまず給水ブースのダカラにOS-1パウダーを少量入れて飲んでおきました。

手荷物はすぐに預け、スタートブロック確認へ。

ブロックはA。3:30より速いランナーは記録証のタイムなので前から走れます。ありがたいですね。ビル影でアップ開始。ウォークからはじめ、動的ストレッチを済ませたら一度トイレに並びます。

そして、再度ビル影になっているスタートブロック後方に移動し、ジョグ。気になる箇所をストレッチし、十分に粘度を下げます。そこで、サロマ湖で背中を借りたセーラー服にバニー耳の兄貴ランナーと再会!覚えてもらってました。うれしいですね!

そして、いざスタートブロック整列へ。ちょうどランネットチャンネルでお馴染みのカズ・ボンバイエさんがいたので話しかけながらお隣に並びます。ラッキー。

あの温度計は直射日光が当たっての温度だから実際は低い(30→29度)こと、カズさんのベストは49歳で出したことなど有益な情報を得ます。

そして、そろそろるーさんが来てくださるんじゃないかと沿道に目をやりますが、その姿見当たらず。何度か探しますがなかなか見つかりません。

その代わり、こっちを見て手を振っているような感じの女性がいるんですが、知らない人なので他の人の応援だろうとしっかりシカト。るーさん、まだか?

また目をやるとその方がスマホの画面をこちらにむけています。

その画面、

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ワシじゃん?

って、どちらさま?

まさか今年も番長サプライズ?しかも若返って登場?

その方、腕に力こぶ作って指差してるんです。

…あ、筋肉ちゃん!笑

Twitterで、見かけたら叫びますって言ってくださってたわ笑笑

それがわかって肩で笑いました。

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↑肩で笑うtazzo。

筋肉ちゃん、私はてっきり、

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こんな感じの方だと想像してたので、若くて華奢な方だったから気づかず…すみません。

びわ湖でのえちゅこさんとの瞬間邂逅劇も感動でしたが、非ホイミンで気づいてもらえたのは初めてで感激。ありがとうございます。リアル応援は異次元の力になります。やっててよかったTwitter

道マラ名物カウントダウン。MCのうまさが光ります。痛み、疲労、違和感、体調不良…何もありません。アップもトイレも万全。これまでにないスタートルーティンになりました。これなら、いける。

8:30、号砲。

スタート〜スムーズな5k

ロスは13秒。去年より1分は早いでしょうか。ブロックも前なのでとてもスムーズに加速。

何より今年はホラ吹きAブロックランナーがいません。つまり、持ちタイムも実力もないのに2時間台などを申請して前ブロックにくる迷惑ランナーがいないんです。みんな4分台くらいで入ってくれますから、危険な追い抜きをせずに済む。運営に感謝。ぜひおかやまマラソンでも導入してください。有森さん、お願いします。

さて、去年は左右に交わしながらの加速だったのに比べ、まっすぐ走れるのでかなり楽。なかなかエンジンはかかりませんが、暑いのでこんなものでしょう。すすきのに差し掛かるあたりでやっとそれっぽい走りと巡航の感触。最初のラップは4:07。悪くありません。

フォームをきっちりし、膝の上げ具合を調整して3分台まであげますが、暑さのせいかやはり体はやや重い。それでも、とりあえずペース目標を4:05とします。相木さんのベストに照準を合わせた格好です。

天気は予報と違い、晴れ。強くないとはいえ、はっきりとした日差しが降り注ぎます。予報が当たるなら曇ってくるはず、雨になるはず。それまで粘れば後はなんとかなる。

5キロでの給水は、いきなりしっかり飲みました。明確に喉の渇きは感じていましたが、十分飲めた気がします。ここまでキロ4:06。相木さんのベストラップに並んでいます。

巡航速度か、無謀速度か〜5km~10km 

北上していきます。7.5k給水でもしっかり飲んで、体も冷やしました。給水の勘が戻ります。

いつの間にか3分台に加速しており、落とせ落とせとストライドを緩めに。なにせ日差しが強く冷やしてもすぐに火照ってくる体。このまま曇らなければ失速は確実。相木さん対抗ペースはやめて、サブ3すれすれでいい。4:10に落とそう。

しかし、創成トンネルではまた3分台。やや飛ばし過ぎですが上りで相殺されると思い足に任せます。

トンネルを出たあたりでしょうか、るーさんから「tazzoさん!」という声援を受け、力をもらいます。まさに「マラソンには応援が必要だろ!」

気合い入りますよね〜。ほんとうれしい。遠方での仲間からの応援。なんなら並走してほしい。

ペースは落としたつもりが3:52〜4:02あたり。足は動いています。暑さはありますが35度付近でジョグしてきたんですから、30度なんざ序の口。給水とかけ水で冷やせば走れるはず。後半のことは後半の自分に任せて、今は楽に走れるペースで行こう。

巡航の10〜15km

日差しを避けるコース取りで距離は伸びますが、熱中症警戒を最優先にして万全を尽くしつつ、長い直線へ。給水ではスポドリを3杯。このノルマを確実にこなすことを明確に意識。この日の形ができてきました。キツいですが、粘り倒せばそのうち天候悪化で体は冷え、後は逃げ切るだけ。そんな考えで北24条へ。

空は徐々に曇り始めます。日差しは弱まり、やや楽に。しかし、同時に足の重さも感じ始めます。発汗が多いのか?

武蔵の北側を抜け、新川駅方面に向かうころにはさらに足の重さを感じます。なぜだ。

失速の15-20km

新琴似2条通りを北上する道。前回はなんともなかったこの道が長く感じられました。無理やり足を上げている感覚。

無理やりジェルを摂ります。

17km給水でついにフラつきを感じます。こんなに給水をとり、体を冷やしているのに熱中症なのか。なぜだ。

足が上がりません。呼吸には問題ないのに、足が動かない。

ツラい波の後には楽な波が来る。耐えろ。ペースは4:12辺りでいい。とにかく耐えろ。

そんな無理やりの走りでやっと新川通へ。

札幌国際情報高校のSIT bandによる素晴らしい演奏。しかし、それを聞く余裕がありません。ペースは4:30まで落ちていました。

真夏の悪寒。リタイアへ。20-25k

新川通。暑かったはずの札幌。吹き抜ける風を感じた瞬間、ブルっと寒気がします。寒冷前線の通過?しかし、周りにそんな気配なし。悪寒でした。寒いんです。なんだこれは。

ふと思い出したのは熱中症の症状に悪寒があること。いつ熱中症になったんだ?

見えた20km給水では、フラつきつつ、OS-1パウダー全量を水で流し込みます。

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↑るーさんが撮ってくださった動画から。

35度でペーランした時、ここまで冷やしてないのに走れていました。まだいけるはず。しかし、それとは裏腹に足はどんどん重くなります。おかしい。これはおかしいぞ。

なんとか中間点は過ぎます。このペース、この気温、この給水で失速するはずがない。しかし、事実、意識とは無関係に足が動かないんです。

よぎったのは去年の失態。また今年も倒れるのか。しかも、こんな序盤で。

倒れてはいけない。決めたはずだ。今年はペースダウン、また、万一の時はリタイアすると。せっかく北海道まできてハーフで終わるのか?フルマラソンリタイアゼロ記録が途切れるぞ。まだサブ3にギリギリ間に合うかもしれない。しかし、倒れたら去年から何も成長しなかったことになる。相木さんに合わせる顔がなくなる。それは許されない。

悪寒やふらつきの中、次の救護所で医療スタッフに相談することを決意。止められたらリタイアですから、事実上、リタイアの決断でした。私の北海道マラソン2023は、ここで一度終わりました。

25kmのランナーサポートエリアで、時計を一時停止し、救護所に飛び込みます。

ハンガーノック」25-30km

熱中症にしては比較的元気に?救護所に向かいましたので、え?という顔をされましたが、悪寒とフラつきがあると告げると問診の上で体温、血圧測定。体温は36度何分と聞こえます。

ドクターの判断は軽い熱中症の疑い。体温からの判断か、競技続行を許され、判断を委ねられたので迷わず「走ります」と答えました。

諦めきれない自分。医師のお墨付きがあれば、いけるところまで行きたい。おかしかったらすぐに中断するように念を押されたので、はっきりそれに従うことを告げ、お礼を言って救護所を後にします。そして、サポートエリアにある雪玉をもらいます。軽い熱中症、体を冷やさねば。

雪玉を握ると、その途端、ブルブルと悪寒が走り、思わず雪玉を捨てます。ガタガタ来る寒さ。そして、大粒の雨が降り始めます。雨粒が体に当たるたびに寒い。ゲリラ豪雨はまるで真冬の雨。

これでは走れない。折り返してみましたが、残り距離を考え、やはりリタイアせねばと回収バスや関門を探します。とぼとぼ走りながら、惨めな気持ちで歩を進めました。

なぜ、こうなったんだ…

前日からの行動を頭の中で反芻。睡眠時間は十分、無理な追加練習もしていない、ご飯は土曜の朝は塩ご飯にスナックパンにヨーグルト、昼ごはんは…昼ごはんは…?

昼ごはん、食べてない!

羽田で食べるはずが、移動に時間がかかり、飛行機の中ではおしゃべりで盛り上がり、快速エアポートでは失念。札幌ついてからは目まぐるしく受付や旧友との再会、チェックインにジョグ…。完全にランチを忘れていました。晩にお腹が空くはずです。

しまった…。何やってたんだ…。これ、ハンガーノックじゃん!

大慌てでジェルを残り全部とります。そして、北海道マラソン名物の私設エイドに片っ端から寄っては「コーラいただけますか?」「氷なしで」そんなわがままを言いながら、とにかく糖分を摂りました。インシュリンショックとか難しいことはわかりません。とにかくカロリーを確保。私設エイドのみなさん、ありがとうございました。

寒いので給水エイドはスルー。飲む気が起きません。そして、やっと回収バスが見えます。アナウンスも聞こえてきました。リタイアが大変多く出ており、回収に時間がかかっている、と。ここでリタイアしても、どうやら大通公園には早く帰れそうにない。そうか、ならばこの足で帰ろう。走っても15kmくらいしかないじゃないか。

結局、重い足ですが走り始めました。このゾーン、キロ6分台。

せっかくなので、感謝を。30-35k

30k過ぎて徐々に糖質が回り始めます。あれほど重かった足もそれなりに動きます。さすがに完全に元には戻りませんが、4分台には戻せました。もう記録は関係なし。陸連登録で私設エイドを利用したので、実際は失格です。なので、無理せず楽しく走りました。

SIT bandには全力で「SITband最高‼︎ありがと〜‼︎」と去年言えなかったお礼もシャウト!

エイドでも、京都マラソンのように「ボランティア〜ありがと〜‼︎」の連呼で掛け合いを楽しみます。もう、すっかり体は元気。ハンガーノックって、糖質が回復したら普通に元気なのね。(重症になるとこの通りではないと思うので、良い子はマネしないでね)

その後も私設エイドに立ち寄っては、「お姉さん、コーラ、うまいわぁ」なんて、歳上な感じの方と掛け合いしたり、他のランナーに声かけたり、楽しみつつ走りました。「埼玉のはるな愛」こと愛ちゃんにもスライドで会えてよかった。どうせなら、ガチ走りでは言えない感謝を伝えておきたい。

暑さ、戻る。せめてもの3.5へ。35-40k

徐々に札幌中心部が近づきます。そんな中、ムワッとした暑さを感じ始めました。そうだ、夏だった。

何度か寒さでスルーした給水エイドに飛び込み、スポドリを飲み、かけ水をする。いつもの道マラが戻ってきました。どうやら糖質が確保されたのか、体が普通の状態に。

時計を見ると残りをキロ4.5くらいで走ればフィニッシュタイム3.5は切れそうなところ。どうせだから、ロング練と思って走って帰ろう。

気持ちを切り替えて、グイっとペースアップ。それでもエイドでの「ありがとう!」シャウトは楽しみつつ、私設エイドはいただきつつ、走ります。

走っていると、見たことのある名前のゼッケンを発見。志喜屋さんでした!Twitterではよく知ってましたがお会いするのは初めて。ご挨拶して、テンションあげあげ!終盤に差し掛かる1番きついところでの志喜屋さんの熱い走りに刺激を受け、さらに加速します。まだリタイアしてないんだからちゃんと走らなきゃね。

お待ちかね「ここより北大構内」看板通過時にはコテコテの「北大入学!」をシャウト。沈んでいた気持ちを少し明るくして、構内を走り抜けます。40キロのラップは4:16まで回復。

フィニッシュ

去年はどう走ったかよく覚えてない北大構内を見渡しつつ、南門から卒業します。ヨドバシの隣通るんだな、赤レンガって工事中なのか、赤レンガテラスを抜けるのか。そんなお上りさん状態で大通公園へ。最後くらいはあげてやろうと3分台にムダに加速。

ラストは取りまくった糖を使い尽くすくらい加速してフィニッシュ。なんだかよくわからない意地で走りました。

3:21:26(参考記録。陸連登録競技者は助力を得た段階で本来は失格ですからね。)

いつもは晴れがましく振り返るんですが、今回は何やら申し訳ない気持ちで振り返り、一礼しました。オールスポーツのカメラマンにも、照れ笑いで会釈。

 

なにやってんだろ。ここまできて。

そんな虚しさや惨めさの中でメダルとタオルを受け取ります。いえ、もちろん、態度には出しませんよ。「ありがとう」シャウト、フィニッシュゾーンでも忘れずに。

そして、なんと目の前に相木さんを偶然にも発見します。私よりピッタリ1分先行してフィニッシュ。笑って敗北を告げます。今日は仕方ないでしょ。そんな慰めがうれしく胸に刺さります。今年はメンタルで支えられました。一緒に食べたフィニッシュアイス、めちゃくちゃ美味かったなぁ。

相木さんの奥さまがまだ走られており、応援のために一旦着替えて再集合することに。荷物を受け取り、iPhoneを開くと応援ナビ、LINE、TwitterDMに応援メッセージがたくさん。撃沈報告ツイートをし、チームメイトからのメッセージに返信しました。達成報告は嬉しくてたまらない時間ですが、お詫び報告は辛いだけ。この一年、いったい何をやってきたんだろうという思いに潰されます。

Reiさんからの労いに「今年できたのはペースダウンだけ」と報告すると「それは成長だよ。」と。何千キロも一緒に走ってきた戦友からの言葉に、溢れる感情を抑え切れませんでした。2年連続で泣き崩れることになるとは。

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低血糖に変わりはないらしく雨よけのポンチョを着てリカバリージェルを取り、体を温めます。相木さんと合流。赤レンガテラスで奥さまや友人を待ちます。

「飲みませんか?」と相木さん。サッポロクラシックでした。

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実はマラソン後に飲むのは初めて。こんなに美味いんですね。マラソン後のビールって。来年は2人でサブ3してサーバーから注いだクラシックを飲むぞと約束。

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サバイバルレースを乗り越えた奥さまもフィニッシュ。底抜けに明るい奥さまのおかげで、沈んだ心も再浮上。

ただ、気持ちの整理はつきません。足早に大通公園を後にしました。

食べろ。


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サロマ湖でお世話になった特攻野郎ペーteamで再会して、ラーメン。そして、


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佐々木のパフェで撃沈マラソンを締めます。カーボ取らなきゃね。(アミノ酸プロテインは別に摂ってます)

朝ジョグ

翌日は、朝ジョグから。

オールアウトしてないから走れちゃう悲しさ。

札幌は涼しくて走りやすいです。

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閉店間際のESTA。初めてきた時はSOGOだったなぁ。
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大通り公園は道マラの撤収中。スタッフさん、ありがとうございます。
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北大・恵迪寮。ペーteam合流して朝ジョグペーサーしてもらっちゃいました。
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赤レンガは改修中。

道マラ参加Tシャツの人を見かけると声をかけては、おつかれさまでした!と労いまくるジョグ。一期一会を楽しみます。

one more thing

そして、ホテルをチェックアウト。北大に向かいつつ、また道マラシャツの方にあいさつします。次の信号で追いつかれ、今度はあちらから話しかけていただき、出身地やら地元レースのことやら盛り上がりました。

札駅で別れ北大マルシェに向かっていると、さっきの方がダッシュしてきて

「失礼ですがタツオさんでは?」

な、なぜ知っている?!ホイミンいないのに!

「コリドーレです!」

まじかよ!!

なんと、知らずにたまたまコリドーレさんに声をかけていたんです。あれ?コリドーレさん、大阪で会わなかったっけ?

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大阪マラソンの時の写真。

これじゃお互い顔がわからんわ…。

そして、勝手にコリドーレさん=大阪の人と思い込んでて、茨城の話に反応できずでした。

なんと、こんな奇跡あるんですねー。

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奇跡記念に一枚。素敵な出会いと再会が詰まった北海道マラソン2023。最後にこんな素敵な再会がもう一つまってくれていました。コリドーレさん、ありがとうございました。


さよなら札幌。

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さよなら北海道。

また戻ってこなきゃね。

 

 

技術面の考察はまた別ブログで。

 

こんな恥ずかしくも情けない初歩的ミスをやるのは、自分の驕りの表れ。若葉マークつけ直してゼロから出直します。

 

9月はトレーニングメイン。鍛え直しスタート。

10月は🐮月間。

11月のおかやま🐮フルに備えます。

 

 

第76回富士登山競走〜グランドスラムへの道

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初の「富士登山競走 山頂コース」参戦記です。

富士登山競走は、ご存知のように富士吉田市役所から富士山頂まで駆け上がる「下らない」山岳レース。

ランスマでハブちゃんが走っているのをみて興味を持ち、市民ランナーのグランドスラムの一つということでこれは走るしかない!と、数年前からエントリー。去年五号目コースを基準タイム切りでゴールして山頂コース挑戦権を得ました。その辺りは去年のブログに。

 

コース分析

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これは去年作った5合目までの図です。

「市役所」から「馬返し」までがロード区間

それ以降がトレイル区間です。

五合目コースと同じく、馬返しまでのスプリントで前の順位を取ることがタイムに大きく影響します。トレイルで追い抜きは難しいので、抜けるロードでの走力が求められるわけです。

五合目から先は事前の試走でしっかり把握…するはずでしたが、天候やらスケジュールやらの都合で登れずじまい。小学生のころ登頂したことはあるのですが、どのコースをどう登ったのかまるで覚えていません…。実質、ぶっつけ本番の山頂コースとなりました。

なお、去年の大会公式攻略動画で松本大氏などが分析されていたように、馬返しまでの時間の2倍が五合目、その2倍がフィニッシュタイムとなるのが一般的なランナーのようですから、馬返しまで1時間、五合目を2時間以内に通過すればサブ4が見えてくる計算です。

ただ一点だけ、松本氏の要点としては五合目コースと山頂コースは別レースであり、五合目コース=短距離走、山頂コース=長距離走のイメージということのようなので、五合目オールアウトは避けたい。そうなると、去年と同じく五合目2時間切りを、体力的に余裕を持って可能であるレベルに持っていきたいわけです。そこさえクリアすれば後はどうにかなるだろう…。

 

レーニン

去年は連続ピークス祭りでトレイル対応の足を作ったり、金山連続三登したりと山特化トレしたんですが、今年はえびだいウルトラ、サロマ湖ウルトラ、富士登山競走、道マラが1ヶ月おきにやってくる楽しい過密スケジュールを組んでしまったので、富士登山競走だけに絞った練習メニューは組んでいません。いつものスピ練の合間にジョグで繋ぐ練習がメインでした。その中でありますが、富士登山競走に向けたメニューを紹介しておきます。

金山走

まず、岡山のランナーにはおなじみの「金山走」はかなり実施してきました。距離6.2キロ、平均斜度8%、ノンストップの登りロードコース。体感で前半が斜度9%、後半7%といったところで、富士山とは逆に前半に激坂がくる山道です。

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ここを35分で走るノーマル金山走がベース。このペースで市役所〜馬返しまで走ると1:00:58。

馬返しまでのロードよりは遥かにキツい金山ですから、ここで鍛えたら大丈夫だろうと思います。1人だとツラいツラい金山走。るーさんと走るととても楽でしたね。

また、金山インターバル走も実施しました。

「300m上り100m下る」×30セット

「400m上り100m下る」×20セット

これ、上だと番長、下だとReiさんの上りペースとほぼ同じになるので、お互いのペーサーができて楽にバルできました。

やっぱりチームだと高め合うことができて、ほんとに助かりますね。

HIIT

低酸素対策がわからず、Vo2Maxを維持〜あわよくば向上させようとタバタプロトコルを2,3日に1回実施しました。去年と同じですね。これについては、ことぶき先生に動きのレクチャーをかなり受けました。どこに負荷をかけるか、またどこに負担をかけないかを相談して、その時の体の状態に相応しいメニューで実施。なおマウンテンクライマーは毎度のように組み入れてます。

基本的に22sにし、スタート時を緩やかに加速することを心がけて、肉離れリスクを低減しています。また持久力よりにするため、追加2セット加えて10セットで実施。この辺りもおじさん補正です。

階段往復

めちゃくちゃ地味なトレーニングですが、自宅の階段をひたすら往復。アドベンチャーランナーの北田さんは自宅階段3000往復でエベレスト登頂!とかやってましたが、そこまでの気力はないです…。

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方法としては、先にタバタで心肺を追い込んでおき、息が切れたままアンクルウェイト1kgずつをつけて、1〜2段飛ばしで階段を上り下りすること100〜120回。ことぶきアドバイスの通り、重心位置を意識して体幹全体で登るようなイメージで実施。先生からは「筋トレというより体の使い方」だと言われてので、ただ回数をこなすというより姿勢や足さばきを意識して行いました。長期にわたって行えば筋トレになるんですけど、もう遅かったので…。

トレイル

山歩きを少々。

去年はガンガントレランしてたんですが、今年はウルトラ疲労が強く、ここでコケてケガしたら目も当てられないと思い、控えました。

それでも操山の上り階段などはハイペースで登って、全身の使い方を確認する程度のことはやってます。

累積標高

意外なことに去年とほぼ同じです。だいたい直近3ヶ月で15000メートルぽっち。少ないですよね。限られた練習時間で取り組んだので、時間のかかる標高稼ぎはできないままでした。1番の不安材料だった気がします。

全体的に、こんな練習で足りてるのかな?という追い込めなさ、でした。サロマ湖ダメージが大きく、痰が絡んだり倦怠感が強かったりで、7月頭に高負荷練習ができなかったのが悔やまれます。

現地入りまで

レースは金曜日。前日受付必須の大会です。クリック合戦の次は休暇獲得合戦が必須というラン前の苦闘が必要…。ハードル高いぞ。

水曜に仕事を終えたのちに車で出発。今年も早めに入って標高に体を慣らしたい。試走もしたい。

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今回はフルに自分で運転。疲労からの回復のため材料たるタンパク質はガッツリ摂ります。最終食物繊維も摂取。前日は食物繊維も抜いてますね。

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おにぎりは藻塩をかけておいてミネラルローディング。飲み物は全てプロテインドリンクかスポドリです。何もしなくても発汗はあるためとにかくミネラルの保持に注力します。
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睡魔に勝てず鈴鹿SAで車中泊

これはSAのトイレ。攻めずして好機なし。レベルは違いますが、レースを闘うものとしてグッとくる言葉でした。

今回は食べたものを写真で残そうと思っていたのに先に食べてしまって…すんません、ゴミ写真で…。

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塩むすびと焼きそばパンです。焼きそばパンは意外にも脂質が低めで選択。
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浜松SAではメロンパンとメロンクリームパン。シャケおむすび。
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レース24時間前の食事を完了。そうこうするうちに山梨へ。

高速を降りるとすぐに道の駅ふじよしだ。ゴール後のエキスポ会場です。設営が始まってました。ありがとうございます。そしてぶらつく人の中にはUTMF(FUJI)のTシャツも。来たぜ、富士山。
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道の駅からすぐ近くに浅間神社はあります。駐車場に停めて試走兼ねたジョグ。

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空気が爽やかで走りやすい!

しかし、前腿の疲労感が残っています。無理は禁物。走りたい欲をグッと堪えて4キロで終了。去年は五合目まで試走しちゃいましたが、今年はハード山頂コース参加。疲労回復が何より優先されますね。
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受付は13時からなので先に腹ごしらえ。去年フォロワーさんに教えていただいたみうらうどんへ。
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地元の愛されショップの佇まいがいいですね。このお店、独特の着席、注文スタイルなんです。常連さんたちが鮮やかに相席されてて、和やかにおうどんを楽しめました。
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吉田のうどんはキャベツとおあげ。
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麺はコシ弱めで硬くて太いんです。スープは味噌仕立て?

さてお腹を満たしたら受付へ。
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去年はドライブスルーでしたが今年は市民会館ステージ。「Youは何しに日本へ」取材班が来てました。富士登山競走です、はい。
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受付すると一気に気が引き締まりますね。この雰囲気、大好き。
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ゼッケン721!なんとサロマ湖と同じ数字なんです。これでどこかフルマラソンでも721番が来たら、0721グラスラやりたくなりそう笑

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入浴を済ませ、リラックス。
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夕食はおにぎりとパンのみ。塩を増量し、ミネラルサプリ系はきっちり摂ってチャージ完了。今夜の宿泊場所である大会公式の駐車場へ。
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19時くらいだったと思うんですが、スタッフ数人がまだいてくださって整理してくださる親切ぶり。安心して停められました。他にも20台以上は車中泊組みが。

車内で楽しくギア準備です。
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ギア

シューズは対富士専用決戦シューズHANZO-S。五合目コースに引き続き、こいつにがんばってもらいます。軽量、グリップ、フィット感全て◎。3,980円のセール品とは思えない。ほんとに富士登山競走専用なので、走行距離はまだ50kmもいってません。

ソックスはTABIO。きれいに履けてる感じがないのに、マメができないしグリップが後半でも変わらない超安定ソックス。最近はレースこればっかり。

帽子はサロモンの日除けを外したもの。富士山は晴れると日差しが強烈らしいのでサロマ湖の反省を踏まえます。

小石対策のシューゲーターは舶来品。主に下り対策想定。

ウェアはエアリズムインナーにUNIQLOエアリズムのいきもの舎Tシャツ。山なのでここは2枚。

手袋はmont-bellの指が出るタイプ。岩場対策でポッケに忍ばせます。

メガネバンドにEPSON Watchも定番。

腰にはユレニクイPro。ここにmont-bellレインジャケット、下りの粉塵対策ネックゲーター、アスリチューン(ジェル)2個、

そして、ラムネケースにOS-1パウダー。


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ラムネを出して中に粉末を詰めておきました。1L用が全部入ります。なんたって富士登山競走は給水が富士山のおいしい水。ただのH2Oですからスポドリの吸収率はない。

去年はドリンク持参でしたが山頂だから軽くしたい。ポカリでは発汗対策にやや不安。

そこで最近ハマり気味のOS-1を頼ることに。パウダーを持っていき、給水前で一口含んで水で流し込む作戦。吉か凶か。

カロリー計算ですが、鍋倉本によれば斜度15%で1.8倍の消費カロリーとのこと。富士登山競走の平均斜度が14%。山頂付近は40%くらいとのことですが、それを加味しても21キロの2倍程度≒フルマラソンくらいのカロリー消費だと推定。カーボローディングとOS-1、ジェルで十分だとふんでいます。

後部座席を倒した快適空間を作り、20時、就寝。

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レース当日

3時過ぎ起床。塩増量塩むすび、ミネラルジェル、エネルギージェルの朝食。軽くストレッチ、着替え、そしてトイレ。

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4時の富士山です。昨日見えなかった山頂が見えます。ご来光目当てハイカーのヘッデンが今日のルートを浮かび上がらせます。あそこまで4時間で行く…のか?

シャトルバスでスタート会場へ。
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富士吉田市役所。この写真。富士登山競走を知らない人に話すときに見せるととても驚かれます。「こんな遠くから走るの?!」

そうなんです。これ、一昔前のRPGなら背景画レベル。馬返しまでの10kmってここに集うランナーには短いけど一般人には果てしない距離。ギャグにしか聞こえないらしい。マジです。

到着してトイレ。ストレッチを一通りして、荷物を預け、トイレ。軽くアップして、さらにトイレに並びました。軽量化に命を賭けます。

なおアップではニーアップ、サイドリフト、ヒラメ筋、腓腹筋、ハム、アキレス腱のストレッチを念入りに行いました。

トイレに並んでいると素敵な出会いが。前のランナーさんと、これ小の列ですよねなんて話してるうちに盛り上がり、聞けばなんでも完走3回の強者とのこと。彼から「恥ずかしがらずに四つんばい!」との格言を得ます。岩場でも階段でも、周りが立ってようが気にせずに四つんばいで行け!と。それが完走のコツだと。これが私を救うことに。また、馬返しまでがキツくて、あとは楽だ、と。これは私には当てはまりませんでした…。すげーしんどいよ…。

6:30。スタート前セレモニー開始。申し訳ないですが封鎖された公道でアップジョグ。キロ6〜5で1キロほど。日陰に入り、エイエイオーには参加。地元の消防士さん、の高校生の娘さんによる掛け声でした。美味しい「らしい」ビールを飲んでね、と笑いをとってリラックスさせてくれました。

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そして…軽量化に全振りのはずがiPhoneを持ったままだと気づきます。山頂で写真撮れるから、ま、いいか。
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なおレース中は撮影してません。そんな余裕ないです…。写真は全てレース外で撮ったものです。

MCがとても上手い人で盛り上げてくれました。周りとハイタッチしよう、というのは面白いんですが、隣がブーマーだったら門田でも脱臼してしまうので、鮮やかにスルーします。

スタート

午前7時。気温は25度ほど。快晴。

ブロックはC。直前まで日陰にいたので、ほぼC最後尾。ロス30秒ほど。全体のほぼ真ん中でしょうか。

「行くぞ!」と声出しして気合を入れます。

さすがに五合目2:20切りの猛者揃いですから加速も速い。ホラ吹き申告ランナーだらけのマラソン大会と違って、遅いランナーがいません。これ、快適!

金鳥居の長い坂をスイスイとみなさん登っていきます。多少抜きましたが無理禁。流れに乗ります。1キロ目のラップ、4:45。

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写真は後から車のドラレコのもの。こんなところを登っていきます。斜度4%ないくらいなのでまだまだ序の口。ただ日差しは強く体温は確実に上がりますね。

2キロ目が5:07。飛ばしたランナーがペースダウンしてくる波。

3キロ目で前に出た効果で4:59。

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3キロで浅間神社です。14分台は御の字。最初の給水に気付くのが遅れましたがとりあえず水だけ飲みます。
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日陰に入りやや楽に。レースの時はいつも脳内再生で音楽を流します。大会テーマソングだったり、その時自然と頭に流れた曲だったりするんですが今回は意図的に曲を頭に。選曲はゲーム音楽からゼノブレイド3のChainAttack。疾走感に加え、ゲーム中では勝利確定!のバトル曲。そのイメージでテンポを作りました。
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去年は「埼玉のはるな愛」さんによる熱烈応援があったんですが、今年はなし。残念。
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徐々に落ちてくるランナーを拾っては前に出ます。金山で鍛えたので、この程度の斜度だと走りやすいですね。

あっという間に中の茶屋エイド。OS-1パウダーを含み、水で流し込む。成功。練習してましたが、ここでも問題なく流し込めました。

このエイドから本格的な登りロードに。金山並みの6〜10%斜度に反り上がっていきます。グッと前傾を強め、足全体で登るように切り替えました。

そしてしばらく走ってふと見た時計。距離8.5km。体感では5キロ程度でしたから随分と楽にきたものです。

ラップは4キロ目から

5'19-09-29-41-59"。去年より速くて楽。成長を感じます。ここで加速しても良かったんですが、松本大氏が山頂コースは長丁場だからペース配分を、というアドバイスに基づいて自然な流れで進みました。

馬返し到着。1:00:57。目標の1時間ジャストには遅れましたが、去年より4分以上早いペース。途中で歩きを入れずにこれたのも良いポイントでした。悪くないですね。

トレイルへ

OS-1and給水を取り、大きな階段を駆け上がればトレイルの始まり。ここからは去年と大差ないペースでの登坂になりました。

狭い斜度のある道は早歩き、土砂対策のマスがあるフラットなところは走る、追い抜くの繰り返しです。

さすが山頂コースの猛者、無理せず抑え気味なんでしょうが五合目コースの時と変わらぬスピード感。追随するのに必死です。

留意したのはふくらはぎを使い過ぎないこと、大股は避けること、踏み外さないこと。時間ベースで全体の3/4残っているわけですから最後まで足が持つように集中しました。

三合目エイドでもOS-1パウダーと水セットでミネラル補給。その後も去年と変わらない雰囲気のペースであっという間に五合目に到達します。

山頂コースでは、佐藤小屋に向かわずにラストのロード部分がそのまま計測ゾーンになり、エイドになります。ミネラル補給して駆け上がればヘルメットレンタルandチェックポイント。今年は素直にレンタルしました。同じものを購入して試していたので装着も手早く完了。

1:53:23は昨年より4:41早い到達。ここの2倍強が標準的なフィニッシュタイムと聞くので悪くないタイムできたことになり、やや安心します。

富士登山

五合目チェックポイントを過ぎてもしばらくは林の中。トレイルを駆け上がるんですが、木々は背丈がどんどん低くなり、顔を上げると荒涼とした富士山らしい景色が広がります。ここからがまさに富士登山のイメージですね。

登山客も一気に増えて、高速富士登山の様相。さして速い登山にも思えないんですが、登山客のみなさんと比べると爆速ですね。

そして、砂利道の洗礼を浴びます。一歩ごとにズルっと滑り、沈み込むためエネルギーロスも大きくペースが上がらない状態に。沈まないだろう大きめの石を狙ったり、前のランナーの置いた場所を踏襲したりという工夫をしてみます。

そして、徐々に低酸素も感じ始めます。ペースの割に息が上がるし、足が重い。

六合目エイドでOS-1パウダーを取る時、ややふらつきを感じました。熱中症?と一瞬思いましたが給水十分だし、そもそもそこまで暑くなかったので、これは低酸素だなと判断。特に何のトレーニングもしてないので対策なし。呼吸では吐くことを意識します。

岩場との格闘、芹澤さんのDNA

岩場に差し掛かります。スタート地点で聞いた先輩の助言を思い出し、迷わず手袋をして「恥ずかしがらずに四つんばい!」を実践。周りのランナーの中では真っ先に四つんばい走行併用に切り替えました。

これが正解で、足も楽なら呼吸も楽。しかも速くて、足攣り防止にもなる。ここから先、岩場だろうが階段だろうが少しでも四つんばいになれる角度があればすかさず四つんばい走行でした。

それでも岩場を四つんばいで登るなんて経験はありませんし、周りのペースは速い。もう必死です。前のランナーのルートを辿りつつ、時折り上をのぞいて位置を確認。鎖があれば腕に頼るりまくる状態です。途中、どこかで指と向こう脛を擦ったらしく小さいケガがありましたが、それに気づかないほどがむしゃらでした。疲労度は急上昇します。

そんな時、前を行くランナーが左にフラッとずれ、右手を挙げてこちらに先に行けという合図。これ、去年の開会式でレジェンド芹沢さんが話していた、富士登山競走のランナーに向けた忠言通りの行動!

そうです。後ろのランナーを通せんぼするランナーがいるが、そんなことをすると1秒ロスが後方では1分ロスになる。右手を挙げて後ろのランナーを先に行かせよう。そうすると全体のペースがあがってみんなが楽になる。みんなで完走しよう、と。くぅ…それをここで見ることができるとは。その魂の登山マナー、引き受けます。ぐっと前に出て加速。全体が速くなり、その方もきっと好タイムにつながるんです。やってやりますとも。富士登山競走、熱い。

ちなみに山頂付近に芹沢さんご本人がいらして応援してくださっていたようですね。全く気がつきませんでした…。

苦難の九十九折ゾーン

岩場を抜けると砂利道の九十九折が延々と続きます。走れる斜度なんですが、とても走れる足でも呼吸でもない。ズルっといったら一気に攣りそう。カーブを最短コースで攻めるにも階段の高さが怖くて遠回り。そんなおもはゆくなる上りが繰り返されます。

世界遺産登録10周年とコロナ明けとの影響で登山客のみなさんがとても多いらしく、おじゃましながらのレース。それでも大勢の方から応援をいただきました。団体さんの中には、みなさんで拍手で迎えてくださる方も。たまに「…あざす」くらいしか応えられなかったのが悔やまれますがとても力になりましたね。

山小屋の前のフラットなウッドデッキのようなところはランのポイント。走るんですが、ウッドデッキを迎えるたびに体のふらつきが大きくなっていきます。明らかにキツい。

給水が来るたびにとっていたOS-1もなくなります。ところどころ、足を踏み外しては「あ"っ!!」と悲鳴を上げ、攣りかけた足にストレッチをかけながら上るんですが、脱水系の足攣りまでにはならなかったのは、OS-1作戦が奏功したかなと思います。

3250メートルのショック

ほぼ順調にきたように思えた富士登山ですが、五合目以降は適正ペースもわからないし、4時間切りへのタイムリミットも不明。ただ必死で登るだけでした。メンタルとしては、全力で登っていれば五合目×2倍時間だから大丈夫!という楽天的推測。

しかし、標高3250mの看板を見た時に余計な計算をしてしまいます。…のこり500メートル以上登るのか…金山より高いじゃん。

足は終わり呼吸もキツい。心臓の鼓動を感じられるようになっている。この状態で金山を1時間で登れるのか?ロードですらキツいのに。

そうネガティブに考えると4時間切りは不可能に思えてきます。今回、唯一ココロが折られたポイントでした。

次の給水でアスリチューンを摂取。好きなコーヒーチェリー味です。吸い出すのもキツいんですが、ラストのラストで効いた気がします。

上を見ると遥か上方に山小屋の影。しかし山頂ではない。めまいがしそうです。実際、フラフラでした。例えるなら胃カメラの時の麻酔のような感じ。頭がボーッとしてクラクラして、考えることができないほど朦朧とします。油断すれば千鳥足。ただ登ることに集中して、足を前に出すことの繰り返しです。

たまに現れる残り距離表示。2.2kmが1.8、1.5と減ってゆき、1.2くらいで「金山でも登れるじゃんか」と前向きな気持ちになれました。どこか山小屋で「がんばれー!!」と応援してくれた少年にはとても元気をもらいましたね。

完走へ

思い通りにならない体を引きずって九十九折を終えると、最後の岩場がきます。キツい岩場ですが、四つんばいになれる分、ややほっとするのも事実。それくらい足は終わってました。途中の階段も恥ずかしげもなく四つんばい。傾斜がなくなり、立って登るところで足を踏み外し、ぎゃぁ!となりますが、なんとか持ち直します。ここで攣ってたらと思うとゾッとしますね。

見上げると白い鳥居が二つ見えます。山頂が見えてきたということ。周りのベテランランナーがあと10分だと話しています。時計は10:40。完走はほぼ確実。4時間切りも現実のものに。

このままフィニッシュすればランナーとしての大目標が達成となる。そう考えると込み上げるものがありました。キツい練習のこと、支えてくれた仲間のこと、次々と思い出します。とりわけ、去年夏の北海道マラソン。やってはいけない失敗レースで学んだ、走れることへの感謝。

せっかく走れるんだからフィニッシュしないともったいない。だから、倒れているランナーを助ける、という精神性。申し訳なさとともに、せめて強いランナーになって、助けてもらったことを意味あるものにしなくてはならないという気持ちが、サブエガ、サブ9に繋がり、今ここに富士登山競走サブ4に手が届くところまできた、と。

フィニッシュする前におかしな話ですが、涙を流しながら白鳥居をくぐりました。

膝に手を置き、グイグイと登ります。最後の折り返しを切り返せばフィニッシュゲートはもう目の前。加速したらさらに気が遠くなりました。

朦朧としたままフィニッシュ!

3:51:51。完走。そして目標の4時間切り達成。

深呼吸しながら奥に誘導され、脇にそれると面前に山頂からの景色が広がります。一息ついて意識がはっきりし、達成を実感。そして山頂から叫びました。

グランドスラム、達成!!」

周りのランナーさんたちが拍手で迎えてくれました。みなさん、ありがとうございました。

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顔を隠すスタンプがおふざけなのは、ただ意識がぼーっとしていて、適当だったからです…。

山頂

フルマラソンもウルトラもフィニッシュ地点には感動が溢れています。ですが富士登山競走のフィニッシュ地点、山頂はその熱さが違っていました。ゴリゴリのランナーが人目を憚らず号泣していたり、仲間を見つけて絶叫しながらハグしていたり。嗚咽まじりに電話をかけ完走を報告する年配のランナーにはもらい泣きを禁じ得ませんでした。その気持ち、完全でないにしてもわかります。ここにくるには一筋縄ではいかない。1人1人様々な道のりの果てにたどり着いた完走でしょう。けして楽なトレーニング、楽なレースではなかったはず。何年もかかったかもしれない。一度は諦めかけたかもしれない。そんな見えないドラマが詰まっていて、山頂は筋書きのないドラマの最高潮が溢れていました。

また山頂ではコーラが500円、ビールが800円、カップヌードルが1000円で買えます。ビール買ったランナーさんに写真撮ってほしいと言われたんですが、その画、最高でした。

高いって?いえいえ、どれも世界最高に美味いと思います。その価値はあるでしょう。来年は1500円持ってこようかな。

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富士下山競走?

制限時間まで山頂にいて給水したり残ったジェルをとったりしながら知り合いの姿を探しましたが見つけられず下山することに。スタート前に助言くださった方も後から調べるとDNFでした。ベテランランナーでも登頂失敗がある。自分は幸運だったなと思います。

参加案内にもある通り、山頂コースではフィニッシュ後、五合目まで自力下山しなくてはいけません。案内だと約2時間とのこと。完走時間制限ギリギリだと11:30フィニッシュ。五合目のバス最終便が14時ですから30分も休んだら速やかに下山する必要があります。

最終ランナーを応援したり、山頂コーラやビールを満喫したら、大急ぎで下らねばなりません。参加者向けにサンプラザ中野くんライブがあるんですが,これに至っては13時スタート。もう飛んで降るしかない。

そんな事情があってかあらでか、ランナーたちは山頂から…走って降るんですね。名づけて富士下山競走!
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山頂にはブルドーザー(型の運搬車)が登れる道があり、通称ブル道と呼ばれています。砂利の深いルートが登山客に下り専用で設けられているんですね。

聞いていた通り土埃が激しいのでネックゲーターを巻いて、楽しい下り7キロラン、スタート!

これがなかなか気分爽快!低酸素なので呼吸はキツイですが、景色は素敵だし、完走してテンション上がってるし、みなさんビュンビュン飛ばします。

普通の登山客も同じように降ってるんですが、どんどん抜いていくランナーを見て「ここって走る場所?」と思ったのか走り出す登山客も…。

ええ、コケてました。この人たち、トレランで下る練習積んでるし、下り用の筋力使ってないから余裕だし、良い子はマネしたらダメ案件なんです。ご迷惑をおかけしましたことお詫びします。ただ「ランナーはバス時刻があるために走って下ります」という案内看板があると良いかも。ほんと登山客の皆さんは驚いたことと思います。

途中、突然シューズのグリップが効かなくなり、逆になにか突っかかるような感触。確認したらハンゾーのアウトソールが剥がれていました。

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聞いてはいましたが、本当にシューズが終わるとは。富士山恐るべし。ランニングシューズの耐久性だと一回こっきりなんですね。f:id:RunTazzo:20230811145722j:image

五合目まで降る頃にはシューズの中は砂がパンパン。これも恒例行事だそうです。シャトルバスに乗って道の駅へ。ここでメットを返す時に、被っていたサロモンのキャップを紛失していることが発覚。泣。

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道の駅では表彰式が行われていました。吉住さんの五連覇には驚嘆するばかりです。るーさんとここで合流。ちょっと日差しが強過ぎて9時スタートの五合目コースは過酷なレースになった気がします。セレモニーで30分も日を受け続けるのは厳しいですね。残念な結果でしたが、るーさんのことですから来年は確実に突破してくるでしょう。

なお、大盛り上がりの抽選会はるーさんも私も全ハズレ。富士急ハイランドのチケットほしかったなぁ。

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駐車場までるーさんに送っていただきました。来年はホイミンと共に戻ってくるぜ!と再戦を誓い、富士山を後にします。
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去年と同じく温泉で汗を流します。床を泥だらけにしてるのは山頂コース到達のみなさん。妙な連帯感でお話ししました。
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静岡に向けて走っていると、ゼロ富士ゼロのランナーたちが!思わず窓を開けて声援を送ります。富士登山競走なんて比にならない超ハードレース。真の変態たちが駆け抜けていきます。糸魚川から富士山頂を越えて田子の浦だけでも恐ろしいのに、それを往復しちゃうドMっぷりに敬服です。

ご褒美タイム①

さて、ここからはレースと直接関係ない、自分へのご褒美タイムについて。サロマ湖でも書いた通り、死闘やるぞ!と決めた時はご褒美を用意します。「ご褒美うれしい!」の記憶が、キツイ時に励みになりますからね。興味ない方は読み飛ばしてね。

今年も炭焼きハンバーグのお店「さわやか」に向かいます。これを楽しみに走ったといっても過言ではない!

今年は特別ゲスト、Reiさん…のお子さんが同行してくれました。実は家族ぐるみのお付き合い。
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完走のお祝いにザバスいただきました!もうこれだけでうれしい。そして、夕方前のさわやか空いてるタイムに到着。
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きたー!
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ミディアムレアハンバーグ、徹底的な衛生管理の賜物ですよね。こんな肉肉しいハンバーグ、他では食べられません。至福のひととき。がんばってよかった…。肉うめー!

ご褒美タイム②

ご褒美第二弾、翌日はRei子さんに連れられ東京ドームシティでクイズウォークラリー。ほんとは山手線一周ランをしたかったんですが、なぜか疲労感があるのと膝の不安感からボツ。東京ドームシティを歩き回る1日になりました。

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世間ではquiz knockって人気なんですか?走ってばっかで知らない…。なんでもメンバーご本人がオフで回ってたそうで何がなんだかよくわかりませんが、東京ドームの周りを炎天下ウォーク。道マラに向けてよい暑熱順化に。
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お昼はshibaki王子やハッチさん推奨のキッチン南海でランチ。800円って信じられない。
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かなり久々にがっつりとカツカレーを食べた気がします。

そして、ネタでゆで太郎

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なぜか渋谷でほぐしウォーク。しめて20kmほど。これくらい動いておけば足も喜ぶでしょう。なおスポドリはガンガン摂りました。
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目標達成したし、このくらいの贅沢は許してもらいましょう。たっぷり遊んで帰路につきました。

まとめ〜謝辞にかえて

山頂コース初挑戦の富士登山競走は、目標達成となる4時間切りで幕を閉じました。念願だった市民ランナーのグランドスラムの達成でもあります。Twitterで教えていただいたわけですが、生涯グランドスラムだけではなく、年間グランドスラム達成となったことも嬉しく思います。この年間グラスラに関してはまた別記事で分析したいと思います。

富士登山競走に絞っていうと、まず馬返しまで余裕を持って走れたことが大きかったですね。一番のトレーニングはやはり金山走だったと思います。金山ルートは実のところteamいきもの舎のshibakiリーダーからの紹介で知った場所でした。そしてリーダー以外の全員と走ったことのある場所でもあります。(なぜかリーダーは走らない…)チームあっての金山走。それが完走につながったこと、嬉しく思います。とくに金山走でもReiさんとのバルはかなり効きました。チームのみんなにこの場を借りて感謝を伝えたいです。

低酸素には苦しみましたが最後まで呼吸はもちましたし、足が終わることなく、登頂できました。何度も踏み外しては攣りかけましたが、その度にストレッチ走法で回復。下りもとくに足に問題ありませんでした。五合目フィニッシュ後に足攣りで医療スタッフに抱えられた去年から確実に成長できました。これにはタバタや階段トレーニングが結果的には効果があったと感じています。また、塩多めチャージやミネラル補給も奏功しました。このトレーニングとチャージの理論的なところはことぶき先生との雑談に依ります。先生を「富士登山競走サブ4請負人」にできたこと、うれしいですね。

富士登山競走もやはりメンタルのレースでした。練習もレースも気力を奮い立たせないと一歩が踏み出せません。それを支えてくれたランナーのみなさん、応援してくださったみなさんにも感謝。一緒に山頂でグラスラ達成しよう言ってくださったくまさんはじめ、大勢のランナーさんとの繋がりが切れない気持ちを支えてくれました。故障で叶わなかったのは残念ですが、来年、山頂でお会いするのを楽しみにしています。

そして、なにより大会スタッフ、地域の皆さんに感謝。公道、登山道を優先的に利用させてもらってこそ成り立つ大会です。それなくして何も誇ることはできません。大会へのご協力、本当にありがとうございました。

来年はホイミンとともに戻ってきて、ドラクエ系ネタランの最高峰?「グランドスライム」を目指します。

 

次は、4ヶ月連続月末ハードレースシリーズの最終レース、北海道マラソン

去年の雪辱を果たす時。真夏のサブ3に向けて、全力で臨みます。今年の全てはこのレースのために。

待ってろ、道マラ。

待ってろ、新川通。

今年は、倒れない!

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サロマ湖ウルトラ2023

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昨年は5月の柴又100k。フィニッシュ後に出会ったランナーさんから言われた「柴又でサブ10できたなら、サロマ湖ならサブ9できる」という言葉。その時はウルトラなんてもう嫌だ、と精神崩壊していたわけですが、思えば思うほど募るサブ9への憧憬。気づけばクリック合戦に参戦していました。

ホイミンと走ったえびだいから1ヶ月。サロマ湖100kmウルトラマラソン参戦記です。

練習

走行距離でいうと

1月302km

2月342km

3月356km

4月336km

5月441km(えびだい込)

6月247km(サロマ湖抜)

だいたい週80km前後で推移。

えびだい後のリカバリー、練習、テーパリングには悩みましたね。

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負荷を抑えつつ距離はキープして回復に努め、遅筋で後半を支えるイメージです。えびだい後もほぼ変わらない距離で筋力を維持し、最終週で疲労抜きをしました。スピ練はほとんどせず、金山バル400m30本くらい。

また、しっかり食べて回復、ロングに耐えられるようにと考えましたが、少し不安だったのは体重増。だいたい55kgくらいが通常なので2kgほど増加。

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また体脂肪率が5%超えになったこと、筋肉つきすぎかなという重さ。これがグリコーゲン量、脚の強さとしてレースにプラスになることに期待します…。

スタート地点にどう移動する?

サロマ湖ウルトラは湧別スタート。これがなかなか大変なんです。


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札幌まではいいとして、札幌ー湧別間の直線距離って、岡山ー防府間とほぼ同じ。しかも、交通手段が限られる…。

女満別空港北見市泊〜シャトルバスで会場入りする公式ツアーもありますが、全体の旅費を抑えたい…。

さぁどうする。

 

特攻野郎ぺーteam結成?!

うちの元常連さんで札幌在住の子がいるんですが、その子にチラッと話したんですねサロマ出るって。そしたら今年で北海道も最後だから連れてけ、と。なんでも来年4月から内地に就職だそうで、まだ行ったことのない道内を回れたら嬉しいとのこと。それならばと飛行機が安くなるように長めの滞在にし、土曜〜月曜の3日間レンタカー借りて、その子と運転しつつスタート会場には車中泊で乗り込むことにしました。利害一致!予約やら旅程やらは丸投げです。ちなみにオンラインのリレマラに参加してくれたり、いきもの舎に何度も行ってる子で、私よりもマスターと話が弾むという…さすが旧◯理◯同士…。さらに薬剤師の卵なので医療的知識も豊富。帯同してもらえたらこんなに心強いことはない!…まさかほんとに頼ることになるとはこの時まだ知る由もなし。

2人とも「ぺー」な学校つながりなので、特攻野郎ぺーteam。Aチームのパクリです笑 あのアメリカのドラマですね。ドライブしながら各地を漫遊して悪事を懲らしめる水戸黄門みたいなやつ…懐かしい。我々は観光とグルメで道内を漫遊します笑

いきなりノリが軽くなったな…

北海道へ

金曜日、岡山から直行便で札幌へ。楽ですね。緊張からか、やや胃腸が不調…。

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札幌到着。Y1000投入で胃腸を労わります。

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安定の東横イン。ホテルチェックインしたら体をほぐしにジョグへ。


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懐かしい場所巡りをば。
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20年以上前に住んでたアパートが健在でした。隙間風が入るヤバさ満点の部屋。


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サロマ湖エイドで出るリボンナポリンのラッピングバスを見つけたり、生活圏だったところをごきげんジョグ。

途中、サロマ湖Tシャツで走るランナーさんを見かけ話しかけたらやはり参加者の方。今年の天候を尋ねたら涼しそうですね〜と。うんうん、そうだよね。天気予報は曇りってなってるし。エール交換してテンション爆上げしました。会場で会えるかな。
そして、ペーteam合流。
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カーボローディングはラーメン!
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あっさりリクエストしたら近場の函館ラーメンのお店に連れてってくれました。炭水化物うまい!

ホテルに戻って、さぁレース準備。

ギア
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シューズはhyper speed2をチョイス。過去2回ウルトラはズムフラ4でしたが今回は母が買ってくれたこともあり、軽量薄型にしてみました。hyper speed1が相性が良く、ポートタワー80kmが気持ちよく走れたイメージで選択。

ウェアは最後まで悩みましたが、最終的に「寒くはないだろう。日差しは弱いだろう」とシングレット。ビニールポンチョにレインコートで朝の冷えに備えます。

タビオ、アスフォームのマルチポケット、メガネバンド、エアリズムブリーフなどはえびだいと同一。帽子はホイミン…じゃなくてサロモンの日除け付き。

ジェルは、しんどくても美味しく食べられるアスリチューンにしました。ネット販売しかなくて大量買いするしかないのが玉に傷ですが相性はバツグン。

また陸連登録だとスペドリを置けるというテンション爆上がりレースなので、100均のはちみつケースに生徒が描いた似顔絵を貼り、アスリチューンもまとめて貼りつけました。これを3本。これ、やってみたかったんですよね!なお内容物は元実業団の方から教えていただきました。ベースは経口補水液OS-1。これも伏線になります。

その他、念の為にアミノバイタルの粉末やツーラン、塩など持ちました。

レースプラン

レースプラン策定は、ウルトラでは特にギアと表裏一体。そして今回、スペドリが使えるわけです。これにスタート時とドロップバッグを加えると、

0kmマルチポケット

30kmスペドリ

54kmドロップバッグ

65kmスペドリ

80kmスペドリ

という補充ポイントが使えるんですね。ぜいたく…。

ここでジェルを毎回補充すればポケットの中は最大2個のジェルで済むとふみました。とにかく軽量化いのち。

目標設定

ついでにここで目標の話。

以前からサロマ湖ではサブ9をやると公言していました。公言で追い込むタイプです。ただ、えびだい前の50kmサブ4や、えびだいでの前半キロ5通過など仕上がりは上々。故障なく迎えたサロマ湖なので欲が出ます。

50kmサブ4がキロ4:48。私が「自動運転」で走れる=走ってるんだが走ってないんだかわからないくらい楽に進めるツボペース=4:42というところを考え、4:45を1つの基準としました。

距離は101キロを想定。過去のフルマラソンはロス0.7%付近。それよりエイドやトイレロスが多くなるため1%ロス想定です。

101キロを4:45ペースだと…7:59:45!

なかなか素敵じゃないですか?奇跡的に調子良く、西風に乗り、日差しなく、涼しければ…と甘い期待。

現実的には5:02ペースで8:28。つまりサブ8.5。

ここで意識したのは先月の柴又で大高さんが出していた8:37:55。これを上回れます。こうなると俄然やる気が湧きますね!

もし71キロ地点まで平均4:45ペース通過できたら残り30キロは5:45でサブ8.5できる計算。地獄の70キロの壁ですが「残りは5:45でいいぞ。キロ1分落ちても達成だぞ。」と自分に囁けたら、その時の自分は走るかもしれない。

こんな取らぬ狸の皮算用をやりまして、頭の中は完全にサブ8.5モードでした。そのため、サブ9ペースは知ってはいましたがあえて正確な計画は立てずに臨んだんです。サロマサブ8.5計画。後はそれをどれだけ削れるか。もし柴又のようなノンストップ給水ができたら、万が一の大記録も夢見ました。今思えば…アホか…ですけどね苦笑

そのため、えびだいとはガラッと変えて、ジェル主体(相性のいいアスリチューンのみ)、スペドリは高カロリー、徹底した軽量化に振ったわけです。

なお、スペドリのペースは経口補水液OS-1。これが命綱になるとは…。

レース前日〜カーボローディングツアー

食べたこと意外、内容がないので読み飛ばしてください。

朝ウォーキングして軽くほぐしたのち、朝食。

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東横インのビュッフェを地味に利用。これ以外にプロテインドリンク、マルチミネラルサプリ、エビオスはとってます。胃腸はかなり回復。もう大丈夫。

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特攻野郎といえば車!ペーチーム後輩がサロマ湖ウルトラ優待価格より安くレンタカーを手配しといてくれました。多謝。
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で、各地の悪者を懲らしめるんじゃなくて、主にカーボローディングの旅をします…

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とりあえずセブンで炭水化物。見つけたのは北海道らしいイカメシおにぎり!…岡山でも売ってたという苦笑 そしてハスカップメロンパン。

モグモグしてると、日本一長い直線道路へ。

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まっすぐ約30km走できます。

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そして砂川スイーツロード。噂に聞くナカヤ菓子店のアップルパイ。


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しつこくなくてあっさり完食。脂質が多い?気にしない気にしない…。

続いて、旭川まで移動し、エチュードへ。


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なんでも、プリンコンテストで全国1位になったことがあるとか。濃厚でとっても滑らかでした。糖質に加えてタンパク質も摂れていいですね。

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またまたセブンおにぎり。なんとベルダレのジンギスカンおにぎり。これ美味かった!
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続いて、網走方面へ。途中、セーコマでシャケと筋子のおにぎりを買って食べました。親子丼おにぎり。
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能取湖を横目に、岬へ。
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能取岬。オホーツク網走マラソンでおなじみの光景です。実際に行けて感激。できたらランで来たいですね。

観光を終えたら、コース下見がてら常呂〜湧別へ向かいます。

車からでもアップダウンはわかりました。最大高低差こそ40メートル程度と大きくはないんですが、緩やかで短いアップダウンは何度もやってきます。知らず知らずのうちに脚を消費するタイプのコース。特に後半は要注意ですね。
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道の駅、愛ランド湧別。ネーミングはさておき、入場無料の遊園地なんですね。なんとも言えない雰囲気でした。車中泊にはいいポイントかも。スタート地点まで15分くらいです。なおレースではこの施設の裏側を走ります。

そして、サロマ湖ウルトラマラソンの看板をたどりつつ、到着しました。湧別町
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すでにランナーがたくさんで、テンションあがります。ちなみに、近くに牧場がたくさんあって、あの香りが常に漂ってました。
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まずは食べようと向かった食堂はすでに閉店…。ご飯が売り切れたか。
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しかたなくコンビニまで歩きます。近くにセブンとセーコマあるんですね。とっても便利。
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セブンにこんなコーナーが!おにぎり売り切れじゃないかと不安でしたが、たくさん仕入れていただいてました。ランナー用に大福も!思わず買っちゃいました。

そんなこんなで、夕食は塩むすび、わかめおにぎり、ネギ味噌おにぎり、大福。カーボローディングは万全でしょう。これまでになく順調にエネルギー溜め込んで前日を終えます。

冬用のジャケットに身を包み、午後9時就寝。

 

スタートまで

3時起床。気温11度。起床というより寒さで目が覚めた感じです。たまらずエンジンをかけて暖を取ります。上げたはずの足がバッグから落ちて、やや鬱血気味。

朝メシ。しゃけおにぎり、梅おにぎり、塩むすびマルチビタミンミネラルサプリ、エビオス、Y1000。胃腸を労わりつつ、無理なくエネルギーを確保。発汗で失われるミネラルなどもチャージします。

お着替え。ワセリンは足指メインにたっぷり。日焼け止めも忘れません。資生堂のお世話になります。しかし、塗り損なって不足していたようですが、それは後ほど。シングレットにはカイロを貼りお腹を冷やさないように。さらにビニールポンチョの上にDAISOレインコート。体の冷えを避けることでトイレが近くなるのを避けたつもりです。使い捨てられるように軍手もはめます。寒さによるストレスはありません。この時、まさか暑さにやられることになるとは思っていませんでしたね。

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スタート地点は広く、キャンプしている人もたくさん。楽しそうです。早々に荷物を預け、トイレ行列に並びました。万全です。この時点ではそう思ってましたが、預けた荷物に帽子が。某サイトの曇りの予報は見事に外れることに。

スタートゾーンを確認していると、声をかけてくださる方が。アトムさん!サロマ後で同郷のランナーに会えるとホッとしますね〜。エール交換できたのはほんと幸せ。力が湧きます。
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そして、動的ストレッチをしながら待機。シューズ調整も丁寧に。場内アナウンスで天候は晴れ、最高気温26度と。ウソだろ?!半信半疑で聞き流します。実際は28度近くまで上がることになるんですけどね。

持参したアミノバイタルを飲んで最後の補給。なお、アミノバイタルは無料配布されていました。大盤振る舞いです。ありがとう、AJINOMOTO。

スタートブロックはA。ここまで恐ろしく順調に来ました。ブロックに入り、ゼッケンを見てまわります。…いた!

勝手にライバル視している大高さん発見!おかやまマラソンで声をかけていただいた以来の再会です。柴又でサブ9を上回る8:37:57を叩き出したウルトラランナー。Twitterで4:45ペースを公言している彼です。できれば追随したい。ご挨拶して、いろいろ質問。ハッキリとはおっしゃってませんでしたが、サブ8.5を狙っていることを確信します。

あっさりとしたセレモニーが終わるともうスタートが近い。いそいそとレインコート、ポンチョを脱ぎ、軍手も外します。丸めてコンパクトにし、スタッフに渡すかゴミ箱シュートの準備。そして、カウントダウン。100kmの死闘、始まります。

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スタート〜10km

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スタートロスは気になるほどではありません。

ゆったりと走り始めます。しかし、意外とペースが上がってきません。えびだいのダッシュと大違い。混雑しているので抜きたいですが、手にはレインコートの塊、間を縫うにはまだ早い。スタートゲートからしばらく走ってもゴミ箱もないし、回収スタッフもいない…。フルマラソンとちがう…。同じように手にレインコートの塊を持ったままのランナーも目にします。ちょっとマヌケな我ら。

スタートしてから町内一周するんですが、その間、ずっと手にレインコートの塊…でした。

大高さんから、サロマンブルーでもゆっくりな人がいるから、ペースを上げなくては、という声をかけていただきます。そして、あっという間に前方へ。追いますが、速度差が大きく追随は諦めます。

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5時スタートにも関わらず、すでに明るく、感じる気温もじりじり上昇。しかし、5km給水はレインコートを捨てるだけに。それほど焦りはありません。まだまだ余裕です。ここからコースどりも気にしました。最短距離になるように先を見て走るルートを決めます。(これは奏功して、最終的に100.5kmで終えました。)

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なんと、今回はスマホ持参かつ写真撮りながらランしました。えびだいは2枚くらいしか写真撮ってなくて寂しかったので、10kmに一度だけ撮影する自主ルールで走ります。途中で撮影どころではなくなりそうですが、その時はその時!

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まだ6時もきてないのに、この太陽…。そして…牧場の香り。苦手な人は苦手かもしれませんね。次の給水はしっかりポカリ確保。テーブルも長く、スピード落とさずに給水できました。しかもポカリ!これは理想の給水です。

スタート混雑の1kmこそ5:08でしたが、入りの10kmは平均4:40。上々の滑り出しです。やや速いですが、走りやすい前のランナーを追いつつ、体が動くのに任せます。

20kmまで〜第一折り返し、サロマ湖へ。

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やがてコースはサロマ湖西岸へ。西側の半島部分に進みますルートです。港があるんですが、早朝にも関わらず応援がたくさん。うれしいですね。

なお港特有の、網を干す香りが漂います。この先、牧場と港の香りが交互にやってくるんですね。サロマ湖ウルトラの香りって、この二つだなと思います。つまり…苦手な人は要注意。呼吸や給水が大変…かも。

さて、コースは半島へ。ウルトラとは思えないペースの先頭集団。すれ違いざまにエールを送ります。私はと言えば予定より5秒ほど速いため、ややキツさがきていたようで、ファイトの声が自分に効きます。すでに日差しにやられはじめていたか。この時はまるで気にしていません。

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そして、半島の先へ。この辺りでバニーセーラー服のお兄さんの背中を借ります。すごい人気でした。うらやましいぞ、仮装ランナー。

折り返しでペースの速さを実感します。やや飛ばし過ぎか。しかし、70kmまで持ってしまえば後は粘り勝ちできると信じます。

20〜30km…目指せスペドリ

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折り返すと、後続ランナーたちとすれ違えて、さらにいろんな仮装ランナーさんの姿を見られます。シャア大佐や全身トマト、志村けんソックリのバカ殿様などなど。バカ殿は声かけたらリアクションくれました!

そしてアトムさんともすれ違えました。元気もらえます。

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スライドゾーンが終わると、牧場ゾーンを抜けていきます。北海道らしい景色と牧場の香り。

そして、写真からわかる通りの強い日差しに。帽子のない頭にストレートに日射を受けます。頭皮が灼ける…。ただ、レースの高揚感と内地の暑さ慣れからか、やはりまだ意識には暑さ問題がのぼっていませんでしたね。

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25までのラップ。ややつっこみましたね。このペースが維持したい。

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30km。見えてきました。お待ちかねのスペシャルドリンク!人生初のスペドリ体験です!

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テーブルはゼッケンごとに細かく分かれており、ドリンクも十分に広げて並べられてました。そして似顔絵次のボトルを探して…バシッとキャッチ。ペースをほとんど落とさずに掴み取れました。グビグビと飲み干してゴミ箱にズドンと投げ込みます。クーっ!これこれ、ランナーっぽい!初マラソンの時、はじめての紙コップ給水も感動しましたが、こちらも感動でした!

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30〜40km 重い序盤

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牧場周囲の直線、直角ゾーンからサロマ湖の湖畔に向かう10キロです。

遮るもののないまっすぐな道。北海道らしくて気分はいいですが、足が軽くなってはきません。ペースがまだ速いか。しかし、押せるだけ押す。

このしばらく前から、何度か「かわいい!すごい!」というような声援を受けていました。なんとなく気付いてはいたのですが、ポケモンイーブイ着ぐるみを着たランナーが真後ろを走ってるんです笑 声援は全て後ろの人に向けられたもの!まぁ、私もホイミンやら牛やらで声援独り占めランやってますので気にしません笑

それにしても、パジャマになりそうな重いワンピースタイプの着ぐるみを頭まですっぽりかぶって炎天下ウルトラ。給水のたびにかぶり水をガンガンしてます。そりゃ暑いでしょうな…。

かなりの距離を引っ張った気がします。なお、なんと最終的に完敗でした。速いランナーさんに使ってもらえたのは光栄ですね。

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ちょっと写真のポイントが違うかもしれませんが、サロマ湖に再び出ます。ポカリ給水をしっかり摂り、カロリーと水分を確保。まだ序盤の40なのに体は重い。このキツさの原因がわからないまま進みます。

40〜50km 消耗のサロマ湖湖畔
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サロマ湖ウルトラには42.195kmの計測とフルマラソン距離の碑があるんですね。だいたい3:18くらいで通過。キロ4:41ペース。タイムとしては全く悪くありませんが、フルベストより30分下げているペースにしては体が重くキツいです。日射の浴びすぎで輻射による体温上昇、発汗、脱水が進んでいっていたんでしょう。そのことに気付けず、そのままのペースと給水量でサロマ湖湖畔をいくことに。

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真綿で首を絞めるような消耗こそがウルトラだなと思いますが、まさにそんなダメージ蓄積が進みます。なんとなくわかっていたのは、このペースで71kmまで粘るのは極めて難しくなったこと。そして、そのままフィニッシュはまず不可能だということ。ペースダウンは確定だろう。あとは、どこまでどの程度まで粘れるか、そんなことを考えるようになりました。消耗の理由を考えて対処すべきでしたね。心の弱さ。

上りの途中、狭い歩道にある50kmの中間地点。ここには3:58で到着。キロ4:45。予定と寸分違わぬペース。しかし、このペースの維持は不可能という前提で、まずはエイドステーションまで走り、帽子をかぶれば多少は粘れるのではないか。そんな意識で通過します。

50〜60km 帽子とスタッフのありがたさ

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サロマ湖湖畔の先の方を眺めて走ります。豆粒のような先のランナーを見て、あそこがエイドステーションかな?あそこまでがんばろう。そんな意識でした。

やっと見えてきた最大エイド。54.5kmのステーション。手前にスタッフが2人。前の方がゼッケンを読みあげ、もう片方が無線連絡、だったと思います。違ったらごめんなさい。

エイドに突入すると、スタッフ数人で鮮やかにドロップバッグが手渡されます。待ち時間ゼロ!素晴らしい連携!

すぐに帽子を被り、アスリチューンを補充。しかし、バッグに入れていたジェルを飲み忘れたままバッグをリターン。すでに気付かぬうちに判断力が鈍ってましたね。

給水へ。ここで、スタッフの方とちょっと歓談。暑さでバテバテですよ、そんな一言二言。数秒でしたが、言葉を交わすと意識がはっきりして、自分の中の力を再確認したようで、まだいけるなという感覚が得られました。ウルトラって、これだなと感じます。苦しい時に心に余裕を持たせてくれるスタッフの存在,大きい。

かぶり水をし、氷を掴んで走り出します。さぁ、どこまで回復するか。

帽子をかぶると、それまでいかに日射にやられていたかがわかりますね。熱々の脳天が帽子に守られます。日除付きだから首周りも快適。ただ日除が首周りにまとわりついて不快すぎ、帽子の中にしまい気味にしました。

日射による頭部への輻射熱ダメージこそ減りましたが、全身への日射、そしてグングンあがる気温は容赦なく、ランはキツくなる一方。スモールステップで乗り切るため、63kのスペドリを楽しみにしつつ走ります。

しかし、暑さで胃の重さと胸焼けがあり、アスリチューンを取る気力がもう湧きません。

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サロマ湖対岸には竜宮街道にかかる橋が見えます。写真の中央あたりです。霞んでますが、少し盛り上がって見える部分。肉眼では明らかに橋。あそこまで行くんです。気が遠くなるほど遥か遠方ですが「見えてるところは行けるとこ」というロング走時の格言を唱えて心を守ります。児島湾よりはるかにデカい…。

やがて60kmがみえてきます。今回はえびだいでのコーラ飲み過ぎトイレ行き過ぎ問題の反省から、柴又同様30,60,90kmのみのトイレピットインを予定していたので、そこまで我慢して飛び込みました。
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ちょっと濃いめのレモネード色でしたが、夏はこんなものなので特に気にも留めなかったんですね。ここまでの平均ペースは4:50まで落ちていました。

60〜70km 早い失速
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キツいロードになりました。足が重いのに加えて、呼吸も苦しい。小さなアップダウンがこたえます。

今思えば、序盤に帽子なしで日射を受け通常より脱水が進んでいること、気温が想定より高く発汗量が多いこと、そのためにキツくなっていることに気づき、対処すべきでしたが、そこに頭が回っていませんでしたね。

63kmエイド。スペドリが待っています。ジェルを取るのがキツくなっていましたから、すがるような気持ちで向かいました。ここではドロップバッグと同じように、事前に無線でゼッケンナンバーが伝達され、エイドに到着するとスタッフがボトルを手渡ししてくれます。

苦しさを紛らすため、受け取ったボトルの似顔絵を顔の横に並べてスタッフに見せて「似顔絵、にてます?」と。スタッフさんたちは空気を読んで、似てる!!と爆笑してくださいました。

大会を楽しむ余裕、ともいえますがむしろ、苦しさを紛らすための会話でした。休みたかったのかな。

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コースはサロマ湖の山場の一つ、通称「魔女の森」へ。ここは快適でした。木陰は涼しく風は爽やか。そして、なぜか前後にランナーがいません。…魔女に化かされてる?!

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数キロで森を抜けると前方のランナーが見えます。気持ちよく走れたのは、ここまででしたね。

森を抜けると一気に暑さがきます。ますます上がる気温にどんどん失速。見えてきたエイドのかぶり水を思い切り頭からかぶりました。これが大失敗。頭の上でたまっていた塩分が溶けて一気に目に入ります。ぎゃぁあ!

目が開けられません。日除もシャツもシャカシャカで目が拭けない。薄く目を開ければなんとなく前は見えますが、痛い。これでは走れないぞ。万事休すか。

その時、沿道に並ぶ応援の皆さんがなんとタオルを差し出してくれます。ここだったか、サロマ湖名物の私設エイド、白帆!

「ありがとうございます!」思わず声が出るほどの喜び!助かった!

冷えたタオルをランナーに渡してくださってたんですね。他のランナーもキャーキャー言いながら顔拭いてました。これは本当にありがたい。

ただ一方で、ペース維持はもう厳しいなと、どこで失速かな、と悪魔の囁きが増えます。どこからか忘れましたが、左足ふくらはぎが攣り気味に。それでも70kmまでこのペースなら、まだサブ8.5は狙えます。平均キロ5で終盤の自分にバトンを渡せば、あいつはなんだかんだでそのまま走り切るんじゃないか。苦しい自分にはあと数キロで減速していいぞ、と騙しつつ、先の自分に残りの記録を託す。そんなメンタルでした。平均ペース4:58。

70〜80km 異変と判断
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次のトイレは90km…のはずが強い尿意を感じます。そんなにポカリと麦茶、飲んだっけ?でもエイドのたびにポカリと麦茶を飲んでる気がする。でも…どう考えても発汗量の方が多くないか?

苦しさもあいまって、空いているトイレに飛び込みました。

尾籠な話で恐縮ですが、濃いめのレモネードが出るはずが、コーラが出ます。しかも、少ない。濃いから少しだったのか?判断ができません。とにかくトイレを飛び出します。しかし残尿感。体調の異変なのか。

サロマ湖東岸を北上する足がさらに重くなります。平均キロ4分台がナチュラルには維持できなくなり、必死で蹴らないと進まない状況。予定の71キロ目。どうにか4分台でしたが、これ以降4分台のラップはありません。

苦しさのあまり、前のランナーの背中を借ります。フォームを直すも、苦しさは変わらず。苦しい波があれば、楽な波もある。それまで耐えろ。と、走りますが、攣り気味に加えて、キツさが。さらに尿意。給水はとりますが、判断がつきません。増やすことも減らすこともせず同じような給水。

そして、またたまらずトイレに。前回にもまして濃いコーラ。しかし、ちょろっとしか出ない。これは、なんだ?

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ウルトラランナーが血尿に見舞われるという話は聞いたことがありました。しかし、その原因もリスクも対処法もわからない。血尿というほど赤くもない。一体何が起きているんだ?f:id:RunTazzo:20230717232332j:image

続いて左足腕〜肩あたりが攣り始めます。腕がふれません。肩を回して対処しますが、変な痛みが。最後まで腕の攣りには悩まされました。

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給水おかわりやかぶり水でタイムロスがどんどん大きくなります。

道路の看板は、コースがワッカ原生花園に差し掛かっていることを示します。噂のファイナルステージへ。

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原生花園に向かう大きな橋を超えます。今年はコース変更でこの橋からワッカに入ることになったとのこと。初参加組にはよくわかりませんが、景色は感動的です。

これまで走ってきたサロマ湖沿岸が見えます。しかし感慨に浸る余裕なんて皆無。ただ、上りの筋力は残っていたので、少し気分転換に。

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ワッカ原生花園の竜宮街道は左手がサロマ湖、右手がオホーツク海の細長い半島なんですね。地図で見ると海の上を走ってるみたいに見えますが、左右が土手なので谷です。植物に明るい方はきっとすごく楽しい場所なんでしょうね。

60kmくらいで見えた橋が、芥子粒みたいなサイズで見えており、チリほどのランナーの姿がチラホラ。まさか、あそこまで行くんじゃないよね?

途中で、ものすごく力強い走りですれ違う女性ランナーが。ここをあんなにパワフルに走れるのか!?後で見ると、優勝された方でした。それに比べて自分の情けないこと。もうヨレヨレです。

さらに大高さんとすれ違います。思わず「ファイト!」と声が。ええ、自分への喝でしたね。

耐えて耐えて走っていると徐々に橋は大きくなり、橋上からついに見えた折り返し。80km地点。

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しかし、橋を下るとしばらく不整地。砂利道なんです。足裏が強烈に痛い!どうした、俺のズムfl…

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hyper speed2なんだった…。ここは厚底が良かったな…

しかたなく道の端っこ、草のところを選びます。走りにくい。エイドまでの少しの距離が苦行になりました。足ツボが刺激されすぎて、もう…。

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80km折り返しエイド。もうフラフラです。スペドリを受け取りますが、もう会話の余裕がありません。立ち止まって飲み始めます。

目の前には80km計測マット。応援ナビには今こうしてる間も、私の灰色の点が停止中なんだろな、と。見てくれてる仲間は「あー失速したか」とガッカリだろうな…。

大急ぎでゴクゴク飲み干し、マット通過。よし。

そして…トイレに。いよいよ強い尿意。さらに濃いコーラがチョロ。ポカリも飲んだのに、なぜ?

とりあえず走り出します。

(これって、やばいやつなのか?)

不安がよぎります。道マラではフィニッシュ直前にぶっ倒れました。このまま行って大丈夫なのか?意識ははっきりしているし、まだ体は動く。道マラの時のような危険な雰囲気ではない。しかしキツさは増大中。倒れるやつなのか?

これは賢明な判断だったのか、単に心が折れたのか、わかりません。目標をサブ9に下方修正します。キロ5.5でもサブ9は十分可能。8.5を狙って倒れるより、確実なサブ9。

どちらにしても、サブ8.5を狙った戦いはここで終わります。平均ペース5:01。貯金は底をつきました。

80〜90km 燃えきらない死闘

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諦めたことで、やや力が抜けます。悔しさよりもキツさが大きく、とにかく攣りの痛みに抗い前に進むだけ。給水はポカリと麦茶、かぶり水は欠かさず、氷も握る。このパターンで粘ります。サブ9は死守しなくてはサロマ湖まで来た意味がない。

狭い竜宮街道は回収バスも遅れることが公式に伝えられるようなコース。医療班は自転車で巡回してくださっています。その姿を目にして、この尿の問題を聞いてみようかと思いました。対策を教えてもらえたら、大丈夫だと言ってもらえたら、また加速できれのではないか。しかし、もしドクターストップになれば即刻リタイヤ。選手に選択権はありません。よくない判断とはわかっていましたがリタイア宣告が怖くて医療班のみなさんの前は素通りしました。

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やや追い風になり楽になった気もしますが、逆にムワッとした暑さも感じる展開。ワッカに入って次々と抜かれる中で前を追えません。その人たち、50kmの部の人。でも、抜かれるのは精神的にキツイですね。

いつまで続くんだろうと気が遠くなります。素晴らしい貴重な景色なんですが、もはや単調な風景にしか感じません。

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サロマ湖の東の端までいくと、過去一狭い折り返しが。これは崩落に伴う変更で仕方ないです。ここまで見てほしいという運営の配慮ですからね。

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折り返して90kmを迎えます。残り距離が一桁になります。残り9.999キロだな。そんなことを淡く考えます。平均ペース5:07。ペースが7.5に落ちてもサブ9は達成。すっきりしないラストになります。

90〜100km 長い長いラスト
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90km計測を踏めば、数キロで苦しかったワッカ原生花園を抜けます。相変わらずの給水とトイレ。体調チェックと、なにかこれは出しておかないとヤバいんじゃないかという思い込みでまたトイレに寄りました。コーラは変わらずコーラ。

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もと来た橋を引き返すんですが、スライドなので後方のランナーたちが大量にワッカに進んでいきます。その人たち、とくに50kmの部の方たちが応援してくださるんです。嬉しかったなぁ。ほんとに元気が出たんです。
あとは常呂町のフィニッシュ地点まで走るだけ。残り距離は6キロほど。これが長い。いつもなら走った気にならないほどの距離なのに、まるで減ってくれない。周りの選手も少なく応援もほぼありませんから、ただただ走るだけ。北海道の広々とした景色を楽しもうと考えるんですが、むしろ変化がないと感じるようになってました。ペースを上げたいけど、上げた瞬間に足が攣ります。こうなると何もできません。

フィニッシュ地点が見えてきたところで別のランナーに抜かれます。まだ悔しさがあって追随。背中につきます。攣らないようにストレッチをかけながら、食らいついていると、その方が「どうぞ前に行ってください」と。もう限界で攣りそうなんだと答え、そこからしばらくおしゃべりランになりました。苦しい時にお話ししてもらえて、最後の500メートルは気分良く楽しく走れたんですね。

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100km走ってグロス同タイム。通じ合うもの、仲間意識、そんな感覚が生まれやすいのもウルトラの面白さです。

フィニッシュゾーンではとてもたくさんの応援をいただきました。時刻は13:37。平均ペースばかり気にしていましたが、グロスタイムはどうやら8:37あたり。柴又での大高さんの記録とほぼ同じと気づきます。なので、ちょっとだけダッシュ

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8:37:55。ネットでは8:37:39でした。

「サブ9!」と叫びましたが、ほんとは8.5と叫びたかったのが正直な気持ちです。

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見ての通り、トイレで時間ロスでかすぎ…。

猛省の医務室行き

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フィニッシュすると後輩が待ち構えてくれてました。薬剤師の卵なので体調相談すると、おしっこ出んのはやべかろー、ということで医務室へテクテク歩いて行きます。道マラと違って倒れることはなかったです。

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医務室でドクターに問診。脈が浅い、はい点滴!

筋肉が壊れたミオグロビン尿だろうということでコーラ色になることはよくあることらしいですが、「おしっこがでないのは危険です!」と看護師さんからも釘を刺されました。道マラに続き、医療班のお世話になってしまったことを猛省します。暑さに慣れたことと、平気であることとは別ですね。点滴後、OS-1もいただき、しばらくしておしっこが出た時は心底ホッとしました。

この日、気温は28℃くらいまで上がったとのこと。帽子なし55kmの直射日光と道マラレベルの気温の中で9時間近くキロ5付近で走っていれば、そりゃ脱水しますよね。なぜその判断ができなかったのか。情けないです。

結果的にスペドリのOS-1が命綱でした。あれがなかったら、リタイヤでしたね。

なお、サロマ湖ウルトラではフィニッシュすると1000円クーポンで屋台を満喫できます。後輩に譲って、私が点滴受けてる間に写真撮っておいてもらいました。


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ホタテ三昧!初日に食べ損ねたホタテカレーも含め、次来たらタラフク食べるぞ〜

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さよなら、サロマ湖

バニーちゃんランナーのお兄さんは見つけたので背中を借りたお礼を伝えました。北海道マラソンも同じスタイルで出走するそうでお会いできるといいですね!

余裕があれば他のランナーさんたちを応援し、フィニッシュを見届けたいんですが、この日の宿舎を旭川にとってもらってるので、早々にサロマの地を発ちます。それに…やはり悔しさも。不完全燃焼の感が否めず、気分も晴れませんでしたね。

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汗を流しに層雲峡温泉へ。
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しなび…てない小洒落た温泉街でした。硫黄の香りのする良い温泉と岩肌の覗く険しい山々の力強い景色を堪能。しかし、日焼け止めを塗り損ねた部分が真っ赤に日焼けして火傷状態。日焼け止めを塗れてるところはなんともなかったので、日焼け止めの効果の高さも実感しました。
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温泉から旭川への道中、OS-1とポカリ、プロテインドリンクなど、ちびちび飲み続けてリカバリー。1ヶ月後の富士登山競走に向けて、すでにスタートです。
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そして、旭川に到着。


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完走の祝杯は旭川ラーメン

胃腸ダメージがあるのでラーメンはどうかなとも思ったんですが、あっさり系なら大丈夫だろうと「すがわら」へ。塩分が全身に沁み渡るスープでした。

なお、夜までコーラ色のアレはおさまりませんでしたが、ちゃんと出たのは安心でした。

ご褒美?ツアー

もはやマラソンとは無関係ですので読み飛ばしてください…笑


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翌朝、相木さんからおすすめされた「らぅめん青葉」へ。

今大会のご褒美はコレ!

開店10分前に到着するともう数人のお客さん。先代のおじいちゃんが出てきて注文を取るんですが、なぜか「どこからきたの?」と聞かれ、岡山だと答えると、伝票に書くんです。

さらに、しょうゆを頼んだら、おまえは塩にしろ、と半ば強制的にメニュー変更…笑

中に案内されると、若大将(65歳だけど)が、岡山なら山陽放送の番組に出たことあるよ、といきなりの絡み。それから大将のラーメントークを聞きつつ雑談で盛り上がるという愉快で楽しい空間を満喫できました。先代の女将さんはといえば他のお客さんに「次は味噌ラーメンを食べてね〜」と次回のオーダーを決めちゃってました。

ラーメンも濃厚ならキャラも濃厚。忘れられない旭川ラーメン体験になりました。

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四季彩の丘
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青い池
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富良野ランチ

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ラベンダー畑


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ディナーはトリトン
と、北海道を満喫させてもらいました。

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夜は北大ナイトジョグで血行促進して疲労回復。後輩がジョグを習慣化したいとのことで一緒にジョグ。これ、ランナーとしては嬉しいですね!

構内にある東京オリンピックのプレートも教えてもらいました。

特攻野郎ペーチーム、これにて解散。


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翌日、新千歳空港への移動中にFビレッジも見学。ここはまた立ち寄りたいポイントですね。


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ご褒美たっぷりで、5日間の長期にわたるサロマ湖ウルトラは幕を閉じました。目標未達ですが、苦しいあとにご褒美を与えてないと、次の苦痛の時に脳ががんばれないので、ちゃんと苦痛に応じたご褒美は与えておくのがいいだろうという…自分の甘やかしです。

レースまとめ

えびだい100kmでの目標達成から調子良く迎えたサロマ湖ウルトラは、ほぼ完璧な準備で怖いくらい順調にスタートできました。

しかし、天候の読み間違いが帽子ドロップ問題となり強烈な直射日光ダメージ。そして気づかない給水不足。重なった体調の問題がコーラ色トラブルになって、判断を誤らせました。

天気予報を冷静に見極めていれば、帽子があれば、給水増量していれば…サブ8.5は取れたんじゃないかと自惚れています。

その一方で、走り込み不足を感じました。走行距離を確保するようにしないと、これより上は望めないなと感じます。

サロマ湖でリベンジを図るか…どうかわかりませんが、また走りたいのは事実ですね。次の目標は確実にサブ8.5です。

おわりに

いつにも増して応援のありがたさを痛感した大会でした。私にとってウルトラはほんとにメンタルですから。早朝から沿道に出て応援してくださったみなさん、人がいないような場所まできて声をかけてくださる方、苦しいところをよく知って声援をくださりありがとうございました。ランナーからの声かけもうれしく、50kmの部の方からのリスペクトに満ちた応援はむしろ頭が下がる思いでした。スタッフさんとの雑談やたわいもないやり取りがリラックスのきっかけになり、気づかないうちに固くなっていた動きをなめらかに戻すことができました。

チームのみんなにも感謝。いつも応援してもらえてることが、今日も応援してくれてるんだろうなという確信になって投げ出せなくなる好循環。ありがたいです。

会場でお会いできたアトムさん大高さん、やっぱり知った人がいると安心しますね。お話ししてくださってありがとうございました。特に大高さんには精神的にも引っ張っていただけました。

そして、旅程からホテルやレンタカーの手配、行き帰りの運転に土産物探し、果ては医療的なケアまで至れり尽せりのサポートをしてくれたペーチームの後輩。楽しかったぜ!

 

4ヶ月連続月末大型レースシリーズ、次は富士登山競走!市民ランナーグランドスラムをかけて挑みます。

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えびす・だいこく100kmマラソン2023

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えびだい参戦へ

えびだい参戦はここから始まりました。

去年、初ウルトラとなる柴又100の余韻冷めやらぬ翌週、我らが兄貴、WATARUさんの応援に赴いた出雲の地。5月とは思えぬ日射と気温と湿度。完走率49%という過酷なレースで激闘を繰り広げる走りに魂を揺さぶられ、あれほど走りたくないと思ったウルトラに駆り立てられる…。

あれから、それなりに私も成長。新たに立てた目標、グランドスライム(ホイミンと一緒にサブ3、サブ10、富士登山競走完走)のウルトラの舞台として、無謀にもえびだいを選んだのでした。

練習編

コンスタントに月間300は走り込めているので、基礎的な走力は問題ないと考えましたが、ウルトラ経験が浅い私には計算できないレース。準備は入念にしたつもりです。
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まず100kmのスケール感を岡山の人にわかりやすく説明するとこんな感じです。赤線がえびだいのコース。

岡山市内から空港へ抜け、賀陽町あたりから総社,倉敷に下り、福山まで走り抜ける、というと想像しやすいかも。

とにかく長い…。過去のウルトラ練習や柴又でわかっているのはハンガーノックの恐怖。食べられないと終わります。そして私の胃腸の弱さ。クリールか何かの記事を参考にインナーマッスルの補強をし、内臓を揺られないように少しでも筋肉武装。効いたのかな?筋肉量、去年より1キロは増えてます。

また去年の暑さを体感したので、今年はまず徹底した暑熱順化を図りました。

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ヒートテック肌着にサウナスーツでラン。ふざけてますが練習としては真剣です。
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これ、模様じゃなくて塩です。おかげかどうかわかりませんが、今年は曇りの天候もあり、暑さはほぼ感じませんでしたね。

また、WATARUさんご本人にえびだい攻略の鍵を直接うかがいました。アポとセッティングをしてくれたタコちゃんにも感謝です。彼にはお世話になりっぱなし…。

WATARUさんアドバイスの1番の要点は「下りのペースコントロール」。教えていただいたブログ資料を見ると、50kまでがアップダウンで、特にチェリーロードと原発ゾーンが2大アップダウン。この下りで調子に乗って飛ばすと後半に脚が終わるということです。

そのため、前半の起伏に対応すべく金山走のほか、起伏走を練習コースに多めに組み込みました。特に下りは徹底して刻む練習。意外と疲れます。

そして、最大の心配事であるカロリー摂取練習。柴又では胸焼けで補給できずハンガーノックがキツかったので、走りながら食べる練習も。おにぎり食べながら走ったり、井村屋のゼリーを大人買いしたり。食べながら50km走を4時間で走れたので、前半をキロ5.5なら走り切れるだろうと考えました。

それ以外はいつものルーティン通りにスピ練をジョグでつなぐだけでした。継続的に毎月のようにレースに出ているので、それ自体がロング走。ウルトラだからといって下手にいじったりしませんでしたね。故障回避最優先!

 

ギア

シューズ選びは最後まで迷いました。軽量なhyper speedやtartherが第一候補でしたが、下りのクッションが不安で結局、柴又と同じズムフラ4を選択。

いつもの五本指ソックス(ステップ)、シングレット(adidas)、マルチポケットパンツ(アスフォーム)、エアリズムブリーフの対暑対長距離防御の布陣。

細かいところでメガネバンド=メガネを上げるエネルギー節約なんてのも柴又の反省からです。

そして、我が相棒、ホイミン!224gに軽量化し、風船で形を整え、準備万端。100kmの旅。風船割れないで…。

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補給戦略

戦略というほどのものでもないですが、胸焼けなどでジェルはそんなに摂れないと判断。

かごしまマラソンの参加賞(中止時の)ジェル2個とメダリスト、アミノバイタル、藻塩(ミネラル豊富なもの)をスタート時にマルチポケットに。シンプル軽量に振りました。エネルギーはエイドから摂るぞと。ジェルはおまけ程度に考え、その時あわなかったら捨てる覚悟。

51kmのドロップバッグには、メダリスト、マグオン、空ボトル、ツーランをユレニクイにセットしたもの。後半暑かったら、ユレニクイでボトル保持してこまめに水分摂れるように準備。

これだけです。井村屋シリーズも考えましたが、起伏走では軽量化を優先するために今回は見送りました。

また、これまでの経験から足攣りが怖いなと思うんですが、マグネシウムは下剤でもあるので下したときのロスが大きすぎると考え、マグオン、ツーランなどのマグネシウム系サプリは控え、代わりに低ナトリウム血症に対処すべく塩増量で臨みました。給水手前で塩を口に振り込み、スポドリで流し込む。この辺りはことぶき先生からのアドバイスですね。

今回、土曜日の食事は白米に絞りましたが、なぜかいつものように食が進まず、ガッツリ食べられぬまま夜を迎えます。これは計算外…。

会場へ

今回はReiさんが応援に来てくださるということで、その便に便乗させてもらいました。

土曜深夜に岡山を発ち、道中運転を任せて私は居眠り。スタート地点近くのコンビニで食事等を済ませて会場入りです。眠い…。

しかし、車の中に蚊が入ってきててんやわんや。蚊とバトルしてる間になんと左足を攣るという痛恨のミス…。

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なお、当日の食事はおにぎり3つ。

プロテインドリンクで流し込んで完了。ちょっと少なかったかな。

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スタート地点から1キロ手前の駐車場へ。

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ことぶき先生がこちらに気づいて声をかけてくださり、チームウシジマのみなさんにご挨拶。牛嶋俊明さんと写真撮ってもらいました。FM岡山のパーソナリティで地元の有名人。おかやまマラソンでも毎年FM岡山代表?で走ってますね。サブ3.5ランナーでもあります。ことぶき先生、負けてますよー。

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ことぶき先生はチームのみなさんと行動するようで、私は先に歩いてスタート地点へ。荷物を預けていると、スタート10分前アナウンス。しまった、駐車場でのんびりしすぎた笑

慌ててスタートブロックに向かうと、WATARUさんたちがこちらを見つけて声をかけてくださいました。その流れでそのまま前の方に入れさせていただく私。ありがとうございます。先頭集団に恥じない走りを誓います。

そして、WATARUさんへの憧れを捨てます。大谷翔平の名言のマネですが、その通りですよね。マラソンはスポーツ。あくまで競走。結果は結果。必ず勝って、お礼に代えます。

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先週、柴又を完走したばかりのアトムさんにもご挨拶。強すぎでしょ笑 回復力ハンパない…

そして、TWAのまーくんも合流。キロ4でロケットスタートするようなことを言ってました。ついていかないよー。でも、後半で交わしたいなぁ。

スタート〜素敵な出会いと助言

そして、あっという間にスタート時刻。ギリギリまでシューレース調整。アップもストレッチもできてない!でも、飛ばさないから大丈夫かな。

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目標レースペースとしては、前半は平均キロ5.5。30秒ずつ貯金をし、後半に使い潰してもサブ10できるという去年の柴又と同じプラン。コース、気温、ホイミンの負荷を走力アップ分で相殺できるだろうと踏みました。

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見やすさ重視で西を上にしてます。コースはざっくりいうと島根半島を西に進んで出雲大社まで。まずは山越えゾーンへ。

スタート直後、WATARUさんたちと少しおしゃべり。その後で、Mさんという方から話しかけていただきました。

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なお写真はレース後のもの。

目標を聞かれたのでこちらサブ10と伝えると、岡山のレジェンダリーランナー吉田さんからのアドバイスとして「前半キロ5でいけば、後半に少々ダレてもサブ10できる」というキツい助言を教えてもらいます。前半をキロ5。おう…。サロマ湖はその予定でしたが、この起伏コースでやるんかい…。

Mさんも同様にサブ10目標。ベテランランナーのアドバイスです。ここは乗っかってみることに。

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2キロ目からのラップは4分台に上げます。

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5キロほどでいざ、坂へ。これはGoogle先生のもの。

iPhone持参で走ったんですが撮影用ではなくて大会からロストに備えてとのことで念のため持参。なのであんまり撮影してません。

結構な坂でした。距離こそ短いんですが、5.5くらいにペースダウンさせられる斜度。

まだまだスタミナには余裕がありますが、息はあがってきます。

初めの峠はあっという間、すぐに日本海側へ。それからしばらく海沿いをラン。1番気持ちのいいところでした笑

メテオプラザという隕石が展示?されてる建物の近くで給水。ここでジェルを1つ。数年前の鹿児島マラソン記念品…水分が抜けてねっちょねちょ。味見だけになりました。悪くないんですが濃ゆくなりすぎててほぼ接着剤…。でも少しはカロリー確保。序盤に取らねばいつ取るカロリー。

ウルトラ須く序盤楽しむべし

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この区間の景色は最高でしたね!

海の色が青い!

瀬戸内海とは違う深いブルー。複雑に入り組んだ海岸線。時折差し込む陽の光でまた色合いが変わります。写真なくてスミマセン。YouTubeにたくさん動画が出てるのでエントリー予定の方はぜひご覧ください。

アップダウンこそありますが、まだスタミナもあるので気持ちいいラン。周りのランナーたちも快調に見えます。エイドステーションに入ると、タコ!クラゲ!かわいい!がんばれ!と、期待通りの応援がかけられます。ありがとうございます!

21kmで、えびだいを代表する素敵エイド、イカの煮付けがある笠浦エイドステーションに到着します。もちろんホイミンいじりもしてもらえました。嬉しい!

イカの煮付け、爪楊枝が用意されてて食べやすい!…と思ったら、爪楊枝の先に3つもイカ…こんなに食べれないと思いつつ残すわけにもいかず美味しく完食。刺身でも美味しいイカを煮つけたんだなって感じ。美味い〜と感想を伝えると「きゅうりもおいしいから食べて!」そう言われると食べないわけにはいきません。予定外だがホイミンいじってもらってるし勢いできゅうりの塩揉み、うん、水々しい!

美味しい〜ごちそうさま〜と言ってさぁスタートと思ったら、味噌汁も勧められました笑

美味いんですよ、味噌汁。でも熱々。なかなか飲めない。もういいや、と時間かけていただきました。かなりのロスになりましたが、エイド満喫でした。こういう雰囲気、最高ですね!

そして、ごちそうさまでした!と走り出すと、いってらっしゃい!がんばって!と拍手!

このエイドステーションでのやり取り、見送りの声援が最後まで力になっていきます。

満腹チェリーロードへ

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思いの外、ガッツリと食べてしまったのでキツいランになります。胃が揺れる…

走るパワーはあるんですが、胃を揺らしたくない。集中して安定したランを心がけます。この辺りはまだそれができてました。

また、ランチューバーmametaさんの動画で見た柴犬に会えました!YouTubeで見たものに出会えるのも楽しみですねー

ほどなくしてチェリーロードの看板。ここが噂の第一難関か!

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たしかに坂です。しっかり登らされます。う、胃が重いぞ。息も上がる…大丈夫なのか?

柴又では50kmまでなんの息切れも苦痛もないランでした。しかし、序盤からしっかりキツいえびだいのラン。これで100kmいけるのか?

しかし、それを忘れさせる島根半島の美しい海岸線と日本海。時折の日差しが色の変化を際立たせていて、景色を見れば苦しさもしばし耐えられる…。そのうち徐々に満腹感もおさまり、どうにか復調。

峠を越えると長い下りへ。なるほど、坂が急というより、曲がりくねっていて、ここでペースを不用意に上げると膝がやられるのは確定的。しっかりストライドを落としつつ集中して小刻みにくだります。WATARUさんのアドバイスのおかげで安全なランができました。これは飛ばしたらダメなやつですね。事前相談しておいてよかった…。これはこのレースの大きなポイントでした。

石州瓦と港町と

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いくつか小さな峠を越えつつ進みます。島根といえば石州瓦の屋根。衛生写真でわかるでしょうか。赤茶色の瓦葺き屋根の家々。海の青さと対照的でこのコントラストが綺麗です。

集落では応援をたくさんいただきました。この辺りで子供から

ダイの大冒険のやつ!」と言ってもらえました〜。うんうん、たしかデルムリン島にいたきがする、ホイミスライム。よく覚えてたねー。今までにない声援にテンションあがります。

エイドステーションも、飛び込めば拍手とともに「タコ!クラゲ!」と笑ってもらい、「ごちそうさまでした!」に「いってらっしゃい!」と拍手と歓声。エイドが楽しみで仕方なくなります。そしてこの辺りで「スポドリとコーラの両方飲む」パターン確立。水分とカロリーを同時に確保!それはあたりだったんですがコーラのカフェインを甘くみていました…。マリンゲート前エイドで2回目のトイレ。トイレ遠い…。このトイレのタイムand距離ロスが後半に効いてくることに…。

また正確な場所は忘れましたが、ゼッケンを見て選手リストから名前を呼んでくださる応援もありました。これも嬉しい!…他の選手と重なってしまい、私は呼ばれませんでしたが笑

自然と人工物のはざま

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少し開けた港町をぐるっと過ぎると道案内は山へ。大会最大の難所、原発ゾーンです。といっても150メートルくらいの登りなので名だたる山岳レースに比べたら低いんですが、ここまでハイペースで刻んできているので足は軋むしガス欠はこわい。ジェルは取り終わってまして、そこは順調でしたが、徐々に胸焼けが…。そのまま山に突撃です。

日差しがかなり出てきて、気温もムワッとした空気を感じられるほどに。山を駆け上がればもう汗が流れていきます。暑熱順化のおかげで暑さ自体はそれほどキツくないんですが発汗は怖い。

40キロ看板を通過する時、看板前でYouTuberと思しき方が超ハイテンションで撮影してました。フルだとなかなかお目にかからない光景。それにしてもあんなハイテンションで100km大丈夫なのかな。

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徐々に大きくなってくる島根原発。異口同音にみなさんその美しさを讃えていますが、たしかに美しいです。人工物と自然とのコントラスト。アートとネイチャー…あれ?

そんなことを考えているうちにどんどん原発が大きくなってきます。思わずシャッターを切ります。

プラントマニアな方には堪らないんじゃないでしょうか。しかも、スッキリしたデザインで、なんていうか近未来感。我々が走る道路には原発側に厳重な侵入防止の金網やら監視カメラやらがあって、その雰囲気も独特。たしかに、ここは走る価値あり。

車も来ないし、景色はいいし、アップダウンもいい感じなので、近所に住んでたらランコースにしたい場所ですね。

峠を越えたあたりで、カメラ撮影してるランナーさんに声かけてもらえました。うれしいですねー。ベホイミのリクエストをいただいたので、ベホマ叫んでおきました笑 私もすでに体力が減ってましたが、ホイミいじりをしてもらって体力回復!

Reiさんからの最初の応援があったのは…どこだっけ?こちらからは51km以降でいいから応援ください的なことは伝えていたんですが、それより先に応援していただいた気がします。そして、まーくんがかなり先であることを知ります。まぁ仕方ない。

50kmまでだいたいキロ5キープ成功。Mさんからのアドバイスをきっちり守りました。さぁ、後は逃げ切るだけ。

原発と海岸線のエリアを下り切り、平地をしばらく走れば51km、鹿島エイド。ドロップバッグを受け取れる最大のポイントがきます。f:id:RunTazzo:20230619101207j:image

Reiさんが待ち構えてくれていました。遠征で仲間からの応援はホントうれしい!起伏ゾーン高速ランの疲れが癒やされますね。

ドロップバッグを受け取ります。日差しはありません。気温も想定より低い。暑さも感じなくなりました。給水はエイドだけで足りそう。ユレニクイとボトルで走るのはキャンセルし、軽量化を選択します。ジェルだけポケットに詰め替えて、後半に備えました。

まーくんは20分前にここを通過したとのこと。焦っても仕方ないので、トイレを済ませ、アクエリアスとコーラをガッツリ飲んで再スタート。足が固まる前に走り出します。

胃痛と足攣り

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順調にきたつもりでしたが、ウルトラは甘くない。気をつけていたはずの下りなのに胃の上部が痛む。一歩ごとにズキズキがやってきます。食べすぎと下りで揺さぶっちゃったからかな…。

また、左脚ふくらはぎの攣りが断続的に。ストレッチをかけつつ走ってなんとか抑える走りになります。その度に落ち着くんですが、何かの拍子にまた攣り始める、の繰り返し。この時はまた弱かったですが、徐々に悪化していきました。

コースは田園地帯に。後半は概ねフラットなんですが、完全フラットではないんですね。55kmくらいには高低差50mくらいの峠あり。数年前のコース変更で楽になったらしいんですが、以前はどんだけハードコースだったんだよ…。

そして、途中、何度か抜きつ抜かれつだった女性ランナーさんに完全においていかれます。ゼッケンナンバーから見て歳上さんだし、女性だし、この人には先行していけるだろうと考えていた自分を恥じました。どこかで並走した時にホイミンに「すごーい!」と声かけまでしていただいての惨敗。むぐぅ…。恐れ入りました。

各所にボランティアスタッフさんたちが立っていてくださり、道案内が完璧にされているのは安心ポイントでしたね。某往還道のマラニックでは道が複雑な上に案内がなくて、ロストのリスクと戦うこともふくめてレースでしたが、えびだいはロストのしようがないくらわかりやすい。

しかも、信号が赤なのに車を止めてランナーを走らせてくださったりも。あ、これはホントはダメなやつ?とにかく、街全体でランナーを迎えてくださっていて、感謝でした。

リレーチームとの共走

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下ったらすぐに宍道湖かと思ってましたが、実際は70kmくらいまで田園地帯と林や丘のようなところを走るんですね。

足攣りとの闘いは断続的に起きるし、胃痛も続く。意外と早くキツいゾーンが来ました。アップダウンもないわけではなくて、岡南大橋くらいの起伏は普通にやってきます。

そんな時、力になったのがチーム部門のリレーメンバーのみなさん。えびだいのリレーは、どこでも何度でも交代オッケー。なので、結構ひんぱんにリレーチームのみなさんが路上で待機してるところに出くわします。そして、そのみなさんが、ソロの部の我々をガッツリ応援してくださるんです!さらにリレー組は元気なのでどんどん追い抜いていくんですが、抜き去り際にも一声かけてくださる方がたくさん。

なので、人が住んでないようなところでも、頻繁に声援をいただけました。もちろん、スライム!クラゲ!とウケてくれるのもうれしいです。

それでもどんどんキツさは増して、胃痛は続くし、コーラ飲みすぎてトイレが近い…笑

過去最高回数のトイレ立ち寄りマラソンになっていきます。トイレが遠いと、距離も時間もロス。しかも、お腹を汗冷えさせたのか、エイドでトイレ直行の場面も…。トイレでホイミンに声をかけてくださったリレーの方、ありがとうございます。反応悪くてすみません。腹痛くて…。

やがて、目の前に宍道湖が広がります。

神様との邂逅としじみ

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足攣り、胃痛に加えて腹痛も抱え、ペースはガタ落ちでした。やっぱりウルトラは厳しい。70kmの壁を痛感。というか、70よりずっと前に壁きてた気がする…。

心が折られ始めます。まーくんに追いついてやるぞという意欲…ゼロ。こんなペースダウンしてたら追いつくわけないじゃん失笑

そんな時、Reiさんが沿道に現れます。キタコレ!うれしいエアサロで気分転換!仲間の応援のありがたさが、回を追うごとに倍増していきます。

そして、「まーくんと10分差まできたよ!」…まじか。

私もペースダウンしたけど、まーくんも…。

ここで、私の競争心が燃え……上がらなかったんです泣

キツくて、前を追う気力がわかない…。胃が痛くて走れないと泣き言を言います。

ホイミンサブ10できたらそれでいいじゃん…。ウルトラの怖さは、心をへし折られること。思い知ります。情けないけど、これが実力。追いたいけど、胃痛腹痛足攣りを言い訳にして逃げました。

再スタート。一畑電車を横目に宍道湖沿いを進んでいくと75kmエイド。あ、正確には74.5kmくらいです。とりあえずコーラとスポドリ。そしてトイレの3点セット。さて出発するかとエイドを見渡すとみんななにかすすってる…しじみ汁だ!

これだよ、これ。えびだいと言えばしじみ汁!たまらずいただきます。

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うまいっ!!!

しじみがたっぷり、これでもかと入っていて、エキスが溢れたスープが疲れた体に染み渡る〜。まさに世界一美味いしじみ汁!

感動していたら、隣のランナーさんも同様にしじみ汁飲み干し中。ふとゼッケンを見ると、栄光の青ゼッケン…神様!=えびだい完走10回を超える猛者。

思わず話しかけました。目標タイム、サブ10。決めた。神様についていこう。先にエイドを発った青ゼッケンを追います。これなら追いつける。

頑張るまでもなく神様が信号にかかり追いついたのでここからコバンザメ作戦。

しかし、神様は楽しくおしゃべりしてくださいました。

 

神「どちらからいらしたんですかー?」

私「あ、は、はい…お、おかや、やま」

神「そうですかー、街中ですか?」

私「あ…あ、はい、おか、おかやま、し」

神「おかやまマラソンありますよねー。私は広島なのでフルの大会が…」

 

つまり、神様、余裕でおしゃべりされるんです。が、私はもう限界ギリギリ。しかも、足がかなり強く攣り始め、ランなのか高速ウォークなのかわからない、ストレッチかけまくり走法でしか走れない状態に。回復を信じて走ります。それでも神様のキロ5:10-30に追随したおかげで、ある意味かなり楽に距離稼ぎさせてもらいました。

信号にかかるたびにストレッチをしているうちに、どうにかまた通常のランに戻ります。

ホイミン巨大化現象

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80km手前で一畑電車の踏切にかかります。長時間止まるのって怖いんですよね、足固まるから。でも、今回は動きました。助かった。

踏切を渡ったエイドでも、スタッフさんからホイミンいじりをしていただきます。何のキャラ?ドラクエなんです。そんなやりとりをしていると、写真を撮らせてくれと言われ、ポーズ撮ってパチリ。ついでに後ろ姿もと言われてパチリ。こういうの楽しい笑

しかし、このエイドを抜けてからがキツかった…。今レース最大の難関、逆風の直線道路。

ごめんなさい、本当にごめんなさい。神様を風除けにして耐えました。

だって、頭の上のホイミンが巨大化したんだもん。いや、本当に巨大に感じてました。

感覚としては


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ホイミスライムがキングホイミスライムになったような…。

なんか、頭の上から大きくはみ出した感じなんです。正面から風を受けると体が起きてしまい、後傾気味に。それを戻そうと体幹に力を入れる、の繰り返しで、ブレブレの体がそんな錯覚を起こしてました。

そのため、この区間のキツいこと。愛想を振りまく余裕も潰えます。スタッフのみなさん、無愛想な仮装ランナーでごめんなさい。

来たぜ、出雲大社
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90kmエイドに到着。もはや5km走ったらトイレ休憩andコーラアクエリ、の繰り返しです。ここでもReiさんが応援してくれました。持つべきものはチームメイト。止まるわけにはいかない。

ここまで神様と抜きつ抜かれつだったんですが、ついに置いていかれます。「5キロ30分を死守ですよ!」とありがたい言葉をいただいていたので、それを守りつつ走りだします。足が重くてペースは上がりません。信号で止まると、走り出す時に気合が必要に。喝を入れてスタートしないと動けません。

この辺りでは、まだサブ9.5が見えていました。しかし、それを新たな目標にするだけの気力はありませんでした。サブ10できればそれでいい。今思えば心が折れてましたね。

95kmエイド。頭の上のはタコ?クラゲ?と聞かれるので、どちらでも!と答えます。そして、「あと5kmだけですよ」との声援に「まだ5kmもある…」と嘆きぶし。

最後のコーラを飲んでスタート。送り出しの拍手が嬉しかったなぁ。

島根ワイナリーが見えるともうラストです。Reiさんからの声援を受け、最後の力でラン。サブ10は確信します。

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出雲大社が右手に見えてくると最後の激坂。Reiさんと合流。最後、一緒に走ってくれます。戦友との並走はうれしいですね。

出雲大社の入り口を左に折れると参拝客で賑わう参道。この辺りで疲れが吹き飛んでいきます。

そしてReiさんに、フィニッシュの動画か写真を撮ってほしいとお願い。私はビクトリーロードをダッシュ。なんと、一人一人にゴールテープを切らせてくれます!

100km走ってきて、このフィニッシュは嬉しすぎる!そして、名前が呼ばれます。きた!

ゴーーールー!

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お?!見なかったことにしましょう。

しかし、なんとライバル?であるまーくんが撮影してくださってました。

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私のフィニッシュと絶叫はまーくんちゃんねるにあるので、ぜひご覧ください。

えびすだいこくマラソン100km 2023 5/28 サブ9.5達成!! - YouTube

記録9:32:12

ホイミンサブ10、達成です!
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フルマラソンでは味わえない、3桁キロを走破した時の爆発的な達成感。こうやって人はウルトラにハマっていくんだろうなぁ。

えびだいはメダルもタオルもありませんが、この達成感だけで十分だと感じます。

お礼を言える幸せ

フィニッシュ後、引っ張ってくださった神様やアドバイスくださったMさん、そしてまーくんにお会いしてご挨拶。みなさん、ありがとうございました。

会場では縁日みたいな感じでドリンクや甘味が振舞われています。フィニッシュのご褒美、かき氷を美味しくいただきました。スタッフのみなさん、ありがとう。

その後、フィニッシュゾーンでWATARUさんやアトムさんを待ちましたが、やはりここは応援に行かねば、と駐車場まで移動し、車で逆走しつつランナー応援。死闘の苦しさがわかる分、力が入りました。しかし、見つけることができず…どこかですれ違ったか、残念。お礼はまたの機会に伝えることにします。なお、お二人とも見事に完走。アトムさんの強さに驚愕です。

ことぶき先生は、95kmすぎで時間切れとのこと。

来年の再挑戦に期待しましょう。

 

おわりに

えびだいは、聞きしに勝る楽しいレースでした。ラン友さんがたくさんいるだけでなく、参加者全員で励まし合いながら走破を目指す雰囲気があって、途中でみなさんからかけていただいた声援がとても大きな力になりました。

フルマラソンでは応援のおかげで速く走れたりがんばれたりするわけですが、私にとってはウルトラは応援があるから投げ出すわけにはいかず走り切るしかなくなる。そんなレベルで応援が必要です。気を抜くとあっという間に減速、足を止めてしまうような状態で、かけてもらう声援のありがたさを痛感して走りました。

一方で自分の弱さも痛感しました。驕りは強がりであって、弱さの表明。謙虚になれるだけの強さを身につけたいです。

謝辞を。要所に立っていてくださったスタッフのみなさん、エイドで歓迎と送り出しの拍手と声掛けをくださったスタッフのみなさん、沿道で笑顔で手を振ってくださった地域のみなさん、ありがとうございました。島根半島が魅力の詰まった場所だということ、感じとりました。

参加したランナーのみなさん、声をかけてくださり、また、走りで刺激してくださりありがとうございました。みんなで達成したえびだい完走です。またお会いしましょう。

 

おかげさまでホイミンフルサブ3、ホイミンウルトラサブ10を達成することができました。残すはホイミン富士登山競走完走。今年、グランドスラムを達成し、来年はホイミンとともに富士山頂でグランドスライムを目指そうと思います。できっこない、はもう言わない。

さて、次はサロマ湖ウルトラ。目標サブ9。納得のいくレースをするぞ!

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四国霊場八十八ヶ所お遍路マラニック その7【土佐国編②】〜津波でも決して壊せないもの

前回の年越し遍路からはや数ヶ月。大会目白押しのランウィークが終わって落ち着いたので、えびだいのためのロング走を兼ねてお遍路マラニック

計画

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今回は室戸岬スタートで、25,26,27番を打つ計画です。

ランのフィニッシュ地点近くに車を停めてバスで室戸岬に移動、フィニッシュ後は車で戻るいつものパターン。

27番は調子次第。ルートによりますが、だいたい36-46kmを想定します。

はじまりはじまり

5時には岡山を出て、高知道経由で唐浜休憩所というスポットに到着。
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綺麗なトイレもあるし、目の前には太平洋。天気が心配でしたが、雨も降っておらず一安心…したのは、ここまででした…。

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本日のギア

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白衣風チームTシャツに、雨の予報だったのでレインウェア。ランパンは夏仕様。ロードがメインなのでズムフラです。

今回は距離も短いので軽装で。

スタート地点へ

バスで室戸岬に向かいます。

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バス停が目の前という好ロケーション。

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電子マネータッチパネルがあってSuica対応だ!と思ったら、腰の低い運転手さんが激謝りされつつ「ですかしか使えないんですー」と。

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そう、ですか。(爆笑)

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龍馬カードは完売ですか、そうですか。

バスは室戸岬に向けて走ります。本日走るルートですね。

窓からたまに歩き遍路の方を見かけます。ワクワクしてると雨がポツポツ…サーっ、ザーっ、ドバダバ〜…お、おい。天気予報どうなってる…

それはともかく、バスの方はとっても素敵な運転手さんで、整理券の印刷不備を丁寧に対応してくださったり、降りるバス停を聞いてくださったり。下車時には「良いご旅行を!」って送り出してくださったんですよね。f:id:RunTazzo:20230605164743j:image

良いご旅行スタート!

吹き降りの土砂降りやんけ!

 

嵐の津照寺

信号待ちの時、前を向けないくらいの吹き降りを喰らいます。日頃の行い!
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そんな中、前回のフィニッシュ地点であるスカイライン入り口へ。ここの景色は素敵。山が近いです。
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目指すは津照寺。さすがに歩き遍路してる人はいません。というか、人っこ一人いません。嵐だもん。
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黙々と走ります。もう全身びっちゃびちゃ。お遍路Tシャツを披露することもできず、ただ前へ。

旧道を走る予定でしたが、車が通ると危険なレベルなので国道側を走ることに。前回は腰痛で苦しんだReiさんですが、今回はすっかり良くなって軽快にラン。

断続的に、山側に降りる階段があります。(写真忘れた)一段高いところを走るんですが、道路自体が堤防になってるんですね。集落へは階段で降りる様子。

自販機を見つけて温かいコーヒー……全部「つめたーい」でした…。耐えながら、そんなところを5キロも走っていると少し開けた街に着きます。
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見えてきました。津照寺。室戸三山の一つ。別名、津寺。明治の「改革」とやらで廃寺になり復活を遂げた経緯もあり、とても小さなお寺です。

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参道も大雨で誰もいません…。歩き遍路組はさすがに少ない模様。

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本堂へ登っていくとお遍路さんが。少し安心。車遍路さんのようでした。
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街中ですが、お寺から眺める景色はちょっとおしゃれです。太平洋が見えます。天気がいいと26番札所の金剛頂寺も見えるそうです。

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第25番札所 宝珠山 真言津照寺
(ほうしゅざん しんごんいん しんしょうじ)

打ちました!ジップロックを新調しないと水漏れが怖いな…。

ここ、納経所の前に貼り紙がすごくたくさんで、特にマスクしろ、写真撮るな、が何枚も…。写真に収めたかったんですが、ちゃんと貼り紙ルールに従いました。なお、駐車場にも「料金払え、撮影してるぞ」系の貼り紙。過去に何かあったのかな…。

 

涙のたい焼き

微妙な空気感と大雨の中、26番札所の金剛頂寺へスタート。5キロほどしかありません。ですが、もう全身ズブズブ。走りづらい…。

遍路道は古い住宅地のようですが、少なくとも2割は空き家かなという雰囲気です。
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人の姿は見えませんがたまに車が行き交います。その中の一台、白い軽トラが我々の目の前に止まります。窓が開き、男性が声をかけてきました。

「これ、あげるから、食べて!」

ふと見ると、二尾のたい焼き。思わず、「ありがとうございます!」と受け取ります。温かい!

うわぁ、お接待だ、うれしいぃ〜と笑顔になります。すぐに窓を閉めようとするので、遍路の基本、次のお寺への道確認をしました。

「すみません、金剛頂寺はこの道であってますか?」

すると、

「あー、お遍路さんか!

それなら、これを納めてくれんか?年寄りに託ったけど行く時間なくてな。」

小銭が詰まった小袋をポンと渡されます。

遍路の解説本で読んだことはあります。賽銭を渡されることがあると。あぁ、これがそういうことなのか!

頭を下げてお礼を言うと、軽トラはあっという間に行ってしまいました。

空き家の軒下で食べたたい焼きの美味しいこと。こんなに暖かく甘いたい焼きは食べたことありません。

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食べながら、気づきます。あの男性、私たちがお遍路さんだと知らずにたい焼きをくださったこと。

お接待かと思っていましたが、違っていました。大雨の中を走っているから応援としてくださったのか、お腹を空かせているように見えたのか、それはわかりませんが、今回の遍路の忘れられない出逢いになりました。

金剛頂寺トレイル
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心だけでなく、お腹も満たされて走りにも元気が出ます。海岸沿いに走っていくと遍路小屋が。ミタニ建設工業という会社の厚意で建てられた小屋のようです。中では歩き遍路の方が簡易テントを張って休んでました。トイレをお借りして小屋をあとにします。こんな綺麗な休憩所を管理していただくとほんと助かりますね。
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金剛頂寺への上りになります。
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山の方が風も雨も弱く、走りやすいくらいです。
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今回の遍路もいい感じの古道を走ることができます。

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次第に山道へ。ズムフラはやや滑りますが距離はそうありません。しばらく登っていくと、金剛頂寺です。
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駐車場も貴重な収益源なんでしょうね。
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山門を抜けた境内はこんな雰囲気。雨も弱まってきました。
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また、金剛頂寺には霊宝殿なる建物が昭和に新築されており、空海の遺品が収められているそう。重要文化財正倉院様式らしいけど、鉄筋コンクリート正倉院。うむ。なお本堂もコンクリート造です。
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納経所にはイケメン空海肖像画が。

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第26番札所 龍頭山 光明院 金剛頂寺
(りゅうずざん こうみょういん こんごうちょうじ)

打ちました!

そして、託けられた浄財をお寺の方に渡します。

「…あ、はい。」

それだけでした。

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綺麗な宿坊もありました。次の神峯寺までは距離があるので、室戸三山を打ってここで泊まる方も多いんでしょうね。
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見どころの多い金剛頂寺ですが、先を急ぎます。
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あじさいが咲いていました。でも、ゆっくりしていられません。17時の営業終了までに神峯寺に辿り着かなねば。
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今回もありました。目を疑う遍路道。油断してると見落とします。
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雨のためにぬかるんでいて、すべるすべる。
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ところどころに水がたまり、ヤブもあるマムシ注意な小径を下ります。時間があれば、空海が修行したという不動岩に立ち寄る広い道を下るんですが、時短でハードトレイルに。

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ちなみに、これが不動岩だそうです。Googleマップから。
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滑りまくりながら下り切ると、また国道に合流。スリップ警戒ランは筋力使いますね…

海岸線の街並み

しばらく海岸線を北西に進みます。

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雨はおさまり、走りやすくなりますが、同時に気温も上昇。腹も減るし、水分をとればトイレにも行きたくなる。
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賑わっているハンバーガーショップ発見。トイレ借りて補給も…と思ったんですがトイレありません、とのこと。最寄りの公衆トイレにどうぞということなので、そのままラン。1kmさきくらいにありました。スタッフもここまでトイレにくるの?
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後で書きますが、走っていて気づくのは空き家の多さ。
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あまり撮るものでもないかもしれませんが、朽ち果てた空き家が並びます。
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今回の特徴的な景色になりました。
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トイレは遍路の悩みどころの一つ。親切な看板がありました。助かりますね。
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前回の遍路では暗くてわからなかった太平洋を感じながら走ります。
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この辺りから空腹との戦いに。ザックの中には最低限の荷物だけ。行動食がない…。小さな釣具屋兼商店に立ち寄りパンを食べた以外はドリンクだけで走ります。

羽根岬を越えて
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写真は曲がる目印の病院。良い雰囲気です。

峠を前に、コンビニがあったらラーメン食べようということになり、がぜん元気が出ます。空海は何を食べたんだろう。
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古道へ。
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不整地の方が当時を想像できてワクワクするのが遍路マラニックですね。
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今回も標識に助けられながら進みます。
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標高は100mちょっとしかないのですが、雨のぬかるみで進みにくい…。
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遍路道を満喫できました。
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濡れた石畳はまるで萩往還道。長州と土佐のコラボ?幕末の志士はこういうのが好きだったんでしょうか。なんてね。

雨上がりのロング

また国道へ。この辺りで室戸市から奈半利町に入ります。
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雨も上がりました。たまに歩き遍路さんを抜いてのラン。Reiさんは他のお遍路さんとお話もしながら走ってました。私は…余裕なし。お腹ぺこぺこで…。
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なんだろう。遍路道ではこんな石碑をよく見かけますが不勉強でよくわかりません…。もっと調べてきたら楽しめるんでしょうね。

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気がつけば残り10km。意外とあっという間に神峯寺です。
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なにやら歴史ある建物を発見。高田屋といえば岡山では老舗の焼き鳥屋くらしき高田屋ですが、こちらは明治の樟脳業だそう。

三菱創業者の岩崎弥太郎が高知で樟脳を盛んに製造していたというので、その関係なんでしょうか。
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徐々に空が明るくなり、ちらほらと空がのぞくようになる頃、ついにローソンへ。

喜びのあまり、写真撮らずにラーメンを満喫しました!
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四国一小さな町。ほんとにあっという間の田野町

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でも、とてもきれいな町でした。

今回のハイライト、神峯山

お隣の安田町に神峯山はあります。四国自然歩道で登るつもりでしたが、時間がないのでロードの長い通常ルートへ。走距離も短くすみます。
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27番札所 神峯寺が近づいてきます。残り3.5キロ。時計は残り52分。お寺は、神峯山中腹の標高450メートルにあります。岡山でいうとだいたい金山くらい。ランだけなら余裕ですが、トレイルはあるし、団体がいたら行列必至の納経所です。足を速めます。
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棚田を眺めつつラン。雨の後できれいでしたね。
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陽が出て急に暑くなる山道。白衣シャツが気持ちいい!
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ダッシュ
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やがて山道へ。雰囲気の良いトレイルです。「真っ縦」という別名も。ロードがグネグネなんですが、トレイルはお寺に真っ直ぐ伸びているので真っ縦。高知唯一の遍路転がしという話も。いい傾斜です。しかし時間が迫る。
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ズムフラのスリップが辛い…。岩崎弥太郎の母が息子の出世祈願に21日間も参拝したそうですが、かなりの脚力ですね。
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Reiさんには申し訳ないんですが、札所は17時きっかりに閉まるので、とりあえず私だけダッシュして納経所に行くことに。次回もう一度登るのは避けたい…。
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残り17分。
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仁王門に到着!間に合った!団体客の行列に並びましたが、大丈夫でした。私の後はほぼ誰もおらずすぐ閉店。働き方改革

高知の札所も4ヶ所目になりますが、どこも納経所が静かというか、徳島で楽しみだったお寺の方とのおしゃべりがありません。筆運びを見たいところですが、それも見えない位置だったり。地域のカラーなのかな?

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第27番札所 竹林山 地蔵院 神峯寺
(ちくりんざん じぞういん こうのみねじ)

打ちました!

山ではダッシュしたんですが、数分でReiさんに追いつかれたのはナイショです…。
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空海ゆかりの湧水は飲めそうなものは全部飲んでいきます。今回は後半暑かったので美味しかったですね!ペットボトルに詰めて帰路の水分にしました。衛生的には微妙ですが。
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札所はどこも良い雰囲気なんですよね。

本堂に祀られる本尊は十一面観音像。その端に2体の地蔵が。仏像にはこれっぽっちも興味がないんですが、この地蔵には立て看板で解説があったので読んでみました。

なんでも太平洋戦争である島から生還を果たした方が、亡くなった同胞のために地蔵を彫ったのだとか。どんな気持ちで彫られたんでしょうね。
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私たちの他にも多くのお遍路さん。この時間帯だと、車遍路さんがメインですね。
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これ、歩いてる空海像。歩いてるバージョンは珍しいとのこと。Reiさん情報。
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大師堂には空海の一生を開設したパネルもありました。Reiさん、真剣に読んでます。

中国でいい出会いがあったのか、恋愛オッケーになって帰国したんですね、空海。他にも筆を選んだ話も。人間味溢れてて、こういうの好きです。
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帰ります。下りは歩くトレランの会。下りは可能な限りロードで。
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膝ダメージが怖いので、丁寧に下ります。体を冷やさない、膝を壊さないペース。
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次の札所は36キロ先。次回はいきなりのロングになりそう。
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山を降りるとすぐに唐浜休憩所です。

本日の遍路マラニック、フィニッシュ!

時計の動かし忘れがあったので実際の走行距離は約40キロでした。これくらいがコンパクトで楽ですね。

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次回はここ唐浜から28番札所、大日寺を目指すことになります。

難関!ごはん探し

さて、風呂に行こう。雨と汗でドロドロです。
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マラニック中、お菓子補給したローソン辺りを通ります。そこでまた土砂降りの雨に。お風呂は田野町の「たのたの温泉」へ。
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「この当日券は、当日にしか使えない当日券なんですね。」うん、セクシー。

汗を流して、温冷浴してさっぱり。さて、高知で美味い魚食べて帰るぞ!

しかし、ここからお店が見つかりません。そもそも、20時までやってるお店がぜんぜん見つからず…。見つけても営業時間内なのにもう閉まってたり、オーダーストップがやたら早かったり、そもそもやってなかったり…。憤懣やるかたなし。

延々車を走らせ、高知工科大を過ぎてやっと見つけた夜もやってるお店、マリソル。おしゃれなカフェです。

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鰹のタタキでも鰻でもないけど、美味い!

マリソル最高!

高知にお越しの際はぜひ土佐山田駅徒歩30秒のマリソルへ!

次回はお店チェックをしっかりしておきたいです。帰宅は深夜になりました、とさ。

おっさんのごたく

前回から高知に入り、太平洋沿岸の美しい景色の中を遍路しています。今回、とくに特徴的だったのは空き家の多さでした。過疎地域ならどこにでもある光景ですが、顕著に思えました。そして、対比的に堤防や津波避難タワーが目につきます。

これに南海トラフ地震、その予測が関わっていることは間違いないでしょう。ある研究によれば大きな被害が予想される地域では予想が発表された後、有意に転出が増えているとのこと。その状況にあって、住民のいなくなった土地,建物を活用しようとする人が多くはないだろうと容易に推測できます。

今回ランのほぼ全域が、津波防災地域づくり法の津波災害警戒区域。買うにしろ借りるにしろ、その地域で住もうとすると必ず不動産屋さんから重要事項としてそのことが説明されるそう。古民家カフェのランニングチームにいる身としてはいろいろ考えてさせられます。

もちろん、地震の予測のせいで景観が……なんていうつもりは微塵もありません。命を救うための命懸けの研究が導いた成果です。そして、それに基づく種々の政策…堤防、津波避難タワーetc……ついても最善策でしょう。代案も考えつきません。30年以内に大きな地震津波が来る。それなら費用をかけて取り壊すことも難しいです。少なくとも自分なら何もできない。

ただそこには先の見えない不安があり、空き家が立ち並ぶ。複雑な議論をするつもりはありません。未来の一端を知ってしまうことの難しさを見た気がします。

大雨の中、たい焼きをいただいたことは、喜びと共に驚きでもありました。

「お遍路さん」の接待は空海を接待すること。だから接待された…のではありません。ただの他者への親切、でした。

まさか接待文化をして偽善などというつもりは毛頭ありませんが、あの男性の中には偽善的なものは一切ない。純粋な利他心でしてくださったんだと思います。

それが遍路の地に住む人だからこそのものなのかどうかはわかりません。しかし、少なくとも私たちは、この地にどんな災害が来ても、彼や彼の周囲の人々がどうか助かってほしいと強く願わずにはいられませんでした。

この強い気持ちや目に見えないつながりを人々にもたらしたものが空海だとするなら、やはり遍路という大きな装置を残した空海は偉大な巨人だったといえるでしょう。

地震はいつか来て確実にこの地に苦難をもたらすのだと思います。それでも、どれだけその破壊が酷いものであっても、この地を訪れた人々の中の遍路での想いの一つ一つは決して壊されることなる生き続ける。今回は、それを確信した遍路の旅でした。

次回は安芸市を抜け、28番大日寺へ向かいます。

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